2012年07月の思いつき


ここから先は想定外

足元で金融市場が収まってきているように見えるのは、気のせいかもしれないと、為替市場を見ていると思います。

メディアの論調を見ていても、スペインについてやや諦めとも思える発言が出てくるようになりました。

ギリシャまでは救えるが、スペイン・イタリアは無理、という話から、スペインまでは救えるがイタリアは無理、という展開も見えます。

何が無理で何が無理でないかなど、当事者であってもわからない状況です。

スペインの破綻は、少なくても期初のシナリオにはありません。

想定外に備える意識を持たなければいけないのかもしれないと感じています。
寺本名保美

(2012.07.31)



オリンピックをみながら、日本を思う

オリンピックの柔道、日本そのままです。

実力はある。技もある。歴史もある。
でも勝てない。

弱くなった日本に海外の観客は優しい。
勝てなくなった日本であっても、日本らしさへの賞賛と憧れは変わらない。

過去強かった時代に活躍をした監督や指導者達は、自分達の成功体験から抜けられず、時代の変化をわかりつつも、受け入れることを拒否してる。

日本は日本らしく、そのままが良いのだから、という国内外からの暖かいお言葉が寄りどころ。

まあ、そういう私自身、オリンピックには勝てなくても今のままでいいんじやない?と心の半分ぐらいでは思ってます。

これが柔道だけの話であれば、ですが…
寺本名保美

(2012.07.30)



がんばれ~

理由なく下げた相場は理由なく上がります。

メルケルおばさん夏休み中につき、気が大きくなったドラギさんが頑張る!と言ってみた…と言う感じ?

買い手も売り手も疑心暗鬼の固まりで、どのポジションにも堪え性がなく、夏休み入りも重なって参加者が減る中虚しい乱高下が続きます。

こんな市場展開に日々まともに対応していても無駄に体力を消耗するばかりなので、余計なことを考えずにしばし傍観。

がんばれドラギ!
がんばれニッポン!!
寺本名保美

(2012.07.27)



線引きへの対応

2008年の金融危機以来、ヘッジファンドを含めた資産運用会社と何度となくやり取りをしたテーマが、当局の規制の変更や強化にどのように対応するつもりなのか?というものでした。

金融ビジネスの多くは常に規制当局との駆け引きと隣り合わせに存在するものです。

金融市場に力のあるうちは、その金融取引の社会的意義を主張するなどして、セーフとアウトの境を自分たちに有利な方に動かしてきました。

金融危機以降、この境めの線引きが当局によって不利な方向に移動しつつあることは、業界全体として認識していたはずですが、実際に運用会社と話をしていてもこの件に関する危機感が限りなく足りなかったように感じています。

市場変動リスクだけではない、こうしたビジネスリスクをどのようにモニタリングし対応していくべきか。

運用機関にとっても、我々にとっても大きな課題です。
寺本名保美

(2012.07.26)



セミナーお礼

昨日、無事定例セミナーを開催することができました。
蒸し暑い中、ご参加いただきました皆様にお礼申し上げます。

代替投資の管理基準のようなものをお示ししたのですが、基本は「管理できる戦略」を選ぶことであり、「管理できるポートフォリオ構成」にすることです。

戦略の分散や運用機関の分散が必要だからといって、数を多くし過ぎれば、管理がおろそかになります。

高度な運用技術も大事ですが、高度すぎると管理がでません。

経済の方向性だけでなく、規制の在り様、金融の基幹構造の変化など、先の読めない状況下での資産運用は、できるだけシンプルであるべきだというのが、弊社の主張です。
代替投資も例外ではありません。

判らなくなったら基本に戻る。
今はそういう時期なのかもしれないと思っています。
寺本名保美

(2012.07.25)



定例セミナー 代替投資のガイドラインについて

本日は年金スポンサー向けの定例セミナーです。

今回私のパートは、弊社が設定した代替投資を採用するにあたっての基本ガイドラインの解説を行います。

代替投資戦略が日本の年金で取り上げられるようになって早10年近くがたちます。

山あり谷あり崩壊ありの10年を経て、代替投資というものがようやく年金運用の一つのパーツとしてなじんできたようにも思います。

一方で、製造者側・使用者側それぞれの慣れが引き起こす事故も多くなっているのも、また事実です。

今回はガイドラインを読み解きながら、代替投資とどのように向き合うべきかについて、改めて確認をする場にしたいと思っています。
寺本名保美

(2012.07.24)



そろそろ手に負えなくなってきた

ユーロという市場が、寿命の近づいているオンボロ機械に見えてきました。

オイルを指したり錆止めを塗ったりしながら、騙し騙し使ってはいるものの、プスプス音を立てて止まってみたり、ギアが熱を持って煙を出したりの繰り返しです。

この間までは、蹴っ飛ばしたり、さすったりすると、動いていたのですが、最近は少しの振動でもバネが外れてしまいます。

昨晩も何の機嫌がわるいのか、朝来たらメーターが危険水準を大きく振り切れていました。

そろそろどこが壊れているのかもわからなくなってきたので、処分したいのですが、廃棄費用が莫大すぎてオーナーがOKをだしません。

安全性を考えたら、機械の維持は諦めて、部品をバラして処分するのが一番なのですが…
寺本名保美

(2012.07.23)



ケイマンかわいそう 他 …

HSBCのマネーロンダリング問題に関し、HSBCがケイマン諸島などでのビジネスから撤退する、数千ある口座も閉鎖すると、米国の公聴会で宣言したとロイターが報じています。

これでまた、ケイマンは悪い島、の論調に拍車がかかります。

そのこととは別に、HSBCはヘッジファンドなど外国籍投信のカストディアンやアドミニストレーターとして、それなりのシェアを持っています。確かに最近減ってきている(ヘッジファンドサイドがHSBCを避けている?)ようにも見えますが、影響がないというところまではいきません。

話は飛びますが、リーマンショック以降、米国のインベストメントバンクが消滅し銀行規制の内枠に入ったあとも、ユニバーサルバンクとして総合金融業を継続してきた欧州英国系の金融機関が、LIBOR問題を含め狙い撃ちをされているように感じます。

なんだか鬱陶しいのは、気のせいですかね…
寺本名保美

(2012.07.20)



解散時の受給権

「どういうわけか」役所もマスコミも話題にしないので書きますが、

厚生年金基金が代行割れの状態で解散をしたら、現在受給者が受け取っているプラスアルファ部分の年金は「ゼロ」になります。

かつ、解散決議には「受給者の同意」は必要ありません。

今日の日経の一面に「OB年金減額 壁低く」という活字が大きく載っていますが、「減額」には受給者の同意が必要で「消滅」には同意が必要ない、という構造に違和感を覚えます。

解散が良いか悪いかではなく、減額同意に掛る労力と、解散に掛る労力を天秤に掛けたとき、解散に掛る労力の方が軽い、ということがどうも納得がいきません。

解散時の受給権の問題、そのうち火を噴く気がしています。
寺本名保美

(2012.07.19)



生きる姿勢の問題?

日々拡大するLIBOR問題。

とうとうバーナンキさんに、業界としての姿勢そのものが問題なのだ、とまで言われています。

まぁ業界としては、昨日まで見過ごされてきたことがある日突然アウトにされて、反省よりは怒りが先行している感じでしょうか。

まだよくわからないことが沢山あるのですが、はっきりしていることは金融村のルールを決めるのはもはや金融村ではないということです。

ルールブックを自ら設定し拡大してきた金融の時代が、本当に終焉しつつあるのかもしれません。
寺本名保美

(2012.07.18)



本日の「思いつき」はお休みです

携帯端末の不具合がありまして、本日の更新ができない旨担当より連絡がありました。申し訳ございませんが、本日の思い付きの更新は明日以降となります。ご理解のほどよろしくお願いします。

追伸
銀座界隈があまりに暑(熱)過ぎて、電波と私の頭が遮断されていました?!すみません。
寺本名保美

(2012.07.17)



平易な表現、義務化?!

先日の有識者会議を受けたパブリックコメントが公表されました。

内容については、色々思うところ、気になるところはありますが、それはまたパブリックコメントなどに記載することとします。

全体の印象としては、少し雑然としているかな、という感じでしょうか。

最後の最後に、付け加えられている一文。
「理事等は、代議員会への報告(一部略)、事業主への情報提供を行うに当たっては、平易な表現を用いなければならないこととする。」
ちょっと笑えました。

年金数理人や運用機関の報告資料とかにも、この項目義務化しましょうか。もちろんコンサルタントの報告も含めて…
寺本名保美

(2012.07.13)



慣れは怖いです

日本の年金市場に代替投資という言葉が本格的に入ってきたのは2000年代初頭のことです。弊社のセミナーでも2001年に代替投資を取り上げています。

それからすでに10年以上が経過し、年金運用において代替投資という言葉が珍しいものではなくなってきています。

代替投資戦略は右肩上がりではなくなった世界経済において、非常に有用な手段であるという認識には変化はありませんが、一方で代替投資という言葉に、業界が少し慣れすぎてしまったような危惧も持っています。

理事長や常務理事の任期は短く、数年で一回転してしまいます。業界としては慣れてきているようでも、個人個人の知識が業界における時間の経過程蓄積されているわけではありません。

運用機関もコンサルタントもスポンサーも、先を見ることも大切ですが、たまには少し立ち止まって基本を確認することも重要なのではないかと思っています。
寺本名保美

(2012.07.12)



だから?どうしたいの?

LIBORを巡る不正操作問題ですが、問題が拡大していることの真意がどうもよくわかりません。

LIBORは、複数のLIBOR算出対象銀行が、ロンドン時間の午前11時に自行が資金調達をしたと想定した場合の「参考金利」を、「自己申告」した数値を、トムソンロイターが集計し、英国銀行協会が発表するものです。

複数の銀行の平均値であり、かつ大きく上下に外れた金利はカットされる仕組みになっている中で、一行だけが自分に有利に金利を誘導することがどうして可能だったのか、どうもよくわからないところがあります。

そもそも、所詮民間の「営利企業」が「自己申告」で出す数値が公正中立であるわけがなく、それを含めいまさら何を問題にしているのかよくわからないのです。

LIBOR問題は、それ自体の問題より、それにより英国の金融規制がどこに向かおうとしているのか、という点に注目していた方がよいような気がしています。
寺本名保美

(2012.07.11)



期待リターンの放棄

最近運用機関からの提案の多くが、リスクをコントロールするタイプのものです。

リスクパリティ型のポートフォリオ。
最少分散型のポートフォリオ。
下値ヘッジ型のポートフォリオ。

様々ですが、共通しているのは、「期待リターン」という概念を放棄しているという点でしょうか。

リスクを一定にすること、リスクを最小化すること、下値を管理すること、が「リターン」にどのように貢献するのか、という説明が一切ありません。

「あたらない期待リターンという発想を捨てて」とか、「リスクは検証できるがリターンは検証できないから」とかいう説明を聞く度に、「リターンの概念」を捨てた運用機関には用はない、と思ってしまうのです。

リスクをコントロールするという意味が、リターンの責任はもう負いたくない、という運用機関の本音の裏返しでなければいいのですが。
寺本名保美

(2012.07.10)



だって…

人間ドッグ後の再検診に呼び出され、

「ようするに、生活環境が悪いということです」
「ストレス溜めないとか、良い睡眠をとるとか、正しい食生活を送るとか、定期的な運動とか、何かできることはありませんか?!」

と言われ、

「ない…」

だって、この相場だし。
イベント多いし。
湿度高いし。
世の中言い訳多いし。

という私も言い訳多いし…
寺本名保美

(2012.07.09)



利下げ無反応

昨晩、ECB・中国・英国との連続的な金融緩和があったにも関わらず、昨晩の欧州株式市場は周辺国中心に大幅に下落し、今日のアジア市場も下落傾向が続いています。

もちろんECBが利下げをしなければ、もっと悲惨な結果となっていたかもしれず、利下げが無駄だったとはいいませんが、今市場が期待しているのは「政策金利の引き下げ」という心理的施策ではなく「スペインとイタリアの調達金利」を現実的に引き下げるための具体的施策です。

既に6%もあるような国債を買うのに、調達コストが0.25%であっても0%であっても大差ありません。

両国の国債を結局誰が買うか?という問題への解を先延ばしされた上に、金利を下げたことで実態経済の悪さや将来のデフレがむしろ強調されてしまったようにもとられ、心理的にはマイナス効果となってしまったようです。

最終的にドイツ等がイタリアやスペインの国債の信用補完を直接すると宣言させられるまで、この綱引きは続くのでしょう。
こんなことをしていると、本当に世界経済が壊れてしまいそうで、嫌な感じです。
寺本名保美

(2012.07.06)



ハンドリング不能

目も当てられない惨状だった5月のヘッジファンド戦略でしたが、6月は大方5月の負けの半分から8割方取り戻したぐらいの感触を得ています。

市場が荒れれば、多かれ少なかれ問題がでてくるのは仕方のないこととしても、市場・環境・制度と様々な状況変化が起きる中、対応しきれない運用機関のドタバタがひどく目につきます。

取扱い商品が多すぎて状況認識が出来ない。
戦略が高度すぎてハンドリングが出来ない。
本部と営業体とのコミュニケ―ションの欠如。
言い始めたらきりがありません。

何かイベントが起きているといっても、2007年から2009年までの混乱から比べれば、ほんのサワリに過ぎない程度の問題であるにもかかわらず、ここまで対応がもたつかれると、今後の展開がかなり不安になります。

運用機関の中でどうもキャパシティオーバーが起きているように思えてならないのは気のせいでしょうか。
これ以上メンテナンスが出来ないような戦略を提供するのは、本当にやめたほうが良いと、心から思います。
寺本名保美

(2012.07.05)



気晴らし

昨日のTOPIXは777(+7.77)

何か良いことありそうな?!
と思ってニュースフローを眺めるものの…
はぁ~…

まあ、気晴らし、きばらし。
寺本名保美

(2012.07.04)



基準時価差異というやっかいなもの

この数日、どうも頭の痛いことが続きます。

そのうちの一つ。最も軽めのことではあるものの、中長期的な問題として、国内籍投信の外貨資産評価があります。

6月最終営業日に、EU首脳会議の結果が発表されたため、外国株式の代表的なインデックスは最後一日で4%近く上昇しました。

国内籍投信経由で外国株式を運用していると、この4%の収益の殆どは来月回しになります。

これはインデックス収益率の時価が「現地時間の引け値+ロンドン時間の為替レート」であるのに対し、国内投信の時価が「前日の引け値+当日の朝の為替レート」で算出されるからです。

ならしてしまえば、評価値のズレは翌月に吸収されるのですが、これが年度末に発生したと考えるとゾッとします。

我が国の資産運用の国際化というのは、こうした細かいルールの修正から行っていくべきなのではないかと、心から思います。
寺本名保美

(2012.07.03)



質が悪い

先週、欧州の目先の危機が解決されたにも関わらず、全く気分がはれない週末を過ごすことになったのは、野村と大和のインサイダー報道の質の悪さにあたったからに他なりません。

ある意味感染先であった信託銀行の内部報告書を先日読んだ時には、病状の重さが想定外だったことにショックを受けました。

さらに、感染元である野村が、自覚なく長期間にわたって菌を増殖させ世の中にばら撒いてきた状況を報告書から目の当たりにし、この菌が市場のどこにまで感染してしまっているのかと考えると目眩がします。

インサイダー情報の提供を取引業者に積極的に要求していたヘッジファンドの存在も合わせて、時代錯誤も甚だしい。

とにかく、金融庁は速やかに全容を明らかにするとともに、過去の感染者の内どこまでを処分対象とするのかしないのか、ということを早く明確にして欲しいと強く思います。

でないと、日本株の運用者全員を疑惑の目で見ざるを得ません。
勘弁してください。
寺本名保美

(2012.07.02)


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