2005年02月の思いつき


踊り場

金融業界の友人達と話していて、「踊り場」という言葉の使い方が話題になりました。

「踊り場」というのは、1階から2階のように階が変わる途中に挟まる平坦な場所を指すものです。

「景気が踊り場にある」、という表現をした時は、『景気の上昇局面が続いている』、ということを前提として、『ちょっと小休止している』、ということを言っているのが本来の使い方であるはずです。
しかしながら最近の政府や日銀での使い方を見ていると、『景気の上昇は一旦止まり、今後どちらに行くかよくわからない』という使い方をしているケースが多く、これは単に現況判断から逃げているだけではないか、というのが友人達の指摘です。

判断の放棄や、方向性の明言を避けるために、それらしいきれいな言葉を使うのはずるい、という彼らの主張が、少し耳に痛く感じた週末でした。

(2005.02.28)



金融史の本

"イギリスのポンドは「純銀の重さ」という意味で、米国のドルの語源は「ターラー」という銀貨の名前で且つ「ターラー」は「谷」という意味で銀が谷から採れたことに由来する。"
" へー・へー・へー”

というわけで、本の紹介です。

『金融史がわかれば世界がわかる』倉都康行/ちくま書房

大変わかりやすくて面白い、お金と金融に関する歴史の本です。

基軸通貨とは何か?世界的な金融資本はどのようにして築かれたのか?金融技術の発展と実物経済とはどのように影響を与え合ってきたのか?

米国が金融大国になった理由やドルが基軸通貨となった経緯を知ることで、今起きていることの本質に少し近づくことができるのではないでしょうか。

(2005.02.25)



金融取引と司法判断

三井住友と三菱の両グループによる係争や、今回おそらく発行停止の仮処分申請から始まりそうなニッポン放送株を巡る係争など、金融取引で司法判断が求められるケースが増えてきています。特に今回の放送のケースでは、『企業価値』や『ステイクホルダーの利益』という、これまでの日本の商慣習において比較的新しい概念を司法がどう定義するのか、と言う点において大変興味深いものになりそうです。
複雑化する金融取引にいかに対応していくかは、企業経営者、監督行政、だけでなく、司法にとっても今後の大きな課題であるといえるのでしょう。

それにしても、プロ野球の時も今回も、問題提議の材料だけを提供して後は蚊帳の外になってしまいそうな社長さんが、なんだか少し可哀相になってきました。

(2005.02.24)



女らしら男らしさ?

男性の方から、女性の所作が男性より乱暴になっている、とお叱りを受けることが、最近度々あります。

食堂でお箸がきちんと持てない、椅子の座り方が汚い、物を投げる、人を睨む、言葉遣いがおかしい、エトセトラエトセトラ…

「何故こんな女性ができてしまったのか?」と嘆かれても、「だってそのようにお育てになったのは皆さんですし」という返答は、別に開き直っている訳ではなく。
逆に「何故最近の男性はこんなに大人しいのですか?」という質問に「育て方を間違えたのかなぁ?」と答えられても、返答のしようがない、です。

「男らしさ・女らしさ」などという言葉はセクハラであり死語である、という建前とは別に、「男らしさ・女らしら」の消滅がもたらした「異性への憧憬の欠如」こそが間違いなく今の少子化を招いたのだと確信している私としては、この様な育て方をしてまった皆々さまにふかーく反省していただきたい、と思っているのでした。

(2005.02.23)



100年生き残るということ

私が今話題の?リーマンブラザーズという会社にいた1990年台前半、リーマンのみならず米国の投資銀行は瀕死の状態でした。
元々銀行と違い、預金のような安定した資金調達源をもたないため、財務構造が自転車操業にならざるを得ず、日本の金融機関から資本提供を受けるケースも少なくなかったのです。

あれからたった10年で米国の投資銀行が成し遂げた復活劇は、賞賛に値します。
その間イギリスの伝統的な証券会社は全て大手金融グループに吸収され、日本の証券会社は未だ国際市場での存在基盤を築けずにいるなか、金融コングロマリットに飲み込まれることなく金融市場で存在感を示せている米系投資銀行の経営力には、学ぶべき点が多くありそうです。

やり方がきれいか汚いか、好きか嫌いか、は取り合えず置いておいて、100年生き残ってきた彼らの企業生命力の源がどこにあるのか、冷静に分析する必要があるのではないでしょうか。

(2005.02.22)



これから息吹くバブルの芽

今、様々な市場でバブルの懸念が指摘されています。
バブルという言葉を
『過剰な投資資金が市場に流入し、本来的な市場価値を遥かに上回るところまで市場価格がつり上がっている状態』
と定義するのであれば、既にバブルになっている市場は、まだそれほど多くはないのではないかを感じています。

日本株・小型株・低格付け株・新興市場・事業債・REIT・商品市況と、その前の数年全く見向きもされず放置された市場が過剰流動性の恩恵を受けて、適正価値に戻っただけだと、見ることもできるからです。

さて、世界中の市場をほぼ一巡した感のある投資資金によって、適正価値へ回帰するまでの変化率から得られる果実はほぼ採りつくされたと思われます。
現在、刈り取りが終わって小康状態となっているマネーが次に動き出した時、それこそ本当のバブルへの第一歩になるのではないでしょうか。

(2005.02.21)



ミイラ取りがミイラになる

小型株の運用者のセールストークに、投資先の社長とのミィーティング回数、というのがあります。
ベンチャー投資や上場間もない企業の業績には、経営者個人の資質が大きく影響すると考えられているからです。

一方で、未公開企業の発掘をするベンチャーキャピタリストと話すと、ベンチャー企業の創業社長の話ほど信用できないものはない、との声も聞こえてきます。起業家の多くが持つ"自信家でかつ投資家をひきつける魅力"という特性には十分注意してはいてもやはり騙されるものだからそうです。

人と人とは、直接会ったからこそ理解できることもあります。一方、直接会ってしまったからこそ見えなくなることもあります。
これは我々がファンド評価をする時も、ゲートキーパーがヘッジファンドを選ぶ時も、そして投資先企業を選択する時も、同じだと思います。

ミイラ取りがミイラにならない工夫が、小型株投資には特に求められているのではないかと感じています。

(2005.02.18)



大合併時代

海外の株式動向を見ていると、合併・買収に関わる記事の多さに驚きます。また、今年度のヘッジファンド戦略において、合併・買収に関わる裁定取引への期待値が高いことにも、こうした傾向が現れています。
こうした現象がおきているのは、企業内の現金比率が高まり買収資金が潤沢であるという点、2002年の企業会計不信から2年が経ち買収される側のバランスシートが健全化されてきた点、など幾つかの要因が考えられます。
2年前には決算の公開情報の信頼性が崩れ、合併案件が成り立たなかったことから考えれば、ようやく正常な資本活動が戻ってきた証であるともいえるでしょう。

日本では、まだ合併・買収という言葉に、ネガティブな印象が付きまとっていますが、合併や買収という企業行動は資本市場の健全性を計る一つの物差しでもあることもまた事実なのです。

(2005.02.17)



ポートフォリオの中の役割

絶対収益型の戦略への投資で、解約を検討する時の一つの判断材料に、リスク特性が事前の予想と乖離し始めていること、が挙げられます。

収益率が期待値通りに上がらなかったかどうか、ということについて、単年度で評価するすることは原則としてしません。
むしろ、標準偏差や他資産との相関が、事前の想定と異なったパターンを出しているファンドについては、利回り如何を問わず
継続の有無を検討します。

債券や株式と同様に、絶対収益型資産にもポートフォリオ全体における役割というものがあります。役割を事前に明確にしておけば、ファンド管理もしやすくなりますし、単年度のパフォーマンスに一喜一憂する必要もなくなるのです。

(2005.02.16)



超長期の金利が4%を割る現実

今、金融市場で最もホットな話題は、世界的な超長期金利の低下です。
きっかけの一つとなったのは、欧州の企業年金や米国の公的年金での制度改正で、年金積立金がよりデュレーションマッチング的に管理され、20年超の債券への投資比率が高まるのではないか、という観測。
もう一つが、先進国の人口動態変化から長期の期待インフレ率を切り下げるべきではないか、という議論の本格化。

どちらも、長いデフレ超低金利トンネルの中にいる日本市場では一回終わっている議論で、あまり目新しさは感じないのですが、金融資産の期待収益率が5%以下という概念がおそらく未だにない、欧米の金融市場にとって、30年間の金利が3%や4%台という現実はかなり衝撃的な水準です。

若干投機的な色彩は強いものの、黙っていても5%は回るという時代はもう当分来ないことを、債券市場は語っているのかもしれません。

(2005.02.15)



小休止

風邪だか花粉症だかよくわからない超絶不調の1週間をようやく超え、人並みな生活が戻ってきた月曜日…です。
おもいつきを書こうにも、先週の記憶は、正直ほとんどありません。頭空っぽ、ごめんなさい。

ちょっと出かけたデパートで、1つぶ200円もするような生チョコのよく売れていること。
シルバーグレーのご夫婦が、仲良くトリュフを選ぶ姿にほのぼのとして。

ハッピーバレンタイン!

(2005.02.14)



資産運用ビジネスの過去と将来

1990年初頭まで、投資顧問業界というのは、ほとんどグループ内の証券会社と一心同体でした。その後投資顧問業界のグローバルスタンダード化が進み、また証券会社と投資顧問との癒着が損失補てん事件の温床になったことの反省から、証券系投資顧問業界は急速に系列証券と距離をとるようになっていきます。

一方で、銀行系や生保系といった比較的新興の投資顧問会社には、こうした親離れ思想が証券系ほど明確には育っていません。むしろ"グループ内の資産運用会社"という位置づけを利用したビジネスモデルを維持しようとしています。

グループ内企業として発展し、だからこそ行き詰まり、親離れを目指したかつての証券系投資顧問の歴史が、金融コングロマリット化に取り込まれる資産運用会社で、また繰り返されるのをみるのは、あまり気が進みません。

(2005.02.10)



J-REITのなぞ

ファンド形式の不動産投資が急増している中、不動産ファンドへの投資の是非を考える我々のような立場の者だけではなく、不動産関連株式に投資をしている、国内株式のファンドマネージャーにとっても、不動産投資会社への評価というものが難しい局面を迎えています。

最大の問題は、以前から指摘されているように、ファンドの出口戦略にあります。多くの不動産投資会社が自社開発のJ-REITを出口戦略の一つとして位置づけていることは、勘定間の利益相反に厳しい金融業界の常識では、まったく考えられないことなのです。
1円でも高く物件を転売する義務がある不動産ファンドと、1円でも安く物件を取得する義務があるREITマネージメントの双方を同一の会社が行うことは不可能です。
今何故か認められているこうした仕組みが、今後も不動産業界では認められ続けるのか、疑問に感じているのは私だけではありません。
市場規模が膨らみすぎない内に、早めの軌道修正を不動産業界で行って欲しいと強く思っています。

(2005.02.09)



む・か・つ・く

ロシア大使館から1㌔という立地条件により、当社は年に数回街宣車の大音響にさらされます。一日中です。

実はこの1㌔という距離が曲者なのです。
朝から待機している大量の機動隊は、ロシア大使館の周囲を完全包囲します。
だから、街宣車のお兄さん達は、その外側、つまり当社の真前、とかで足止めをされ、ターゲットまで遠い分さらにボリュームを上げて、叫びまくる、という構造が出来上がるわけです。

大使館の窓はきっと防弾ガラスで厚くて防音されていて、敷地も広くて、ちょっとやそっとの音は苦にならないに違いない。
なのに何故、我々のように道路に面して、窓も薄くて、防音機能もないふつーうのビルの前に機動隊のバリケードはあるわけ?

重要施設に近づかなければ大目に見る、みたいな態度、やめてもらえないだろうか。あぁ、む・か・つ・く。

(2005.02.08)



グローバルマクロがロングショートを駆逐する?

この数年、株式のアクティブマネージャーが超過収益をとりにくくなっていたり、市場中立型のロングショート運用のリターンが冴えない原因は、グローバルマクロと呼ばれるヘッジファンド戦略が強く影響を与えているように感じています。

統計的にみても、ETFなどの株式インデックス投資とその売買高が急増しており、その多くはヘッジファンドによるものです。
ヘッジファンドとインデックス運用、というのはどこかミスマッチな印象を受けるかもしれませんが、「米国株式市場」買いの「日本株式市場」売り、といったようなマクロ戦略では、指数先物やETFなどのインデックス売買が活用されます。
こうした投資では、個別企業の業績ではなく、市場全体の方向性がターゲットとなるので、大型優良株とか配当性向といったファクターを無視した、”投網”のような買い方・売り方をするので、個別銘柄の値動きを皆一律化させてしまう傾向があるのです。
LTCMの破綻以来、しばらく鳴りを潜めていたグローバルマクロが再び、市場の台風の目になりつつあります。

(2005.02.07)



偽札

10年以上前、「偽造紙幣(通貨?)」という海外小説があったのですが、残念ながら廃版になってしまっているようで、今検索しても見つかりません。

手に入らない小説なので、ネタばれをしてしまいますが、偽札やアングラマネーという貨幣経済の抱える問題解消の唯一の手段として、世界的に電子マネー化を進め、"紙幣"とか"コイン"とかをなくしてしまおう、という少々乱暴ではあるのですが、大変説得力のある結論でした。

国の発行する国債や企業の発行する株券の世界では、管理コストの低減や偽造防止の観点から、急激に電子化(ペーパーレス化)が進んでいます。
貨幣価値の将来的な維持を考えたとき、手に取れるお札というものは、本当になくなってしまう日がくるのかもしれません。

追伸:半日たって、突然本の名前を思い出しました!
「法定貨幣」リチャード シュミッテン著 角川文庫
廃版ではなさそうです。ネタばれしてごめんなさい。でも一読の価値はありますよ…

(2005.02.04)



雪男?

当社の社長が北海道に行くと歴史的な大雪で、北陸に行くとやっぱり雪で、今回九州に行ったら、やっぱりそこも雪でした。

今年は雪が多いからなのか、本人の行いが悪いのか。

出張先でうちの社長と出会ったら、帰りの電車に気をつけた方がいいかもしれません。

(2005.02.03)



運用機関を訪ねてみませんか?

資産運用、といった作業は面白いか、と聞かれればほとんどのファンドマネージャーやアナリストは面白い、と答えるでしょう。もちろん楽しいか、と聞かれれば苦しい、という答えもあるでしょうが、少なくとも知的好奇心を満たすという意味で、株式や債券投資という作業は、それなりに面白い世界だと思います。

この現場の"面白い"という感覚が、なかなかお金を預けているスポンサーのところまで伝わってこないのは、大変残念なことです。これは伝える側の責任であるのですが、一方でスポンサーサイドの意識の問題でもあります。

たとえば、実際に運用会社を訪ねて、ファンドマネージャー自身の話を聞いてみるだけでも、運用というものに対する親近感がずいぶん違ってきますし、紙の上の数字から、実際の運用をイメージすることが出来るようになります。
文字で書くとカタカナばかりで難しく見えることも、実際は非常に単純で泥臭いものだったりするものです。
運用報告を聞きに運用機関に押しかける、というのもたまには悪くないかもしれませんよ。

(2005.02.02)



ファンドの責任

昨年金融市場で起きたワーストディール(最悪な取引)のTOP3に間違いなく入る三菱村の自動車救済劇。
これほど市場関係者に評判の悪かった金融取引はなかなかお目にかかれないものです。
当初、正常な金融取引として採算性もあり株主責任もまっとうできると胸を張っていた企業さん達も、だんだん声のトーンが落ちてきてしまいました。

中立を主張していたファンド会社もここにきて、逃げ道を探し始めているようですが、このファンド会社がこの取引に足を踏み入れてしまったことで落ちた名声は、株価が倍になったとしても取り返せるものではないでしょう。

ファンド会社というものは、結果が全てあるという一方、投資家の信頼は結果だけでは勝ち取れないことを身にしみて自覚するべきです。

(2005.02.01)


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