2004年10月の思いつき


IPOとタンス預金

株式市場の新規公開ラッシュがこの11月にピークを迎えます。
11月に予定されている株式公開はなんと27社。
1000億円規模の大型発行も予定されているようです。

株式のファンドマネージャーの注目の一つは、相変わらず個人がIPOに積極的に参加し市場を支えてくれるかどうかですが、一番の興味は、そのお金がどこから捻出されるかにあるようです。

最も理想的な展開は、新札発行も受けて、個人がタンスから現金を取り出してIPOに投資することです。さらに4月のペイオフも目前であり現金から株式への流れが形成されるにはよいチャンスだといえます。
ただ、現実にはこうした動きを予想するファンドマネージャーはほとんどいません。最も考えられるのは今年儲かった小型株などの利益確定売りや、損益通算目的の投信売却など、他の株式からの乗り換えです。

個人の売買高ではなく株式保有残をどれだけ増やせるか、証券会社の腕の見せ所でしょう。

(2004.10.29)


メジャー行き

日本のプロ野球から大リーグ行きを希望する選手の姿を見て、10数年前の証券業界を思い出しました。
明らかに悪化している経営環境、旧態前とした経営者、技術レベルの格差、そして報酬の違い。
日本の証券会社から多くの人材が外資系に流出し、優秀な新卒もまた外資系の門をたたいた状況は、まさに今の野球界と同じでした。
隣の芝生が青く見えてる、というだけでなく、人材の流出にはそれなりの理由がありました。ただ一方で隣のにあるのはけっして青い芝生ばかりではないということ、そして一方的にまねをするだけではいけないということも、転出した者たちがいたからこそ判る現実でもあったのです。

一旦沸き起こってしまった日本という閉塞感のある組織から外に出てみたい、という思いを遮ることは難しいものです。今は、出るなというのではなく、外にでた者たちの経験を将来取り込む器作りを地道に行っていくしかないのだと感じます。

(2004.10.28)


まずは素材の吟味から

オルタナティブ投資を初めて行うスポンサーには、まず日本株のロング-ショートやマーケットニュートラルなどの、仕組みの単純なものからお勧めすることにしています。
これまで上場証券のロングオンリーの投資しか知らなかった方に、先物ヘッジやカラ売り、といったオルタナティブ独特の運用手法を体験し理解していただきたいからです。
先物を売る、とか、株を借りて売る、とかいった投資行動を言葉で幾ら説明しても実態を理解するのはなかなかむずかしいものです。ただ、このヘッジスキームを理解しない限り、ファンドオブファンズなどのヘッジファンド業界への投資は絶対に無理なのです。
オルタナティブ投資には、運用者だけではなく、スポンサーにとってもスキルと経験の必要であるということを忘れてはいけないと思っています。

(2004.10.27)


景気の化けの皮

後から振り返ってみると、日本の景気の山は今年の4-6月あたりになるのかもしれません。
緩やかではありますが、色々な意味で沈静化が始まっているような気がします。
市場関係者の興味は、既にこの下向きの波動の深さと長さに移ってきています。
今回の調整については、ITバブル後の景気後退のような、深押しを予想する人はほとんどなく、在庫循環などの景気サイクルに従った緩やかなシナリオが大勢を占めると思います。
日本の構造調整が終わり、金融不安からも本当に開放されたのかどうかは、今回の景気の谷が証明してくれることでしょう。
日本経済に"化けの皮"があったかどうか、世界が注目しています。

(2004.10.26)


為替の流れ

いよいよ米国の大統領選が近づいてきました。
大接戦が予想される中、どちらに転んでも良いように、とりあえずドル資産を自国に回帰させる動きが高まっているようです。
為替の動きというのは、水の流れのようなもので、上流の岩清水が集まって、ある日突然激流になります。
米国の経常赤字にしろ、原油価格の個人消費に与える影響にしろ、今に始まった事ではないのですが、唐突に材料にされるところが為替市場の怖いところです。

さて、新潟県中越地震について各国のメディアでも報道されているようです。ウォールストリートジャーナルなどの金融紙が、東京での大地震の可能性をかなり意識した論調を展開しています。
日本の地政学的リスクがまさに地震であることを、我々だけでなく世界が認識した週末となりました。

気まぐれな為替市場の流れが、大統領選後どこを向いているのか、全く予断を許しません。

(2004.10.25)


どっちもどっち

昨日の「取引強制,優越的地位の濫用」の話で言い忘れたこと。

圧力をかける側も悪いけど、それを受ける側の姿勢にも問題を感じることもしばしば、です。

今大問題となっている、「株の持合」と根っこは同じ。

上場企業TOP間での仲間内外交を見直すよい機会でしょう。

(2004.10.22)


公正取引委員会 原案

「金融機関の業態区分の緩和及び業務範囲の拡大に伴う不公正な取引方法について」(原案)
問題となる行為の例
"持株会社の傘下にある銀行等が,融資先企業に対し,融資を取りやめる旨又は融資に関し不利な取扱いをする旨を示唆し,同じ持株会社傘下の信託銀行に企業年金信託や投資信託等の受託業務を行わせることを要請し,これに従うことを事実上余儀なくさせること。(取引強制,優越的地位の濫用)"

あたりまえのようで、あたりまえでなかったことが、ようやく活字になりました。

日本の年金営業の基本スタンスが根本から変る、かもしれません。

(2004.10.21)


インフォメーションレシオの罠

運用スタイルの異なるファンドを複数組み合わせることで、リスク対比のリターン(インフォメーションレシオ)の向上を図る考えかたは、ポートフォリオ運営において基本的な戦略であるとされています。
こうした複合ポートフォリオを作ることによって、標準偏差は確実に抑えることができます。

一方、一般にアクティブファンドの運用報酬は、目標超過収益の水準によって設定されています。アクティブリスクが2%のファンドより、5%のファンドの方が運用報酬が高く設定されているのです。
アクティブリスク5%を目標としているファンドを組み合わせてポートフォリオリスクを3%まで下げたとしても、運用報酬は元のままです。つまり投資家はアクティブリスク3%の運用に5%分の報酬を払う結果を招く危険性があるのです。

ファンドを組み合わせることでインフォメーションレシオの最大化を図る際には、運用報酬を控除した上でのシミュレーションが大切です。

(2004.10.20)


ITバブルの打上花火?

球団経営にソフトバンクまでが名乗りを上げるにいたって、うちの家族などのワイドショー的感想は、「"インターネット関連企業"ってなんてお金持ちなんだろう」となります。

一方、株式などの市場関係者からの感想は、「なんでそんなに現金が余っているんだろう」となります。

球団経営で生じる年間赤字の問題はさておき、IT各社の社長さんが「当社に現金はあります」と、そろって言っている姿には、かなりの違和感を覚えます。株式発行によって得た資金が有効に利用されていない結果としての現金を、唐突にプロ野球に投資するといわれても納得しがたい部分があるのです。
仮に、今彼らがプロ野球への参入を目的とした公募増資を計画したとして、増資に応じる人が果たしてどれだけいるのだろうか、ということを考えると、話はわかりやすくなるかもしれません。

今回のプロ野球参入問題が、ITバブル最後の打上花火とならないことを、心底願ってます。

(2004.10.19)


持株会社内の不祥事

親は、子供の管理教育の義務があり、その行動と結果に責任がある、として、では子供は親の行動とその結果に責任があるだろうか、はたまた兄弟姉妹の起こしたことで社会的責任を問われるのだろうか、と最近考えています。

実際の人間の場合の答えは、NOでしょう。
では法人格である場合は、これもおそらくNOです。

単なる資本的な繋がりしかない子会社が親会社や兄弟会社の企業行動を監視することは現実的には不可能ですし、もしそこまでのリスクを考慮しなければいけないのであれば、企業合併や買収という資本行動はかなり制約されるものになるでしょう。
但し、問題を起こした持株会社の経営に子会社の代表権者が参画していた場合の管理責任などは、無視できないのではないかとの考えもあります。
国内外で金融ビジネスが多角化していく中、持株会社内の不祥事を受託者責任の中で、どう位置づけていくか、少し議論が必要なのではないかと感じています。

(2004.10.17)


組織運用での人的変化

年金運用では、ファンドマネージャー個人の力量で運用されることより、組織運用されることを好む傾向があります。
これは、ファンドマネージャーの移籍などから、ファンドの収益を守るために有効であると考えられているからです。

しかし、多くの運用機関を見てきて、幾ら組織運用を標榜していたとしても、人的変動が運用に与える影響は決して少なくはないと感じています。。但し、その影響はスターマネージャータイプの運用に比べると、明らかに緩やかに進行します。
変化が緩慢であるということは、委託者が投資の継続を判断するための時間にも余裕があるということを意味します。

投資の意思決定に時間のかかる年金基金制度にとって、組織運用の最大のメリットは、人が替っても運用が変わらないことではなく、その変化に時間がかかるということなのではないかと思っています。

(2004.10.15)


資産運用業界と株式公開

投資顧問業や当社のようなコンサルタント業にとって、株式上場というのは諸刃の剣でもあります。

人件費比率が高く、償却資産や在庫などが発生しないビジネスにおいて、株式公開による資本(多くの場合過剰資本)に見合う配当を捻出することが難しいというのが一つの理由です。

さらに、株主の利益(企業業績)と委託者の利益との間にある相反関係もまた、重要な問題です。直接の上場企業ではなくとも、上場企業の連結対象である運用機関にみられるような、手数料重視の企業運営は、運用会社の企業理念にはそぐわないものを感じます。これはコンサルタント会社の経営でも同様でしょう。

利潤の追求をなくして企業が成り立たないのは当然のことですが、我々の業界が公開会社としての義務を果たせるほどの利潤追求が可能なビジネスモデルなのかどうかには少し疑問も感じます。

(2004.10.14)


金利の乱高下とヘッジファンド

今年度初めは、米国金利が急上昇したことで、米国金利で運用をしているオルタナティブ商品や、金利の方向性に賭けたマクロ系ヘッジファンドの収益が苦戦していました。
一転、今度はこのところの米国長期金利の低下によって、一部のヘッジファンドの損失が膨らんでいることを、懸念する声がウォールストリートジャーナルなどに掲載されるようになっています。
今年については、景気拡大の継続を予想する向きが多かった中、緩やかな金利上昇の継続、というシナリオはヘッジファンドに限らず資産運用業界全体のコンセンサスといってもよいものでした。ところが実際は、上昇はしたものの緩やかではなく、継続はせず反転、という運用者にとっては大変コントロールしずらい状況が続いています。

金利が上がって損をしたからといって、下がったから取り返せる、というものではないところが、オルタナティブ投資の怖い部分でもあるのです。

(2004.10.13)


自然体

" Shall We Dance?" という10年少し前の日本映画が、ハリウッドで、リチャードギア主演でリメークされたと聞いて、なんだかうれしくなりました。

日本版をごらんになった方はお判りのように、サムライでもキモノでもない、現代日本の普通のサラリーマンの普通の日常を描いた作品です。
日本だから、ではなく、日本文化だから、でもなく、生身の人間を描いたこうした作品が、素直に海外で受け入れられるようになったことに、一つの時代を感じます。

国際社会で生きるということは、自国の特殊性を強調することでも、他国に迎合することでもなく、ただ己の信じる生活を送り、そして他者に共感し、共感されることにすぎないと、つくづく感じた話題でした。

(2004.10.12)


顔写真…

何故ホームページに、コンサルタントの顔写真を載せないのか?とのご意見を時々いただきます。写真があったほうが、見る側は絶対安心するし、営業上有利ですよ、との貴重なアドバイスもいただきます。
でも、写真を見ただけで"恐い"と思われたら困るし、実際にあったら写真と違う、とか言われるのはもっと困るし…

だからアメリカにはプレゼンテーション専門のカメラマンがいるのだそうですが、左斜め1 5度で軽く腕を組んでいる写真がプレゼン資料にあってもなくても、私の評価はきっと変わらない、です。

というわけで、当社のHPには当分写真は載せません。ご興味のある方は、どうぞ実物を見にいらっしゃってくださいませ。

(2004.10.08)


新しいアセットクラスへの投資

日本の年金は欧米の年金に比べ、ヘッジファンドなど絶対収益型への投資比率は高いが、プライベートエクイティー、不動産、新興市場、などへの投資比率は低い、という話を聞きました。

言い換えると、運用手法としてのオルタナティブには積極的である一方、投資対象資産の拡大には慎重であるということです。

ただ、昨今のグローバルな流れの中では、日本のように絶対収益型の投資比率が高まる傾向が強くなっているのも事実のようです。
かたや日本では、ロング-ショートやファンドオブファンズなどへの投資が一巡し、投資対象資産の拡大を考える年金も少しずつ増えてきています。

日本ではオルタナティブという言葉で、ひとくくりにしてしまう傾向が強いですが、それぞれがポートフォリオに果たす役割は基本的に異なります。資産対象の拡大をする際には、対象市場の仕組みをよく理解するだけでなく、それが市場収益率の後追いになっていないかということも確認した上で、投資することが大切です。

(2004.10.07)


性悪説

最近、ゲートキーパー会社でデューディリを担当する方達とお話をする機会が続きました。
ヘッジファンドのパフォーマンスや運用プロセスではなく、どちらかというと信用調査に近い部分の専門家です。
はっきり言ってしまえば、ヘッジファンドからだされたプレゼンやデータに嘘がないかどうかを見極めるのが、彼らの主な仕事です。彼らの口から一様に出てくるのは「性悪説」という言葉です。

場合によってはファンドマネージャー個人のプライバシーにまで踏み込んでの裏づけ調査が必要であるとの彼らの主張は、その必要性を理解してはいても、正直やはり違和感があります。

日本でゲートキーパー業が成り立たないのは、対象先であるヘッジファンドの少なさだけではなく、完全な性悪説にたったビジネススタイルがどうも受け入れられにくい、という国民性にもあるのかもしれないと感じています。

(2004.10.06)


営業担当者以外のコミュニケーション

運用会社の経営者の方や、新商品を企画する方、そして実際に市場で運用するファンドマネージャーの方。こういったポジションにいる方たちが、実際の委託者であるスポンサー、特に事務局の声を聞く機会は以外と少ないようです。

もちろん、そのために営業部門や顧客担当窓口の部署があるわけで、顧客情報が届いていないと言っているわけではありません。

ただ、例えば新商品の企画においても、今の年金基金が何を何故望んでいるのか、事務局の金融知識や投資経験はその程度の水準なのか、を実感として理解していないのではないかと思えるケースは少なくありません。

具体的な採用のためのプレゼンとかではない場面で、営業以外の担当者が多少なりともコミュニケーションをとる工夫をしてみると、世の中がもう少し開けてくるのではないかと感じます。

(2004.10.05)


オルタナティブの組入比率

ポートフォリオの中でのオルタナティブ比率について、お問い合わせを受けることが多くなりました。
オルタナティブ運用の役割や、組入れる戦略によって異なりますので、一律的な答えは難しいと思います。
当社のように、オルタナティブ資産を独立した一資産として、標準偏差の安定化に利用しようと考える場合には、15%以上の組みいれをしないと組入れ効果が出てきません。

米国の金融機関であるバンクオブニューヨークの調査によると、ヘッジファンド投資で年金より先行している大学基金や財団法人などでは、おおよそ12%程度がヘッジファンド投資に振り向けられており、この比率は今後15%から20%程度に落ち着いていくだろうとしています。

ポートフォリオリスクの効率化には30%を超えるとその効果が低減していく傾向も強くなることを考え合わせると、20%前後というのが、一つのめどといえるのではないかと考えています。

(2004.10.04)


満員電車での人間観察

10月ですね。でも東京の予想最高気温は28度だそうです。どうなっていることやら…

暑いと、満員電車が不快です。
私の頭の上に新聞を載せて読まれるともっと不快です。
凶器になる可能性があるハードカバーを読んでいる人の、表題を見たら、医学書でした。

人事担当者の方、満員電車というのは、採用面接にはもってこいのシテュエーションかもしれません、ね。

(2004.10.01)

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