2009年01月の思いつき


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株式市場というものは良くも悪くもテーマがないと動きません。

国が株式市場をてこ入れしたければ、テーマ性のはっきりした税金投入で株式市場に種火を作ることが有効です。黄昏時の1990年代に突然「情報ハイウェイ」を掲げたり、石油危機への恐怖感がまだ記憶に残る今「環境投資」を掲げる、米国のテーマ型公共投資は大変見事です。

上手く着火さえすれば、市場は勝手に燃えるので、政府支出は想定より少なくてすむかもしれません。

日本のテーマは何なのか?米国追随で環境というのが無難な線ではありますが…

(2009.01.30)



男性の職場。女性の職場

病院で、男性の看護師さんの看護する様子を見る機会があり、失礼ながら想定外に適職だと感じました。

男性患者さんからすると、遠慮や気恥ずかしさがない、というのもメリットですし、体格の良い患者さんの看護には腕力も必要です。

どうせなら若い女性に看護してもらいたい~、という話は横に置いておいて、現実的には男性は男性が、女性は女性が介護や看護をするのが自然です。

看護や介護という仕事についているだけで、なんとなく良い人に見られる、という役得もあることですし、男性の職場として看護や介護業界がもっと有効になるとよいと思います。

不況であろうと好況であろうと人口減少という現実は変わりません。仕事に対する先入観をドンドン取り払うことで、日本の限られた人材をもっと有効に活用できるのだと感じています。

(2009.01.29)



いざ3月越え

国や日銀がCPや社債を担保に民間に資金を提供することの意義や意味がもう1つ見えにくいです。

CPや社債を発行しているのは日本の場合はほとんど大企業に限られています。

主要銀行が系列の大企業の資金繰りに応じることで、中小企業への融資余力がなくなることがないよう、大企業については日銀などが信用補完をしましょう、というのが表向きのロジックでしょう。

一方で唐突に担保対象となったREIT債券のように特定の業種に対する極めて強い危機感も見え隠れします。

いずれにせよ、3月末越に向けて国内市場の緊張感が相当に高まっているということでしょう。

(2009.01.28)



トレンドフォロー

昨年の成績が比較的よかったために、今運用機関からの売込みが急増しているCTAやマネージドフューチャーズ。

これらの先物プログラム売買の主流は、トレンドフォローと呼ばれる順張りプログラムです。上昇傾向の継続している指数は買い続け、下落傾向の継続している指数は売り続ける、というものです。

プログラムの中には逆張り系も含まれていますが、この半年の勝率をみると順張りが圧倒的優位であったため、プログラム上の順張りウェイトは増加していると見られます。

昨年末でこうした運用手法の預り資産残高は約8兆円。先物取引ですから実際のエクスポージャーは軽く10倍以上となるでしょう。

年金などの機関投資家資金がCTAに投資すればするほど、短期的にみれば市場の下落圧力になる可能性は否定できません。

中長期で見れば悪い商品だとは思いませんが、行き場の失った投資資金を皆で大量に振り向けるような戦略ではないでしょう。

(2009.01.27)



セミナー御礼と今後半年

先週末のセミナーには、四半期前のお忙しい中、多数の方々にご出席いただきました。ありがとうございました。

あまりに話している内容が暗いので、話し終わってからやや自分自身も落ち込んでしまいました。
もう少し楽しいセミナーができる環境に早くなって欲しいと、切に感じた一日でした。

2007年米国バーニーズの買収でファーストリテイリングと争ったドバイの投資家が、バーニーズを半値以下で手放す、との報道に象徴されるように、金融損失はサブプライムで痛んだ金融機関から、サブプライムショック後に投資を開始した「最終投資家」へ移動をしています。ここから3月までは、こうした最終投資家の処分売りと決算等への影響が一つの注目点となるでしょう。

今損失が発生していない戦略や、損失が軽微な戦略が、後半年無傷であり続けるということに多大な期待を持つのは、今の段階では非常に危険です。まだまだ何が起きるか判らない、ということを前提とした、ポートフォリオ構築に専心するしかないと考えています。

(2009.01.26)



無理をしない

本日、年金スポンサー向けの定例セミナーを開催します。

この半年の投資環境は「何をしていたから損をした」とか「誰が運用していたから損をした」といった次元ではありませんでした。

世界で一番安全な資産であると言われていた、米国短期国債を買っていたとしても、多くの国では為替差損で大損をしたように、「何をしていても、誰に預けていても、損をした」という異常な環境でした。

これからの投資戦略を考える際、この半年で起きた現実をまず認識する必要があります。そのマグニチュードを理解しないまま来年度の投資戦略を決めるのは大変危険なことです。

「話の内容が暗すぎる」というお叱りを受けてきた過去2年ではありますが、舵取りを変えるのは、もう少し先になりそうです。

(2009.01.23)



新聞の見方

中国国務院が20日に発表した「2008年中国国防白書」について、マスコミ各社の見出しの付け方における「バラツキの高さ」には興味深いものがあります。

「中国の軍備拡張、警戒感消せず 透明化アピールするも-共同」
「中国国防白書に国際社会が注目-朝日」
「中国:米の台湾への武器供与批判-毎日」
「中国が国防白書公表 日本警戒の表現消える-中日」
「中国軍「海洋や宇宙に拡大」、海軍力を強化-日経」
「「強大な海軍力を建設」 中国、国防白書で増強強調-産経」

チャイナ系ネットではいきなりこうなります。
「中国は永遠に軍事拡張しない -サーチナニュース」

ふぅ~~~ん。
どうとでも取れる内容だったということでしょうか?

(2009.01.22)



今日ぐらいは明るい話を…

オバマ大統領のご祝儀気分を、金融機関の決算が吹き飛ばしているこの数日です。

昨年の10-12月期は、サブプライムショック勃発来の過去2年分の損失を、一気に3ヶ月で計上したぐらいのインパクトがあります。

金融機関の決算が悲惨なのは、ある程度は想定の範囲内でしょう。

米国株式市場を見ていても、金融株は売り込まれていますが、一般事業法人の株価は比較的堅調です。

指数はどうしても金融株に引きずられる傾向があるのでしかたありませんが、株価の下げ幅ほどセンチメントが悪いわけではないように思います。

これ以上新たな悪材料がでてこないことを、新大統領と共に祈りたいと思います。

(2009.01.21)



SRI国債投資?

ロイターによれば、

フランスの国防相は年頭の演説で、2008年の武器輸出契約額が63億ユーロとなり、目標の60億ユーロを上回ったことを明らかにし、さらに「2009年はさらによくしたい。わが国は英国と肩を並べられると保証できる」と述べた。
英国は2007年の武器売却額が190億ドルと世界1位となり、世界の武器輸出の3分の1を占めた。

『こういった国々の国債を買わない』というのはSRI投資の中にはないのだろうか?

(2009.01.20)



結末のシナリオは?

昨年の2月の当社のセミナーで、プリンストン大学のブラインダ-教授は、不良債権買取機構が必要になるだろうが、国民のコンセンサスをとるのは難しく、まだ政策立案のまな板に乗っていない、とおっしゃいました。

昨年の夏、別の米国政策アナリストの方は、不良債権買取機構の設立に国民のコンセンサスが得られのにはあと4・5年が必要なのではないか、とおっしゃいました。

現在、米国だけでなく英国でも不良債権買取機構が現実化しつつあります。

想定外に早い政策対応は、昨年9月のリーマン破綻以降の金融経済の劣化が如何に激烈であったかの証でもあります。

不良債権を国が直接買い取ってしまえば、残された処方箋は金融機関の一斉国有化しかありません。

良いも悪いも時計の針は五倍速で回り続けています。
ハッピーエンドかどうかは別として結末はもうすぐそこにきています。

(2009.01.19)



チェンジ

ヘッジファンド業界の今後がどうなるかは、現在の資金フローの凍結の解除が始まる3月以降にならないとはっきりしたことはわかりません。

ただ一つ言えることは、おそらく5年ぐらい前の業界の姿に規模も手法も限りなく近づいたところからの再出発になるということでしょう。

レバレッジやデリバティブへの過度の依存がなくなる、という意味だけではなく、本来ヘッジファンドが持っていた「ロックアップ」や「解約制限」といった投資家にとって「不自由な性格」も復活するということです。

債券替りでも、ましてや預金替りでもなく、ある程度のレバレッジや流動性や時にはファンドの清算というリスクを負っているということを承知の上で参加する賢い投資家だけの市場に戻るのだと思います。

これまでのように気楽に誰でも参加できる市場ではなくなるかもしれませんが、年金資金のようにじっくり賢く参加する投資家にとっては、却って落ち着いた良い市場に生まれ変わってくれるのだと考えています。

(2009.01.16)



インフラファンドに火種???

昨年から破綻の危機が報じられてきた、米国のジェファーソン郡というところがいよいよ法的手続きに入る、との報道があります。

水道事業関連事業で発行した債券の利払いができないということが直接的な引金のようです。

ところで、話は飛びますが、プライベートエクイティ投資の一部に道路や水道や電力ガスなどの公共事業セクターに投資する「インフラファンド」というものがあります。通常のPEが株式の再上場などを出口として投資するのに対し、インフラファンドの場合は投資先の公共施設からの「安定的で確実」なキャッシュフローが主要な投資目的です。

今の世の中、「安定・確実」という言葉の賞味期限のなんと短いことか…

(2009.01.15)



機 敏

今回の2兆円の定額給付金騒動は、政策のタイミングとアナウンスというものがいかに大切で恐ろしいものか、ということを如実にあらわした事件となりました。

昨年の秋に、アメリカ式の「消費刺激策」としての「バラマキ」として即時実行されていれば、年末の個人消費に少なからずプラス効果も期待でき、政争の具ともされなかったことでしょう。

それを、消費刺激策ではなく、貧困者対策にしてしまったボタンの掛け違いが、麻生政権の死活問題にまで広がっています。

ここまで心理的な景況感が悪化する前であれば、インパクトのあった2兆円が、タイミングがずれたことで、焼け石に水の2兆円になってしまいました。

政策というものは、それが正しいかどうか、ではなく、そのタイミングが正しいか、その意図が如何に市場に伝わるか次第で、簡単に愚策になってしまうものだということです。
金融政策を含め「機を見て敏」というのは本当に大事なのだと実感します。

(2009.01.14)



確定拠出と株価対策

一部の新聞に、確定拠出年金で個人マッチングを解禁する、との観測記事が出ていました。「株価対策」として期待される、というコメント付でしたが。

確定拠出年金の個人積立と個人で行う投資信託投資との違いは、基本的には税制だけです。

確定拠出年金は年金という制度上の括りの中で、60歳まで引き出しができない代わりに、税制上の特典を受けます。

一般的な投資信託と比べ品揃えが少ない一方で、運用報酬などの手数料は一般的な投資信託並にとられます。

もともと株式市場における個人投資家比率が高かった米国においては、税制上の優遇措置が個人投資家の投資行動に大きな意味を与えたかもしれませんが、今の日本の個人投資家にとって税制が投資行動にどれほどの影響を与えるかは未知数です。

確定拠出年金を自社株買いに誘導することが禁じ手である現状において、個人マッチングの解禁がどれほどの株価対策になるのかはかなり疑問だといえそうです。

(2009.01.13)



民の声

忘年会や新年会でご一緒させていただいた皆様の思いを代弁させていただくと…

「今のマスコミ!特にテレビ!特に情報とか報道とか言っている番組!そこのキャスター!ひどすぎる!!!」

物事には理由があり、過程があり、結果があります。結果だけ見て揚足をとるのが報道なのであれば、テレビじゃなくてネットのブログで充分です。

視聴者の不満の代弁者を気取っているのかもしれませんが、的外れな批判が却って視聴者の世間に対する不平不満を増幅させています。

このままでは、マスコミによって日本は滅びてしまうのではないか、という意見は少数派ではありません。

それに乗っかっている軽い政治家、論外です。

(2009.01.09)



胸突き八丁?

今回の景気の山は2007年の10月と認定されました。

昨年の9月以降急激に悪化したかのように言われている景気ですが、減速期に入ってから既に13ヶ月が経過したことになります。

2008年の株式市場の下落は、リーマンショックに代表される金融危機だけが原因なのではなく、米国の住宅バブル崩壊をきっかけとして始まった世界的な景気循環サイクルに伴う修正に過ぎなかったといえるのかもしれません。

時間的経過だけをみれば、景気後退ももう半ば。
温存してきた体力も尽きかけて、今が一番苦しい時かもしれません。

我が国の場合、頼みの綱の給水所が蜃気楼のように揺らいで見えるのは、気のせいでしょうか?

(2009.01.08)



今年のリスク

今年最大のリスクが「景気」ではなく「紛争」になることを懸念しています。

経済構造の大きな変革期で生じた新興国のひずみが、今回の景気後退で起きる地殻変動の影響をどう受けるかが、最大の火種でしょう。

国内の鬱憤の捌け口として、対外的な強圧政策に出ているロシアのような国が、増えてくることも怖いですが、それで国内が押さえきれなくなった状況の方がもっと怖いかもしれません。

「原油を上げるには戦争、景気浮揚には戦争」などという時代遅れの都市伝説を吹聴するつもりは毛頭ありませんが、非常にきな臭い年明けではあります。

(2009.01.07)



あまのじゃく?

新年恒例の各社各人の株式市場予想のほぼ100%が、1-3月安値で12月高値、となっていることに、かなりの違和感を覚えます。

根っからの天邪鬼、というわけではないのですが、当社の予想はその対極で、1-3月高値で年後半にかけて崩れる、というシナリオです。

オバマさん就任と新経済対策効果で一旦大きく反発した後、特に日本国内については周回遅れの悪材料を織り込みにいくダラダラした展開を予想します。

年金スポンサー様にとっては、「とにかく3月末」ということになります。問題はオバマ効果が3月末まで持つかどうかでしょう。2月高値では元も子もありません。オバマさんに政策を出し惜しみしてもらって、何とか3月末高値、というのは甘い初夢でしょうか。

(2009.01.06)



積極果敢に、パワフルに!

新年あけましておめでとうございます。

東京は、雲ひとつない、とても穏やかな三が日でした。

当社ではこの一年、「積極果敢に、パワフルに!」をモットーに、
「一つ一つ丁寧な」仕事をしていきたいと思っております。

悲観的になりすぎず、楽観的になりすぎず、適時の一手を分析していきます。

本年が皆様にとって、少しでも健やかな一年となりますよう、社員一同誠心誠意努力していく所存でございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

(2009.01.05)


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