2003年10月の思いつき


東京バブル

「大阪ではクレーン車を見ないでしょう?」と大阪のお客様に言われました。東京にオフィスもレジャーも人口も集中してしまった結果、東京と一部の観光地以外の景気はちっとも改善していないという話を最近よく耳にします。
IT技術の発展が商業地域の分散を促進すると期待されていたはずなのに、なぜ東京集中が進行してしまったのでしょうか?
自国では、ニューヨークから電車で40分もかかる湖畔とかに本社を構えている海外企業が、東京の拠点はやはり丸の内や日比谷にしてしまうというのも、なにか解せない感じがします。
関東近辺でも東京から1時間も車で走れば、全く使われる当てのない荒地がゴロゴロしているこの現状は、これまでの国土計画がどこか基本的に間違っていたとしか思えません。
今の景気回復が単なる東京バブルだったということにならないような政策が、必要なのではないでしょうか。

(2003.10.31)


運用機関と活きのよさ

市場環境が好転しているわりには、顔色の冴えない運用機関が多いですね。昨年まではマイナス利回りで基金に怒られ、今年はベンチマークに勝てずに怒られ、運用残高は減ってリストラは進行中。ついでに運用報告会で覇気がないと怒られていては、さすがにちょっとかわいそうな気がします。
そうはいっても、「運用機関の活きの良さ」は、基金との信頼関係を築くためにも、パフォーマンスを上げるためにも大切な要素の一つです。
自信や覇気の伝わってこない運用チームに資産を委託したいと思うスポンサーはいないし、運用者が楽しんでいないファンドのパフォーマンスは長続きしません。
知恵を出して・声を出して・元気を出して、運用業界全体に活気を取り戻す努力を、われわれも含めて継続していかなければいけないと、強く思います。

(2003.10.30)


仕組み債

一昔前にはやったEB債というのを覚えていらっしゃいますか?基準日までに約束した価格以下に株価がならなければ元本を返還するが、もし株価が想定価格以下になった場合は、時価より10%以上高い価格でその株を買わなければならない、というものでした。個人を中心に飛ぶように売れ、ITバブルの崩壊とともに、無残な爪あとを残していった商品です。
最近また、この手の商品が目に付くようになっています。もちろんEB債では印象が悪いので、「元本確保型株価連動債」とか「TOPIX連動型債券」などという名前をつけ、個別銘柄ではなくTOPIXなどの指数を基準とした商品にリニューアルされてはいますが、基本的な仕組みは変りません。
こういったデリバティブを組み込んで作った「仕組み債」と呼ばれる商品は、時価会計主義の年金資産とは無縁なものなので基金に持ち込まれることはまずないと思いますが、もし心が動かされるようなことがあったとしても「上手い話には裏がある」の精神を忘れずにくれぐれも慎重に対処していただきたいと思っています。

(2003.10.29)


運用会社の経営哲学

証券会社の預り資産営業の間違いですか?と、皮肉の一つも言いたくなる新聞記事でした。
運用会社の中期経営目標が、「年金資産運用残高首位奪回」ですか…
3年で運用残高5兆円増?まぁこれは年率10%運用利回りを上げていれば自然と到達しますけど… などど嫌味なことを言い続けるつもりはないですが、なにか間違っていませんか?
『運用会社のシェアは運用成果の結果であって、運用成果をあげることがシェアを獲得するための手段となってはならない。』
これは他人のお金を預り運用する投資顧問会社としての本当に基本的な哲学だと考えます。
これを間違うと、短期的に結果の出ているファンドに資金が集中し、結局パフォーマンスの悪化を招いたり、また最近米国で問題になっている投信の不正取引のようなことを招く温床にもなるのです。
もし、新聞記事通りの経営目標を実際に掲げる会社があるとしたら、少なくともコンサルタント会社の定性判断には、大きなマイナスとなるでしょう。

(2003.10.28)


低金利下の事業債投資

私は決して国内債券運用における事業債投資について否定的な訳ではありません。
ただ、絶対金利・期待収益率共に1%台という環境下で、事業債、特に投資的適格ギリギリの銘柄への投資は大変に難しいものだと思っています。
例えば100億円のポートフォリオで3億円のBBB格債を1銘柄購入したとします。万が一この銘柄に重大な信用不安が起き債券価値が10%急落すると、それだけで0.3%の損失、つまり年間期待収益の4分の1ぐらいを失うことになるのです。
この失った4分の1を他の戦略や銘柄で取り返すことは不可能です。従って、このBBB格の銘柄は『絶対に』信用不安の起きない銘柄でなければいけないことになります。
もちろんBBB格の債券にいきなり破綻懸念が出ることはほとんどないはずです。が、可能性がゼロではありません。
超低金利での事業債投資とは、投資の世界ではありえない『絶対』を確信しなければ成り立たないものである、という点に最大の問題があるのだと感じています。

(2003.10.27)


提携先についての責任

外貨建株式や債券やオルタナティブの運用で、日本の運用機関が外国の運用会社と提携するケースが増えています。同じ提携といっても、銘柄選択の助言だけを受けているケースから、先方の運用しているファンドを購入しているケースまで提携度合いは様々です。
ただ資産を委託している基金から見ると、この提携内容の違いが明確にはわかりにくい面があり、運用が上手くいかない時などの説明責任が、都合よく転嫁されている印象を受けることもままあります。
また、提携先に何らかの問題や不祥事があった場合の対応などでも、窓口となっている日本の運用機関が当事者意識に欠けているケースも少なくありません。
基金に対する説明責任が提携先があるためにおろそかになるということは、本来の自社での運用に対する信頼性にも傷をつけることになるということを認識する必要があるのではないでしょうか。

(2003.10.26)


敵は個人?

個人投資家の売買シェアがどのぐらいあるかご存知でしょうか?東証1部で40%超、2部で70%超、となっています。今年になってインターネットで取引を行うネット投資家が急増しており、売買シェアは継続的に外人投資家を抜いてTOPの位置にいます。
だからといって、日本の個人株主比率が増えているわけでありません。週間単位での個人投資家の売り買いの総額を見ていると、ほぼ3週間平均で、売り買い額が均衡しています。最近活発に動いている個人のほとんどが、値ざや取りを目的とした短期売買を繰り返しているわけです。
基本的には短期売買ですから株式需給には中立なはずなのですが、情報に対する反応のタイミングがいわゆる機関投資家とはまったく異なるため、個々の株価形成にはかなりの波乱要因となっているようです。
投資顧問などのプロの運用者からは、個人が気が付いて荒らしにくる前に、優良な株を発掘し投資しておかない限り、ネットの前に座っている個人に勝つことができなくなっているとの悲鳴も聞こえてきますが、一方で短期売買で個人が流動性と価格のゆがみを提供してくれていると考えれば、アクティブファンドにとっては収益機会が広がったといえないことはありません。どちらにせよ「敵は個人」というのは、プロの投資家にとってあまり格好良いものではありませんね。

(2003.10.23)


四半期報告の時期がやってきました

四半期の運用報告に同席していて、
お目にかかりたくないタイプ
①運用報告は早々に切り上げて新しいファンドの営業をする人
②部下が報告している隣で寝ているえらそうな方
③自分に都合の悪そうな部分を気付かない振りして飛ばす人
④自社の運用内容を他人事のようにけなす営業担当者
⑤株が上がるときも下がるときも「外人」と「ヘッジファンド」と言っておけばいいと思っているファンドマネージャー
時間の無駄だと思うこと
①ボトムアップ運用でのバーラリスクファクターの長い説明
②自ら決めた年度基本方針に対するタクティカルアロケーションの寄与度分析
③運用報告書を読み上げて質問にはなにも答えられない人との運用報告会そのもの

ほんの一例です…

(2003.10.22)


ドル安と金利上昇

今の為替の動きを1985年のプラザ合意に例える論もあります。
主軸通貨であるドル価値を守るため、当面直面する「米国の双子の赤字」とう大命題を解決すべく、主要国がドルの実質的な切り下げを容認したものです。
当初予定された水準を越えて大暴走を始めた為替市場に対し、米国を除く各国は協調して金利を下げることで、相対的に高いドル金利へ資金を還流させる政策にでました。
さて、当時と今とで、大きな差異が一つあります。今為替が暴走してドル安が止まらなくなったとしても、日本も欧州も利下げの余地がほとんどないということです。金利差を使って為替を止めようとすれば、米国自身が利上げをするしかありません。今日の米国高官発言を見ても、米国金利を上昇させることは既に念頭にあるように感じます。
今の米国経済は果たして金利上昇に耐えられる構造なのでしょうか?選挙を意識しすぎたブッシュ政権が危ない橋を渡り始めているように思えてなりません。

(2003.10.21)


専門家の先入観

日常でも、すごく簡単なことを専門知識が邪魔をして却って難しくしてしまう、などという経験はあるものです。
運用でも同じで、運用会社の中だけで話をしていると知らず知らすの内に視野が狭くなっていることにふと気づきます。
同じ金融市場に携わっていても、株式と債券、銀行と生保、運用者と証券など、立場の違いにより視点の相違は、思いの他大きく、市場判断において幅の広い人材との交流は大変大切なものだと実感しています。
基金の方や運用委員の方々とのお話からも先入観にとらわれない貴重なご意見を伺う機会は度々あります。そういった時はできるだけ、自分達こそが専門家なのに、という気持ちを捨てて、聞く耳を持ちたいものだと、常々思っています。
但し当然、聞く耳を持つということと、自分の意見を言わないということとは、まったく次元が異なります。
我々が運用のプロとして仕事をさせていただいている以上、違うことは違う、とはっきり申し上げるのもまた責任だと思うからです。
基金の方の視点や疑問をしっかり受け止めつつ、専門家としての解決策をご提示できればと日々思っています。

(2003.10.20)


改革は環境の良いときに

改革と言うのは、基本的に環境の良いときにするものだと思っています。改革にはそれに伴い生じる時間の空白やコストやストレスを吸収できるだけの基礎体力が必要だからです。
そういった意味では。金融の自由化も、企業会計の国際化も、退職給付会計の変更も、そのタイミングが歴史に残るほど悪かったことはいうまでもありません。
改革に最も適したタイミングとは、人々の間に改革をしなければいけないと言う危機意識が芽生え、かつ制度や体制に精神的・経済的余裕が出てきている時だといえます。危機の真っ最中でも、危機が回避され時間が経過し過ぎても、関係者のコンセンサスを得ることが難しくなります。
3年連続のマイナス利回りがどうやら止まり、市場環境にも少し薄日が指し始めている今が、今後の年金運用の基本的な考え方を練り直す絶好のチャンスなのです。急ぐ必要はありませんが、あるべき方向性を考える芽を少しずつ育てていくべきでしょう。

(2003.10.19)


ヘッジファンドに行く前に

当社はオルタナティブの導入に積極的だと思われているようですが、実感とは少し異なるかもしれません。
確かに2-3年ほど前から、オルタナティブの運用会社とのコンタクトは比較的積極的に行ってきましたし、契約先の基金様で実際に導入したケースも多い方かもしれません。ただこれは、身近にいたいわゆる伝統的な運用機関に「顧客の資産を保全する」という哲学が明らかに欠如していたため、しかたなく財産確保という哲学をもつ運用会社を海の向うに探しに行かざるを得なかっただけです。
最近、この傾向に少し変化が出てきているように感じています。市場の下落に備えて先物でのヘッジを検討したり、金利上昇に向けて変動利付債を組み入れたり、と伝統的な手法の延長線上でできること、やるべきこと、をご提案いただける機会が増えてきています。伝統的運用とヘッジファンドとの間に眠っている運用の種を、お互いもっと有効に利用していきたいものです。

(2003.10.16)


東京不動産事情

当社のある東京タワーのふもとでは、この1年驚くほどの数のワンルームマンションが乱立しています。東京にこんなに独身者がいるのだろうか、と首を捻りたくなるのは、この近辺に限ったことではないでしょう。その多くは賃貸収入をあてにしたいわゆる投資マンションと言われるもののようで、6%近辺の投資利回りを謳っているようです。
一時代前の投資マンションといえば、高額所得者の税金対策、という印象が強かったのですが、最近は超低金利を利用した貯蓄商品として購入している人も多いと聞きます。
投資という視点で不動産価格を見た場合、株式と同様に、値段が過去の10分の1になったからといって、その値段が必ずしも割安な値段であるとは限りません。少なくとも東京ではこの不動産不況の最中の15年間に、超大型の一等地は放出され、容積率は緩和され、一方で企業の人員は削減され、外資は撤退し、事業用・居住用問わずあきらかに供給過剰に陥っています。
自分で住む家はともあれ、投資対象としての不動産には、まだまだ注意が必要なのではないでしょうか?

(2003.10.15)


オルタナティブの投資期間

ファンドオフファンズの運用会社やオルタナティブの担当者から、ここにきて基金からの問い合わせが急に止まった、とかファンドの解約の話が多くなった、などということをよく聞きます。
確かに、伝統的資産が活躍している時は、オルタナティブ資産が相対的に見劣りするのは、止むを得ないことです。
理由は明確で、そもそもオルタナティブ資産は伝統的資産との相関がないことを前提として組み入れているからで、株が上がっているからといって一緒に上昇するマーケットニュートラルがあったらそれは逆に危険です。
またオルタナティブ運用は絶対リターンを追及するものではありますが、毎年毎年同じように利回りを上げ続けられるとは限りません。市場環境によって、収益の上がりやすい年と上がりにくい年があるため、3年程度の期間内で一定の絶対利回りを上げることを目標としているファンドがほとんどです。
そういった意味ではオルタナティブへの投資もまた中長期の視点が必要であることには変わりないのです。
投資をはじめるにせよ、止めるにせよ、何のために、どのぐらいのタイムスパンで、投資をするのか?という議論をしっかりと行い、オルタナティブを上手に使いこなしてほしいと思います。

(2003.10.14)


選挙と年金

審議中の案件を中断してまで、何故今総選挙なのか??という基本的な疑問はとりあえず横に置くとして…
各党のマニュフェスト・選挙公約、というものの全文を一通り読んでみました。(自民党さん60ページは長すぎます。あんなもの誰も読みません。)
論点がどこにあるのかさっぱりわからない中、大発見が一つ。公的年金の2分の1国庫負担に反対している政党がなんと一つもない!主要全政党が賛成している政策の実現がなぜ迅速に進まないのか大変不思議です。
国庫負担の引き上げが必要であることはわかっているのに、財源の特定ができないからといって先延ばしにされるのは納得がいきません。
問題が所詮財政のことならば、経済システムの安定化という目的のために金融機関に導入された公的資金と年金のシステムの健全化のための国庫負担と、物事の重要性にどのような差異があるのでしょうか?金融機関にお金を使ってしまったので、年金にまわす財源が枯渇してしまったなどと言われないうちに、早々と決着をつけていただきたいものです。

(2003.10.13)


災害バックアップセンター

今朝の新聞で、マスタートラスト会社が資産管理の災害緊急バックアップセンターを開設した、との記事を見て、今までなかったということ、同業他社にはまだないらしいということ、場所が千葉で且つ決済システムのバックアップ先は都内であるということ、全てに驚きました。
以前、外資系の金融機関で東京オフィスのバックアップシステムをどこに置くか、という議論で「ハワイ」といったらさすがに却下された、と笑っていた同僚がいました。さすがに国境を超えるのはまずいとしても、海を渡るか箱根を越えるかぐらいの距離は必要だというのが常識だと思っています。
日本の金融崩壊の危機が峠を越して、海外から日本へ投資をする際の最大のリスクが「東京の地震」であることは、それこそ日本人以外はみな認識していることです。
いつくるかはわからなくとも、いつか必ず来るであろう天災に向けて、無駄や不便も承知の上で、万全の対応を備えることが、日本と言う巨大金融市場を支える金融機関の義務なのではないでしょうか。

(2003.10.09)


小型株の時価

有価証券を評価する際使われる価格を一般に「時価」と表現します。時価というのは一般的にはその証券を売却することが可能な価格であると認識されています。
ところが現実に年金評価で使われている時価とは、「直近の出来値」に起因するものであり、売却可能価格ではありません。つまり10万株を保有していたとして、一日の出来値が500円で3000株しかなかったとしても、この株の時価は500円となります。実際にこの株を売らない限り、この10万株×500円が『仮想の資産価値』となるわけです。
この半年日本でもアメリカでも売買高の少ない小型株が急騰しています。小型株価格の上昇で得らたとみなされている利回りの内、『仮想の資産価値』に起因する比率がどのぐらいあるのかは、誰かが売り始めてみなければわかりません。そしてそれが「絵に描いた餅」であったことに気付くころには、本当にあったはずの資産価値すらも失われていることも多いのです。
小型株など売買量の少ない証券へ過度に投資をすることは慎重に判断していただきたいと思っています。

(2003.10.08)


運用機関の数

基金の方から、適正な運用機関の数は幾つ位か?という質問をよく受けます。もちろん資産額や組み合わせ方法によっても異なりますが、理想的には10ファンド前後、多くても15ファンドが限度だろうと思っています。
運用機関を管理するということは、個々のファンドごとにマネージャーの顔と名前が一致し、運用の特徴が思い浮かび、かつ前回の四半期報告で聞いたファンド概況をなんとなく覚えている、というのが基本行動だと思います。これさえできていれば、毎日のニュースで市況の変化をみながら、ファンドの状況を頭の中でシミュレーションすることが可能になります。頭の中で描いていた結果と3ヵ月後に運用機関から報告された結果に大きな相違がでてくれば、なにかおかしいと感じることができます。
こういった運用管理者としての基本行動に支障をきたさない数、という意味で、10から15というところが上限なのではないでしょうか?

(2003.10.07)


外部チェックの必要性

私たちコンサルタント会社の仕事には、運用戦略のご提案・ファンド評価・リスクモニタリング、といった目に見える作業の他に、基金の利益という視点で運用機関や受託会社と話し合ったり、業務をチェックしたり、という代理人的作業が含まれます。この代理人的作業の占める比率は、コンサルティングの中で決して小さくはありません。運用機関などの業務受託者は委託者である基金のために誠意のある対応をする義務がありますが、営利企業である以上常に基金の利益のためだけに行動しているわけではありません。だからこそ契約に従った誠実な行動が遵守されているかどうかという外部からのチェックは必ず必要となるのです。
最近信託や生保が制度から運用まで一貫したコンサルティングサービスを提供しようとする傾向が再び強くなってきているようです。基金の大小を問わず、第三者の目が入り込む余地のないような閉鎖的な業務委託は大変不健全な形態であるということを改めて認識すべきだと思います。

(2003.10.06)


労働力

大手電機メーカーが早期退職制度の対象を30歳まで下げたとの記事が出ていました。現在、短期的に見れば今は日本も米国も明らかに雇用不足の状況です。特に日本の企業における人材の余剰感はまだ解消されていません。
一方で、いみじくも年金問題でクローズアップされているように長期的には先進国の労働者数は今後あきらかに不足していきます。P・ドラッカーは著書の中で「明らかな人口減少の影響により2010年までには日米欧の健康人の定年退職年齢は75歳に延長されるだろう」と述べています。
将来の人材不足を見越すのであれば、本来はここでコストを掛けてでも、若い労働力を教育し維持していくべきなのでしょうが、今の経営者にはその余裕はないようです。
働き手として今の若者を育てる努力を真剣にしていかなければ、そのつけはそう遠くない将来確実に回ってきます。

(2003.10.03)


海外投資家の動き

海外の決算年度末である12月まで、残り3ヶ月になりました。
ヘッジファンドの運用者のように運用実績によってボーナス額が決定するような場合、そろそろ今年の収益の数字を確定させることを意識し始めます。
さて、ドルで運用している人にとって、今年一番儲かっている市場は断トツで日本株です。この1ヶ月の為替効果もあいまって、TOPIXのドルベースの収益はこの9ヶ月でおおよそ35%あまりに達しています。欧州株や米国株はいずれも10%そこそこですので、日本株と円の組み合わせが、いかに急騰したかがお分かりでしょう。今年に限らず、2001年のテロ以前の水準にドルベースで戻っているのも日本株だけなのです。
ここまで円株で収益が上がると、そろそろ一旦手仕舞おうか、と考えるファンドマネージャーが出てきてもおかしくはありません。
為替の勢いが止まってくれば、年前半買い越していた外人投資家動向にも変化が出てくるかも知れないと思っています。

(2003.10.02)


制度の説明は大変です…

昨日・今日と、年金関係者ではない方々に、年金制度の概略を説明する機会がありました。一つは年金の負債構造について、一つは公的年金の基本的な仕組みについてだったのですが、おそらく話したことの3分の1も相手には伝わっていないと思います。相手の方はマスコミであったり金融機関であったりと、一般の方よりは多少の基礎知識がある方々だったのですが、それでも年金制度の話を理解してもらうのは大変でした。年金の資産運用がどの企業や銀行よりも厳しい完全時価会計主義であることや、公的年金が修正賦課方式であり積立不足金という概念が制度内に存在しない(部分的にはありますが)、などということにひどく驚かれるとこちらの方が驚きます。今の年金システムへの不信感の多くはこうした基本的な誤解による部分が大きいのだろうと改めて実感し、またこちら側からの説明努力がいかに足りないかを反省する良い機会になりました。

(2003.10.01)

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