2010年04月の思いつき


囲碁のような政局

このところ小政党が乱立している一因は、現政権下において社民党や国民新党という小政党が、政策のキャスティングボートを握っていることと無関係ではなさそうです。

民主党が単独過半数にならない限り、民主党内の意見より連立維持のための小政党の意見を優先せざるを得なかったのが、鳩山政権のここまでの現実です。

どこの新党も、社民や国民新党の座を虎視眈々と狙っているのはあきらかですが、ここに公明党が出てくると新党の存在価値は急激に低下します。

我々有権者も、囲碁の布石を読むかの如く、捨て石にならない政党選びが求められるということかしれません。

(2010.04.30)



格付け機関のするワルサ

昨晩の金融市場を名づけるなら、ギリシャショックではなく、「S&Pショック」です。

海外でもコメントが沢山でていますが、「何故」「今」「3段階」格下げなのか?という疑問しか、頭に浮かびません。

ギリシャの債務の大きさは今更判明したわけではなく、何か新たな材料が出たわけでもありません。

唯一あるとすれば、先週末にIMF等と緊急支援の具体的協議に入ったものの、市場がそれを全くといって評価せず、ギリシャ金利の悪化が止らないことぐらいです。

市場が評価しないことをきっかけに格付けを変えるのであれば、格付け機関の存在価値などないに等しい、と思うのは私だけではありません。

サブプライムショックのきっかけが格付け機関の突然の大量格下げであったことも含め、この業態の有り様にはやはり大きな疑義を感じます。

(2010.04.28)



動かないものはそれなりに

アクティブ運用にとって、一番収益をあげにくいのは、暴騰や暴落をしている時ではなく、むしろ「動かない」時です。

市場変動幅の小さい資産は、アクティブ運用で期待できる超過収益も小さいのと同様に、同じ資産であっても、動きが活発な時は超過収益(損失もですが…)が上げやすく、動きが緩慢であると超過収益のコントロールが効き難い、という状況が生まれます。

2008年度、2009年度はとにかく、どの資産もよく動きました。プラスだったかマイナスだったかは別として、この期間の超過損益の出方は市場の振れ幅と同様に「異常」だったと認識すべきです。

そういう意味では、勝ち負けの方向性ではなく、「勝ち負けの幅」についての2008-2009年というのは、運用するほうも委託するほうも、あまり参考にはならないかもしれません。

動かなくなった市場においては、超過収益も「それなりの」期待値しかないという原則を、投資家も運用者ももう一度認識しておいた方がよさそうです。

(2010.04.27)



ギリシャ支援は吉とでるか?

金曜日のギリシャがついに支援要請を出したことで、5月19日をデットラインとした目先のデフォルトはとりあえず回避された、という安心感が市場では広がっています。

それにしても、「通貨」というものは、本当に扱い辛いものです。
今回のギリシャ支援についても、目的は「通貨ユーロ」の信認回復、の一言に尽きます。

ギリシャがユーロ各国にここまで強気に出られるのも、ドイツが国内の不満を封じてギリシャ支援を決めたのも全て「ユーロ」という生まれたての「人造通貨」を加盟国として「死守」しなければならないからに他なりません。

ギリシャを助け、次はどこを助け、と、ユーロという体制を維持するためにドイツやフランスなど加盟先進国が支払続けるコストと、ユーロ圏を維持することによる経済的メリットとか見合わなくなった時、本当にユーロという人造通貨は維持できるのでしょうか。

ギリシャ支援という決定が、ユーロにとって本当に安泰な決定であったのかは、まだ評価が出来ない途上にあります。

(2010.04.26)



逃避先としての米国株式

このところの米国株式市場は「Fly to quality-質への逃避」の受け皿となっているように見えます。

本来であれば逃避先であるはずの「国債」市場が、欧州を中心にリスクの源泉となっています。財政赤字問題を抱えるのは米国も日本も同様で、欧州以外の国債、という選択肢も難しい。

ギリシャ問題は通貨ユーロ全体の信認問題に繋がるので、ユーロ圏の株式全体への売り圧力も増しています。

消去法的にみれば、金融レバレッジも落ち、内部留保も溜まりつつあり、リストラ効果によって当面の利益が確保されている米国企業(但し金融銘柄以外)は、相対的に安全地帯に一番近いように見えるわけです。

本来安全地帯に近いはずの日本はというと、、、米国との関係悪化が、「おろかな首相」記事により全世界的に有名になってしまい、世界的なブランドを持つ電機メーカーの醜聞が新聞をにぎわすなど、「質」にはほど遠い…悲しい現実です。

(2010.04.23)



うん?

今日の東京株式市場、どうして200円も下げているのでしょう???

別にこの程度の価格調整はあっても全く問題ないのですが、理由がわからない値動きは、どうも心地よくありません。

毎日二桁上下動するのは、気温だけで充分です。

何か隠れていなければ良いのですが。

(2010.04.22)



貴重な冷水

ゴールドマンという一企業を通して、忘れかけていた否、忘れようとしていた2008年のあれやこれやが、世界各地で蒸し返されようとしています。

あの当時の様々な困惑や憤懣や後悔が、市場が回復し、人々の記憶が薄れるにつれ、徐々に過去のこととなり、再び「リスクの拡大再生産」に入りつつあった市場関係者や投資家にとっては、良い頃合いの冷水となったかもしれません。


過去を忘れなければ前進できない、というのが道理である一方で、過去を忘れないからこそできる進歩というものもあります。

今しばらく、各国政府と共に「あの当時」を冷静に振り返るのも、悪くはないと思っています。

(2010.04.21)



覇権争い?

例えば、本当に例えば、今リーマンショックと似たようなことが起きたとして、実態経済に2008年後半と同じ規模のダメージが起きるとは思いません。

それは既に一度経験したから、という意味ではなく、今の経済構造が以前のような「金融依存」経済ではなくなっているからです。

2008年までの世界経済において、良くも悪くも主役だった金融はリーマン破綻以降、その座を実態経済に明け渡しつつあります。

見方を変えれば、金融業界に過度に依存することなく、経済や雇用を維持する自信が各国政府に醸成されてきたからこそ、政府サイドが強気になっているのかもしれません。

今回の金融規制を巡る一連の騒動は、経済の覇権を金融から実需に引き戻すための戦いにも見えます。

(2010.04.20)



色々噴火

土曜の朝起きて、携帯でニュースを確認して、久々に嫌な気分で週末を過ごしました。

ゴールドマンへの訴訟については、内容自体は誰もが知っていることに近く、でもSECが訴訟する、とまでは誰も思っていないことに近い。
米国政府が金融規制法案の通過を目的に強行姿勢に出ているところまでは予想がつき、それに英欧の政府が便乗し合同捜査をにおわせるところまで反応することは予想外。

アイスランドの噴火ではないですが、200Mもの厚い氷で蓋をしていた事だからこそ、万が一噴火すると被害は大きい、かもしれず、だからこそ、空港封鎖を自ら招くような引導を各国政府がゴールドマンに下すとは思えない、というのが今のところの世間一般の反応でしょうか。

本家の火山ですが、欧州のGDPを1%内外押し下げる、という予想の他に、来年以降の世界の気温を1~2度押し下げるかもしれない、という予想も出てきています。長期的にはこちらの方が大きな問題になるかもしれません。

(2010.04.19)



一生懸命

功罪はあるにせよ、中国の政府首脳から伝わる「一生懸命さ」は賞賛に値するものがあります。

この体制だからこそ、政府がこれだけ頑張る、というのは当然あるし、最近以前にも増してその傾向が強まっているのは、むしろ何らかの危機感の表れなのかもしれませんが、それでも一時代前の踏ん反り返っている高官イメージよりは随分顔が見えるようになってきました。

もちろん市場経済化が進めば進むほど、政府の思惑通り物事が進まない局面というものに突き当たる回数は増えていくのでしょうが、それがむしろ民間との対話の促進に繋がれば、ソフトランディングの可能性が高まることにもなります。

結局今の日本に欠けているのは、政官民揃って、この一生懸命さ、なのかもしれません。

(2010.04.16)



氷から火

アイスランドで氷河の下から火山が噴火したそうです。

氷から火。自然とはなんと奥深いものか、と感心している場合ではなく、その周辺の氷河一帯の底で火山活動が活発化している兆候がみられるそうです。

最近マグニチュードの大きい地震の頻度が上がっているように思うのは気のせいでしょうか。

氷河が溶けたり、平均気温が上がったり、海温が上昇したり、というのは、実は温暖化という「空気」の問題ではなく、地底の活発化による「地熱」のせいだったのではないか、などと入らぬ想像力が働いてしまったりもします。

中国での地震。決して裕福ではない地域での天災が続くことに、本当に心が痛みます。

(2010.04.15)



評論家と一緒

昨日の、民主党の議員さん達の為替120円マニュフェスト。

……馬鹿じゃない?

すみません他に表現が見つかりませんでした。

どこの世界に、政策で為替水準を明示する国がありますか。

そういうことは、陰でこっそり動くものです。通貨というのは相対的なものです。相手がいて市場参加者がいて実物経済があるのです。その全ての動きを察知して上手く立ち回ってこその通貨政策です。

無責任な経済評論家がぺらぺらしゃべることと同じ次元でマニュフェスト書いてどうするの?

おまけにこの人たちの提案の中に「日銀の政策目標に雇用の最大化を入れる」という日銀法改正案が含まれていると知り、めまいがします。

国会議員って本当に何なのでしょう?

(2010.04.14)



田口がブツブツ…

ギリシャの問題もEUの支援を取り付け、一応の落着を見たような雰囲気です。これに対して、よかったよかったと思う人もいれば、それでもまだまだ不安は残るという人もいます。常に賛成派と反対派がいるから、相場が動くのです。
翻って日本の国情を考えると、賛否を問う以前のような気がします。それでもみんなブウブウ言いながらもひたむきに仕事に取り組んで行く、日本人は実に勤勉な人種だと思います。この勤勉さがキレる前になんとか国のあるべき姿、方向性を打ち出して欲しいものです。(田口)

ps.田口が7年ぶりに書きました…明日は雪か台風か(笑)

(2010.04.13)



投資信託のIQテスト?

米国のInvestmentNews というサイトに投資信託に投資するためのIQテスト、というのがありました。

①投資信託を保有している家計の割合②投資信託の基準法の制定年は③米国内の投資信託の数④報酬率とは⑤売買回転率とは⑥オープンエンドとは⑦株式投信は常に債券投信よりリターンが高いか⑧投資信託はヘッジファンドと同様の戦略の採用はしてはいけないか⑨絶対リターン型投信でも損失は発生するか⑩世界的にみてファンドマネージャーが自己資金を投入しているファンドはどの程度の比率か

合格ラインは8問以上で、これを国内向けに作りかえたとしても私も落第です。個人向けと考えた場合はかなり厳しい基準といえそうです。

先日ある企業年金の担当者が、社内で確定拠出を導入するなら、投資の基礎知識のテストを義務化したい、とおっしゃっていました。
一理あるかもしれません…

(2010.04.12)



イベントの織り込み方

ギリシャやアイスランドやアイルランドについて、小康状態にあった振り子がまた大きく振れ始めています。

昨晩の欧州株式市場をみていて少し冷やりとしましたが、米国が上手くアンカーになってくれたようです。

例えばソブリンリスクのような大きなイベントは、市場がその存在を認識していない時期においては大きな波乱要因になりますが、ある程度リスクを認知された後は反応が鈍くなる傾向があります。
だからといって問題の大きさが縮小したわけではなく、それが結末を迎えた時はそれなりに激震となります。

現時点の欧州圏のソブリンリスクについては、リスクの存在が市場参加者で共有されたステージにあり、パニックの引金にはならなくなりつつあります。本格的な結末には数ヶ月、もしくは1年単位での時間が掛かるでしょう。

安心できる状況ではありませんが、とりあえずは静観しておくしかないのではないかと思っています。

(2010.04.09)



国がもたない?

「政治家がばか者の集団では(国は)もたない」
と、鳩山首相が公務員研修でおっしゃったそうです。(時事通信伝)

首相就任以来、最も説得力のある一言です…

とはいってもこの発言のルーツはお父様の鳩山威一郎さんだっということで、日本の政治家の質は何時の時代もこんなもの、ということでしょうか。

まぁ一国民として、自国の首相や政治をけなしてばかりというのも生産的ではないのですが、ニュースで流れる政治家の一言一言が政党を問わず情けないのは、如何ともしがたいものがあります。

本当にこれでは国がもちません。

(2010.04.08)



小論は嫌いですか?

今掲載している新卒の採用サイトで、応募者に800字の小論提出を求めています。応募者の内、小論提出に応じたのは今のところ25分の1程度(苦笑)です。

この800字というのはある種クセモノで、ネット記事の切り貼りで誤魔化すには字数が足りないので自分の言葉で書かざるを得ず、それでもツイッターより長いので、それなりの起承転結が必要、という微妙な長さです。

意地悪にもそれを意識して800字と指定しているのですが、意地悪が過ぎて提出者なし、というのも困ったものです…

この仕事、意外とペーパーワークが多いので、文章を書くのが苦手だと少々辛い。

今のところハードルを下げるつもりはないのですが、開店休業が続くようであれば採用担当者としてはさてどうしたものか、考えどころです(汗)。

(2010.04.07)



年度初の確認

当面の資産配分方針が決まりました。

年度前半勝負で、外株にウエイトをおいた配分は変わらずです。

弊社の理論値の乖離は、縮み始めると一気に収斂する傾向があります。外部環境は色々ありますが、当面は少し楽観的に見てもよいかもしれません。

とはいっても、約束しているリスクの上限を超えることはしません。ポートフォリオリスクで10%を超える配分は、過去の実績で見ても全く意味のないリスクであることは忘れないでください。

取り急ぎ、ご確認です。

(2010.04.06)



世代のタッグ

座して死を待つよりは無駄玉でも打った方が良い、のは自民党だけでなく、今の日本の政治全般に言えることだと思うので、新党がポコポコできるのは、悪いことではなさそうです。

動いているのがオジ(ィ)サンばかりで、若手と言われる人々は文句を言っているだけで何も動かないように見えるのは、寂しい限りです。

多分今元気なのは70歳前後に近い年齢と、その子供世代の45歳前後。というのが私の手前勝手な持論なのですが、政治の世界もその相似形に見えます。
現在実権を持っている60歳前後をすっ飛ばし、70台と40台が組めば、世の中動くのではないかと思っています。

60台の方、勝手な戯言とお聞き過ごしくださいませ…

(2010.04.05)



当局とファンドの喧嘩の行方

このところ、毎週の様に資産運用会社がからむ摘発記事がメディアに流れます。
特にイギリスでは当局曰く「史上最大級のインサイダー取引の摘発過程」にあるそうで、その結末がまだ見えてきません。

摘発対象となった会社だけでなく、資産運用業界全体が今の米英での当局による指導厳格化はやりすぎなのではないか、と思っているようです。自分達は単なるスケープゴートになっているという被害者意識すら漂っています。

ここで忘れていけないことは、ファンドの投資家にとって重要なことが、「どちらが正しいかどうか」ではなく、「当局とファンド会社が喧嘩したら、どちらが勝ち、世論はどちらの味方になるのか」という点にあることです。

客観的にみて、現状の金融当局の強気は世論の声に裏打ちされており、ファンド側には勝ち目がないように見えます。

この問題、あまり楽観的にみるのは危険かもしれません。

(2010.04.02)



真価の問われる一年

無事平成21年度が終りました。
皆様本当にお疲れ様でした。

今日から22年度。
中国頼みの昨年度から、今年は米国頼みの一年になりそうな気がしています。

滑り台の20年度、ジェットコースターの21年度と、自分の意思が反映されにくい環境にようやく目処がつきつつあります。

資産配分も、アクティブ運用も、本当の真価が問われる一年の始まりです。

(2010.04.01)


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