2006年10月の思いつき


読書

中学生の40%以上が"月に一冊"の本も読んでいないという調査結果が出ていました。

漫画やテレビや映画と、「本」が決定的に異なる点は、映像イメージがあるかないか、です。

基本的に文章しかない「本」を読むことによって、自分のイメージを画像として想像する訓練になります。

画像がないことにより足りない情報を、自分で補う訓練を無意識に行なうことが、社会生活や人間関係で必要とされる想像力を養うことに繋がると思うのです。

実際に自分で経験したことしか理解できない、他人の気持ちがわからない、予想外の状況に対応できない、といった現代社会の抱える問題の多くは、本を読まなくなったことに起因しているように思えてなりません。

読みたいと思える本を書けなくなった大人にも、責任はあるのでしょうが。

(2006.10.31)


インフラの値段と安定性

ソフトバンクの携帯電話システムが処理能力を超えてしまったとの報道に、驚く人はあまりいないでしょう。
企業体質と言ってしまえば元も子もないのでしょうが、これまで新事業を立ち上げる度に繰り返してきたことがまた起きているだけのことです。

マスコミなどの論調は、利用者へ迷惑がかかっていることを問題としていますが、受付時点でシステムトラブルが発生するような電話会社と契約したいかどうかは、個人の判断の結果ですから、ほっとけばいいのではないかと思ったりしています。

ちなみにですが、一時期一世を風靡したIP電話から、従来型の電話回線に戻したという話を、最近ちらほら聞くようになりました。

インフラについては、値段よりも安定性、という逆回しが、その内起きてくるかもしれません。

(2006.10.30)


金融犯罪

数百億円の被害を出していると報道されている、投資会社の社長に逮捕状が出たとのこと。
この会社が破産手続きをし、一般に報道された昨年の夏から既に1年以上が経過しています。
随分と時間のかかるものです。

この手の詐欺は、一刻も早く身柄を拘束し隠し財産を押さえて被害者救済に当てる、というのが原則だと思うのですが、1年以上も経ってしまっては、跡形もないでしょう。

金融犯罪については、本人を捕まえればいいという問題よりは、むしろ被害実額の最小化をいかに図るか、という視点も重要なのではないかと思うのです。

(2006.10.27)


米・日不動産

米国の不動産市場に楽観的な人々の根拠の中心は、米国の人口増加にあります。
一方悲観的な人々の懸念は新手の不動産金融を利用した一部個人のレバレッジのかかった不動産投資にあります。
中長期のファンダメンタルズに基づいた楽観論と、短期的なシステムリスクに基づいた悲観論とが対立しています。

中長期の人口減少が確実でファンダメンタルズでは悲観的にならざるをえないにもかかわらず、新手の不動産金融手法を利用して短期的に上昇が期待されている日本と好対象です。

どちらにしても、少しバランスが悪いことには変わりありません。

(2006.10.26)


心地よい朝

札幌にいます。
快晴です。抜けるような青空をぼーと見ていたら、
採用や人繰りとか、低迷するオルタナ商品のパフォーマンスとか、出来上がってしまった本に間違いがないか、とかいう気持ちの引っ掛かりが、少しほどけたように思えます。

それにしても、今の私の悩みはたった3つしかないのか・・・

(2006.10.25)


『ヘッジファンド運用入門』

たった今、本が出来上がりました!

『ヘッジファンド運用入門』(税込み2520円)
株式会社エー・エム・シー寺本名保美著(財経詳報社) です。

今週末あたりから書店に並びます。

1.ヘッジファンドとは何か
2.ヘッジファンド戦略の金融部品
3.ヘッジファンドの個別戦略
4.ファンドオブヘッジファンズ
5.ヘッジファンドインデックス
終.ヘッジファンド投資と投資適合性

アマゾンなどにアップされたら、リンクをはります。
もしご興味のある方は、私まで直接ご連絡をいただくと、多少割安になります。

先物やオプションといった用語の説明から、ロングショートやイベントドリブンといった戦略の説明、リスク管理用語までをできるだけ平易に解説してあります。

脱力…

(2006.10.24)


北朝鮮リスクはない?

朝鮮半島が有事となる確率は、企業向けにリスクを算定しているある会社では5%以下、国際政治学者の間では限りなく0%、とかなり低く見られているという話を聞きました。

国際情勢を理論的に整理すれば、北朝鮮が暴発することはありえない、という帰結になるそうで、もしここで北朝鮮が対外的に暴走を始めるようであれば、国際政治という学問はもはや成り立たない、そうです。

9.11で心臓部を直撃され、ありえないことなど世の中にはない、と身にしみてしまった金融界が、実は一番悲観的なのかもしれません。

どうしても、悲観論に傾きがちな金融市場とは対象的で、興味深い話ではあります。

(2006.10.23)


教育の再生…

教育の再生、必要だと思います。
必要だとは思うのですが、違和感があります。

私立学校と公立学校とを比べて、私立の方が教師の能力が高くやる気がある、というのは考えにくいのです。
少なくても、20年前の就職活動において、私立の先生になるよりは公立の先生になるほうが、明らかに試験も難しく高倍率でした。
私立に行かせる家庭は、教育熱心で基本的な躾が家庭でできるので、私立校の先生は相対的な実力が伴わなくてもやっていけると、言われてもいました。

学校現場、特に公立校の現場の再構築をするのなら、やはり家庭環境や地域環境の再構築をしなければ意味がないように思います。
教育現場の再生、というフレーズが、家庭の責任放棄を助長しているようで、嫌な感じがします。

(2006.10.20)


記事にはならなくても

年金やファンドについて、新聞や雑誌の記者の方の取材を受けることがたまにありますが、大概私の話は記事にはなりません。

記事にできないような秘密の話をしているのではなく、記者の方たちが"期待"しているような"面白い"話ができないからなのだと思います。

年金制度にせよ、ファンドにせよ、表面に出てくる刺激的な話題の裏には、それなりの事情もあり、経緯もあります。我々が注目するのは起きてしまった結果ではなく、その原因や経過です。
一つの事実を普遍化し、十把一絡げ的に表現することはしません。

記者の方たちが事前にピンポイントの見出しをイメージしていればいるほど、「物事それほど単純ではない」と警告したくなるのです。

本質をわかって要約するのと、本質をわからずに要約するのとでは雲泥の差があります。所詮記事にされないのは承知の上で、少しでも理解してもらいたいと思いつつ、記者の方たちと話をしています。

(2006.10.19)


性善説の順張り運用

株式のファンドマネージャー、特に小型株のファンドマネージャーの方は総じて性善説です。基本的には企業のよいところを探す運用です。
話していて、自分の性格が歪んでいるのではないかと不安になってしまうほど、ポジティブです。

さらに、小型株の特性として、業績や市場環境が好転すればするほど、信用リスクや流動性リスクが解消され、理論株価が切り上がる傾向があるため、運用手法が極めて順バリになりやすいのも特徴です。

性善説の順バリ投資、というコンセプトで見てみると、小型株運用が過熱と暴落と凪とを繰り返すのも理解できます。

今の小型株は暴落後の凪状態に入ったように見えます。しばらくは壷に入れて庭に埋めとくしかなさそうです。

(2006.10.18)


生活意識に対するアンケート調査

日本銀行の発表しいる『生活意識に対するアンケート調査』という資料に、「暮らし向きDI」という項目があります。

現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」から「ゆとりがでてきた」を引いた数値ですが、2003年の景気の底から比べて、ほとんど改善していません。
同じユニバースで調査した景況感DIについては、それなりにプラス転換しているのに対し、個人の暮らしへの満足度の低さは驚くばかりです。

地域別の回答分析がないので、はっきりしたことはわからないですが、個人消費が景気の回復感ほど伸びていないことが裏打ちされるような結果です。


(2006.10.17)

いまさらですがハイリターンはハイリスク

海外のヘッジファンドの人などと話していて、
「日本の年金は20%以上のリターンがでるようなハイリスクのファンドに強い興味があるのだそうですね」
と言われ驚きました。

「日本の年金はハイリターンには興味がありますがハイリスクには興味がありません」と冗談めかして言うと笑われました。

実は笑い事ではないのですけど。

日本の年金スポンサーとオルタナティブの話を始めてもう5年以上が経ちます。このコラムでも、セミナーでも、オルタナティブ投資はポートフォリオの収益の安定化のために必要なのであって、高収益を狙うものではないとしつこいぐらい言い続けてきたつもりなのですが、あまり効果はなかったということでしょうか。

と嘆いていてもしかたないので、あきらめずにまたここに書いています…

(2006.10.16)


本日は・・・・

筆者 リフレッシュ休暇、
画像担当者 風邪のため、
本日の思いつきはお休みですm(_"_)m

(2006.10.13)


年金は長期投資家か?

最近、日本の企業年金の投資行動が短期志向であるという指摘を新聞などで目にするケースが増えています。

日本の企業年金の資産は単年度時価評価で企業会計にオンバランスで反映されます。この年金時価会計という制度が発足した時期と、世界株式の急落とが重なった2000年代初頭は、日本の企業年金にとって悪夢のような数年間だったのです。
そのころ、株式のアナリストは年金資産で株式比率が高いことは、企業財務にとってリスクであると、言っていました。
マスコミも、大切な年金で何故リスクの高い株式など買うのか、と非難していました。

年金資金は長期資金であるのだから社会への安定的な長期資本の提供者であるべきであるという主張は、非常に古典的な意見です。
一方で、単年度時価会計、もしくは非継続基準による単年度決算という、年金資産を廻る環境は、どう考えても長期資金に適したのもではありません。

年金に長期資本の担い手としての役割を期待するのであれば、それなりの環境整備が必要なのです。今の年金会計においての年金資金はその役を果たすことはできないと思うのです。

(2006.10.12)


頭が重いので休信

頭の中で整理できない事象が発生し、言葉をまとめる回路が断絶しているので、今日は休信します…

ごめんなさい。

(2006.10.11)


地合

「地合が悪い」という言葉を説明するに絶好の市場となっている感のある、日本の新興株式です。

よい材料には反応せず、悪い材料には必要以上に反応します。

この週末が本命といわれていた北朝鮮リスクが現実化し、円安も手伝って買い戻しが優勢なTOPIXがプラスになっている一方で、ジャスダック指数は年初来の安値を更新してしまいました。

ショートが入りにくい分、買戻し相場に弱いのはしかたがないとしても、買手不在の状態が未だ続いています。

極端に売買量が減ってしまっているために、損切りをしたくても思ったように売ることができないことも、灰汁抜けができない要因です。

「流動性リスク」という言葉を実感する、地合でもあります。

(2006.10.10)


アクティブファンドの現状

外国株式のアクティブマネージャーの存在意義が薄くなって、随分時間が経ちます。

当社に登録された外国株式ファンドのうち、過去1年のパフォーマンスがベンチマークを上回ったのは、わずか全体の15%足らず、という悲惨な状況にあった2003年に比べれば、今は約50%のファンドがベンチマークを上回るというところまで、回復しています。

一方で、アクティブファンドとベンチマーク収益率との乖離幅はどんどん縮小し、勝率は上がっているものの運用報酬に見合うだけの勝ち幅を上げられていないファンドが増えているという現実もあります。

国内株式ファンドが、比較的コンスタントに勝率も勝ち幅も維持しているのに比べると、やはり外国株式のアクティブファンドの現状は満足のいくものではありません。

パッシブファンドと比較して高額な運用報酬を支払うのであれば、超過収益の"期待値"がより高い資産へ報酬を分配するのは、しかたのないことです。

こういった状況がさらに続くようであれば、アクティブファンドから残高が縮小し、面白みのなくなったファンドマネージャーがヘッジファンドに流出し、アクティブファンドのパフォーマンスがさらに落ちる、という悪循環も懸念せざるを得なくなるのです。

超過収益率の図

(2006.10.06)


米国株式の安定飛行

NYダウ平均が、市場高値を抜いたということに、あまり大きな意味を感じていません。

米国の金利が5%内外で推移している以上、米国の名目経済は年率で5%程度、10年で1.5倍強の成長をするはずです。
経済が10年で1.5倍になる国の株価が、6年以上も高値を更新できなかったということは、いかに2000年の株価がバブルであったか、ということの証明でもあります。

2000年のバブルと反動の2002年の会計不信相場を乗り越えて、米国株式市場がようやく正常な軌道に回帰しただけです。

いつまでも安定飛行ができない日本株からみると、本当にうらやましいかぎりです。

(2006.10.05)


金融史

最近、「金融史」を知ることは、大事だと思うようになりました。

というよりも、少なくても1980年代以降の金融市場の変遷やイベントについての知識は、金融市場に参加する以上持っておくべきだと感じています。

逆に言うなら、このあたりの歴史認識(?)が共有されていない違和感を、運用機関にいる人達と話していると感じることが多いということです。

変化の大きい今であるからこそ、過去にとらわれるというのではなく、過去の延長線上としての今を認識する必要があるのだと思っているのです。

(2006.10.04)


人口密度

出生率が低いのを国土のせいにするつもりは決してありませんが。

今日の日経新聞にでていた世界の人口の表に国土面積を加え、人口密度を計算した表を眺めていると、日本の人口はやはりこれが限界ではないかと思えてくるのも本音です。

そういった意味では、インド・バングラディッシュ地域の限界や逆の意味でのロシアの危機も見えてきます。

国土面積が同じで、人口が10億人違う、米国と中国というのをどう捉えたらよいのか?というのは、面白いテーマかもしれません。

地理の勉強って、役にたつんだ…


(2006.10.03)

20年経ちました

大学卒業20周年イベントというものに、参加してきました。

十数年ぶりにキャンパスを歩き、当時のままの掲示板などを眺め、20年前の自分がフラッシュバックするという感覚は、やはりよいものです。

20年って早かったね、という会話をしながらも、20年という時間は結構色々なことができるものだとも思います。

暗中模索で要領悪く進んできたこれまでの20年に比べ、これからの20年は多少は物事の道理がわかっての20年になるのだとすれば、これまでよりももっと中身のある20年になれるような気がします。

とは言っても、20年後、このコラムを書いている自分を想像したら、ちょっと笑えました。

(2006.10.02)

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