2012年12月の思いつき


今年もありがとうございました

年金業界にとっては激動の一年がようやく終わります。

スポンサーにとっても、資産運用業界にとっても、数理人やコンサルタントにとっても、自らの言動を真摯に振りかえることを余儀なくされた一年となりました。

後ろばかりを見ていても仕方ありません。

来年は、ちゃんと顔を上げて、前を向いて、進んでいく一年にしたいと思います。

株価も応援してくれています。

今年も大変お世話になりました。
来年も年金スポンサー様の、よきパートナーとなるべく、社員一同精進してまいる所存です。

よい新年をお迎えください。
寺本名保美

(2012.12.28)



一人勝ちしたドイツさんへ

今年の3月末を基準として、主要国の株価指数を比較してみると、意外なことにTOPIXとS&P500がほぼイーブン。なんとドイツが一番、フランス二番、という結果に、やや笑撃…ではなく衝撃。

これを昨年の12月基準からの1年でみたとしても、ドイツの一人勝ちが際立つばかり。

ドイツさんドイツさん。
世の中が通貨ユーロの崩壊に脅えて萎縮するなかで、貴方を一人肥え太らせた理由を、貴方はちゃんと理解していますね?

ギリシャショックより早2年。各国中央銀行も精一杯お札を刷って、時間も十分稼ぎました。

この2年間のユーロ安で蓄えた貴方の脂肪…ではなく体力を、来年はどうぞ「危機」という単語の一掃に活用し、我々に平穏を与えてください。

「今年最後の」お願いです。
寺本名保美

(2012.12.27)



一人当たりGDP

少し年末気分になり、朝からぼーと「国民一人当たりGDP」のグラフを眺めています。

名目と実質。日本と米国。ドルベースと円ベース。
色々な切り口のグラフを眺めながら、その時代その時代の経済や金融市場の徒然を思い返しています。

実質成長だけを見る限り、日本と米国に大差がついたのはやはり震災の影響が大きく思え、それ以外についてはそれほど悲観する状況ではなく、
一方で名目値でみれば悲惨としか言いようがないものの、それも通貨調整をするとその悲惨さはかなり薄まります。

どの切り口で経済というものを見るかによって、今の日本経済の居所は大きく変わり、どの切り口を優先するかによって経済金融政策も大きく変わります。

この一年、景気とか経済環境とかとかなり無縁なイベントで頭の大方を使ってきましたが、来年は少し経済ファンダメンタルズに意識を向けてモノを考えていきたいと思っています。

とりあえず、今はリハビリ中なので、結論はまたそのうち…
寺本名保美

(2012.12.26)



賃金の本質を考える

東京も寒い朝になりました。

目の前のビルでは、綱3本の空中ブランコでの窓拭き作業が進行中。

こういう仕事をしている方々、無条件に尊敬します。

安倍政権になって、賃金が上がるか?という話がテレビなどから聞こえてきます。

最低賃金とかの話とは別にして、日本の賃金が技術や職能に見合ったものになっているかどうか、常々疑問に思います。
窓の清掃会社の社長の給料より、どう考えても空中ブランコに乗っているお兄さんの方が給料は高いべきだと思うのです。
こういう視点での賃金問題は、デフレとかインフレとかの問題ではなくて、技術や職能というものに対する対価を社会全体がどう考えるか、という問題です。

全ての頑張っている人達に、メリークリスマス。

(2012.12.25)



1周ずれてます(汗)

この数日、幾つかの資産運用委員会等で当面の運用方針のお話をさせていただくと、皆様とどうも波長がズレていることに気付きます。

「えっ?環境が好転したから買い増す、って話じゃないの?」
「いえ、多めに持っている日本株をどこで一旦減らそうか、という話です」

というような会話を、繰り返しています…

日本株式市場というのは、一度動き始めると、非常に短期間に頂上を目指すという傾向があります。
ですから、材料が出てから買い増していては間に合わず、材料が出たらひたすら売り時を探るしかないのです。

まぁ弊社の判断は、常に少しばかり早すぎるのが玉にキズ、という自覚はあります。1周ではなく半周先行ぐらいがちょうどよいのですが、どうもそのあたりが上手くいきません。

いずれにしても、この相場今回は長持ちするとよいのですが。
寺本名保美

(2012.12.21)



年末カウントダウン

今年の営業日もあと5日となり、世界各国のファンドマネージャ-諸氏にとっては年越しのポジションイメージを固めにいく時期になりました。

一年前の年末には再選の見込みが殆どなさそうだったオバマ大統領が年明けと共に復活したように、年末年始というのは大きく何かがリセットされる節目になりがちです。

ここにきて、楽観論が市場を支配しつつある欧州問題、景気と市場の低迷から脱したと主張する中国、そして重石が外れたかのようにフワフワ上る日本株。

こうした市場の反発が、単に深い崖っぷちに立つ米国市場からの現実逃避の受け皿に過ぎないのか本物なのか、年が明けてみればわかるかもしれません。

あとは、クリスマス休暇返上で「崖」回避する努力をしているであろう、米国政府と議会が、よい新年を世界の国民にもたらしてくれることを期待するとしましょう。
寺本名保美

(2012.12.20)



異文化としての日本

今回の選挙結果が海外では日本の保守化の現れだと解説されますが、それほど気合の入ったものではありません。

そもそも保守化という言葉が、昭和初期の世界大戦にリンクされたものであることに、違和感があります。

ところで、今、日本文化が日本の若者でブームになっています。
城女子、仏教女子、巡礼流行とかいうのは、別に過去へ回帰しているわけではなく、日本文化が日常生活から乖離しすぎてしまった結果、むしろ、外人が日本文化を見て感じるような「cool!カッコいい!」というのに近い感覚を若者が持ち始めているだけなのでしょう。

こうした現象をステレオタイプ的に「若者の保守化」と括ってしまう大人の感覚があるとするなら、それは大人の方が歪んでいます。

よいものとよいと評価できるようになった今の若者の方向性。なんでも否定すればカッコいいと思っていた10年前に比べると随分良くなっているように思います。これからの日本、少し期待できるかもしれません。
寺本名保美

(2012.12.19)



海外のほうが盛り上がっているような?

昨日、CNNとかBBCとかプルムバーグTVとかの海外メディアを眺めていたら、日本の政権交代について興奮気味に解説をするストラテジストやファンドマネージャーさんが沢山登場していました。

お目にかかった英国人のファンド経営者の方も、日本の金融市場の行方に興味深々でした。

思ったのですが、グローバルな金融市場、何でもいいから景気の良い話に飢えています(笑)

デフレという言葉に飽き飽きしている世界の人々は、デフレ脱却という文言には、それがどこの国の問題であっても、過剰に反応するのでしょう。

ということで、国内だけでなく、世界の期待を背負った安倍政権。
責任重大ですよ…
寺本名保美

(2012.12.18)



取り急ぎの感想

ある程度予想されていたとはいえ、相変わらず極端から極端にふれる選挙結果となりました。

NHKの大河のテーマは二年前に決まっているにも関わらず不思議とその時代を象徴するように思うのですが、平家物語の、「驕る平家は久しからず」とはこれまでの民主党を指すのか、はたまたこれからの自民党を指すのでしょうか。

さて安倍政権。
選挙中随分むちゃな金融財政論を振り回しているように評価されていましたが、単に過去4年に渡って米国でオバマ政権が行ってきた金融財政政策を、今度は日本でさせてくれ、と言っているだけにもみえます。

もちろん、ドル安にしたいと言って現実にてきてしまう米国と、したいと言っただけで国際社会の槍玉にあがる日本とは、現実に置かれている環境はかなりことなります。

当面は安倍政権の実行力と、海外からの反応に気を配りながら、資産配分の方向性を慎重に見極めていかなければならないと思っています。

火曜日までは、海外なので、取り急ぎ感想まで…
寺本名保美

(2012.12.17)



愛!!!

昨年、私は今年のキーワードは「悟」ことだと書きました。諦めるのではなく前に進むために過去に捕らわれず悟ろうと。

現実は年金業界、あまりに多難で、悟より諦のほうがしっくりくる方々が多くなってしまった一年だったのかもしれません。

私にとっては、理(ことわり)という漢字が思い浮かぶ一年でした。
システムに大きな障害や綻びが発生したとしても、その組織やシステムに「理」があれば、それは生き残り、「理」がなければ自ずと消滅をするのだということを実感する機会もありました。

私は、年金というシステムの「理」には、全くの疑いを持ちません。
同様に、資産運用業というシステムの「理」にも疑いを持ちません。

だから、何も諦めることはなく、変化を怖れず、来年も前に進んでいきます。

そして、進むための原動力は「愛」です!
基金の皆様、加入事業所や加入員の皆様、そして運用業界の皆様達と沢山の「愛」のキャッチボールをする一年にしたいと思っています。

来年は「愛」です!(笑)
寺本名保美

(2012.12.14)



中央銀行の同質化

昨日のバーナンキ議長会見ですが、そのまま次期日銀総裁会見の台本にできそうです。

政府議会にたいし、自分も頑張るけれど君も頑張れ!と明確に言えることは、国民にとってもわかりやすくて好ましく感じます。

それにしても、一時代前までは、景気のコントローラーである米国と、物価の番人である日銀とは、かなり異なる政策スタンスをとっていたはずですが、今となっては抱える問題は共通です。

これを米国の日本化と呼ぶか、グローバル化と呼ぶか、は微妙ですが…
寺本名保美

(2012.12.13)



逮捕と処分の違い?

LIBORの不正操作問題で、とうとう逮捕者が出ました。

一方で、日本のインサイダー問題について、違反者個人の氏名を公表する方針が発表されました。

日本の金融関連犯罪については、これまで処分が甘すぎる、という指摘が度々されてきました。

LIBOR不正操作問題というものが、個人の私腹を肥やしたものとはあまり思えないなかで、逮捕という結末を迎えたことに驚くのは、日本の甘い金融行政に慣れ親しんでしまった結果なのでしょうか。

とはいうものの、インサイダー問題を起こした個人について、一般社会に向けて名前を公表するという措置にはどこか違和感があるのですが…
寺本名保美

(2012.12.12)



単なる方便に終わらせないために

イタリアのモンティ首相が突然辞任を表明し、しばらく落ち着いていた欧州市場が再び混乱しています。

国民の信任を受けていないと自ら判断したため、ということのようです。

学者出身のモンティ首相が選出され、その後閣僚が全て非国会議員から選出された時、「賢そうな人達の集まりになったので、上手くいきそうな気がする…」と言ったイタリアの人達は、今何を思っているでしょう。

賢そうな人達の集まりは、中長期で見れば正しい政治を行ってくれるのでしょうが、性急な国民の欲望を満たすことには全く向いていません。
イタリアやギリシャという国が一年前、中長期に正しい選択を行う政治に舵を切ったのは、そうすることで国際世論を納得させ、当面の資金を引き出す為の一時的な「方便」であったことは、当の学者先生達が誰よりも理解していたのかもしれません。

モンティ首相就任時に7%を超えていたイタリアの国債利回りが、足元で4%台にまで低下させたことで、自らの責務に区切りが付いたと思われたのでしょうか。

この一年かけて、国際社会と築いてきた信頼を、元の木阿弥にしてしまわないことを、イタリア国民に期待していくしかありません。
寺本名保美

(2012.12.11)



あぁつまらない

つまらない選挙戦が続いています。

安倍さんのヒステリックさは増し、野田さんは選挙になってからすっかりつまらない人になり、疲労感漂う石原さんには寒いから止めたほうが…と思い、橋下さんは所詮当事者じゃないし、小沢さん?どこいった?
あとは沢山あってよくわからない。

白か黒かの二元論でなければ、国民には理解されないと思っているのは、政治家の思い上がりではないかと思います。

今回の選挙が争点がなく戦いにくい、というような言葉が出てくること自体が、どうかしています。

むしろ争点だらけ、問題だらけ、なために、短期決戦用の的が絞りこめていないだけでしょう。


そういえば、都知事選やっているはず…たぶんですが。
寺本名保美

(2012.12.10)



本当にやさしいの?

前にも書いたような気がしますが…

海外で起きた災害に関する、日本のマスコミの取扱い方に違和感を持ちます。

例えば、今フィリピンでは台風24号により、数百人規模の死者数百人規模の不明者、そして数十万人以上が家を失っています。

CNNを初めとする海外メディアはこの被害について写真つきで詳細に報道しているのに対し、日本のメディアは被害初日以降ほとんど追いかけていません。

弊社の社長曰く、そもそも海外での事故や災害の報道において、結びに使われる「なお、日本人の被害については確認されていません」という文言そのものが、自国に被害がないのでこのニュースはお終い…と結んでいるようで気分が悪いと。

日本人はやさしいと世界中の人が言ってくださるものの、それがどうも内向きなやさしさであるような気がして、申し訳ない気分になります。
寺本名保美

(2012.12.07)



お願い…

お役所の出す文章というのは、本当にわかりにくい。国語の読解力試験をされているのではないかと思うほど、わからない。

昨日出された、年金基金のガイドラインに関するQ&A。

表紙に項目20は大切ですからよくみてください、と書いてあったので、よくみてみたが、たった10行足らずの文章、何度黙読しても頭に入らず、最後は声に出して読み上げて、ようやく得心。

運用ファンドを特定してから、投資一任会社を探すようなことはしてはダメよ…
と言いたかったらしい。

大事なことならもう少し簡単に書いてもらえないものですかね…
寺本名保美

(2012.12.06)



未来と現実

エジプトでの大規模デモが気になります。
民主化運動と言われていますが、本質は景気です。

生活の困窮や格差への不満が政権を倒したものの、生活は豊かにはなりません。

グローバルな景気後退が重なったことも、海外出稼ぎ人口の多いエジプトの人々にとってはタイミングが悪かったとはいえ、政権を変えただけで景気が良くなるわけはない、というのは当初からわかっていたことです。

民主化という道のりの先に、中長期的な生活の安定が待っているとしたとしても、政府を倒した人々の心の内にあるのは10年後の安定ではなく、明日のご飯です。

明日のご飯のためには、エジプトの大統領に期待するより、むしろグローバル経済の回復に期待した方が現実的かもしれません。

先進国発、アジア発、の経済の縮小が長引いていくと、こうした基礎体力の乏しい地域の人々の生活がどんどん圧迫されていきます。

地政学的リスク、という聞きたくない言葉が、またあちらこちらで頭を過ぎる時期が来ているのかもしれません。
寺本名保美

(2012.12.05)



ウキウキ

前にも書きましたが、私はシャープの製品が好きです。

悩みに悩んで初めて買ったPCがシャープのメビウスで、今のタブレットPCの先駆けともいえるポケットPC機能付きのザウルスも買いました。

ドラえもんのポケットみたいに、欲しいと思う機能が、手抜きなく満載されているところが、ちょっとしたお得感と楽しさを醸し出してくれていました。

で、今月発売の、新型液晶搭載携帯。

購入者や雑誌記者のコメントを見る限りにおいては、なかなか評判がよさそう…
なによりも、コメント欄のあちらこちらに、ようやく国産でIphoneと競える商品が出てきた、とか、シャープの応援がてら買ってみた、とかの表現があることが、かなり嬉しい。

ということで、私も応援しようかと思っている昼下がり…
寺本名保美

(2012.12.04)



債券のリスク

日本の10年金利が0.6%台となり、債券市場参加者にやや警戒感がでているようです。

過去の10年国債の最低利回りは2003年6月の0.43%です。

当時の日本は第二次金融危機の最中にあり、金融機関を中心に国債の大量積み増しが加速していました。
更に年金においては、代行返上とその後の予定利率の引き下げによって、株式から債券へのと資産移管が進んだ時期でもあります。

この時期の、債券の四半期報告会では、「金利の低下リスクが高まったため長期国債を買い増した」という「リスク」という言葉の意味をはき違えたような表現が見られたものです。

あれから約10年。
運用機関も、当時と比べればやや頭が柔軟になってきて、ベンチマークにトラックするかどうかだけをリスクとはみなさない、ぐらいの見識は出てきているようではありますが、本質的に投資行動が順張りであることには変わりありません。

ここまでの債券市場とこれからの債券市場。そろそろ同じだとは思わない、本当の意味でのリスク管理が必要な時期に差し掛かっているかもしれません。
寺本名保美

(2012.12.03)


build by phk-imgdiary Ver.1.22