2007年09月の思いつき


個人消費は女性のベースアップから

平成18年度の「民間給与実態統計」で、民間給与支払総額が9年連続で減少したとでています。

団塊の世代の退職による就業年齢の低下による、という説明が一般的のようですが、統計の中身を見ると少し違った印象を受けます。

給与所得者数は男性が29万人減少し、女性が20万人増加しています。
男性の平均給与は3千円増加し、女性は1万8千円減少しています。
男性の平均給与は539万円で、女性は271万円です。

ちなみに、給与所得者の平均年齢は男女共に44歳で、平均勤続年数は男性13年、女性9.4年、だそうです。

勤続年数が4年異なるだけで、平均給与が倍違います。
もちろん、実勤の時間数も異なるでしょうから、単に労働単価が倍違うということではありません。

現実に働く女性は増えています。それを安い労働力とみなすのではなく、重要な社会資源と捉えなおすことで、日本経済の活力に繋がるのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
女性は優秀ですよ。相対的に…。

(2007.09.28)



損と詐欺は違います

来月施行される金融商品取引法において個人投資家の方に最も認識して欲しいことが、金融庁HPの以下の項目に示されています。

『いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について』
1.他者からお金を集め
2.何らかの事業・投資を行い
3.その収益を出資者に分配する仕組み
を運営している者は、金融庁及び財務局の監督対象となります。
(http://www.fsa.go.jp/ordinary/fund/)

これによって、これまであったような『一目でわかる詐欺ファンド』のようなものが、少しは減るのではないかと期待しています。

投資で損をするということと、投資が詐欺であるということとは、全く意味が違います。「詐欺にあうのもリスクの内」と思うのは大間違いです。

(2007.09.27)



長引きそうな予感

なんだか長引きそうな予感がしてきました。
いや別に私の風邪のことではなく、金融市場についてです。

そもそも株式市場の水準は夏前と後で、ほとんど変化がありません。(日本は別物としてとりあえず横に置いておきます)。

明らかな金融システム不安を抱えているにも関わらず、株価に影響を与えていないのは、FRB始め金融当局の対応の迅速さの賜物でしょうか、それとも利下げムード再燃で次のバブルを早々に織り込みにいっている気の早い投資家のせいでしょうか。

実態経済と金融市場、株式市場と債券市場、それぞれの温度差に、なんとも居心地の悪さを感じてしかたがありません。

(2007.09.26)



ヤレヤレPart2

休暇をとったら、おもいっきり風邪を引きました。

休むと病気になるというこの体質(性格?)、どうにかならないものか???

寝ながら、情けない顔の安倍さんの映像を何度も見ていたら、益々具合が悪くなりました。

首相の顔というものは、結構その国の今を映す鏡なのではないかと感じたりしています。

(2007.09.25)



相場も私も一休み

今日明日と秋休みをいただきます。

まだまだ気の抜けない先行きを考えて、この辺で一休みです。

とりあえず、ヤレヤレ。

(2007.09.20)



背筋

突然ですが、最近「背筋」って大事だと思うようになりました。

見た目で腹筋を鍛えても、背筋がないとまっすぐに立てないですし、複式呼吸をするにも背筋で肋骨をちゃんと動かしてあげないと、きちんと呼吸ができないわけです。

政治家の人達が、「骨太の」という形容詞を頻繁に使いますが、骨だけが太くてもそれを支える筋力がなければ、姿勢は悪いままです。

骨の成長には年齢的な限界がありますが、筋力アップには年齢的な限界はないそうです。老齢化している日本の経済運営に必要なことも又、骨を成長させることではなく、経済を後ろから支える国民一人一人の筋力を強化することなのではないでしょうか。

次の政権には是非個人消費を改善させる方策を、真剣に考えて欲しいを思っています。

(2007.09.19)



個人部門のレバレッジ

久々に一部上場企業が破綻しました。東証一部では2年ぶりの民事再生法です。
消費者金融会社だから、かもしれませんが、新聞などの取扱いはかなり小さいものの、「破綻のない国ニッポン」のクレジット市場にとっては久々の大イベントです。

米国の住宅ローンに対する総量規制から始まったサブプライム騒動、そして消費者ローンに対する総量規制に端を発した今回の破綻とは、「個人の与信限度を超えたレバレッジ融資の引き揚げ」という意味において構造は同じです。

比較的個人に近い部分から順番に、風船が破裂しているということが、この数年リスクを個人に付け替えてきた金融構造そのものを象徴しているように思えてなりません。

(2007.09.18)



原油80ドルと綱渡り

ここまでの過剰流動性を支えてきたのは、一つは世界的な低金利、一つはデリバティブなど金融技術を利用したレバレッジ、もう一つが資源高による余剰資金です。

一つ目の低金利は既に2年前から始まっている欧米の金融引き締めで終了し、二つ目のレバレッジは今回のサブプライム騒動で終了しつつあります。

残りの資源高による余剰資金が、ある意味では最後の砦、別の意味では、最後まで残ってしまった地雷、といえそうです。

この余剰資金を上手く利用しながら、ソフトランディングを目指すというのが、今のベストシナリオであることは間違いないのですが、そんな難しい綱渡りを演じることができる演者の顔が見えないのが、不安なところでもあります。

(2007.09.14)



お国事情に則したオペレーション

海外の年金スポンサーなどとお話をする機会がある度に思うことがあります。

基本的に彼らは財政状況が豊かで、過剰積立の状態にあり、剰余部分を利用して、意識的にリスクをとっています。

今朝参加したコンファレンスでも、ヘッジファンドを含めたオルタナティブの利用目的は、「年金の目標利回りが国内株式の期待リターンより高いので、その利回りギャップを埋めること」という、米国の大手スポンサーの発言がありました。

米国などの年金や財団で積極的に投資されている、プライベートエクイティにしても、不動産にしても、ポータブルアルファのようなレバレッジ戦略にしても、収益の安定性や資産の流動性をある程度犠牲することが許容される財政や制度環境下で用いられているということを、認識しておいた方が良いと思います。

米国には米国の事情があり、日本には日本の事情があります。単なる物まねや追随ではなく、自分達の置かれた現状に則したオペレーションが必要だと思います。

(2007.09.13)



リレーションの大切さ

ヘッジファンド業界の人との最近の会話はいつも
「それで、どう?」から始まります。
そして、ほぼ100%の人が
「現状は大変厳しいが、将来はとても楽しみだ」
と答えます。

彼らに損失をもたらした市場は、市場の方向性ではなく市場の歪みや変動性を収益源としている彼らにとって、近年まれにみる宝の山でもあるのです。

但し、この宝を拾えるかどうかは、今ここで投資家の信頼を失わずファンドを維持できるかどうかにかかっています。

ディスクローズやリレーションの巧拙が、こうした危機的環境では予想外に影響力を発揮するものです。

(2007.09.12)



リスク

9月11日です。
以前、ニューヨークに住む友人に怖くないかとたずねたら、それより東京に住んで地震は怖くないのかと聞かれました。
リスク値としては似たようなものなのかもしれない…

(2007.09.11)



ストレステスト

今回の金融動乱を深刻に受け止めている海外のファンド関係者であっても、今の調整は98年の「深押し急反発型」であるという意見が多いようです。あくまでも金融市場内での短期的な混乱であり、実態経済に影響を与えるものではないというのが、メインシナリオです。

一方で、2002年2003年の企業会計疑惑を契機とした長期の株式下落パターンのように、問題が次々と連鎖していき、実体経済を巻き込みながら、ダラダラ下がるというのが今のリスクシナリオです。

これまでは、メイン80%、リスク20%、ぐらいの比率でのシナリオ構成だったものが、金曜日の雇用統計をきっかけに、ややリスクシナリオのウェイトが上がってきているように見えます。

最悪のストレステストは、90年の日本での不動産バブルの崩壊ですが、さすがにここまで考えているのは、トラウマを持っている一部の日本人だけかもしれません。

いずれにせよ幾つかのシナリオを想定してのストレステストを試してみることをお勧めします。

(2007.09.10)



しばし鏡をみる

先日20年前の同僚と久々に会って、「昔は華奢でかわいいって感じだったよね。」と言われ…思わず家に帰って鏡を見る。

華奢でなくなったのは仕方がない、
として、確かに最近表情が険しいかもしれない、と反省してみる。

「だって、いろいろなことが起きるから」と市場環境のせいにしてみる。
「だって、イラつくことが多いから」と運用機関のせいにしてみる。

最近流行の「顔ヨガ」でもしてみますか。

(2007.09.07)



キャパを超えた

サブプライムの借り手保護発言や、突然のイラク電撃訪問やらと、来年の大統領選挙に向けてのリップサービスに奔走するブッシュ政権。
一方、与野党入り乱れてのスキャンダル暴露合戦で、政策どころではない安倍政権。

いずれにしても、求心力を既に失っている政権にとって、今の金融経済の混迷は、管理不能、キャパシティオーバー。

政治家を期待せずどこまで自力で切り抜けられるか、金融界には試練の時です。

政治家にお願いしたいのは、よけいなコメントをしないこと。だたそれだけです。

(2007.09.06)



年金行政のダッチロール

年金問題を見ていて、この数年の年金関連政策というかストラテジーが完全に失敗したのだろうと、感じています。

誰が、とはいいませんが、数年前の年金未納問題を契機に、「公的年金は当てにならないから、自助努力で頑張りましょう」という世論形成が意図的に行われていた時期がありました。小泉政権下での国を挙げてのリストラ政策に沿った形での、公的年金縮小論です。

それが日本での株式ミニバブルが崩壊した昨年初頭あたりから、世論の風向きが「当てになる年金制度を作れ」に明らかに変化してきます。公的年金縮小路線は一旦完全に失敗したようにみえます。

公的年金縮小路線下で、現在の公的年金制度の欠陥や社会保険庁の怠慢を、政府自らがさんざん流布してしまった後になって、制度の信頼を取り戻すのは、大変な作業です。

この数年の年金ストラテジーの失敗を今後どのように修正していくのか。ダッチロールはまだまだ続きそうな予感がします。

(2007.09.05)



発展後退国の株式市場

8月を〆てみて、結局米国株式はプラスだった。ドイツもプラスだった。たいしたものだと、ただ感心するばかり。

もちろん先進国株式は7月に先行して下げており、8月はそれが新興国や商品市場に飛び火した、という見方もできます。

日本は、というと、先進国が下げると一緒に下げるし、新興国が下げても一緒に下げる。できればどちらかにして欲しい。

ちなみに、当社の社長の最近の口癖は、「日本は発展後退国」。

なんだか真実味がでてきて嫌な感じです。

(2007.09.04)



潜在リスク

揚げ足を取るつもりはありませんが。

今日の日経新聞の日経フォーラム世界経営者会議の見開き見出しを見て、苦笑してしまいました。
「潜在リスクを恐れず新たな成長に挑む」
今、このタイミングでこの見出しはありえないでしょう。

来るとわかっている損害や危険は、リスクではありません。避けるべき単なる障害物です。
一方、今、目に見えていない潜在リスクは、環境のよいときはどんどん地下に潜ります。それを如何に探知して管理していくかが、リスク管理の本質です。

潜在リスクは恐れなくてはダメです。潜在リスクを認識し、それを恐れるからこそ、リスクを管理した持続的な成長が存在するのです。

金融市場の混乱を他人事とは思わず、社会全体が今のこの痛みから何かを学んで欲しいと思っています。

(2007.09.03)


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