2004年08月の思いつき


大統領選の予想と米国市場

在ニューヨークの人の言葉によれば、「テロへの警戒と史上最大のデモ行進とが錯綜する異様な緊張感」の下、米国の共和党大会が始まりました。この共和党大会から9・11までの10日間は金融市場にとっても当面の最大警戒週間とみなされており、多くの投資家は現金比率を高めて静観を決め込んでいるようです。

幾つかの米国の経済研究所の出した経済予測モデルでは、ブッシュ陣営の優勢が予想されており、一方米国の証券会社が全世界のファンドマネージャーを対象にした調査ではケリー氏優勢を予想するマネージャーが多かったといいます。
いずれにせよその差は拮抗しており、結果は前回の大統領選と同様終わってみなければ判らない、という状況のようです。

相場環境にとっては政策の違いによってではなく、「変化を嫌う」という投資家心理が働き、どちらに転ぶか判らない大統領選に警戒感が強まっているというのが現状でしょう。

(2004.08.31)


いよいよ北京へ

アテネオリンピックが無事終わり、4年後の北京オリンピックの現実味がいよいよ高まってきました。

準備不足が心配され、実際未完成だった設備があったり、水泳プールに屋根がなかったり、宿泊ホテルが圧倒的に少なかったり、と色々あったアテネですが、それでも無事に2週間を終えたことで、国際社会でのギリシアと言う国の信頼度は確実に上がったように思います。

さて、4年後の北京オリンピックの成功の是非は、単に中国という国の信認に留まるものではありません。"オリンピックが終わるまでは"という奇妙な合言葉を基に綱渡りを演じている中国経済が本物かどうかが試される、大きな意味を持つオリンピックです。
中国依存度の高まっている国際経済において、今後の10年を占う最大の山場の始まりです。

(2004.08.30)


ゲートキーパーに期待すること

ヘッジファンドを集めて一つのファンドを作るゲートキーパーの中には、組入れるヘッジファンドの戦略を固定しているところと、市場環境に従って機動的に配分を変更するところとがあります。
また、戦略を変更するプロセスにも、マクロの経済環境見通しを基に戦略ごとの期待収益率を予想するタイプ、直近のパフォーマンス動向から傾向を探るタイプ、リスク調整を目的をするタイプ、など様々です。
ヘッジファンド運用では、最近の転換社債アービトラージや昨年の株式ロングショートなどのように、構造的に収益を上げにくい戦略が周期的にめぐってきます。逆に昨年の為替トレーディングや商品先物、エマージングなどのように、突出して収益を上げるような戦略が突然登場することもあります。
年金スポンサーがそういった山谷に機動的に対応することは難しいという現実の中で、ゲートキーパーの戦略アロケーションに期待してファンドオブファンズに投資する人も増えているようです。

(2004.08.27)


直近のポートフォリオリスク

当社では、スポンサーの基本資産配分が現在の市場環境において適正であるか否かを、定期的にモニタリングしています。

この4月に設定した資産配分についての見直しをかけてみると、株式や債券の期待収益率には大きな変動はないのですが、リスク(標準偏差)に随分変動が起きています。
外国株式のリスクが低下し、外貨リスク(為替のボラティリティ)が上昇しています。
ポートフォリオ全体でのリスク水準はあまり変動していないように見えますが、リスク特性に変化が起きていることに注意が必要です。

(2004.08.26)


投資家心理の冷え込み

この半年、株式・債券・オルタナティブとどれをとっても、収益が上がっていません。さらにオルタナティブの中で相関が低いと言われているヘッジファンド系とマネジドフューチャー系、株式系と不動産系などの分散効果もあまり効いていません。
きっかけが米国の金利引上げであるにしても、それだけでは説明できない市場動向であることは間違いなさそうです。
ヘッジファンド関係者やファンドマネージャーなどと話していて共通するのは、「米国の市場での投資意欲の減退」が市場に与えている影響についてです。
猫の目のように変る雇用統計、いつまでも収束しないイラク情勢、そして大統領選と、ファンドマネージャーの投資意欲を削ぐ要因が米国には沢山あります。
そうした環境の中で、多くの運用者は実質的にも精神的にも長期休暇に入ってしまっているようです。
何か変ることを期待しての大統領選ではなく、とりあえず冷え込んだ投資家心理を回復させる一つのきっかけとしての大統領選に期待するしかないのかもしれません。

(2004.08.25)


勝ちパターンの検証

運用報告は結果が悪かった時に聞けばよい、と考えるのは正しいでしょうか?

私は、結果がよい時にその要因を分析できない運用機関のことはあまり信用しません。
勝ちパターンの分析ができないということは負けパターンの分析もまたできないということだからです。
理由のわからない負けは立ち直りに時間がかかります。委託するサイドから見ても、継続の是非を判断する手がかりを失います。

運用報告は過去の結果に対する言い訳を聞く場ではありません。今後の運用のための確認作業をする場です。
勝ちパターンの検証は、運用する人にとっても、委託する人に負っても将来の負けを抑えるための重要なプロセスであると思います。

(2004.08.24)


消費者の力量

温泉の不正表示や生鮮食料品の偽装表示、更には偽ブランドまで含めて、消費者の力量が落ちていることを実感します。
だまされる方が悪いとは言いませんが、商品の供給サイドと消費者との間の緊張関係が弛緩しているような気がします。
ネット社会に入り、情報や噂だけは簡単に消費者の耳に入るようになった一方で、物事の本質を自分で判断する能力が次第に失せてきているのかもしれません。

小麦粉を飲んでも風邪が治るように、水道水のお風呂でもお肌がすべすべになるのであれば、それもまた一種の"温泉"効果と言えるのかもしれませんが…

(2004.08.20)


ナウル続編……

昨日に続きナウルでもう一つ。
10年ほど前、ナウル共和国の債券発行が日本市場で可能かどうかを調べていて、一番衝撃的だったのは、唯一の財産であるリン鉱石が枯渇していたことではなく、その糖尿病罹患率の高さでした。どこかの国際機関の作成した国家要覧に、「成人男性の半数以上が糖尿病であり…」という記載があるのをみて、この国にお金を貸すのは無理だ、と思ったのを覚えています。
国の力というものは、資源力・軍事力・経済力・と色々ありますが、その全ての基礎となるのが人間の力であるのは言うまでもありません。社会を担う優秀で健康な成人の数は、何物にも勝る国力です。
米国男性の30%が医学的に肥満と認定されるという記事がありました。ちなみに日本では5%程度のようです。
人口は減りつつある日本ですが、健康寿命の長さをうまく利用した国作りができないものかと感じます。

(2004.08.19)


ナウルの悲劇と原油の高騰

南太平洋にナウルという国があります。
人口1万人前後の小さな島です。
島全体がリン鉱石という資源で出来ており、それを掘って掘ってお金に換えて、皆で楽しく贅沢に暮らしていたら、島に残ったのは大きな穴と、成人男子の8割に及ぶ糖尿病でした。
資源の採掘で現金を得て、それを財テクで増やして(失敗して?)、国の財政を維持すると言う方法は、産油国でも同様なのですが、資源が枯渇するまでのタイムスパンが少々短かすぎたところに、ナウルの悲劇があるのかもしれません。

埋蔵量が残り30年あまり、と騒がれて10数年経つ中東原油ですが、なぜか今でも残り30年と言われています。
真偽の程は、実際に油田が枯渇するまではわからないことなのでしょう。
昨今の原油価格の高騰を聞くにつれ、何故か南太平洋の小島が蜃気楼のように浮かんでみえる今日この頃です。

(2004.08.18)


気分だけお盆休み のお知らせ

世の中、夏休みシーズンたけなわの今日この頃、気分だけでもお相伴に預かりたく、このコラムも1週間お盆休みとさせていただきます。

えー、会社にはおりますので、毒舌が読めず寂しいという奇特な方は、お電話でも、メールでも、いただければ、ご要望にお答えいたします。

では、オリンピックで気分が盛り上がったころ、またお会いいたしましょう。

(2004.08.11)


対中投資へのリスクプレミアム

中国政府による円建外債の起債が見送られるかもしれない、との報道がされています。
債券を買う側ではなく、調達する側の国の世論が資金調達に影響を与えるということは大変不思議な現象な気がします。

それはさておき、日本の金融市場は欧米市場に比べ、中国の信用リスクを厳しく見る傾向があるかもしれません。中国関連の円建外債で実損を計上せざるを得なかった記憶が、まだ鮮明に残っているからです。

約束が履行されることが絶対条件である金融市場と、約束の履行もまたビジネスリスクの一つと割り切れる実物市場とでは、対中ビジネスでのリスク感に乖離があります。
約束の履行を第一の条件とする金融市場、特に債券市場にとって中国が未だリスクの高い投資先であることは間違いないのです。

(2004.08.10)


エアコンと省エネ

最近の家電製品には、「従来比消費電力何分の1」という表示があります。全然信用していなかったのですが、今年10数年前のエアコンを買い換えて、本当に電気代が3分の1になったのを見て、仰天しました。

ところで個人向けの電化製品では、省エネ使用が義務付けられていると聞きましたが、ビルなど大型建築物向けの電化製品でも同様なのでしょうか?
特に、集合店舗ビルでは、電気代が個別テナント毎の自己負担になっているため、ビルのオーナーサイドで省エネ意識を持っているところは少ないのではないかと感じます。

不動産の物件案内に、"OAフロア仕様"などと同じように、"省エネ空調仕様-電気代お得"などという表示がされるようになるとよいですね。

(2004.08.09)


間違っていても市場は市場

自社株が業績ほど上がらない。
株式指数が景気ほど上がらない。
銘柄選択効果が1年以上も上がらない。
オルタナティブの戦略分散効果が統計通り効いてこない。

こんな時、「市場が間違っている」という言葉を使うかどうかで、経営者や政治家やファンドマネージャーやゲートキーパーの本質が見えてくるような気がしてます。

市場価格は多数決です。
多数決の結果が正論だとは限りません。でも多数決の結果は現実です。
「市場が間違っている」という言葉の裏に、現実を直視することからの逃避が見え隠れしています。

(2004.08.06)


米・英 不動産と金融当局

地価の下落の続く日本では、このところの住宅ローン金利の上昇が、すでにハウジングメーカーの受注を減少させているといいます。
一方、住宅市場の過熱感を指摘されて久しい米国や英国では、政策金利が上がってもなお、投資熱がさめる気配がありません。
住宅バブルを言い続けてきたエコノミストの多くは、狼少年と化し、需給面から今の不動産市況を正当化する声の方が優勢になっているようです。

政策当局もまた、今の不動産市場がバブルであると断定して一気に市場を縮小させることを望んではいないでしょう。
彼らにとって1990年の日本の不動産総量規制が最大の反面教師になっているからです。
現状に警戒感を表明しつつ、穏やかな金融引き締めでソフトランディングできるかどうか、米英の金融政策の綱渡りが当面続きます。

(2004.08.05)


均衡点

ある運用機関が当面の運用環境見通しにおいて、株式・債券・通貨等ほとんどの資産間の割安・割高判断が中立になった、という報告をしていました。この7-8年来、なかったことだそうです。

当社の株式モデルでも、国内外の現状はほぼ均衡点にあります。
これから先しばらくは、各国の潜在成長率を意識した市場展開となるのではないかと考えています。

また、3年近く続いている世界的な割安株優位の相場展開が、企業間のバリエーションもまた均衡点近くに収斂させています。
将来的な企業価値をどのように判断していくか、アナリストの実力が試される時期になっているように感じます。

(2004.08.04)


土地の値段

土地の評価に、収益還元法が使用されるようになったことで、土地というものが資産ではなく生産活動のための道具の一つであることが明確化してきています。
土地はそれ自体に価値があるわけではなく、それを利用して行われる生産活動によって初めて付加価値を生むのです。
従って、地価はGDPの結果でしかなく、それに景気のエンジンやアクセルの役割を期待するのは間違っている、ということになります。

東京以外の公示地価の下落が依然続いていることは、生産活動の下落も止まっていないことの裏返しであることに留意が必要です。

(2004.08.03)


異常気象と石油高騰で思い出したこと…

5年以上前、タクシーの運転手さんから聞いた、内緒内緒の笑い話。

「お客さん内緒だよ。
最近天気がおかしいだろう。
それはね、地球の軸の傾きが年々急になっているからなんだよ。
何故だかわかるかい?
石油や石炭や鉄や銅はみな南半球にあるだろう。それを掘り出して全部北半球に運んでしまうから、南側がどんどん軽くなってしまったからなんだよ。
そのうち日本は赤道の上に行ってしまうかもしれないねぇ。
これはさるエラーイ人から聞いた話なんだよ。内緒だよ」

もちろんご本人は大真面目。
きっとあの運転手さんは今でも「大変だ大変だ」と思いながら、「お客さん内緒だよ」って言っているのでしょうね。

(2004.08.01)

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