2005年10月の思いつき


ヘッジファンドの減収減益?

この2年ほど、絶対収益型の運用が冴えません。月次の収益率をグラフにして並べてみると、多くのファンドでプラスの頭が下がってきていることに気がつきます。この傾向は、戦略を問わず共通です。
勝率や負け幅が悪化しているのではなく、勝幅が低下しているのです。勝幅が縮小していることで、これまではコストとして割り切られてきた、ファンドの弱い側面が、ファンド収益全体に深刻な影響を与えるようになっています。それは借株料であったり、売買コストであったり、売り銘柄を探すアナリストのスキルであったり様々です。ファンドオブファンズであれば、イベントヘッジと呼ぶ、市場が大きくクラッシュした際に儲かるヘッジ戦略の保有もその一つと言えます。
もちろん、プラスの幅が従来の水準に回復すれば問題は解決するのですが、ヘッジファンド業界全体のαが縮小していく中で、そろそろ現実的な対応を考えなければいけないのではないかと感じています。
収益が上がらなければ、コストカットなり損失抑制なり、なんらかのリストラ策を打たなければ株主にソッポを向かれるのは、企業もファンドも同じです。いつまでも環境の回復を待つだけでは、投資家は納得しません。

(2005.10.31)



株式市場は性善説

昔から、株式担当者は楽観的で債券担当者は悲観的だと言われてきました。
株は景気が好くなると上がる商品で、債券は景気が悪くなると上がる商品だからかもしれません。
一つの企業を見る切り口にしても、株式アナリストは業績や資産価値の伸びを見る加点法であるのに対し、債券アナリストは倒産という最悪のシナリオの可能性を探る減点法です。

債券売買をしていた頃は、景気が悪くなると活況になったり、信用不安がビジネスチャンスに繋がるような仕事に、若干の後ろめたさを感じていましたが、一方で好材料ばかりを追っかけている株式市場の人達の順張り楽観主義にはついていけないと、よく思ったものです。

そんな昔の性でしょうか。今でも株式の企業評価を聞いていると、本当に株の人達って、なんて楽観的で性善説なんだろう、と妙に感心してしまう今日この頃です。

(2005.10.28)



なんだか少し無力感

昨日自分で書いた「思いつき」を読み返していて、毎回毎回四半期報告の度に、同じような愚痴を書いていることに、落ち込みました。

パフォーマンスが好いか悪いかに関わらず、四半期報告に同席した当社のコンサルタントは日を追うに従い、機嫌と体調が悪くなっていきます。毎期定例のことなので、もう慣れてはいますが、むなしいものです。

何も難しいことを言っているのではなくて、スポンサーの立場に立った、スポンサーにとって有益な報告をして欲しいとお願いしているだけなのですが、これがなかなか理解してもらえません。
同じ会社に対して何度同じお願いをしても、何故理解してもらえないのかが、全く理解できません。

今日は東京は雨です。私の頭の中も小雨模様です。

(2005.10.27)



野球の実況じゃあるまいし…

運用報告会で、
国内株を多く持っていたので高いリターンとなりました。電機の銘柄選択がよかったので超過収益が上がりました。デゥレーションロングがマイナスでした。
といった具合に、投資行動と結果だけを延々と羅列するだけの方に、時々お目にかかります。聞いている方もつまらないけど、話している方もつまらないだろうなぁ、と思いながら聞いています。たまに顧客と直接話せる機会なのだから、もっと有意義な時間を過ごせばいいのに、と思うのは大きなお世話でしょうか。
解説者のいない実況中継って間が抜けていますよね。

(2005.10.26)



世代間扶養と所得間扶養

社会保険費用目的の消費税という議論は、細川政権の時代から出たり入ったりしていた議論のような気がします。ただ細川政権の時はその見返りとして所得税の累進税率の低減がセットになっており、高所得者層の可処分所得を増やして景気を刺激させるという目的もあったと記憶しています。

今回の消費税議論はどちらかというとその逆で、これまでは世代間で扶養していた社会保険費用を、同世代を含めて所得間で負担しようという流れに見えます。
この場合の所得間というのは、高額所得者とその他大勢ではなく、その他大勢と低額所得者という構造に近いのかもしれません。

社会保険費用というのは、結局『誰かのお金で誰かを助ける』という構造に他なりません。民間の生命保険も含めて所詮は互助会の延長線にあるものです。
世代間扶養と所得間扶養、どちらが日本人にとって受け入れられやすいのか、どのようなバランスが適切なのか。消費税の目的税化は年金を含めた社会保険制度の根幹をなす議論の入口になるかもしれません。

(2005.10.25)



温度差

仕事周りの人間関係の中で、小泉総理が好きな人と出会うことはあまりありません。
今の日本の社会がよい方向に向かっているという意見にも、あまり出会いません。
それでも、自民を勝たせすぎた反動が出ることもなく、参議院の補選も、知事選も、自民候補が圧勝しました。

株式市場や債券市場という、多数決社会で生きてきたという自負があるにも関わらず、国民の選好度合いと自分の感覚のズレがここまで広がってきていることに、正直戸惑いを感じます。

大きなうねりに私が乗り遅れているのか、うねりに乗った人々が方向を見失っているのか。
後者だとは思いつつも、自分の体温がどうやら他人より低いらしいといういう自覚だけは、もっておいたほうがよさそうです。

(2005.10.24)



議員年金と社会保険労務士

過去に何度か書いていますが、議員年金を巡る世の中の大きな誤解は結局最後まで修正はされないのでしょうか?

議員年金は正式名称を「国会議員互助年金」と言います。名前だけでわかるように、公的に制度の確立している国民年金や厚生年金などとは、全く性質の異なる私的年金に属するものです。ただ雇用主が国であるため、企業負担部分に税金が充当されます。
国民がこの制度を納得するかどうかは、年間数千万の給与にプラスして退職金代わりの年金まで支払う価値が国会議員にあるかどうか、またその金額が妥当かどうか、であって、国民年金や厚生年金に比べて有利かどうかが問題なのではありません。

センセーショナルなマスコミはあきらめるにしても、インターネット上で「社会保険労務士」という資格を持った人々が、国民年金との横比較で議員年金の有利さをもっともらしく説明しているのを見ると、非常に腹立たしく感じます。
そういった横比較をすること事態が、「議員年金に入っていたので国民年金の加入を忘れました」と言った国会議員と同じ議論をしているということに、なぜ気づかないのでしょう?
そんな基礎的なこともわからない「社会保険労務士」などという人々が、中小企業の年金制度に発言力を持ち始めていることにも疑問を感じます。

(2005.10.21)



取引業者の破綻

レフコ、という会社は一般には聞きなれない名前ですが、為替や先物取引では世界有数のブローカーです。
日本で先物取引が始まった当初は、多くの金融機関がレフコへ先物業の研修生を派遣していました。
その、レフコがIPOに関わる不正経理発覚からわずか1週間で破綻したことに、金融界は衝撃を受けています。

米国では刑事事件に発展した金融機関は生き残れないという、暗黙の了解が例外なく実行されたということもさることながら、ある種の取引所機能をもっている取次ぎ業者の破綻、ということが現実化したことに、恐怖を感じます。

今のところ、商品先物部門以外の関連会社の経営は継続されていること、次のオーナーの選定が速やかに進んでいることなどから、金融システムに影響を与えるような事態には陥っていません。

業務内容は同じではないにせよ、証券取引所が一企業として上場することの危険を改めて考えさせられた事件でもあります。

(2005.10.20)



アナリストの視点

10年も前、今話題の放送会社で財務を担当していらっしゃる方から、自社の株が何故こんなに安いのか理解できない、と相談されたことがありました。
その時の会話には、土地の含み益のこと、子会社株のこと、映像のコンテンツ価値のこと、全てが含まれていました。
少し調べればわかるような財産価値なのに、株式のアナリストは広告収入の伸びばかりを気にして、誰も注目しないし聞きにもこない、と言われたことが今になってまざまざと蘇ってきます。
その方はすでにお亡くなりになってしまったので、今の騒動をどう思われるのかお聞きすることができないのが、とても残念です。
株式アナリストというのは何を見ているのか?という彼の問いかけに応えたのは、結局アナリストではなく、実力行為に出たファンドだったということに、少しむなしさを感じます。

(2005.10.19)



善良なる管理者として

年金スポンサーの善管注意義務というのは、運用の結果においてではなく、運用のプロセスにおいて発生するものであるということを、市場環境がよくなってくると、どうしても忘れてしまいがちになります。

「善良なる管理者」として「説明責任が果たせる」ということが、年金事務局が法的に負っている責務です。
資産配分の変更は、変更すべき一定の理屈があるからで、株が目先強そうだからではありません。
あるファンドを採用するのは、そのプロセスや運用哲学を信頼するからで、昨年大勝ちしたからではありません。

当たり前だと言われるかもしれません。でも最近少し首を捻りたくなることが増えているのは確かです。
「結果責任ではない」というフレーズは、マイナスパフォーマンスの時にだけ使うものではありません。

(2005.10.18)



国にやってもらうという特権

今日の日経に「人口減と生きる」という特集がありました。多彩な意見の中で、聖路加の日野原先生の「国にやってもらうのが特権、という考えを捨てる。」との言葉に目がとまりました。

国の社会保障制度は、なんらかの理由で働くことができなくなった人々のためのセイフティネットであるべきです。
労働の対価を貰える内は、労働をして自ら蓄え、税金を収めて国に蓄え、残念なことに労働できなくなったら、蓄えを引き出すというのが基本的な仕組みだと考えます。

国にやってもらうことは特権ではなく、残念なことなのです。但し残念ではあるものの、申し訳ないことではありません。

自己責任という名のもと、セイフティネット自体を薄くしようとする風潮は絶対に反対です。
一方で、セイフティネットが必要ないのに、慰労金のように国からお金を貰おうとする風潮も反省すべき時が来ているのではないでしょうか。

(2005.10.17)



官製REIT

この数年、日本のREITのことを、「官製REIT」と揶揄したくなることが多々ありました。
不動産市場の活性化が、日本の不良債権処理にとって最重要課題であった状況において、起爆剤として不動産ファンドやREITという仕組みが、大変有効であったことは間違いありません。
全世界的に注目が集まりつつあった、不動産ファンドとREITという仕組みを使って、永久凍土に埋没していたかの様な日本の不動産の解凍に成功した、業界や行政の手腕は、大変に見事であったと言えるのでしょう。
ただ、その過程において、そして結果において、本来行うべき規制やルール作りが、後回しにされてきたことは否めません。
米国のREITの専門家から新聞紙上で、「日本のREIT市場にはファンドとの利益相反が発生している」と指摘されてしまうような現状は、やはり早急に修正すべきです。

市場に勢いがあるうちに、出せる膿は出しておくのが、今後の市場拡大にとっても大切なことだと思います。

(2005.10.14)



基本に戻って

国内株式が四半期で20%も上昇するような展開を受け、資産配分の違いによるスポンサー間の収益率格差が大きく出た7-9月期となりました。
株式比率が少なかったスポンサーの皆さんは、どうしても他の基金と比較をしてしまうこととご推察いたします。
ただ、ここは基本に戻ってみたいと思っています。
何故、株式比率が少なかったのか?何故、絶対収益型ファンドを組み入れていたのか?
これらはひとえに、年金資産の収益の安定化を目指して構築したポートフォリオだったからに他なりません。
大儲けははいらないが、大損はしない。如何に上下の振れを抑えながら、目標収益を獲得するか、が今後の年金制度の継続において、最重要課題であったからこそ、今のポートフォリオがあるのです。

良いポートフォリオか悪いポートフォリオかというのは、他人との比較ではなく、当初の目的を達成しているかどうかで判断すべきです。
これは、自身の資産配分でも、委託先のファンド評価でも、同じことだと思います。
当たり前のようでとても難しいことではありますが…

(2005.10.13)



ゲームの理論と運用報酬

ゲームの理論がノーベル賞を受賞したと聞き、冷戦の遺物だとの認識を反省しています。

報酬体系で整理。
ヘッジファンドの志向
固定報酬⇒複数年度・安定収益へのバイアス。規模拡大選好。
成功報酬⇒単年度・高収益へのバイアス。規模拡大選好せず。

スポンサーの志向
複数年度・(中)高収益・規模拡大選好せず。

というマトリックスで考えると、ヘッジファンドの報酬体系が固定・成功の複合型で、若干成功報酬に比重がかかり易い、という現状整理が成り立つでしょうか?

(2005.10.12)



国勢調査と社会の歪み

5年に1度の国勢調査の回収が苦戦している、との報道が目につきます。

国勢調査の項目の必然性とか、訪問回収という手法とか、の議論は今後も継続的に行われるべきだとは思うのですが、それを一律に「時代に合わない」と括ってしまうことに、抵抗を感じます。

5年前・10年前には成り立っていた訪問調査が、問題を抱えるようになったのは、社会がそれだけ変質してきているということです。前回調査段階での回収率は全国レベルで98%台、最も問題の多いと言われる東京都レベルで94%だそうです。この非常に高い数字を支えてきたのは、国と国民、地域社会間、人と人、との信頼関係です。
今回もし、この数字が大きく下がることがあるのなら、日本という社会の基本的な信頼関係が明らかに崩れてきていることの証左になります。
時代に合わないからやり方をかえる、のではなく、合わなくなってしまった時代を反省する、という視点も大切なのではないかと思うのです。国勢調査の回収率は社会の歪みを図る一つの尺度なのかもしれません。

(2005.10.11)



省エネと労働環境

10月1日から、ウォームビズキャンペーンが始まったらしいです。
暖房の設定温度20度だそうです。20度!!

部屋が均等に20度になるなら良いですが、冷たい空気は下に流れる、の法則から考えても、手元・足元は、絶対に寒い。
クールビズの時、パソコンの近くの温度が上がり大変だったことの逆で、今度はパソコンを床暖房代わりに使うことになりそうです。
クールビズは暑がりの男性が我慢したのだから、今度は女性が我慢する番だとの声が聞こえてきそうですが、暑くても病気にならないけど、寒いと病気になるのです。

指先が切れた軍手みたいなモノをはめて、ひざ掛け毛布を抱え、毛糸の靴下を履き、来客が着たらあわてて脱ぐ。なんだかすごく面倒で効率悪そう。

省エネは大事です。わかってはいますが、職場の労働環境を維持することも、やっぱり大事なのではないかと思っています。

(2005.10.07)



日銀でデイトレ?

今日の株式市況に、「日銀3連騰後反落」「含み益期待の短期売買の手仕舞い」云々… との記事が。

日銀って、あの日本銀行のことです。
上場していたのは知っていましたが、ジャスダックで短期売買の対象になっていたとは、驚きました。

上場企業の中で、おそらく最もIRに力を入れていない、かつディスクローズがない、株式のはずなのですが、それでも「保有株式の含み益期待」とかいう、それらしい理由をつけて売買されるものなのですね。

米国の変調に引っ張られ、日本の株式市場も少し冷えてきています。
日銀まで行ってしまった短期売買投資家も、少し頭を冷やしましょうか。

(2005.10.06)



ファニメイの闇

米国の住宅金融会社であるファニメイが再び大きな会計疑惑を引き起こしているようです。
ウォールストリートジャーナルによれば、今回はこれまで指摘されていたような会計処理に対する見解の違いではなく、意図的に損失を隠すことを目的とした保険商品を購入した形跡がある、ことが問題視されているとのこと。この報道でファニメイ株は97年来の安値まで下落しています。

株式市場からだけではなく、政府を含め外部からこれだけ注目され会計調査を繰り返しているにも関わらず、数ヶ月毎に新たな疑惑が出てくるということ、言い方を換えれば、いつまでも本来の姿が見えてこないことに、ファニメイ問題の深刻さを感じずには入られません。2002年のタイコやエンロンなどど同じように、あまりにも複雑化した超巨大なバランスシートの全容を理解できている人が、内部も含め、もはや誰もいないのかもしれません。

(2005.10.05)



中小企業の景況感

世の中の景気を知りたいとき、タクシーの運転手さんヒヤリングというのをよくします。感覚的には景気先行指標という感じがしています。
ただ、最近はこのヒヤリングと実態景気との乖離が広がるばかりで、状況をよくつかめないでいます。
タクシー業界は大不況だと、多くの運転手さんは言います。過去30年この仕事をしていて、こんなに不景気なのは初めてだと言われることもあります。タクシー業界が雇用対策の安易な受け皿に使われていると言う方も少なくありません。

また、企業倒産件数は今年になって増加しています。特に小売・サービス業での中小企業の倒産が増えているようです。この傾向は昨日の日銀短観を見てもよくわかります。中小企業、特に非製造業の景況感は最悪期を脱しただけで、悪いままです。

中小企業の経営者の方とお話しすると、大企業はあんなに利益が出ているのに、何故いまだに下請けコストを下げろと要求してくるのだろう?と悲しそうに言われます。

過度に悲観的になるつもりはありません。ただ、今の景気回復という言葉に、なんとなく違和感を感じているのも確かです。

(2005.10.04)



おおきな声ではっきりと?

クオンツモデルでの運用や債券運用は、説明を聞いていてもよくわからない。
これは、どの運用機関でも共通です。
それでも、わかり易い説明とわかりにくい説明と、はっきり分かれるのは何故なのでしょう?
一つは、話している本人の理解度の問題。
もう一つは、話し方の問題。

私自身を振り返っても、話の内容が相手に伝わっていなさそうだと感じたり、自分の話している内容に自信がないと、どうしても早口でムニャムニャと誤魔化した話し方になってしまいます。
ただでさえ、理解しにくいものの説明に、話す側の気持ちが引けていては、伝わるわけがありません。

「伝えたい」という意思の強さが、声の大きさやトーンに現れるものなのかもしれません。

(2005.10.03)


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