2009年09月の思いつき


一週間留守にします…

本日より一週間海外出張となります。

株式市場と実体経済とに、ギャップがあるのかないのかを確認する旅になりそうです。

思いつきも不定期更新となります…
では行ってきます♪

(2009.09.30)



ついに…

とうとう、というべきか、やはり、というべきか、大手私募不動産ファンドでノンリコースローンの借り換えが出来ないという事態が発生してしまいました。

私募不動産ファンドという仕組みが、ノンリコースローンでレバレッジをかけた証券化商品であり、最終投資家が保有しているのは最も弁済順位の低いエクイティ部分である、ということの本当の意味が、これから明らかになっていくことでしょう。

特に日本の私募不動産ファンドの多くが2005年から2007年ぐらいまでの不動産市況の回復局面で組成されています。取得価格だけでなく設定されている賃料も強気で試算されているものが目に付きます。

今後かなり頭の痛い状況が想定されます。

(2009.09.29)



パンドラの箱

小泉政権が出来て、官僚とのつながりの強いいわゆる族議員の力が減退した途端、霞ヶ関の様々な問題が表ざたになり始めたように見えました。

そして今、民主党政権に変わり従来の財界金融との関係が見直され始めた途端、問題企業のスクラップが始まったように見えます。

これまで巨大な圧力を掛けて閉じ込めてきたパンドラの箱から出てきそうな問題企業は、金融業界を含めまだまだ沢山ありそうです。

一旦膿を出すと決めたのであれば、中途半端なことは無用です。
出口戦略を考え始めた他国経済にはかなり乗り遅れることになりますが、ここはあせらず経済界全体のリストラクチャリングをするしかないかもしれません。

長期的には良い傾向だと思っていますが、短期的にはそうとう厳しい経済環境を覚悟する必要がありそうです。

(2009.09.28)



シャッター通りとJAL

話題のJALに乗って地方都市にきました。駅前から少し離れた凄まじいばかりのシャッター通りを歩きながら、今乗ってきた飛行機が廃便になることを想像しています。

郵政の民営化を停止し、政策投資銀行は実質政府の出先機関に戻った今、JALを国有化することに違和感はありません。

公共機関として、採算性に目をつぶった議論も時には必要なのではないかと感じています…

(2009.09.25)



再び債権放棄?

事業再生ADRとか、私的整理とか、聞きなれない言葉が行き交うようになりました。

日本のバブル処理の際頻発した「銀行団による債権放棄」を、「法律に則って公然と行うこと」などという簡単な整理ではいけないのかどうかよくわからないのですが。

返済猶予ではなく、債務減免になると、株主責任を問われることになるのが、単なる債権放棄と大きく異なることかもしれません。

公募債券については今のところ放棄や猶予の対象にはならないようですが、よくわかりません。

国内クレジット市場はまた波乱の四半期末を迎えています。

(2009.09.24)



ヘッドラインリスク再び

アイフルが私的整理に入り、そのほか色々あり、ある程度予想されていたとはいえ、この9月越えは厳しい環境となりそうです。

3月末は悪化度合いが急過ぎたこともあり、政府支援もあり、各々どうにかつないで来たものの、半年経ってそれら企業を取り巻く環境はむしろ悪化してしまったようです。

米国では商業用不動産市況の悪化による地方銀行の破綻が止らず、英国では大手銀行の健全性が問題視されポンドが急落しています。

誰も彼もが消滅してしまうような恐怖のステージから半年が経ち、生き残れるもの、淘汰されるもの、の選別のステージに移りつつあります。

久々にヘッドラインリスクを気にする日々が復活しています。

(2009.09.18)



一次世代の失敗

野村がハウステンボスから撤退するという報道があります。

1990年代後半から始まった日本のファンド第一次世代は、企業再生、ベンチャー、不動産を問わず、かなり厳しい幕切れを迎えつつあります。
全てを昨年度の金融危機の責任にするのは、いささかむしが良すぎる気がしています。

一次世代の失敗から何を学ぶのか。日本のプライベートファンドの本当のスタートはこれからです。

(2009.09.17)



金融はおまけ?

大蔵省が財務省と金融庁に分かれて以来、金融行政がどうも片手間に扱われているように思えてなりません。

自民党時代の行革担当大臣との兼務もいかがなものかと思っていたところ、今度は郵政・金融というパッケージになりました。行革との組み合わせよりは有意かもしれませんが、どう見ても郵政問題のおまけのように映ります。

もちろん下手に金融に力の入った人が大臣となって、日本を金融立国にするなどという寝言をいうよりはましかもしれませんが、問題山積みの我が国の金融市場で今後それなりのイベントが発生した際、片手間大臣がきちんと取り仕切れるのか非常に不安です。

結局のところ、何かあれば日銀が何とかしてくれるとでも思っているのであれば政治主導の掛け声もなんとやらです。

(2009.09.16)



回遊水槽

リーマン破綻から1年が経ちました。長い長い一年でした。

金融業界が何も変わっていないかのように言われますが、もちろんそんなことはなく、従来のビジネスモデルの多くはバブル崩壊とともに霧散した一年となりました。

金融業というものはマグロのようなもので、とにかく動き回らない限り死んでしまいます。どんな時代でも、どんな環境でも、常に貪欲に餌を求め前進し続けるしかない生き物です。だからこそあれほどのショックを受けた後でも立ち止まることはしないし出来ないのです。

逆に言えば、金融業というものは常に暴走します。自らブレーキを掛けるということは絶対にありません。そういう生き物と上手く共存をしていくためには、やはり彼らの暴走を阻止し、万が一の事故に巻き込まれないための「囲い」が必要なのだろうと思います。

広大な海原でしか生きられないと思われてきたマグロでも、回遊さえできれば水族館でも生きていかれます。
リーマンショック以降起きている金融市場への規制強化の流れは、金融業を窒息させることのない巨大な巨大な水槽を作ろうという壮大な試みでもあります。

金融界に自戒や自制を求めることはナンセンスです。この1年のような思いをもう二度と経験したくないと世界経済が強く思うのであれば、頑丈で巨大な水槽作りに各国が協力していくしかないのでしょう。

(2009.09.15)



航空サービスどこへ行く

わかりません。本当に見えません。日本航空をどうしたいのか?というより、この国の航空サービスをどうしたいのか?

一時代前、経営が危ぶまれていた時代、ノースワーストと呼ばれた米国機には絶対に乗りたくない、と米国の友人が言っていたように、リストラモード邁進中の航空会社に乗りたい人などいません。
ここまで国が関与してきたのなら、一旦国有化して再生させる道を選んだ方がよほどましです。

採算のあわない国内路線の削減を続けるといいますが、この数年雨後の筍の如く作ってしまった地方空港はどうするつもりなのでしょう?
トラクターが走る10M道路と揶揄されたように、かもめの鳴く滑走路の姿が目に浮かびます。

まぁ、飛行機嫌いな私はひたすら地面を走ってJRに貢献するだけなのですが…

(2009.09.14)



説明力

決算代議員会のシーズンです。

複雑な弾力化措置の説明に信託や生保の数理人さんがかりだされています…

弊社内を見回しても、計算が得意な方は概してお話は下手なようで、説明する側も聞く側もかなり忍耐が必要です。

時々、非常に的確にコンパクトにまとめられる数理人さんにお目にかかることがあります。制度の理解だけでなく話術も含め勉強になります。
内容を壊さずに如何に平易に説明するかは、私達コンサルタントを含め金融サービスに携わる者の永遠の課題です。

(2009.09.11)



ほんの少しの注意

神奈川県の大学でファンド詐欺が起きたと報道されました。

本当にため息をつきながら書きますが、他人名義の口座に直接お金を振り込む、ということさえしなければ、この手のトラブルの八割方は避けられるのです。

普通の投資信託を買うには証券会社や銀行に自分名義の口座を開設します。お金は一旦その自分の口座に入金してから、投資信託や株式等の購入にあてます。このように個人や法人名義の口座を開設し資金を預かるためには、金融取引業者としての免許が必要なので、詐欺目的のスキームが成り立ちにくいのです。

ほんの少しの注意だけで避けられる被害は沢山あります。

(2009.09.10)



財政規律 その2

昨日の続きで、我々が財政の悪化というものを実感しにくい理由は、公共料金が非常に安定しているというところにあるようです。

米国では話題になっているカリフォルニアだけではなくニューヨーク州などでも財政悪化が問題になりつつあるため、地下鉄の初乗りやタバコ代などがジワジワと上昇してきているようです。

景気が悪い中、公共料金が上昇するため、心理的にはかなりの負担になると、NY在住の方は言っています。

また、こうした環境では民間だけでなく公務員セクターでも人員削減が行われるため、雇用統計では公的セクターで雇用者数も減少しているようです。

完全なセイフティネットとしての存在を要求される日本の公共サービスと、自ら支払った税金の対価としての公共サービス、という位置づけとの違いが大きいのかもしれません。

物やサービスの価格の変動への耐久性を、我々はもう少し身につけた方がよいのではないかと思っています。

(2009.09.09)



財政の話

国内から見ると現在の日本の脆弱性は「国の成長余力の無さ」に起因しているように思えますが、海外の方からみると「財政状況の悪化」が最大の問題に見えるようです。

まぁ一言で言ってしまえばグロース(成長)スタイルの切り口でも、バリュー(割安)の切り口でも、ダメ、ということになって救いようがありません。

財政の悪化が景気や株式市場に与える悪影響について、戦後全く経験が無い日本では、実際のイメージが持ちにくいのが実体です。
自らが財政破綻の危機に陥った経験のある、アメリカやフランスやイギリスからみると、今の日本はあまりに財政問題に鈍感に見えるのでしょう。

アメリカでも当面の最大課題は地方財政の破綻だというお話も聞きます。今年後半のグローバルなテーマは我々の苦手な「財政規律」の話になるかもしれません。

(2009.09.08)



食い倒れ♪

一日お休みをいただいて、ゴルフ合宿、もとい、食い倒れ中です。

それにしても、ファンドに買収されたホテルやゴルフ場の従業員が一様に不機嫌そうに見えるのは、単なる先入観でしょうか?働き手が幸せそうではないなか、経営再生は難しそうに思います…

ではまた明日。

(2009.09.07)



銀行と証券の別離

日本でいう「証券会社」というコンセプトはグローバルにはほとんど存在しません。

日本以外では主に個人を対象として証券仲介をする会社とグローバルな資本市場取引を行う会社とは別物であるからです。

日本の証券会社がモデルとしてきたのは米国のメリルリンチであったわけですが、メリルはバンカメに買収される以前から、金融コングロマリットとしての多角化が進んでいて、日本でいう総合証券会社というイメージとは乖離していました。

ある意味、世界の金融市場から見ると異色というか化石のような「日本の証券会社」というカテゴリーに、どうやら大和さんが戻ってきてしまうようです。

恐竜の絶滅を避けるためには、生存者同士で合併でもしますか???

(2009.09.04)



そんなに嫌がらなくても

オリンピック委員会の講評で都民の賛同が50%台しかないと指摘されたそうですが、なんで皆さんそんなに嫌なの?

世界中から人が来てくれるのはとてもありがたいこと。

後の始末に困るような箱物は作らないという知恵ぐらい東京都にはあるでしょう。

オリンピックに興味がないとかいう個人的な話とは別として、今の日本には少々乱暴な起爆剤が必要だとは思ってもらえない?

なんでも否定していれば気が済むような、変に醒めた厭世観が、オリンピック招致に見え隠れしていて気持ち悪いです。

とは言っても、築地の移転は私も反対ですが…

(2009.09.03)



企業会計制度に思うこと


国際会計基準IFRSの適用問題が深刻化してきました。

今回国際会計基準審議会が目指す方向性は、会計基準というものの役割付を基本的に変えるもののように思えます。

会計が企業の健全性や利益率を評価するのではなく、評価するための素材を提供するという役割に徹する、と主張しているように見えます。

例えば年金資産の時価評価にしても、会計は単に保有資産の現状を示すだけで、その現状を十年で消却しようが一年で消却しようが、事実に変化はないわけです。

ようは、その公表された素材を、投資家や与信元がどう判断するかが全てになります。例え単年度で大きな評価損失が発生したとしでも、それが合理的な理由で保有されている資産であるなら、それは許容されるべき損失で、逆に単なる評価益であるなら、足元の株価に反映すべきものではないこということになります。

会計を利用する側の専門性や見識がより重要になる一方で、企業側には、数字一つ一つに対するより明確な説明責任が問われることになるでしょう。

単年度収益が振れるから年金制度は維持出来ない、という類いの議論は、従来の会計が企業を評価してくれる、という概念に引きずられた安易で古い発想だと私は思います。

(2009.09.02)



円高は困ります!

今の日本が「円高」になって良いことはあまり見当たりません。

輸出は当然として、観光産業においても円高はダメージになります。

海外での直接投資が活発な時期であれば、円高の恩恵もありますが、各企業とも当面拡大戦略を取りそうもありません。

日本企業が割安になれば買収懸念も高まりますが、株式市場への資金流入も期待できます。
当面成長戦略が描きづらい我が国は、人もお金も外から引っ張ってくるしかないのです。
良い円高、などと悠長なことを言っている余裕はまったくありません。

(2009.09.01)


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