2006年04月の思いつき


過去の反省

特権的地位の乱用で昨年公正取引委員会から告発されていた三井住友銀行への処分がようやく金融庁から発表されました。
この件のように、中小企業への銀行の貸し出し姿勢がまだ厳しかった時代と、今のように銀行が融資に対し積極的な時代とでは、起きる問題が180度変わります。

良い不動産物件があるので、ローンを組んで買いませんか?よい変額保険があるので、ローンを組みませんか?当行でローンを組むので、従業員向けに第三者割当増資をしませんか?
これら全て、1980年台後半の日本のバブル期に銀行が行っていたことです。
まさか、良い投信があるからローンを組みませんか?などという営業、間違っても今はしていませんよね?
20年たって、再びバブル期と同じ過ちを繰り返すほど、銀行も監督官庁も愚かではない、と私は信じています。

(2006.04.28)


今年度収益率はタイミング次第?

四半期報告会で、運用機関から聞く今年度の市場環境見通しは、さながら「綱渡り」といった印象です。

日本株式は一旦売られるかもしれないが、年度末には期初を越えているだろう。
海外株式は息切れ気味だが、今年1年は持つかもしれない。
日本債券は微妙にマイナス。
外国債券は年央までに米国の利上げが終わり、年度末にかけては金利が低下するだろう。
為替は?????

といった具合で、どれもこれも山あり谷あり。3月末が山に当たるか谷に当たるかは、時の運。

早めに調整が入り、年度末に盛り上がるという、理想的な展開となるかどうか、運とタイミング次第の1年というとこでしょうか。

(2006.04.27)


名目GDPと金利水準

内閣府企業調査によると、企業が予想する今後5年の名目経済成長率は、5年平均で1.6%だそうです。また政府の発表している潜在成長力は現在1.3%となっています。

ちなみに当社が日本のイールドカーブから試算している、名目成長率は、今後5年平均で1.35%程度となっています。これは3月末のカーブでの水準なので、今現在ではもう少し上がっているかもしれません。
このイールドカーブから回帰させた名目GDPと、企業が回答した成長率の予想値に大きな乖離がないということは、今の日本の金利水準が、ほぼ妥当なラインに来ていることを表しています。

インフレ的な企業マインドがもっと盛り上がらない限り、長期金利の上限はそろそろ見えてきているのかもしれません。

(2006.04.26)


水準の相場とベクトルの相場

株式にしろ債券にしろ、変動する相場には、水準の相場とベクトルの相場があると思っています。

年金運用的に言うならば、ファンダメンタルの相場とモメンタムの相場という表現になるでしょうか・

相場の方向性だけで市場が動くベクトルの相場が一旦始まると、経済環境や適正価格といった言葉に反応する人はほとんどいなくなります。言っても無駄だからです。買うから上がる、売るから下がる。他に理由はいりません。もっともらしい理屈をつけることもありますが、ほとんどが後付けの理由です。
一方、水準の相場になると、買っても上がらず売っても下がらなくなります。日々の好材料や悪材料にも反応しない、凪の様な相場になります。

ベクトルの相場が終わり水準の相場に移行する過程に、水準訂正の相場というものが挟まります。水準訂正の相場では、あるべき適性水準を模索すべく乱高下が発生します。寝返りを打ちながら寝心地のよい姿勢を探す作業です。

昨日の株価500円近く下げた理由を探しても、あまり意味のないことのように思います。昨年の10月来続いてきたベクトルの相場の中で、株価が上がった理由を結局誰も説明できないのと同じことだからです。
市場参加者がべクトルの相場にそろそろ飽きて、水準訂正の相場に移行したがっているのかもしれないと、個人的には思っています。

(2006.04.25)


あら負けちゃった

小泉自民党、今回の選挙は散々でした。
前回の総選挙で、自民党が勝ったというより民主党が勝手に負けたと書いた記憶がありますが、今回は民主党が勝ったというより自民党が勝てなかったという感じでしょうか。

金融市場に危機感がなくなってきているのと同様に、国民生活にも徐々に危機感がなくなってきているのでしょう。これまでは会社や経済が倒れてしまうよりは多少個人が犠牲になっても構わないとあきらめていた国民が、少し景気がよくなってきている中で自己主張を始めてきたのかもしれません。

少し次元は異なりますがネパール・タイ・フィリピンなどアジア諸国でも政権と一般国民との対立が際立ってきています。

政権に対する不満とは、意外と景気がよくなってからの方が顕在化するものだと、実感しています。

(2006.04.24)


脳細胞を鍛える!?

「年齢とともに脳細胞は減るが、頭をよく使うと脳細胞が死なないのはなぜか」が東大の研究室で解明されたとの記事が。

感想。
年齢とともに脳細胞は減るのか…
頭を使うというのは、何をすればいいのだろう?

筋肉は年齢問わず鍛えれば太くなりますと言われれば、スクワットやダンベルでもすればよいのでしょうが、脳細胞を鍛えましょうと言われても、何をどうしていいものやら。

ちなみに高齢化が進む当社では、ブームになるかなり前から、任天堂DSを買って脳トレしてます。四半期報告が頭に入りやすくなったとの声があったようななかったような。

(2006.04.21)


グローバルマクロの悪夢再び?

日本でヘッジファンドという名前の評判があまり芳しくないのは、1992年のポンド危機、1998年のアジア危機など、レバレッジを掛けた大量の資金による一方方向への取引によって、市場を崩壊させたという印象を持たれていることにあります。

1998年以降、こうした市場方向性に一方的にかけるような取引-いわゆるグローバルマクロと呼ばれる戦略は、投資家から嫌われたこともありすっかり影を潜め、「ヘッジファンド=乱暴者」という印象からもようやく脱皮できたかに見えました。

しかしながら、昨今このグローバルマクロが急激に勢力を伸ばしつつあるように見えます。市場の方向性にかけた戦略が全て悪いわけではないのですが、金融商品からみれば圧倒的に市場規模の小さい、石油や貴金属、商品、といったものに、大量の資金を投入しているのをみると、過去の悪夢を思い出します。

市場破壊者という、ありがたくない命名が再び復活しなければいいのですが、心配です。

(2006.04.20)


たかが2%されど2%

長期金利が2%台にのったことは、債券投資家にとってはそれほど悪いことではありません。

一方で、REITや配当目的の株式投資など、債券利回りとの比較感で投資魅力が左右される商品に対し、国債利回りが2%に乗ったことの意味は小さくはありません。

理屈の上では、金利上昇分に見合った賃料の上昇や、企業業績の上昇に応じた増配などで、金利上昇分相当の投資収益が回収できるはずなのですが、そういった修正が起きるまでにはどうしても時差が発生します。債券利回りとこれらの資産との投資利回りの差が縮小する中で、金利の落ち着き所を探りながら、当面は価格で調整せざるを得なくなることが想定されます。

金利上昇で神経質にならなければいけないのは、債券ポートフォリオではなく、むしろ利回り重視の株式関連投資のほうかもしれません。

(2006.04.19)


原油70ドルと商品インデックス

昨日米国株が下げたのは、原油価格が70ドルに乗ったことより、住宅販売関連指標の悪化によるものだと、ウォールストリートジャーナル紙は解説しています。それを示すかのように米国の債券市場は売られていません。

最近金融市場全般に、石油などの一次産品や金や銀などの資源価格の動向を実態経済のインフレとあまり結び付けて考えていないような傾向があります。
少なくても、昨年10月の急落以降この半年の商品市場の値動きには実需感がかなり乏しくなってきているのは確かでしょう。

その背景には、年金資金向けに設定されている、またはそう噂されている、商品インデックスの存在が大きいような気がしてます。
「きっと年金が買うだろうから先回りして買っておいた」人達の、後追いで、今商品に手を出すのは、あまり得策ではないのかもしれません。

(2006.04.18)


一部上場の品格?

不謹慎だと言われそうですが、テレビで流されたアイフルの社員と消費者センターとの通話記録には、正直笑いました。
「一部上場の企業の社員なんだから、物の言い方に気をつけたほうが…」と消費者センターの方。
「一部だか三部だろうが四部だろうが、借金とりには変わりない!」とアイフルさん。
この名(迷)答を、消費者金融と提携したり傘下においている大銀行の首脳陣は、どう思って聞いているのか、興味があります。
まさか、アイフルだけが例外で当社の提携先は一部上場らしい取立てを行っている、などとおめでたいことを考えているわけは、ないですよね。
そもそも、何十年も前からちっとも行儀がよくなっていないこの業界が、一部上場できていること事態、どうも釈然としません。

(2006.04.17)


何故年金だけが完全時価なのか?

全銀協が、物価連動債の決算基準の変更を決めたようです。
銀行決算では、満期まで保有することを前提とした固定利付債券については、評価損益をバランスシートに計上する必要がありません。一方、物価連動債は償還金額が確定していないため、これまではその評価損益を決算に反映させなければいけないルールになっていたものを、通常の固定利付債と同様の扱いに改めるとのことです。

さて、最近年金スポンサーの方からよく聞かれる質問があります。
銀行や生命保険はなぜ、債券を100%時価評価しなくていいのでしょう?
多分、その質問をより正確に言い直すなら、なぜ年金勘定だけが、債券を100%時価評価しなければいけないのでしょう?ということになります。
「物価連動債の元本変動部分はこれまでの物価(CPI)の推移から見ると元本が毀損される可能性が低い」というのであれば、それは年金勘定においてもまったく同様です。
頭の固い一部の年金の専門家のために、年金の資産運用はかえって実態以上に高リスクの運用になってしまっているように感じます。

(2006.04.14)


見栄を張るとサギが寄る

いわゆるオレオレ詐欺も、世の中に情報がいきわたり、ATMへの張り紙効果もあり、下火になったのかと思いきや、東京での被害件数だけが倍増しているとのこと。

何故か?
結論。見栄っ張りだから。つけたすならお金も持ってる。

見栄を張る人ほど騙されやすい。株が上がって資金余力もできてきた。気持ちも少し大きくなって…

えっ?振り込め詐欺の話です。年金の話ではありません。決して…

(2006.04.13)


特定投資家と一般投資家

近いうちに施行が予定されている金融商品取引法などにおいて、特定投資家と一般投資家という分類が存在します。
法体系自体は、専門的な金融知識と経験が充分ではない一般投資家を対象として整備するが、一部のプロフェッショナルな投資家(特定投資家)を対象とした金融サービスについては、規制を一部緩和する、というのがこの分類の趣旨です。

考え方そのものに異論はないのですが、この件に絡み一つ罰則規定を付与してもらえないかと思っています。
銀行など業態として特定投資家(プロ)に認定されるケースは除き、事業法人や年金や個人など、自己申告によって特定投資家枠に入ることが可能な場合において、サービス提供者が特定投資家への自己申告を誘導することができないための規制が必要であると考えます。

魅力的に見える商品を説明した上で、「でもこの商品に投資するためには、特定投資家への申請が必要なので、この書類にハンコをください。」といった類の営業が出てくるのは目に見えています。
そもそも「プロ」という言葉には相手を持ち上げる媚薬的な響きがあるため、プロ申請をしませんか?という誘導に乗ってしまう投資家は少なくないと思います。
特定投資家への申請時期を限定するなど、特定の商品の購入と結びつかない仕組を考える必要があるのではないでしょうか。

(2006.04.12)


種から芽?!

米国の長期金利の上昇が始まり、FRBの頭痛の種も解消し始めた、と米国市場では噂されています。
頭痛の種とは、言うまでもなく不動産価格のことです。

リート全般を見ると気づきにくいのですが、米国の不動産は3月中旬以降、下落傾向が続いています。特にFRBの利上げ打ち止め感の出なかった3月末の連銀理事会後の下げが大きくなっています。

米国のREIT指数を見てみると3月の中旬から後半に掛けてつけた史上最高値から昨日まででおよそ7%下落しており、内、商業不動産が10%、住宅不動産が8%程度のマイナスです。
この下げが、昨年の1月・8月・10月のような一時的なショックであるのか、大きなトレンドの変化なのかはまだわかりません。
ただ、昨年のように短期金利は引き締めたものの、実質的な不動産の調達コストである長期金利が上がらないなかでの思惑的な下落と、長期金利の水準が切り上がっていく中での調整とは、質が異なってきているようにも思えます。

FRBの頭痛の種が、REIT投資家に飛散してきたのでなければいいのですが。

(2006.04.11)


不特定多数無限大とバブル

今流行りの、『ウェブ進化論』という本の中に、「不特定多数無限大」というキーワードがあります。
訓練された一部の専門家の意見より、独立した個人の意見の総体の方が正しいことがある、という趣旨です。

株や債券市場というものは、元々不特定多数無限大の判断によって成り立っているものなので、概念そのものは特に新しいものではありません。
この不特定多数無限大の出した結果に信頼性があるか、というのは株式市場に当てはめてみると、株の現在値は常に正しいか、という表現に置き換えることができます。そしてその結果はそれほど間違ったものではないということが、金融市場では経験されています。

一方で、この間まで合理的な結果を生み出していたはずの集合体が一つの方向性を持って暴走を始めることがあるということを金融市場は知っています。これを一般に「バブル」と言います。

金融バブルは所詮お金で解決できるものです。
不特定多数無限大に支配されたインターネット上の情報や理念にバブルが起きると、おそらく取り返しのつかないことがおきます。

こんな杞憂をしてしまうのも、今の株式市場を見ているからかもしれません。

(2006.04.10)


PEへの疑問

プライベートエクイティの運用者と話していると、どうしても共感できない一線があります。
それは、インサイダー情報という概念についての違和感です。
プライベートエクイティ、つまり未公開株式においては、インサイダーという概念事態が存在しません。唯一気をつけている点があるとすれば、PE部門が持つインサイダーな情報が、上場市場を扱う部門に流出しない組織になっているかどうかであり、PE投資自体は始めからインサイダー情報を利用することを前提として成り立っています。
何をあたりまえなことを、と思われそうですが、PEという市場のボリュームが増え、二次売買市場も拡大していく中で、本当にそれでいいのだろうか、という疑問が頭から離れないのです。

これはもう理屈ではなく、非常に感情的なというか感覚的な部分に由来する違和感であり、運用機関やアセットクラスへの客観的な評価とは無関係です。

だからPEを入れるべきでないと言うつもりはないのですが、どうしても積極的になれないのも事実なのです。

(2006.04.07)


外資系ばかりが悪いのか?

このところ、金融庁から外資系金融機関が行政処分を受ける頻度が高まっているような印象を受けます。
結果だけをみてみると、外資系というのはコンプライアンスに非常に甘い業態に思えます。ただ、内情をのぞくと、コンプライアンス意識が低いわけでは決してなさそうに見えます。

もちろん、日本で業務をする以上、慣習や常識を含めた日本のルールというものにもっと順応すべきだと感じる点は多々あります。例えそれが自国の常識やグローバルスタンダードからみて非常識であったとしても、その国でプレイをする以上その国のルールに従うべきです。

一方で、金融庁が外資にだけ厳しいという印象を少なからず持たれている現実も無視できない部分があります。今回の不動産信託の件にしろ、不動産の証券化商品に建築基準法違反物件が含まれていたのが特定の外資系信託の物件にだけ集中していたということは、あまり現実的ではありません。

スケープゴート的に外資を使っていると諸外国に思われるのは、日本の金融市場の発展にとって、決して得策ではありません。

(2006.04.06)


個人向けバランス型ファンド

個人向け投資信託、3分法とか6分法とかがよく売れているそうです。
もっともらしいネーミングではありますが、単なるバランス型ということです。もちろん株式とリートとエマージングの3点セットに、何の意味があるのだろう…といった疑問が残るファンドも多々あるのでしょうが、投資信託の方向性としてはよいのではないかと思います。

方向性としてよいと思っている理由の一つは、なかなか個人ではポートフォリオという概念を持つことが難しい中、バランス型のパッケージというのは存在意義があるだろうということ。

そしてもう一点は、バランス型としての商品形態が浸透してくると、これまでのように投資信託の回転売買がしにくくなり、販売手数料優先の商品設計を見直すきっかけになることが期待できるからです。

これまで、掛け声倒れで終わっていた、販売報酬から管理報酬への手数料体系へのシフトが、中長期保有前提のバランス型投信の拡大によって、ようやく現実味を帯びてきたかもしれません。

これが一時的なブームに終わらなければ、日本の個人金融市場にとって、画期的な第一歩になるのではないでしょうか。

(2006.04.05)


ワンセグ

「ワンセグって何?」「携帯電話できれいにテレビが見られることらしい。」「欲しい?」「別に…」
最近のおじさん・おばさんの会話です。

そもそも、今の日本を悪くしたのは、350ミリのペットボトルと携帯電話だと確信している私にとって、これ以上行動と空間とが切り離される文化の進行は理解できません。

喉が渇いたら何時でも飲めて、友達と連絡したければ何時でもメールができて、テレビが見たければ他人を気にせず何時でもみられる。「便利」が暴走しているように思えます。

これからしばらく、株式アナリストがワンセグ関連を推奨するのを聞く度に、おばさんはイライラするような気がしてます。

(2006.04.04)


50年債…

日本でも50年国債を発行が検討されているようですが。

期間50年:利率3% の債券があったとして、利回りが4%になったとすると、債券価格は約83円になります。これは単利計算ですが、複利で計算すると80円になります。
1%の金利変動で20円価格変動が起きる債券を買うことのできる投資家は国内にどれほどいるのでしょうか。

国の年金基金本体も、債券の取得原価評価をあきらめたようですし、現在取得原価での保有が部分的に認められている生保にしても、決算基準変更のリスクがないとは言えません。

年金からみて、複数年のローリングになっている負債の割引率と、日々時価の資産の債券との金利マッチングが技術的に難しいのは、超長期の債券の供給ができても同じことです。

只でさえ、先進国一ボラティリティの高い株式市場を抱える、日本の年金市場にとって、50年国債をどう扱えばいいのか悩ましい問題となりそうです。

(2006.04.03)

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