2008年05月の思いつき


上げるのは難し?

今後の景気を考える上での極々素朴な疑問として。

物価が上がったら賃金も上がるのだろうか?
消費税が上がったら賃金も上がるのだろうか?

今の日本を見る限り、上がりそうもないです。と言うか、どのような循環が起きれば、賃金が上昇するのか全く見えない。

少なくとも、物価が下がったこの10年、賃金は下がりました。

下げるのは易し、上げるのは難し?

(2008.05.30)



離れたか離れないか

昨年の7月以降、米国金融機関の信用力と米国株式市場の値動きは、ほぼパラレルに動いてきました。

グラフで確認できるように、3月のベアーショックを契機に、両者が復活してきているのがわかります。

さてこの数日、信用市場での値動きがやや怪しくなってきました。
損失の計上期限である6月末に向け、あらたな資本不足の噂が取りざたされるようになっているからです。

株式市場が、金融離れをしているのかどうか、まだ定かではありません。グラフの黒のラインの先行性に、やや注意が必要です。


(2008.05.29)



海外視察は体力気力

来週半ばから、再び海外出張に出ます。別の担当者は今欧州に出張中です。

最近、海外視察の頻度が社として増えています。

市場環境の変動が激しいため、情報収集が必要であるというのも一因ではありますが、運用機関やファンドの東京ベースでの情報提供力に疑問を感じるケースが増えているのも事実です。

収益の結果や過去の投資行動だけを報告していれば済んでいる「平時」であれば気にならないようなスタッフの質であっても、今のような「異常時」には機能不全を起してしまうケースも見受けられます。

それを補うのが我々コンサルタントの役割だと言われてしまえばそれまでなのですが、体力と気力の消耗の激しい昨今ではあります。

(2008.05.28)



不動産ファンド会社の破綻

グローバンスという不動産ファンド会社が、民事再生法を申請しました。運用総額952億円と、規模は大きくありませんが、純粋な不動産ファンド会社の破綻という意味において、インパクトの強い事象です。

不動産ファンドの銀行借入に関わる不透明感を、6月危機という人もいます。
実際、グローバンス社のプレスを見ると、3月に組成予定のファンドにノンリコースローンが付かず、自社資金で対応しようとしたものの、6月の調達も不首尾に終わり、自力再生を断念した、という表現になっています。

これがグローバンス一社の問題なのか、氷山の一角なのかは定かではありません。
不動産ファンドの資金調達という地雷が、杞憂ではないということを、不幸にも露呈してしまいました。

(2008.05.27)



国民の声

後期高齢者医療制度以前に問題になっていた、療養病床削減目標が撤廃されることになる、と毎日新聞が報じています。

前回の山口補選での大敗以降、自民党の高齢者シフトが明確化しています。

選挙が政策にこれだけ大きな影響を与えるようになっているという事実を、政治家だけでなく、我々国民も再認識する必要がありそうです。

声が届くということは、それだけ責任も負うということです。
日本の将来について、一人一人が考える時期が来ているということではないでしょうか。

(2008.05.26)



素朴な疑問

原油価格が130ドルの世界と、原油価格30ドルの世界と、景色が変わらないことが不思議に思います。

例えば、原油価格が11ドル台だった1998年から99年、日本のレギュラーガソリンの全国平均は90円から93円でした。

今、原油価格が10倍以上になり、ガソリン価格は2倍弱。

理屈はよくわかりませんが、やっぱり不思議です。

以前の価格が不当に高かったのか、今が安すぎるのか?
企業努力の賜物か、どこかにしわ寄せが来ているのか?

どちらにしても、経済が吸収できる臨界点を超えるのは時間の問題です。


(2008.05.23)



PEの評価替え

最近、ファンド関連のニュースの中に、プライベートエクイティなど未上場資産の評価替えに伴う損失、という話題が目に付くようになりました。

この3月期から米国で適用された会計基準厳格化(SFAS157)により、これらの未上場資産の評価値を「出口価格」つまり売却可能価格に、置き換えたからといわれています。

米国の金融機関の多くは既にこの作業を終え、償却が終わった資産については外部に売却を始めているようですし、上場ファンドや米国投資家を対象としているファンドでも、評価価格の見直しが進んでいるようです。

年金などの長期投資家にとって、PEなど未上場資産への投資は、短期的な時価評価の対象とならないことも、そのメリットの一つであったと思われます。いわゆる企業再生ファンドが兆円単位で集めた投資資金の多くが、こうした時価評価を望まない性格の資金であった可能性があります。

今回の米国における会計基準の厳格化が、ファンドの投資行動や資金調達に与える影響は、決して小さくはないと感じています。

(2008.05.22)



警告再び

ここに来て、各国の中央銀行関係者や、研究機関、有名投資家、などから、市場に対する警告が目立つようになりました。

金融危機は終わっていない。
経済の減速はこれから。
商品バブルはそろそろ終わる。

振り返ると、昨年の4-6月期も、サブプライム問題の兆候があったにも関わらず継続した異様な強気相場に、多くの人が警告をしていました。

ファンダメンタルズ指標を無視した相場の跳ね返りで大怪我を繰り返すのは、馬鹿馬鹿しいことです。

(2008.05.21)



官吏

高橋洋一さんの『さらば財務省(講談社)』を読んでみました。

内容は特別目新しいものではありません。
ただ、読んでいて、「官吏」という古い言葉を思い出しました。

以前お目にかかった時も思ったのですが、この方は本当に役人らしい役人、というかプロフェッショナルな役人としての役割というものを意識している人です。

自らが主体者となるのではなく、治世者や究極の上司である「国民」が求める「政(まつりごと)」を実行するために必要な作業を、愚直に徹底して行って来た様子が、著書からも読み取れます。

こうしたプロフェッショナルな人材を使いこなしたという意味において、小泉-竹中ラインというのは、見事だったといえるかもしれません。
政策が正しかったかどうかは別として、政治家と官僚の本来あるべき姿が、この本には書かれているように感じました。

(2008.05.20)



ジグザグ

各運用機関による、今年度の株価見通しは、年前半弱含み、後半から回復、というもので足並みが揃っているようです。

各社足並みが揃うと当たらないというのは定石であって、株式水準はほぼ各社の年度高値近辺に到達してしまいました。

見通しの狂いの源泉は、1-3月の金融危機を甘く見ていたところに端を発しています。
1-3月の未曾有のパニックがあったからこそ、金融システム破綻が起きなかったことに対する巻き戻しが起きているのです。
1-3月の震度を軽く見ていると、4-5月の揺り戻しを想定することはできません。

1-3月のパニックと4-5月の揺り戻しは収益的には相殺です。日本以外の市場では、6月までで年度の半分が終わってしまいます。
あと半年、資源だけで相場が持つと思っている人は少ないでしょう。3月までのパニック局面で安値を買った人には、よい売り場に見えるかもしれません。

今年の相場、上も下も追っかけてはダメです。

(2008.05.19)



記憶

中国の地震報道でミャンマーの水害についての報道がほとんど見られなくなりました。

重要度は異なりますが、暫定税率騒ぎで日銀の副総裁が決まっていないことを誰も気にしなくなりました。

ちなみに株価は上昇中ですが、サブプライム関連損失で「危機的」という見出しがつく金融機関がなくなったわけではありません。

この常に新しい刺激に興味が移っていく「飽きっぽい」我々の習性こそ、人類の進歩の源泉であり、一方で同じ過ちを何度でも繰り返す原因でもあります。

忘れることは大切です。でも忘れてはいけないことを取捨選択するということはもっと大切です。

(2008.05.16)



ぼんやり

この一ヶ月、何とはなしに体調が悪く、ぼんやりとした毎日を送っています。

明らかに感度が落ちているという自覚の中、何か大切なことを見落としていないか、誰かに迷惑をかけていないか、ひどく心配になってきました。

今日東京は久々の青空です。
雨上がりのすっきりとした空気を吸っていたら、眠っていた脳みそがようやく少し動き始めた気がします…

(2008.05.15)



家事労働の対価と介護保険制度

アメリカの研究機関の調査では、家庭の家事労働の対価は年収1千万円以上に相当するという計算になるそうです。
それほど家事労働というものは、体力的精神的負担の大きなものです。
ましてや介護の必要な同居者を抱えての家事労働がどれだけ大変なものかを想像することはそれほど難しいことではないでしょう。

介護保険制度の改革議論において、いつもいつも「家事援助」が槍玉に上げられます。前回の改正で介護ヘルパーの受取単価も家事援助部分については引下げられました。身体介護に比べ家事援助は専門技術が必要なく、また重要性も低いから労働単価は安くていい、という発想は根本的に間違っています。

同居家族がいる場合、原則として家事援助を受けることは出来ません。たとえ同居者が高齢でも、外で働いていてもです。家事と介護の両立に耐えられない家族は結局自宅介護をを諦め施設を利用せざるを得なくなります。

つまるところ、施設建設という箱物行政に戻りたいだけなのではないかと、勘繰りたくなるほど、介護保険を巡る行政の発想は貧困です。

(2008.05.14)



地銀の再編

山形県の荘内銀行と秋田県の北都銀行との統合計画について報道されていました。

そういえば、1994年に当時の德陽シティ(宮城)・北日本銀行(岩手)・殖産銀行(山形)の3行が、県境を越えた大合併を模索したものの、結局折り合いが付かず流れたことを思い出します。

県経済の規模が拡大しないなか、地方金融機関の土台を「県」から「地域」に拡大して生き残りを図るという考え方は、当時から模索されつつも、結局は今まで実現することはなかったということです。

地域金融機関の再編は、ようやくこれから本番を迎えます。

(2008.05.13)



姿勢

満員電車に乗っている女の子、どうしてあんなに不機嫌そうな顔をしているのだろう?

背広の肩を落としたおじさま方、どうしてあんなに怯えた顔をしているのだろう?

なんだか最近皆姿勢が悪い。顔色暗い。

携帯電話ばかりをみているから視線が下がってる?

背筋を伸ばして顔は前!

少し姿勢をよくするだけで世の中の景色が変わりますよ。

(2008.05.12)



頼り無げな語尾…

3月の大津波と4月の打ち返しを越えて、株式市場の波はようやく収まってきたように見えます。

少なくとも1日で2%も乱高下するような市場環境からはようやく解放されたと思いたいです。

金融機関の機能不全が実体経済に与える影響はこれからですし、商品市況の高騰という時限爆弾をも抱えています。

それでも、もう3月のような恐ろしい思いをすることはないに違いない、と運用者も投資家も経営者も、そして私も信じています。

思っています…信じています…そして祈っています…?

(2008.05.09)



ヘッジファンドだけが悪いのか?

数字の裏づけはありませんが、ヘッジファンド各社と話している限り、海外の年金基金など長期投資家のヘッジファンドに対する需要は、この史上最悪の1-3月を超えても落ちていないようです。

もちろん個別には破綻したファンドもありますし、二桁マイナスとなっている戦略もありますが、戦略を分散したファンドオブファンズでみれば1-3月でおおよそ5%内外のマイナスです。

海外投資家の多くがヘッジファンドを株式戦略の一部、もしくは独立した一資産として組入れており、10%近いマイナスとなった株式投資よりも損失が限定していると評価しているのでしょう。

一方日本の年金基金をみると、ヘッジファンドを債券の代替としているところが多いこと、またファンドオブヘッジファンズの凍結、という常識的にはありえないイベントに遭遇してしまったこともあり、痛みを感じているスポンサーが多いように見えます。

絶対収益を目指すヘッジファンドであっても、所詮なんらかのリスクを取っているからリターンが出ます。得もすれば損もします。償還日になれば100円で返ってくる債券とはリスク特性は全く異なります。あるはずの収益のボラティリティを意図的になくそうとするから、凍結するようなファンドオブファンズができてしまうのです。

一つの戦略、一つのファンド、が悪いからといって、全てを止めてしまうのはとても勿体ないことです。

(2008.05.08)



幸福度の低下?

花を大量に切り捨てたり、街のオブジェを破壊したり、というニュースを聞くたびに、80年代後半意味もなく公衆電話が破壊されていたフランスのパリや、90年代の初頭悪名高きニューヨークの地下鉄の光景を思い出します。

人の幸福度が経済的満足度だけに左右されるというつもりはありませんが、景気が回復した後のパリやニューヨークの治安は見違えるほど改善しました。

もちろん、今の日本には、歩いているだけで手の平に汗が滲むような当時のパリやNYほどの緊張感はありませんし、経済的にみても当時の欧州や財政危機に瀕していたニューヨークよりよほど豊かでしょう。

それでも、人々の幸福度がどこかで落ちてきているという現実が、社会のあちらこちらに垣間見られます。
単に国民が贅沢なだけだと言ってしまえば元も子もありませんが、破壊された花壇が指し示す将来が少し心配でもあります。

(2008.05.07)



暑いです

札幌にいます。
暑いです。
26℃です。
スーツで仕事している場合ではありません。

と、言う事で 本日の思いつきはお休みです。


(2008.05.02)



バターの謎

世界的に一次産品高騰が続く中、店頭からバターが消えたといわれても、変に納得してしまうのですが、よく考えるとおかしい。
コーン油で作っているマーガリンじゃあるまいし、牛乳で作るバターが何故なくなるのか?

ロシアなどで乳製品の消費が増えているというのも一因ではあるようですが、結局のところ数年前に日本で牛乳が売れなくなった時、乳牛の数を減らすような減産政策をとった国の失敗、という解説が一番最もらしく聞こえます。

まぁ、バターの場合は、牛の餌代も上がっていますし、便乗とは言いませんが、これからしばらくは、値上げムードに乗っかった便乗組が、あちらこちらに出没しそうです。

消費者は賢くならなければいけません。

(2008.05.01)


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