2004年12月の思いつき


来年もがんばります

今年の印象を言うとするなら、「変な年」。

企業業績は順調で、景気は上向き、不良債権処理にも一応のめどがたち、現象面だけでみれば経済的には悪くない1年だった、はずなのですが、よかった実感がほとんどない。
本当に株価は正直です。

国民無視・消費者無視・従業員無視・個人投資家無視・観客無視…

国の再生・企業の再生。その次が見えない。次は、あなたたちの生活が豊かになるますよ、というメッセージが伝わらない。

来年は、来年こそは、穏やかなよい年だったといえるような、1年になりたいと、心から願っています。

本年一年ありがとうございました。来年も社員一同がんばります!

(2004.12.28)



株式選択とファンド選択

今年の株式市場は、よくも悪くも個人投資家の存在感の増した一年であったといえるでしょう。
売買高はバブル期並の高水準となり、新規上場企業数も1999年のITバブル期に匹敵する数となっています。

一方で、投資信託の残高は、相変わらず高配当のグローバルソブリン系や元本確保型のような新商品に依存しており、純粋な株式投信の伸びは芳しくありません。

勧められるがままに買えば儲かったIPOや、噂先行の小型株での投資で良い思いをした投資家にとって、ポートフォリオ型の株式投信への投資妙味が、相対的に薄くなってしまった一年であったのかもしれません。

儲かりそうなファンドを探すより、儲かりそうな株を探したほうがよっぽど簡単だ、という個人の声を、運用会社はどう受け止め、次の経営に生かしていくのか。
今後5年10年の運用機関の経営戦略を考えるについても、大きな意味を持つ1年となったのかもしれません。

(2004.12.27)



クリスマスの色

昨日、銀座や六本木のクリスマスイルミネーションを見に出かけました。

話題の『青白いクリスマスツリー』は、きれいなのですが華やかさがなく、なんだか寂しいなぁ、という感想です。

青色LEDというハイテク光源は、熱量も少なく環境や木にやさしい、イルミネーションだそうなので、あまり文句はいえないのですが、「青と白」という色彩の持つ、良く言えば「Cool&Smart」、悪く言うと「醒めて覇気がない」という印象が、それを眺める若者達の現実に重ね合わされているような気がしてなりません。

なにはともあれ…
メリークリスマス!

(2004.12.24)



ユーロはどこまで行く?

ユーロが対ドルで市場高値を更新しています。
といっても、ユーロの歴史は1999年からしかないので、果たして本当にユーロが高すぎるのが否かは、よくわかりません。

ためしに、ユーロとドイツマルクとの交換比率で、現状のユーロの水準をマルクに直してみると、1.42マルクぐらいになります。
過去のマルクの高値が1995年の1.3690マルク、ユーロに換算すると1.428ユーロあたりになるので、ユーロはまだまだ上昇余地がある、ということもできるかもしれません。

もちろん、当時のドイツ単独での経済実態と現状のユーロ加盟国の経済実態との差を考慮する必要はありますが、少なくとも1999年以降の水準だけで、高値の議論はしないほうがよさそうです。

来年も、為替市場は、まだまだ波乱含み、ということでしょうか。

(2004.12.22)



金利の話

株式と異なり、金利商品はその種類も、性質も多様です。

また、年金の負債構造を考えるには、金利の期間構造という仕組みを理解する必要がありますし、資産配分を決めるビルディングブロックという考え方も、リスクフリーレートと呼んでいる将来の金利見通しが基礎となります。

運用商品としてだけでなく、年金資産の仕組みを理解する上でも大変重要な部分を占めている、「金利」というものが、実はスポンサーの方々には、十分理解されていません。

変動利付債や物価連動債、バンクローンや資産担保証券、こうした新しい金利商品が、年金資産にも提供されるようになっています。「難しくて判らないからやめておこう」といういうのも、「とりあえず債券だから安全そうだ」というのも、両方とも困ったことです。

来年1月21日の年金様向けセミナーでは、金利って何?から最近の金利関連商品の特性まで、できるだけ判りやすく整理整頓してみたいと思っています。ご期待ください。

(2004.12.21)



決算日の違い

海外の運用会社の採用が増えてくるに従って、3月という日本の決算期の不便さを感じるようになります。

幾ら長期運用とは言っても、運用会社の収益やファンドマネージャーの給与体系が、12月までの1年間で計測されるケースが多いので、12月を意識しないといったら、嘘になります。12月末の終値がいかに収支に影響を与えないようにするか、かなり慎重に対応しているのが現状です。

日本の決算に使われる3月末の時価は時の運、特に為替の終値は宝くじのようなもの、と言われるのも、3月末という日本だけの決算日が、世の中の市場参加者にとってほとんど意味を持たない日付であるからに他なりません。

これは資産を委託するサイドからみると、結構大きなハンディであるといえるのではないでしょうか。

(2004.12.20)



業界への怒り

伝統的資産運用以外の個別戦略については、よくわからないので、ファンドオブファンズにしておきましょう。
といった類の話を、スポンサーがするならまだしも、コンサルタントがしていては、みもふたもありません。

何も、海の向こうの見ず知らずのヘッジファンドの調査や評価が必要だといっているわけではなく、投資顧問や信託が行っている絶対収益型運用の評価ぐらいできなくて、どうやってファンドオブファンズの管理ができるのでしょうか。

とりあえず、ファンドオブファンズでも。と言っていた多くの業界関係者にとって、今年が大変厳しい年であったことは間違いありません。

(2004.12.17)



新しい資産クラスと絶対収益型投資

「代替投資(オルタナティブ)」という言葉が、珍しくなくなったところで、もう一度言葉の整理をしなければ、と思っています。

「代替」という漢字を使っていると、どうしても「何かの資産の代わり」という印象が強く、資産本来の目的やリスクをミスリードする危険が高まるので、「代替投資」という紛らわしい表現はもう止めませんか。
と、この場で提案してから、随分時間が経ってしまいました。

とりあえず、
⇒不動産・新興国市場・プライベートエクイティ・ハイイールド・バンクローンなど、「新しい資産クラスへの投資」。
⇒ロング-ショートやヘッジファンドなどの「絶対収益型投資」。
の区別をつけることから、はじめたいと思います。

(2004.12.16)



日本の年金基金は遅れてはいません

金融業界では、とかく後進国扱いをされてきた日本ですが、ここ2・3年少なくとも、企業年金の世界については、一気に欧米を追い越してしまった感があります。

低金利時代の到来が欧米より早く、また長く続いていることで、制度面や運用面での亀裂に気付くタイミングが早かったということなのかもしれません。

マイナスリターンへの恐怖や、年金負債のオンバランス化、金利低下による負債コストの増大や、期待利回りの適正化。今、欧米企業が立ち向かっている問題の多くは、この数年日本企業が既に経験したものです。また、積立金を持たない米国の公的年金の財政問題の緊迫化は、問題含みであろうと100年かかって取り崩すことのできるほどの積立金を持つ日本の公的年金とは対極にあるものです。

日本の年金の状況を、海外から視察に来る日も遠くない、と思っているのは私だけでしょうか?

(2004.12.15)



今年の1字

今年を表す1字は「災」だそうです。今年の運用業界を表す1字は「眺」でしょうか。市場の上下がなかったわけではなく、収益機会がなかったわけでもないのですが、結局なにもせずなにもできず終わってしまった1年だったような気がします。
低金利・景気拡大・石油・中国・政治に紛争、何が終わり何が続くのか。大きな汐の変わり目を感じつつ、方向性に確信が持てずに動けないでいます。
さて来年、また眺めて終わるのか、それとも「目」偏を「足」偏にかえて「跳」ねられるのか、今のところ可能性は半々というところでしょうか。

(2004.12.14)



黒い富士山

週末、富士山の西側から東に回りこむような航路で、飛行機に乗っていて…
「富士山が黒い!」というか、雪がない冬の富士山を思わず凝視してしまいました。
東側は多少白かったものの、西側は真っ黒、夏富士状態。

初めて、"温暖化"という言葉を、事実として視覚的に認識してしまったような衝撃を受けました。

省エネをしなければ、と生まれて初めて本当に真剣に思った、富士の異形・そして畏敬でした。

(2004.12.13)



モバイル時代の弊害?

携帯用ゲーム機の売り上げが好調のようです。「テレビゲーム」という言葉もいつのまにか「家庭用ゲーム機」に置き代わり、テレビがなくてもゲームはできる時代?になりました。
「したい時にいつでもどこでもできる」という行動様式がゲーム機だけでなく生活のあちらこちらに浸透し始めています。
電話やパソコンやテレビなど持運び自由な“モバイル”という形態が我々の可動域を劇的に拡大した一方で、行動と場所との関連づけがなくなったことが 人間の落ち着きを失わせているような気がしてなりません。
子供の学力低下の根本的原因はこのあたりにあるのではないかとも思うのです。

(2004.12.10)



漱石忌

飼い主出張のため本日休刊(タマ)

(2004.12.09)



会社カラー

会社カラーというものは、血液型占いのようなもので、あまり決め付けるのものどうかとは思うのですが、否定できないなぁと感じることが多いのも事実です。

経営者が替わっても、担当責任者が替わっても、表面的な経営方針が変わっても、その会社に脈々と流れる思想のようなものが自然と受け継がれていっているのででょうか。

自覚しているよい企業風土は、意識的に継続しようとするので、受け取る側は特に気に留めないのですが、無意識の悪い企業風土は、自覚なく放出・発散されるので、思いのほかのインパクトを対外的に与えることがありそうです。

組織とは本当に難しく、そして面白いものだと思います。

(2004.12.08)



揺り戻し

週末、米国のカルパースの理事長が更迭されたことが、大きなニュースとなっていました。

議決権行使などを通してのやや強硬な株主活動が、企業経営者から反発を買ったと、通信社は書いています。
一方で、カルパースの最近の活動に政治色が強くなっていた、と指摘するコメントも少なからずあるのに、驚きました。
もちろん、本当のところはわかりません。

ただ、正当な株主利益を生み出さない経営者は、投資家によって糾弾され、企業活動を阻害しかねない投資家は経営者によって糾弾される。
多少乱暴な感じもしますが、振りすぎた振り子は元に戻すという、非常に米国らしい更迭劇だったのかもしれません。

(2004.12.07)



NHKの不払いに思うこと

基本的に、悪いことをするのに屁理屈はいらない、と思っています。
騙す、盗む、ごまかす、どんな理由があれ、その行為は正当化されません。
一歩譲って、何らかの理由で正当性があるものであったとしても、それは他人や社会が判断することで、自分で宣言するようなものではないと思っています。

NHKが気に入らないから受信料をを払わない。年金制度が気に入らないから掛け金を払わない。道路公団が気に入らないから高速料金を払わない。医師会が気に入らないから保険料を払わない。
注文した料理がまずかったからといって、黙ってお金を払わず出てくる無銭飲食と、どこが違うのか、私にはさっぱりわかりません。
私だって聖人君子ではあるまいし、日々なにかをごまかし、ちょっとずるをして生きています。あたりまえです。でもその度にチクッとした痛みは感じてです。

(2004.12.06)



外株が勝てない

外国株式のアクティブ運用がベンチマークに勝てない状況が長く続いています。当社のユニバースでみてベンチマーク収益率が上位10%タイルに入ってしまう、という危機的な状況です。

長いタイムスパンで見てみても、外国株式のアクティブフファンドの内、ベンチマークを上回るファンド数は全体の5割を恒常的に切っています。

だからアクティブ運用というのは市場に勝てない、という結論で納得してしまうのは、短絡的だし無責任だと考えます。
国内株式では平均で6割以上のファンドがベンチマークを上回っていること、外国株式でもクオンツ系の運用は安定して勝率が良いこと、ヘッジファンドインデックスでみた株式マーケットニュートラルのリターンも減速気味とはいえ安定してプラスであること、など、超過収益の可能性を示唆するものがあるからです。

外国株式のインデックス運用が、なぜ市場に勝つことができないのか、私たちも運用機関も、真剣に考えなければいけない時期にきています。

(2004.12.03)



郷愁?

今年の米国のクリスマス商戦のテーマの一つは、「レトロ」だそうです。
20年前に流行ったぬいぐるみとか、昔のテレビキャラクターの名前を付けたゲームなどの売れ行きが好調だとウォールストリートジャーナルなどが報じています。

一方、日本の"韓流"現象もその背景には"古きよき日本への郷愁"があるのではないかと、当の韓国メディアが分析しています。

米国で周期的にやってくる「黄金の'60年代」ブームのような、あの興奮をもう一度、という類の回顧ではなく、今回のレトロは、もう少し"まったり"とした、IT革命以前のアナログな時代へ癒しを求めた回顧のような印象を受けます。

日本もアメリカも、みんな少し疲れているのかもしれませんね。

(2004.12.02)



企業の景気・個人の景気

今回の日本の景気上昇は、企業による企業のための景気回復だったように感じます。

企業の経営努力と国を挙げてのバランスシート改善によって、痛んでいた法人部門が、財務・実務ともに確実に好転したことは、明らかです。

それでも株価が上がらないのは、企業回復にかかったコストが国や個人につけとして回されているからかもしれません。

企業経営者が感じているほどの達成感や景況感と、個々人の生活満足度との間の乖離は、まだかなり大きいと見るべきでしょう。

法人統計だけを見て、対個人や零細企業への政策転換を行うと、大きな禍根を残すことになるような気がしています。

(2004.12.01)


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