2007年07月の思いつき


運用機関の意思

最近、運用機関が年金向けに提供する商品の種類が急激に増加しているように感じます。

よく言えば、顧客ニーズにあわせた商品、悪く言えば売れ筋の商品を次々に設定しているという印象です。

個人向け投信であれば理解できますが、年金向け商品の展開の方法論としては邪道でしょう。

何度も書いていますが、儲けるな、売れる商品を作るな、と言っているのではありません。運用プロフェッショナルとして、年金の在るべき姿や将来を示唆するような商品で勝負して欲しいと思うだけです。

「運用機関の意思が伝わる運用商品」を希望します。

(2007.07.31)


外からみた景色

昨年、外国人投資家は、個人消費が拡大しない景気回復は理解できないと言って、日本株を売りました。
昨日、日本の有権者は、個人消費を拡大できない景気回復は承服できないと言って、自民党を売りました。

企業経営者は、企業業績が悪いわけではないのに、株価が上がらないのはおかしいと言います。
自民党は、政策が悪いわけではないのに、支持率が上がらないのはおかしいと言います。

今回の選挙結果は、中心から外をみた景色と、外から中を見た景色との間に生じているギャップの大きさに気付くよいチャンスなのかもしれません。本当に手遅れにならないうちに、個人の満足感の伴う経済運営のありようを考える必要を感じています。

(2007.07.30)


運も実力

この数日の金融市場の嫌な雰囲気の中、選挙直前に400円も日経平均が下げるにいたり、安倍首相というのは、つくづく運のない人だと。少なくても、お金の神様にはどうやら嫌われているらしい。

運も実力のうちといいますが、一国の首相たるもの「引きの強さ」も大切だと思うのです。小泉さんが当面の運をぜーんぶ使いきってしまったのでしょうか。

もちろん結果はあけてみないとわかりませんが…

(2007.07.27)


サブプライムという火種

サブプライムローンに関わる懸念が最初に出たのは昨年の11月ごろです。それから半年をかけての展開を見ていると、真綿布団に着いたタバコの火種のようです。

始めは小さな焼け焦げが、眼に見えないところで、プスプスと燃え広がり、忘れたころに、炎を出す。子供の頃親に教えられた布団火災の恐ろしさが、現実化しています。

ローンを出していた金融機関の健全性や米国の個人消費への影響が主な中心的課題だったのは既に旧聞となり、住宅ローン証券化商品全般の信用リスクから、更にはレバレッジのかかったローンへの警戒感が強まる中、住宅とは全く関係のない企業への買収資金の調達も凍結されています。

2006年を謳歌した買収ファンドですが、予想外のところで曲がり角を迎えることになるかもしれません。

サブプライム問題は、未だに火種であって、本格的な炎がどこで発生するのかは、不明です。

(2007.07.26)


防波堤

世界の金融市場を24時間で一周する中で、毎日どこかのダムにヒビが入り、どこかのダムがその防波堤となる、という状況がこの半年間続いています。

とりあえず、午前中を見るかぎり、本日の防波堤は中国株式市場のようです。

防波堤になるのは、株式市場とは限られていません。この1ヶ月は米国の水漏れを、原油市場が止めてきました。

昨晩、この原油市場が防波堤とならなかったため、連鎖安のトリガーが引かれてしまうのではないかと、やや心配しています。

夏休み前で、ポジション調整が起きやすい時期でもあります。落せるリスクは落としておいた方が賢明です。

(2007.07.25)


やる気がなければしかたがない

海外の運用会社や、ヘッジファンドのゲートキーパーには、生命保険会社の運用子会社が沢山あります。
その多くが、自己資金の運用で構築したノウハウを利用して、年金など外部スポンサーの運用を行っています。

国内の生命保険会社を見ると、運用子会社の経営には熱心なようですが、運用にはさほど興味がないように見えます。少なくても兆円単位の自己資金の運用ノウハウが、運用会社のスキルとして生きているようにはみえません。

外部の優良ファンドを買うことには熱心ですが、自分が優良ファンドになろうという志もなさそうです。

人材・体力・経験からみて、世界に通用する運用会社を作れるとしたら、日本唯一に近い業態だと思うのですが、本人達にその気がないのではしかたがありません。もったいない限りです。

(2007.07.24)


時空を超えて

TOPIXのロウソク足チャートを見ると、スカスカです。

「窓をあける」と表現するのですが、その日の値段の上下が、前日の値段の上下と全く接点を持たないということが、頻繁に発生しています。

印象としては米国のS&P500の方が乱高下しているように見えるのですが、こちらはほとんど窓をあけていません。前日の市場と今日の市場とが一応繋がっています。

つまり、日本株式は日本時間の材料で動いているのではなく、夜中の海外市場の結果によって水準が決まっているのに対し、米国株式は米国時間の材料で動いているということです。

国内の企業業績も大切ですが、今の金融市場、そういった時空を超越していますよ。きっと。

(2007.07.23)


セミナーの結論

昨日のセミナーには多数のお客様がご来場いただきありがとうございました。

陰陰滅滅テーマの結論は、

『収益源が減少し期待するリターンに到達しないからといって、レバレッジをかけて目標に到達させようとする行為は、デリバティブやレバレッジの使い方として絶対にしてはいけないことです。』という『常識』を思い出しましょう…です。

何故いけないかというと、長い間好調に推移していた市場が反転する時は、緩やかに時間をかけて反転するのではなく、短期間に大きく反転する傾向があるからで、緩やかな上場相場を前提として掛けていたレバレッジがボラティリティの上昇を伴う下落で、正にシーソーの端っこのように効果を発揮してしまうからです。

この常識を思い出して欲しいのは、年金スポンサーではなく、本当は運用機関の人達なのですけど。

(2007.07.20)


真昼間の怪談

今日の午後、年金様向けのセミナーをします。

テーマは『枯渇するアルファ』『拡大するレバレッジ』『潜るリスク』です。

ある金融機関の友人曰く、陰々滅滅としたテーマだそうです。

今の世の中、多少怖い話をしたところで、照明全灯で怪談を聞いているぐらい効果がない。

セミナー会場は照明消してみましょうか…

(2007.07.19)


レバレッジの末路

住宅担保証券(MBS)の運用に失敗し、運用が停止されているベアスターンズグループのヘッジファンド2本について、投資家への支払い余力がほぼゼロであると、本日付けのウォールストリートジャーナルが伝えています。

先日、親会社が資金提供をした約1700億円相当は、ファンドへ融資を行った金融機関への返済にあてられるとのことです。
これで、結局ファンドが保有していた資産と追加資金のほぼ全てが、借入金の返済できれいさっぱり消えたということになります。

資産の権利はファンド投資家ではなく、お金を貸した金融機関にあるという、レバレッジがかかったファンドの末路としては、大変にわかりやすく、大変に教訓的な結末ということもできます。

不動産のノンリコースローンも証券化商品もバイアウトファンドも皆しかりです。

レバレッジとはそういうものです。

(2007.07.18)


地デジと沢山の???

いわゆる「地デジ」。2011年に『今のテレビ』が使えなくなるというもの。

『今のテレビ』が使えなくなるって言っていますよね??
だから『テレビ』を買い換えればいいと思っていますよね???
地デジ対応のテレビを買った上に、何万円もかけて屋根の上のアンテナを取り替えなければいけないなんて知りませんよね????

知らなかったのは私だけですか?
マンションなどの集合住宅では関係ないし、UHFアンテナが残っている家も関係ないらしい。地域によっても状況は違うとのこと。

うーん。何か釈然としません。なんで自前でアンテナ取り替えなくてはいけないの?2011年になって大問題になると、きっとあわててアンテナ代金が税金の補助対象になったりするんでしょうねぇ。
それまで待つ?

(2007.07.17)


政治家って…

今回の参議院選挙の争点は「年金」だそうです。

それで、年金の何が争点なのでしたっけ?

どうせなら社会保険番号の導入の是非ぐらいまで踏み込んで議論してくれるならわかりますが、そうした際どい話は、絶対に選挙では持ち出されません。。

消費税とか国民背番号とか、賛否が分かれるような案件は選挙が終ってから、国会でうやむやに決めてしまう。

政治家はズルイ。

(2007.07.13)


緊張感かない?相場感がない?

なんというか、緊張感のない市場展開が続いています。

総額2兆円を超えるMBSの格下げが行われるなど、天地がひっくり変えるような一大事がおきたり、日米ともREIT市場の二桁マイナスは継続していたり、為替は一日で2円飛んだりと、それなりに材料はあるものの、市場全体としては、「でもお金まだあるし…全体としては儲かっているし…損をしているのは自分ではないし…」みたいな限りなく他人事モードで世の中が進んでいるように見えます。

とはいっても、どこかで逃げなければと思って身構えているのは事実なので、さすがに売買量は減ってきています。

そんな中、「外貨準備金を海外ファンドなどリスク資産で積極的に運用しましょう」などということを、『今更』『このタイミング』で言い始める我が国の緊張感のなさはやはり秀逸です。

お願いです。誰かとめてください…

(2007.07.12)


クレジット市場の曲がり角

デリバティブというものは、資産の下落リスクを回避できるという意味では、大変有益なものです。

一方で、簡単にレバレッジをかけられるという意味では、やや危険なものでもあります。

クレジットの世界でデリバティブが発達したことで、クレジット市場に厚みが増し、効率性が向上したのは、紛れもない事実です。一方で、効率性が向上しすぎて薄まってしまった収益機会を水増しする道具に使われているのも、同じデリバティブです。

収まる気配の見えないサブプライム問題は、急激に進化と発展を遂げたクレジット市場が安定成長期に移るためのターニングポイントとなるのかもしれません。

(2007.07.11)


善悪ではなく選択肢の問題

昨日のスティールパートナーズに対する高裁決定について、賛否両論であることは当然ですが。

私は別に良いのではないかと思っています。だからファンドは悪だとか、これだから日本の金融はダメだとか、というような総体的な問題ではなく、単に選択肢の問題だと思うからです。

ファンド買収に応じて企業価値を上げたいと思う経営者はファンドを利用すればよいし、株価が上がらなくてもファンド資金は必要ないという経営者は応じなければいい。それは一般株主も同じです。

そしてファンド側は、自分達の存在が企業の役に立つということを、経営者や一般株主に納得させる努力を怠ってはいけない、というだけで、企業や一般株主に受け入れられないとすれば、それはある意味ファンドの努力不足です。

但し、ファンドを拒否した会社のその後の経営には、株主からも世間一般からも、これまで以上に厳しい監視の目が向くことになるということは覚悟しておくべきでしょう。

(2007.07.10)


利上げと消費税と財政緊縮

景気拡大局面で議論される3種の震器。利上げと消費税と緊縮財政。

この中で最も吹き飛ばされやすいのが利上げ。

1996年に村山内閣から橋本内閣に変わったあと、まずしなければならなかったことは、緊急円高対策で引き下げられた公定歩合の正常化だったはずなのですが、結果は財政緊縮と消費税の引き上げ。

このダブルパンチでポキンと折れた景気のせいで、その後の公定歩合議論は完全に封印されてしまいました。

金利というのは、下げるバッファーを作るためにも、機を見て敏に上げないと手遅れになるのだと、いう経験則が何度失敗しても働かない。

そして今回もまた、消費税と緊縮財政に押し切られて利上げ議論は後回しにされそうな、嫌な予感がしています。

(2007.07.09)


PEと付き合える体力

プライベートエクイティ会社と話していると、我々とヘッジファンドとは手法が異なるという主張をよく聞きます。

プライベートエクイティを利用して短期的な収益を上げることを目的としたヘッジファンドと、企業に長期資金を投入し非上場下させた上で事業の再構築を行うことを目的としたPEとは似て非なるものだと言っているようです。

従って、プライベートエクイティ市場はバブルではないのか?という質問に対する答えも、LBOなどヘッジファンドが利用しているレバレッジ手法に関わる部分はバブルかもしれないが、PE市場そのものはバブルではない、ということになります。

話を聞いていると、やはり投資ホライズンが非常に長く、我々が気にする短期的なドローダウンなどはそもそもリスクとして認識していないのではないかという印象を受けます。

短期的な振れはモノともせず、景気循環を一山も二山も越えることができるぐらいの、気力と体力が伝統的なPE投資にはやはり必要なのではないかと思っています。

(2007.07.06)


人材ユニバースの拡大

近くのファーストフードにいた若いアルバイトスタッフを、最近見かけなくなりました。今は明らかに正社員の男性スタッフが、汗をカキカキ対応しています。お店の外には時給900円のバイト募集広告がおおきく張り出されていますが、効果はまだのようです。

一方で、ファーストフードでアルバイトをする60歳以上のシニアが増えているとの話も聞きます。
65歳のおばちゃまが、あの制服をきて、「ようこそ!」といっている姿を想像するのは、可愛くもあり、怖くもあり、ですが、若者の正社員化が進み、シニア層の職場も拡張されていると見れば、これはこれでよい傾向だといえるのでしょう。

人材不足に苦労しているのは何処も同じですが、年齢などの対象ユニバースを少し広げるだけで、意外とよい人材と出会えるのかもしれません。

(2007.07.05)


生保一般勘定

生命保険会社の社員総代会が終わり、各社の昨年度の配当も確定しました。
1%をこえる保証利回りの魅力で、最近は新一般勘定の利用を検討する年金も増えつつあるようです。
たぐい稀に好調な市場を3年連続で享受してもなお、平均で1%に乗らない配当水準というのもいかがなものかとも思うのですが、債券で損をするよりは良いというスポンサーの声を聞くにつれ、日本の確定利回り志向の強さを、改めて確認します。

そうはいっても、生命保険会社の信用力に対する投資です。この会社なら大丈夫、というだけではなく、財務データの説明資料と資産配分程度は事前に確認してから投資をするのはあたりまえのことです。

(2007.07.04)


運用会社の広告宣伝費

資産運用会社が、マスメディアに対し派手な広告を出したり、ホテルなどで豪華なパーティーをしたり、というのは、どうも気持ちよくありません。
結局、その原資は投資家からの運用報酬だからです。
成功報酬制度が確立しているヘッジファンドなどでは、やや異なりますが、投資家からの固定報酬を利用して、別の投資家の勧誘をするのは、仕方がないことではありますが、あまり華美にされると、一言何か言いたくなるのです。
投信の営業広告については、販社に任せて、運用会社は運用と販社教育にリソースを使って欲しいと思っています。

(2007.07.03)


近視の政治家・遠視の政治家

テレビで民主党の小沢さんの話を聞いていて、この人は日本を二大政党制にすることしか、興味がなさそうだということがよくわかります。

今の日本の政治の閉塞感、ひいては日本の閉塞感を打破するには、政権を担える2大政党が切磋琢磨する環境が必要だという主張は、彼が自民党を出たときから変わらないのでしょう。

将来展望としてはそれも正しいのかもしれませんが、だからといって今の政治はどうでもいいというわけにもいかず、それを担うには今の民主党はあまりにもお粗末です。

近視眼的な政治も困りますが、遠視も度を越すと、目の前の石に蹴つまずきます。
歳をとると遠視の度が進むのは、眼だけではないのかもしれません。

(2007.07.02)

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