2010年10月の思いつき


ビジョンなき市場

株式市場だけではないですが、その市場の活性化はその市場に参加する当人達自らがビジョンを描かない限り、永遠に浮上しません。

自分の会社がどうしたい、どうなりたい、というのは自分の会社の問題として単独に存在するのではではなく、自分の会社の所属する市場や業界への未来像がまずあって、その中での自分の会社有り様であったり役割であったりを、考えるべきものだと、私は思っています。

ですから、我々であれば、日本の年金業界の必要性を認識し、それが健全に維持されるために、運用面でなすべき方向性を考え、その中でコンサルタント会社をしての弊社の有り様を考えるわけです。

今の株式市場を見ている限り、日本の株式市場の将来について真剣に考えている証券会社もなければ、機関投資家も見当たりません。

ビジョンを語れる業界のリーダーがいない市場には、未来はありません。

(2010.10.29)


ケセラセラと虚脱感

昨晩のギリシャ国債急落の原因を見て、笑いました。

ギリシャ財務相曰く、、、
「国民の納税義務遵守について深刻な問題を抱えている」
「約120万の個人または企業が税金を滞納している」
「我々は皆でこの国に税制というものがあるふりをしているが実はない」(Bloomberg)

周知ではあるものの、財務相が口にしてしまうというのも、それはそれでギリシャらしい。

これを聞いたドイツ国民は、EUROにギリシャを加盟させたことの間違いを痛感したでしょうし、ポンド危機でソロスに負けてEURO導入を諦めたイギリス国民はソロスさんに心から感謝していることでしょう。

私自身、今年前半ギリシャに振り回されたのは一体なんだったのかと、妙な虚脱感をおぼえています。

(2010.10.28)


運命の同日

米国が11月2-3日のFOMCでの再緩和については、市場もある程度織り込み済みとして、同日に行われる中間選挙の結果に市場がどう反応するかは、今のところほとんど意見が出てきていません。

予想通り民主党が負けるとして、あらゆるオバマ政権の政策が棚上げされ、経済対策も社会保障も停滞する、というシナリオもあれば、一方でこれまでオバマ政権が対決色を強くしていた金融機関が息を吹き返し金融主導での株価上昇と予想する人もいます。

個人的には、金融中心の経済構造の復活は、中長期でみれば米国経済の衰退を加速すると思っているので、スピード感はないものの、今のオバマ政権のやや政府管理を強化した経済運営を支持したいのですが、米国国民の判断はどう出るのでしょう?

それにしても、FOMCと中間選挙が同日って、日にちをずらすことはできないものだったのでしょうか…

(2010.10.27)


創業の勧め

日本の閉塞感を脱するためには、もう一度日本が戦後の創業期に戻る必要があるのではないかと、感じています。

単に株式会社という箱を作って、上場させて、売り払う、というマネーゲームのような起業、ではなくて、新たな「業」を産み出す、創業です。

産業、という言葉は元々「業」を「産」と書きます。「業を産み、育てる」ために、創業者達は火事場の馬鹿力の如くのエネルギーと集中力を注ぎ込み、自分の分身としての「業」であり、自分の身体の一部としての「社員」に愛情を注ぎます。
これは理屈ではなく、本能に近い行動です。

企業が拡大し、成熟していくなか、創業の精神は希薄化し、よりシステマティックな経営に変化するのは当たり前のことです。そうした企業群にはせっせと稼いで株価を上げて、国富を増やす役割を担ってもらう一方で、企業の成熟化と共に失われたエネルギーと雇用を代替する新たな担い手の存在が不可欠です。

こんなことをつらつら思うのも、今の大企業経営者の言葉に全く深みも重みも感じないからなのかもしれませんが…

(2010.10.26)


筋女

最近の特捜検察事件の絡みで頻出する「筋を読む」という表現。

これを、「特定のシナリオに向って都合のよい材料だけを集める」、という作業のことを指すのであれば、マスコミ報道のシナリオ取材と同様のとても危険な行為です。

一方で、既にある個々の情報破片を鳥瞰して、そこから一定の方向性を見出していく、という作業のことを言うのであれば、私はいわば「筋だらけの女」です(笑)。

この二つの行為、自分の中では明確に区別されているのですが、傍からみると紙一重に見えるかもしれず、実際の行動パターンにおいてもかなり意識しないと一線を越えるリスクはあります。

自称筋女なりに、一線を越えない為の努力はしているつもりで、その一つは「情報破片を穴が開くほど眺める」ことです。頭の中で破片をひっくり返したり組合せたり、縮小したり拡大したりと、情報破片に意識を集中していくと、ふっと「一筋」見えてくるのです。

この穴が開くほど眺める努力をしないで出てくる筋は、大概においてご都合主義になりやすい、というのが自分なりの結論です。

以上、筋女には筋女なりの筋というものがある、というお話でした…

(2010.10.25)


シャープのパソコン

シャープがパソコン事業から撤退するそうです。寂しいです。

私が始めて買ったノートパソコンがシャープの初代「メビウス」でした。
買った時点で、必要なインストールが全て済んでいて、CDROMまで内蔵された、いわゆるオールイン型ウィンドウズ対応ノートパソコンの第一号です。
当時としては爆発的な売れ行きで、東京では手に入らず、私は九州のお客様に頼んで福岡の量販店から取り寄せた記憶があります。

重さは3キロぐらいありましたが、それでも机一つをゆうに占領してしまうデスクトップに対し、性能を落とすことなく、体積が20分の1ぐらいになったあの感激は忘れられません。

シャープにおいて新製品開発技術というものは、あとから他社が真似したくなる様なものでなければいけないと、聞いたことがあります。

シャープのパソコンからの撤退は、パソコンの世界がもうサプライズを期待できない成熟分野に入ってしまったことを意味しているのかもしれません。

(2010.10.22)


インフレ デフレ

デフレ傾斜の先進国とインフレ傾斜の新興国。

元々高い先進国物価と元々低い新興国物価が混じりあって、中間点を探しているだけ、と考えれば、解りやすいわけです。

新興国の発展で、新興国物価が上がるだけであれば、世界的なインフレに警戒が必要ですが、反対側の圧倒的に大きな経済でデフレ化が進むのであれば、グローバルでの影響は限定的かもしれません。

ですから新興国のインフレよりむしろ怖いのは、ドイツなどユーロ安の影響を受ける先進国に、インフレの芽が飛ぶことです。

中国ばかりを気にせずに、そろそろドイツあたりへの目配りが必要かもしれません。

(2010.10.21)


デモと改革

フランスの年金改革へのデモの映像を見て、参加者達が妙に楽しそうで、笑ってしまいました。

なんというか、三社祭と余り違わないのではなかろうか、などと不謹慎なことを考えてます。

もちろん空港はマヒし、ガソリンスタンドは開かず、経済的には大変なダメージであるので笑っている場合ではありません。
ただ、あの人達が本気で年金改革を阻止しようとしているというよりも、NoはNoとして意志表示をすることが、自分たちの権利であり義務だと思っているだけのように思えます。
言うだけのことを言えば、あとは現状を受け入れる、という点では、フランスは大変大人な国です。

日本のように、デモもない国は、きっと改革もないのだろうと、フランスをみていると思うのです…

(2010.10.20)


危険なステージ

新興国通貨への投資資金の流入について、ブラジルが税制を強化し、IMFの理事は、アジアの金融市場の安定を損なう原因となりかねない、と懸念を表明しています。

現在の新興国市場、特に通貨と債券市場への資金流入が、ある種のバブルであることが、認識されつつあります。

バブルの途上ではあるが、バブルの頂上ではない、というステージは、「バスに乗り遅れたくない」資金を巻き込みながら、怖いもの見たさの深追いが始まる、投資サイクルの中で最も面白く、かつ危険な局面の到来を意味します。

問題は、皆がバスから降りたいと思った時、この市場の出口の開口部が十分に大きく、階段の強度が十分に堅固であるかどうかです。

出口の安全性は参加者が身をもって確認するしかありません。
その役回りを負うつもりは、私はありません。

(2010.10.19)


株式投資とモノ作り

グローバル株式の運用で、この数年間継続的に米国株式がアンダーウェイトとされていたのは、米国籍企業が「モノ作り」をしていないから。

今、アジア株式の運用で、中国がアンダーウェイトとされているのも、中国が本当の意味での「モノ作り」をしていないから。

市況や金融や個人消費、というフロービジネスは、一時的な国富の増加には有益ではあるものの、その継続性や安定性は所詮市場環境次第です。良い時はみんなよく、悪いときは皆悪い。

本来の株式投資家が求める、企業の質や持続的成長というストックな視点には適さない、という点においてこれまでの米国と今の中国は似た者同士です。

モノ作りをいったん経験してから別の道を選んだ米国はここに来て実業への回帰がみられます。
一方でモノ作りの経験なく虚業をひた走る中国はこれからどこへ向うのか。いくところまでいくしかないのでしょうが…

(2010.10.18)


過剰流動性相場

日本のゼロ金利復活が号砲となり、世界中で過剰流動性相場が踊り始めました。

日米の金融政策だけではなく、韓国や中国の為替介入も流動性供給の一因になります。

過去の過剰流動性期と比べ、参加者が更なるレバレッジを上乗せしていないという点は、やや安心ではありますが、先進国の株式市場への信頼感が低下している中で、投資資金が新興国やクレジットやコモディティなどニッチな市場に集中していることには不安を感じます。

基本的に日本株式はこうしたニッチな流動性相場向きの市場です。

この環境がどの位続くかは判りませんが、低迷している日本株にはとりあえず良い刺激ではあります。

(2010.10.15)


国家ブランディング

Nation Brands Index というものがあります。

国家ブランドという概念を提唱しているサイトが49カ国を対象に「国民・政府・輸出・観光・文化遺産・投資と移住」という5項目の評価基準で、毎年発表している「国家のブランド価値」のインデックスです。

2009年度は米国・フランス・ドイツ・英国・日本、というのが上位5ヶ国です。米国はオバマ大統領効果で2008年の7位からTOPへと躍進したそうです。

日本は、輸出品に対する高いブランド力で5位に食い込んでいるものの、他の項目は10位以内ギリギリという感じです。ちなみに「政府」という項目は先進国中最下位に近いという評価です。

この輸出ブランドのダントツNO1とい地位はどうしても死守したい一方で、観光や国民や文化遺産、という項目ではもう少し順位が上がる余地がありそうなものだと思います。

日本ではまだ聞きなれない「国家ブランディング」という言葉ですが、少し勉強してみようかと思っています。

(2010.10.14)


7掛経済

今日の機械受注でも同じですが、経済指標の変化幅と絶対値と、どちらの数値に意味があるかは、経済の局面によって変わります。

当たり前ですが2008年後半から2009年前半を基準とした指標では、対前年比の数値にはあまり意味がありません。

ですから、今年の上期迄の経済指標については、対前年比伸び率より、絶対値を重視したほうが良いということになります。
逆にこれから出てくる指標については、リーマンショック後の反動を加味しない純粋な伸び率となります。
このような視点で経済指標の絶対値を総覧してみると、雇用やサービス関連を除く生産関連の数値はおおよそ2008年のピークの7-8掛といったところです。

もし2004年からの証券化やLBOで企業が財務レバレッジを掛けた経営をする以前の状態に戻るとするなら、再スタートする水準としては、今は適正水準に近いと感じています。

経済も金融も何事もなかったようにはいきません。元の水準を見上げていても首が痛くなるだけです。

企業も個人も、そろそろ「今」を前提としたプラン作りを始める時期なのではないかと思っています。

(2010.10.13)


サードパーティーの質

北海道にいます。
新千歳空港はシニアの団体さんで大にぎわいです!

それにしても、少し地方都市にくるとソフトバンクの電波の悪さに辟易します。

iPhoneの性能がどれ程良くても、提携通信会社がこれではiPhoneの信頼性にも傷がつきます。

CMに注ぎ込む資金があるなら、既存客のために、アンテナ整備しろ!ソフトバンク!!

サービスプロバイダーが悪くて製品のレピュテーションが落ちるというのは、運用業界でも似たり寄ったりですが…

(2010.10.12)


通貨問題は雇用問題

世界的な通貨切り下げ戦争、などという物騒なコメントが増えています。

米国と中国との貿易品目を見ていると、米国が輸出しているものは「くず鉄」などの原材料系が多く、米国が輸入しているのはコンピュータや携帯電話などの中間品から完成品の比率が高くなっています。

つまりは、米国企業が中国の現地法人に原材料を送り、製品を逆輸入しているという構図が見えてくるわけで、結局中国は米国の生産工場となっているに過ぎないということです。

もし、元を切り上げ、中国での生産コストがドルベースで切り上がれば困るのは米国企業です。これだけを考えると米国が本気で元の切り上げを望んでいるのか、やや疑問に思います。

但し、中国での生産コストが上がり、米国企業の生産拠点が国内回帰を始めれば、雇用に苦しむ米国政府としては好ましいことであることは間違いありません。

米中間の通貨問題は、貿易問題ではなく、雇用問題として考えたほうがわかりやすいかもしれません。

(2010.10.08)


日本の脳

ノーベル賞の自然科学3部門での受賞総数は、日本は全世界で7位。物理・化学部門ではスイスとスェーデンを抜いて5位となっています。

ちなみに日本の国際特許の出願件数は米国について世界第二位ということはよく知られたことです。

今回ノーベル化学賞を受賞した方が、資源のない日本で使えるのは人間の「脳」だけだ、とおっしゃっています。

「日本の脳」の戦略的にどう使っていけるのか、「日本の脳」の対価をどう高めていけるのか。

ややストレートな言い方をするならば、我々は、自分達の「脳」の商業的価値をもう少し意識した方がよいのかもしれないと思っています。

(2010.10.07)


みんなが好きなゼロ金利?

海外のファンド運用者は、日本の金融緩和が大好きです。

日本のゼロ金利が他国と異なるのは、中長期のインフレ期待値がない分だけ、イールドカーブの形状がフラットであること。

簡単に言ってしまえば、日本は今はゼロ金利、2年経ってもゼロ金利、5年経っても0.5%、というのが予想されている短期金利。

それに対し米国で予想されている短期金利は、今は0.5%、2年後は2%、5年後は3%。

超低金利で資金調達できる期間の長さが、日本と他国では全く異なるので、資金調達をする人にとっては、「長期安定低金利」の日本がゼロ金利になることは、とてもうれしい、らしい。

これが加速したのが2006年に日銀が量的緩和解除を決定するまでの「円キャリートレード下の円安」です。

今回のゼロ金利の復活が、期待する「円安」を誘導できればよいのですが。

(2010.10.06)


とりあえずご報告

あまりに日本株が上がらないので、ものすごく久しぶりに弊社の国内株式の期待値が外株を上回りました。
2004年以来かもしれません。

これからが楽しみです!

ちょっと不安ではありますが…

(2010.10.05)


男女の性差と社会

「APEC中小企業相会合、女性企業家支援を決定」とのこと。

社会の決定過程において、女性の構成要素が増えることで、社会構造全体が影響を受けるのではないか、という議論を学生時代にしたことがあります。

良くも悪くも「外を向き攻撃的な男性」と、体内に命を育み「内を向いて守る女性」との本質的な「性差」が、国や企業といった社会組織においても、その意思決定に大きな相違をもたらす可能性があるのかもしれず、
とするならば、
意思決定が男性のみによって行われる社会より、女性が含まれる社会の方が、社会としての暴走が抑止され、より健全で安定した社会形成が行われるということが期待されるのではないか。
更にはより平和を志向する政治形態に近づけるのではないか…
というような話だったと思います。

APECで何を思ってこうした宣言を出したのかは知りませんが、ふっと、学生時代の議論を思い出しました。

まぁ、今の日本のように、「内向きな男性」と「攻撃的な女性」という若者社会では、何か空しい議論ではありますが…

(2010.10.04)


後半戦

あっという間に今年も半年が過ぎ、今日から後半戦です。

市場も経済も政治も、大規模ではないものの、中小規模のイベントが五月雨式に起きた、なんとも落ち着かない半年でした。

サブプライムショックの時のように、イベントとイベントが連鎖することも怖いですが、今回のように脈絡がはっきりしないイベントが単発で頻発することのほうが、リスク管理上のコントロールが難しい、ということを実感した半年でもありました。

あと半年間、株価に上がり続けて欲しい、などという贅沢はいいませんが、せめて一度ぐらい年初高値を更新するタイミングはあってもよさそうなものだと個人的には思っています。

気候もようやく過ごしやすくなったおり、市場も少しは心地よくなってくれることを期待しています。

(2010.10.01)

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