2010年12月の思いつき


本年もお世話になりました。

本年の営業は本日で終了です。

今年のような方向性の見えない市場環境は、まだ当分続きそうです。

世界中がバブル崩壊後の日本のように、低金利下の乱高下の市場となるなか、資産を守るにはどう対処すべきか。
小手先の対応ではなく、真剣に考えていかなければならなくなるでしょう。

来年は卯年。フットワークのよさが勝負になるかもしれません。

来年も相変わらぬご支援ご鞭撻ほどよろしくお願いいたします。

(2010.12.28)



熱いアジア

今年は良い意味でも悪い意味でも、「アジア」が近年になく世界で注目された一年でした。

資源に裏打ちされた他の新興国とは一線を画し、一時代前によく使われた「新興工業国(NIES)」という呼び名を思い出します。

一方で、欧米からみれば、やはり未だ政治的な特殊性は否めない地域であるのも事実で、立派な工業国でありながら株式インデックスにおいて先進国グループに入れてもらえない国が多いのも、政治体制への不信がぬぐいきれないからと見られます。

今月に入り格下げが相次いでいるベトナムや、利上げの続く中国。きな臭さの消えない半島情勢と、それなりに悪い材料も見え隠れします。

これまではグローバルには無視されてきた、こうしたアジアの亀裂も、投資対象としての比率が高まるにつれ、良くも悪くも市場の材料にされやすくなります。

アジアが本当の意味で世界経済の一角になるべく、大きなステップを踏み出す時、一時的には政治リスクが高まることを覚悟しなければいけません。

アジアの温度は熱いです。

(2010.12.27)



若者達のクリスマス

子供の頃は、というよりもついこの間まで、クリスマスはクリスマスらしく、お正月はお正月らしくしていないとどうにも居心地が悪く、適当に流そうとする親に泣いて抗議をしたものです。

いつしか、そうしたイベントに対する執着心が薄れて来たのは、ようやく大人になった証拠か、はたまた心身の余裕のなさの現われでしょうか。

反面、今年の東京は、近年になく忘年会にクリスマスにと、人出があるように感じます。なにより、仲良く歩く若いカップルが本当に多い。

最近、自分自身より、自分の身の周りの人達が幸せそうであるかどうかが、自分にとってとても大事なことに思えてきて、街で若い子が幸せそうに歩きはしゃぐのを見るのは、多少の迷惑は感じながらも、それはそれでとても楽しいものです。

♪メリークリスマス!!♪

(2010.12.24)



前提の崩壊

海外の年金コンサルタントと話していて、年金コンサルティング会社そのものが、理論崩壊を起しているのではないか、という話題になりました。

そもそも、リスクフリーレートがゼロであること、更に積立余剰がマイナスであることは、海外の年金スキームの理論構築において、想定されてこなかったことです。

更に、根幹となる自国株式のリスクプレミアムが2008年のお陰で長期計測で限りなく半減してしまったことは、リスクフリーレートの低下と重なり、根本的な問題となっています。

従って、現在グローバルコンサルと呼ばれる会社から出てくるソリューションの多くは、彼ら自身確信度がそれほど高くないものかも、しれません。

「日本も大変ですね」といわれ、「いいえ、日本はもう15年以上、今の皆さんと同じ環境に居ますから、慣れています。」と答えておきましたが…

(2010.12.22)



時代の空気と経営と株式市場

2005年に起きたJR福知山線脱線事故について、当時のJR西日本の経営者に対する刑事責任の裁判が始まりました。

この時期日本では、自動車や食品など、大手企業の関る深刻な事故が多発していました。

株式市場からこうした事故を鳥瞰した時、2003年から日本で始まった構造改革・リストラクチャリングのブームと重なります。

当時、JR西日本は、JRグループの中でも、特に経営効率がよいと、株式アナリストから高く評価されていた企業でした。

今回の刑事裁判は、事故の原因に経営者が直接関与したかどうか、ではなく、当時のJR西日本を含めた企業経営者全体のモラル感の有無が本当の争点になるべきものなのかもしれません。

ある意味、金融危機を招いたウォール街の経営者の道義的責任論に共通するものがあります。

経営者当人だけではなく、株式参加者も含め、当時の時代の空気とその結末は、忘れてはいけないものなのだと思っています。

(2010.12.21)



「濁」

今年の運用環境を一字で表すと「濁」というところでしょうか。

様々な流れが合流し混濁した水。

様々な思惑が入り混じりどんより淀んだ空気。

何処も見通しが悪い中、量だけは大きい「お金」が貯水池を探して右往左往。

Newマネーが大量流入した地域では、水路が一部濁流と化し、視界は更に混沌と。

本当は、少し静かに澱みを沈殿させる時間が欲しいのですが、来年もそれは期待薄です。

波には逆らわず、座礁はせず。視界不良な環境下、舵取りの難しい航路が続きます

(2010.12.20)



プチお引越し

大家さんのリフォーム計画のため、弊社事務所はこの週末同じ敷地内で陣地替えとなります。

新陣地は、ドラマのロケなどでよく使われる?三田通りの広い歩道に面した1階です。

路面店になったからといって、弊社の売るものが鞄やゴルフクラブになるわけではなく、売り物は「知力」と「体力」であることには変わりありません。

週末の引越しに伴い、本日17日の夕方から月曜日20日の午前中までFAXがつながらない可能性があります。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

新住所 港区三田1-4-28 三田国際ビル アネックス
電話番号 ファックス番号 には変更ありません。

(2010.12.17)



身の丈にあった消費

我が身としての実感は全くないものの、世の中忘年会シーズンのようです。

名の通っているお店は、全く予約が取れず、タクシーの運転手さん曰く、平日の夜も含め、去年より人出は多いとのこと。

米国のクリスマス商戦も、思ったよりは良い、との評価。

もちろん、日本であれば電車のある内に帰る二次会はなしパターンかもしれないし、米国であればクレジットカードは使わず現金の範囲でのお買い物と、規模の縮小は否めませんが、世界中が巣篭もりをしていた昨年からみれば、改善しているのは間違いありません。

原色電飾で街中が着飾っているシンガポールや、中国本土からの観光客で溢れ返っている香港の熱気には比べようもありませんが、方向性は悪くありません。

各々身の丈にあった消費を長く続けるのが、一番ですから。

(2010.12.16)



予定調和の平穏

東京に戻りました。

シンガポールの人達は幸せそうでした。
タクシーの運転手さんも含め、政府は上手くやっている、と表現します。

バブル的に景気がよい、という印象ではなく、それぞれの市民レベルにおいて、それなりに満足感がある、という予定調和の世界がありました。

ある意味それは、異常に景気が悪いわけではないが、それぞれの市民レベルにおいて、皆一様に不満足感がある、予定不調和?の日本の対極にあるようにも思います。

なんだか、身体の力が抜けた、よい出張でした。

(2010.12.15)



アジア株式

アジア株式のパフォーマンスにおいて、中国本土株式をどうみるかで、明暗が分かれるケースは多く見られます。

企業に対する政治の関与や公開情報の質を嫌がると、どうしても中国はアンダーウェイトに成りやすく、一方政府の関与をむしろ金融経済政策の有効な調節手段と割り切ると、それなりにオーバーウェイトとなります。


言い方を変えるなら、この国の資本市場の異質性をリスクと捉えるか、個性と捉えるかの違い、ということになります。


現在、世界のアジア株式ファンドには、大量の中国富裕層の投資家資金が流入していると言われています。

アジア株式投資をするのであれば、当面は異質性に目をつぶり、強烈な個性についていかないと、勝ち目はないかもしれません。

そのリスクをとってまで、アジア株式に特化した投資をする必要があるかどうかは、また別の議論ですが…

(2010.12.14)



シンガポール

気温30度のシンガポールに来ています。

アジア株式の感触を確認しにきました。

テレビCMをみていると、欧米と中華圏と中東が、ミックスされた、独特な雰囲気があります。

詳細はまた後程…

(2010.12.13)



ホームカントリーバイアスというカタカナ

基金様を回っていて、最近よく、「ホームカントリーバイアス」をなくすために、「日本株式」という資産クラスをなくして「世界株式」の一部にしてしまう、という発想は正しいのか?と質問を受けます。

世界の年金や財団などの長期投資家のアロケーションを見渡して、「自国株式」という資産クラスを保有していない国が多いとはとても思えませんし、欧州や米国の資産配分を見る限り、日本の年金が特別「ホームカントリーバイアス」が強いとも思えません。

日本株式がこの15年リターンを上げなかったということ、また今後期待収益が大きいか小さいか、ということと、「ホームカントリーバイアス」とは、別の次元の問題です。

現在期待値が低い日本株式を排除する方便として、「ホームカントリーバイアス」という、もっともらしいカタカナを使っているだけであるのであれば、それは長期の年金運用にとって、そして日本の資産運用業界にとって大きなミスリードになるかもしれないと、危惧しています。

(2010.12.10)



情報という空気と集団

全ての人間は皆等しく情報というものにアクセスする権利があり、全ての人間は取得した情報を正しく理解し、その情報から導き出せる行動は集団全体で見た場合常に正しい。

この前提が正しいか否かの議論は、世の中が情報化社会で揺れ動くはるかずっと以前から、証券投資市場では議論され続けてきたことです。

証券投資理論の世界で、このところ「行動経済学」的議論が活発化してきた背景には、この前提に対する疑問が大きくなっていることの表れであり、特に情報を共有するとされる不特定多数の集団が起す、その集団としての行動結果が、常に理性的で正しい、ということに大きな疑問を持ってきているからに他なりません。

金融証券という、究極の多数決の世界からものを見る限り、情報という空気の中で彷徨う集団心理は、決してブラウン運動のように中立でランダムであり続けるものではなく、時にある種の意思を持ったかのように暴走をするものです。

情報と空気とは異なるということを、やはり我々は一度きちんと理解しておかなければいけないのではないかと思っています。

(2010.12.09)



崩壊への道

日本の信託銀行を始め、大手運用会社が、「顧客のニーズに応えるために」とスーパーマーケットのように、商品ラインアップを拡大していることを、顧客である年金スポンサーは本当に歓迎しているのでしょうか?

証券会社のように、次から次へを新商品を導入し、フォローも出来ないまま、次の旬に矛先を替えることに、運用会社としてレピュテーションリスクは感じないのでしょうか?

年金資産全体で株式のアクティブウェイトが減少し、ヘッジファンドの伸びも思ったほどではないなか、目先の違ったもので「当たりを探したい」という気持ちはわからないでもありません。

それでも、今の大手の営業姿勢は、自らを証券会社化することで、年金という自ら守るべき牙城をむしろ本当の証券会社に売り渡すことに加担しているに過ぎないように見えます。

日本の国内運用機関は、このままでは本当に崩壊します。

(2010.12.08)



新興 という市場

株式の新興国市場と、新興市場上場株式。

似ているのは名前だけではありません。

BRICsの増資と上場の急増は、2005年のジャスダックを彷彿させます。

そろそろ注意です。

(2010.12.07)



仕組み商品

為替オプションを組み込んだ、仕組み債券やデリバティブローンが、地方公共団体や中小企業等で問題になっているようです。

株式市場にしろ為替市場にしろ、大きな変動幅を記録すると必ずこうした損失が表面化します。

オプションなどのデリバティブ商品を買う側も売る側も忘れてはいけないことが3つあります。

1、オプションの売りは無限大の損失を負うこと。

2、デリバティブはレバレッジを掛けることができること。

3、デリバティブリスクは、本体財務の持つ潜在リスクと同じ方向では持たないこと。

ちなみにこの3つの文章の意味が判らない人は、この手の商品を売ることも買うこともしてはいけません。
これまでこうした仕組みには一線を画していた年金資産が、最近少しずつ触手を伸ばしつつあるように見えて心配しています。

これから明らかにされていくであろう各種の損失事例をどうか他山の石として、慎重に対応していただきたいと思っています。

(2010.12.06)



期待しないと決めたのだが…

『鈴木宗男氏収監へ。この日都内で行われた「送り出し会」には、鳩山由紀夫前首相、森喜朗元首相、亀井静香国民新党代表、福島瑞穂社民党党首ら国会議員約100人(一部代理)を含む計200人が集合。森氏は「大勢が待っている」、鳩山氏も「真実が晴れる時が来る」と激励し、宗男氏は「修行のつもりでつとめを果たす」とこたえた。(日刊スポーツ)』

任侠映画を観ているような光景を思い浮かべてしまいました。

別に鈴木さん自身をどう思うわけでも、この事件をどう思うわけでもなく。

単に事象としてみて、おかしい。
どう考えても、今の政治家は変です。
傾げた首が元に戻らないぐらい、謎な集団です。

別に政治家には期待しないと決めたから、良いのですけど…

(2010.12.03)



学生さん

大学でヘッジファンドのヒトコマ講義をしてきました。

昨年と比べ、学生さん達のヘッジファンドに対する印象は悪くなく、イメージ戦略的にはリーマンショックからようやく立ち直ったかという感じでしょうか。

ただ、日本でヘッジファンドビジネスに興味を持ったとしても、なかなか就職には結び付かないのが、寂しいところでもあります。


とりあえず、弊社は新卒募集は継続中です。ご興味のある方は、amc@assetmc.co.jpまでご連絡ください!

(2010.12.02)



ソブリン格付け

ソブリン格付けについて、EUなどでも議論になっていますが、やはり廃止した方がよいのではないかと思います。

一般的に格付けは、企業がコストを支払って格付けを依頼するものと、格付け会社が勝手に格付けをするものとがあります。依頼された格付けは、格付け機関が対象先から詳細な基礎データを取得し、双方の協力のもとで行われるのに対し、勝手格付けは基本的には財務諸表などの公開情報を元に行われるため、その正確性や市場追随性などが問題とされることが多い格付けです。

国や政府の格付けである「ソブリン格付け」は、典型的な勝手格付けです。一応変な格付けをつけられないように、財務担当者などが説明をするケースもあるようですが、基本的に一民間会社に一国の財布の中身を全てディスクローズすることはありえません。

他にも色々な理由があるでしょうが、少なくてもこの1年の欧州を巡る格付けの推移を見ている限り、ソブリン格付けは明らかに市場を後追いしているだけで、世の中の混乱を増幅させこそすれ、何かの役に立っているとは思えません。

欧州当局などは、投資家に対し、ソブリン格付けに過度に依存するのは止めるべきだと警告しています。

サブプライムバブルの根源の一つであり、その崩壊のトリガーとなった格付け機関が、今度は欧州危機のトリガーとなりつつある現状は、格付け機関という存在そのものの意義を根底から問い直しているようにしか思えません。

(2010.12.01)


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