2011年10月の思いつき


フラット化する経済

本日発売の週刊エコノミスト臨時増刊号に、「フラット化する経済」という小論を寄稿しています。

日本化という言葉は、日本と同じ失敗をする、という意味ではなくて、日本が単に世界に先行していただけだという主旨の話です。

世界全体、一度過去の高成長幻想を捨てて、地に足を着けて出直しが必要でしょう。

過去の幻想を捨てなければならないのは我々の運用も同様ですが。
寺本名保美

(2011.10.31)



パーツは揃ったか?

昨日からの一連のながれで印象的だった事象。

その1、欧州首脳会議が終わって、サルコジさんがいち早く電話をした先が中国だったこと。

その2、英国がEFSFの救済スキームには一切参加しないと宣言したこと。

その3、ISDAが今回の自主的な債権放棄は、CDSの決済に繋がるデフォルトには当たらないと、中身の分析をする間もなく表明したこと。

その4、今回の債権放棄スキームには、ギリシャ国債を大量に保有しているとみられるECBは参加しないと表明したこと。

その5、誰から頼まれたのかは知らないけれど、日本は又々欧州救済基金にお金を出すらしいこと。

その6、日銀の政策変更があったことが、ほとんど誰にも気に止めてもらえなかったこと。

順不同でこれらのパーツを組み合わせて眺めると、何かが見えてくるかもしれません。
寺本名保美

(2011.10.28)



為替市場は可もなし不可もなし

欧州危機についての市場の評価については、株式市場より為替市場をみていた方がよく解ります。

お昼休みにかけて、欧州首脳が基金枠の拡大と、金融機関の50%ヘアカットの合意を発表しましたが、為替市場の反応は非常に限定されたものにとどまっています。

想定以上でも以下でもなく、問題は再び先送り、というのが、為替市場の評価でしょうか。

とりあえずは、50%ヘアカット後の金融機関の決算と、資本増強の進捗動向が、目先の注目点になりそうです。
寺本名保美

(2011.10.27)



メリハリのある消費

訪問先の近くにある陶器店に併設されている喫茶室でお昼休みを過ごしています。

数千円から数万円程度のお皿や鉢ですが、20代から30代前半位の女性がひっきりなしに見に来ています。

今時の若い世帯は器など100円ショップで済ませてしまうものかと思っていたので、少し意外です。

震災後、巣籠もり消費で高級品の売り上げが増えていると、株式のファンドマネージャーが言っていたのを、ふと思い出す光景でした。

よい物を大事に使う文化が、復活する兆しであれば素敵なことです。
寺本名保美

(2011.10.26)



欧州価値の再評価

欧州問題の出口ですが、個別の国や銀行がどうなるかは別として、結局はドイツやフランスに、ギリシャやイタリア等を含めた「オールユーロ」としての信用力に、市場価格はいずれ収束するしかありません。

金利水準しかり、通貨価値しかり、です。

通貨価値だけでユーロ地域が再評価されるのであれば、ヘッジ外債を持っておけばよいかもしればせんが、金利水準の再評価を考えると、ヘッジ外債は極めて危険です。

本当に安心して投資ができる市場を見つけるのは、現状とても困難です。

このところ、国内内外のレポートなどを読んでいて、今の欧州問題が最重要局面を迎える時期が、どうも来年の1-3月あたりに後ずれしそうな、嫌な感触があります。

何事も起きないでくれとまでは贅沢は言いませんが、何か起きるなら年内から1月まで、あとは3月末に向けてV字回復!というのが、我々年金市場関係者の、ささやかな願いなのですが。
寺本名保美

(2011.10.25)



捻じれた投資資金

今、世界中の運用資金が、儲かる市場ではなく、より安全な市場を探して右往左往しています。

本当に安全な市場を求めるなら、相対的に安定している市場の短期債にでもしてジッとしていればよいのですが、「安全で且つ収益性」を求めるがために、それなりのリスク資産への投資は止まりません。

そういう意味で選好されているのは、トレンドの出やすい「円」であり、それなりの業績が出ている「米国優良株式」であり、イメージ選好の「金」、ということになります。

市場のリスクが高いという認識をしながら、収益の追及をあきらめきれない資金は、ある意味自己矛盾を抱えた非常に逃げ足の速い資金です。

今の金融資産価格がこうした捻じれた資金によって形成されているという認識を持って市場動向を見ていくことが、とても重要な局面になっています。
寺本名保美

(2011.10.24)



撤退で前進

日本の家電メーカーが液晶テレビ事業から一部撤退を初めていると聞いても特に違和感はありません。

株式市場で液晶テレビ事業が旬だったのは、5年も前の話です。その刈り取りの最終局面が今年の地デジ化だったことは、わかっていたことですし、一旦スタートアップが終わりコモディティー化してしまった製品について日本の競争力がないことも自明のことです。
ですから、昨今の撤退報道は、時期を見定めていたメーカーが、単に円高をよい口実としただけの既定路線にみえます。

日本の存在価値は開発であり技術であるわけで、それが一般化した段階で儲けは終了です。

一事業から撤退する度に、日本のモノ作りの危機のように大騒ぎをすると、無駄にセンチメントを悪くしますし、企業の決断を遅くさせます。。

問題は次のテーマが、どうも見えてこないことなのですが…
寺本名保美

(2011.10.21)



債券の銘柄

国内株式であれば、パッシブ運用であろうとアクティブ運用であろうと、せめて主要組入れ銘柄の明細ぐらいは、どのファンドでも用意されているものですが、国内債券についての銘柄のディスクローズというものは、言わない限り出て来ません。

何がイベントが発生する度に、運用機関の方々には発行体別明細を付けてくれるようにお願いするのですが、ほとんど実行されていません。この数年債券でも個別銘柄選択にフォーカスをあてたアクティブファンドが増えているので、さすがにそうしたファンドであれば保有上位銘柄程度はディスクローズします。

これは単に運用機関が何か隠しているのではなく、個別銘柄のリスクというものを、これまでほとんど意識する必要のない環境が、日本の債券市場では続いてきたことの結果です。

格付け別のポートフォリオ管理さえしておけば、基本的には個別リスクには目を向けずに済んでしまうような債券市場環境が、いつ変わるかと思いながら、全く変わらなかったこの10年。

電力債という巨大爆弾を抱え込んでみて、始めて少し変わるかもしれません。
寺本名保美

(2011.10.20)



格下げと世界の収縮

スペインがA格となり、フランスがAAA格を失う可能性が高っています。格下げといっても、フランスなどは未だAAAなので、そのこと事態が大きな問題ではありません。

但し、国が格下げされるということは、その国にある金融機関の格付けも下がることに繋がります。

金融機関の格付けの低下は、即ち、資金調達コストの上昇に直結し、さらには、金融機関同士で行うスワップなどのデリバティブ取引に関わるコストも上昇します。
金融機関の調達コストの上昇は、当然その国の企業・個人全体の資金調達コストに転嫁され、一国の資金循環全体に影響が生じます。

これまで、国がAAAであることを最大限利用したビジネスモデルを構築してきた、各国の金融機関にとって、そしてそうしたグローバルバンクを経済の軸として成立してきた、現代の経済システムにとって、今回の格下げ騒動は、中長期的に非常に大きな影響を及ぼす事象となる可能性があります。

世界はまだまだ縮むということです。
寺本名保美

(2011.10.19)



念じるしかない?

タイの被害は拡大しています。
本当に天災に振り回され続ける2011年となりました。
変に迷信深くなるつもりはありませが、これ以上何も起きないように早く年が明けて欲しいと思ってしまいます。

金融危機も含め、市場が経済要因からどんどん解離していきます。

年末まであと2ヶ月。上がる下がるは別として、せめてこれ以上「想定外」という活字を見ないで済むような、環境であって欲しいと、念じます…
寺本名保美

(2011.10.18)



日本化、欧州化

会議をする度に、物事の深刻度が強調され、金融市場に対する政府関与が強化され、市場は一瞬買い戻されて一週間後は元の木阿弥、というパターンをいつまで繰り返したら、根本的な解決策が見えてくるのか、なんとも気が遠くなる道程です。

こうした重苦しさのピークに参戦した安住大臣が、消費税10%と口走った気持ちは判らないでもありません。昨年の参院選直前のギシシャ危機の最中にG10に出席した菅さんが突然消費税引き上げを宣言した時の状況と同じでしょう。

まあ、その場の雰囲気にのまれて軽々しく公約するのはどうかと思いますが、今各国政府が市場や格付け機関に対し抱いている恐怖感は、かつて経験したことのないものだと思います。

いずれにしても、一旦火の粉を浴びれば取り返しのつかない泥沼にはまるのは明らかです。

今は未だ、が、あっという間に、今はもう、になってしまう怖さが今の財政危機にはあります。

経済は日本化、財政は欧州化。なんとも嬉しくないキャッチフレーズです。
寺本名保美

(2011.10.17)



CNNを引用しなければいけない悲しさ

「タイ洪水、被害深刻化 死者269人、首都でも警戒強化 (CNN)」

タイでは半世紀ぶりの大洪水となっているようです。

テレビやネットの画面からは、東北の津波を彷彿させる映像が流れています。

にもかかわらず、日本の新聞やマスコミの記事は、日系企業の操業停止の話ばかりで、タイの人々の被害状況や救援状況に関わる記事はほとんど見当たりません。

確かに、日本メーカーの工場の多くが浸水被害にあっているのは、それは大変なことですし、実態経済に与える影響は考えなければいけませんが、それにしても、もう少しバランスのとれた報道はできないものでしょうか。

日本の震災復旧に関わる募金運動は、今も海外では続いていると聞きます。そうした全世界の人々への感謝の気持ちをどこかに置き忘れてしまうほど、日本人は疲弊してしまったのかと、少し悲しくなりました。
寺本名保美

(2011.10.14)



地元の世田谷で放射能が出たけれど

放射能測定器なるものが、コンビニでも売られるようになり、いつも歩いている道や公園で、皆が測定を始めると、思いもよらないところで、反応がでた。但し、その場所で原発事故以前に放射能測定をした人は誰もいない。
さて、原発事故と放射能の因果関係をどう立証するでしょう?

といったようなことが、今後日本中で起きそうな気がしています。

しばらくは、その度に大騒ぎになり、結局何も立証されず、そのうち風化する、というパターンになるのでしょうか。

ラジウムで有名な欧州の砂浜が、日本の震災以降、観光客がめっきり減ったそうです。
これも海を越えての風評被害なのかもしれません。

地元で気にならないといえばウソですが、神経質になりすぎるのもいかがなものかと思ったりしています。
寺本名保美

(2011.10.13)



ひとはそれを「独活の大木」という…

アメリカの強さの源泉は、「機会」そこそこ「均等」、「結果」思いっきり「不平等」、という階段社会にあると思われてきました。

格差はあってあたりまえ。
その代り、その階段のどこに所属したいのかを、自分の意思と努力とで、ある程度選択することができる。
そしてどこの階段に居ても、それが自分の選択の結果である以上、その生活については、互いに干渉しない。

大金持ちは、沢山税金を払い、沢山寄付をするが、思いっきり贅沢をする。
一方で、寄付を受けて生活をし、失業保険を繋いで生きる人々の存在も否定しない。

1%の強者の消費と税金が、99%の弱者の雇用と社会保障を守る。
自分がそのどちら側に居たいかは、自分次第。

こんな国の形に、今アメリカ人自身が疑問を持ち始めているのでしょうか?アメリカが「バカデカイだけの普通の国」になってしまうのでしょうか?今のアメリカのよくわからないデモ騒動をみていて、何故か「独活の大木」という言葉が頭に浮かびました。
寺本名保美

(2011.10.12)



金融詐欺

金融詐欺を防止する方法として、「その業者が金融庁に登録されているかどうかをHPなどで確かめることがまず第一です」という話をよくするのですが、HPで公表されている登録情報を逆に悪用して勧誘電話を掛けられると、どうしようもありません。

最近弊社の名前を騙った電話勧誘は、「未公開株式の買取」から「破たんした為替証拠金取引業者からの証拠金の回収」までバリエーション豊かです。

もちろん、金商法の中身を知っていれば、弊社のような助言免許では、取り扱うわけがない内容であるのは一目瞭然なのですが、一般個人の方にとって、金融商品取引法の免許別分類など知る由もないことです。

ちなみに、悪用されている業者さんの多くが、「あ」や「A」のような頭文字順で初めの方にくる名前の業者さんが多く、その単純さには笑うしかありません。

こういった不正勧誘だけで実害の報告がない限りは、警察も行政も動いてくれないというのも、困った現実です。

ちなみにその不届者は、いつも「カメヤマ」と名乗るらしい。
テレビで「相棒」の再放送を見ていたら、「カメヤマいい加減にしろ!」と怒鳴りたくなりました。

とにかく、妙な詐欺には注意してください。
寺本名保美

(2011.10.11)



学ぶ

スティーブ・ショブズ氏が残した功績の一覧を見ていて、この数々の功績を「Apple」という一企業で成し遂げたことのすごさと、その製品を世界標準にしたことのすごさを感じます。

同じ時代、Appleの前後を呼応して、日本でもNECやソニーや東芝やDOCOMOが、ジョブズ氏に負けないほどの新製品分野を開拓してきましたが、結局どこもそれを世界標準にすることができませんでした。

技術力ではない、何かが、これまでのAppleにはあり、これまでの日本に欠けていた、ということです。

スティーブ・ジョブズが歴史になり、今後この歴史から我々は多くのことを分析することになります。

日本はまだまだ学ぶことが沢山あります。学べるということは成長の余地があるということです。
寺本名保美

(2011.10.07)



この材料、飽きた…

毎日毎日、同じ材料で、3%売られたり、3%買われたりする金融市場。

それに対し、メディアが、欧州不安が低減したので、とか欧州不安が再燃したので、という意味のないコメントしかつけられないのは、しかたがないことですが、そうは言っている私自身、そろそろこの件について書くことが飽きてきました。

状況は1年半前から何一つ変わっていません。
時間が経った分だけ、被害範囲が拡大しているだけで、新たな悪材料もなければ、画期的な解決策もでてきません。

これからの見通しを考えようにも、取っ掛かりがない、の一言につきます。

それでも、懲りもせず、毎日売ったり買ったりする人がいることが、どうにも不思議な今日この頃です。
寺本名保美

(2011.10.06)



引っ張り切れるか?

ギリシャの大規模デモ、イタリア格付けの三段階引き下げ、デクシア(ベルギーとフランスの合弁銀行)の公的支援発動、と欧州危機が第二段階に入りつつあるようにも見えます。

決算期末の12月越えを控え、金融機関の短期資金調達については、かなり際どい時期に差し掛かっているのは事実です。

一方で、だからこそ、この時期に、局面を無理やり動かすようなことはしないのではないか、とも思います。

悪い話をすれば、今年前半儲からなかったグローバルマクロ系のヘッジファンドが9月あたりから儲かり始めています。ヘッジファンドにとっても今年は残りあと3か月。「叩けるものは叩ききって、一儲け」というタイミングではあります。

これまでのだらだらした時間稼ぎの間に貯まったマグマが、最悪のタイミングで爆発しなければよいのですが。
寺本名保美

(2011.10.05)



ドル=ユーロ つまり、、、、、

ユーロ安が止まりません。
9月一か月で、対ドル、対円ともに6%超のユーロ安となっています。

とはいうものの、対ドルに対しての1.3台という水準は、ユーロ導入来でみて、決して安い水準ではなく、2000年初頭には「1以下」であったことを考えると、どちらかというとまだ高いぐらいの水準です。

などと、対ドルでは冷静に見ることができるユーロですが、万が一、今1ドル=1ユーロが実現したとすると、その先には1ユーロ=77円?!という恐ろしい現実が見えてきます。

為替市場は相対的な市場です。ドルとユーロがパリティになる(1㌦=1竄ャ)ということを市場が想定し始めてしまったら、円だけを蚊帳の外に置くことはできません。

ドルに対するユーロの落ち着きどころが決まるまで、通貨ユーロへのリスク配分は慎重にしておいた方がよさそうです。
寺本名保美

(2011.10.04)



古き良き時代?

先日、1986年に中国旅行をした際の写真を久々に取り出してみました。上海、北京、蘇州、杭州と、今では名だたる大都市の風景なのですが、そこに写っているのは、本当に素朴で優しい人々の笑顔でした。

正に「イッチョウラ」を身に付けた三歳位の男の子をお母さんが自慢気に写真に撮って欲しい、と言ってきたことなど懐かしく思い出されます。当時はまだカメラそのものが珍しく、写っている写真が欲しい、のではなく、写真に撮られること自体が自慢だったようです。

さて25年がたった今、あの男の子はどうしているでしょう?

会ってみたいような、みたくないような複雑な心境です(苦笑)
寺本名保美

(2011.10.03)


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