2013年07月の思いつき


久々のドラマから思うこと

大河と2時間ミステリー以外で、数年ぶりに見ているテレビドラマ…「半沢直樹」。

ドラマそのものへの興味より、このドラマの視聴率が高いことへの興味が募ります。

「パワハラ」と言われるのが怖くて言いたいことの何10分の1も言えずにいる管理職。
「倍返し!」と言って突っ走るぐらいの中堅がどこかに居ないものかと羨ましがるシニア層。
「暑っ苦しいサラリーマン」が滑稽で、でも妙に新鮮に感じる若者層。

それぞれが、それぞれの立場で、このサラリーマン物語を楽しんでいるのでしょう。

最近、どこの組織と話していても、人材の育成が大きな大きなテーマになっています。

この漫画チックに泥臭いドラマが流行るということは、企業や社会における人間通しの関わりをあえて薄くしてきたこの10数年の傾向に、少し変化の兆しが出てきているのかな、と期待を込めて感じています。
寺本名保美

(2013.07.31)



野田さんとの約束

以前にも書きましたが、アベノミクスが大胆な財政積極策を実行することができたのは、当時の野田首相が消費税引上げを約束したからです。

脆弱な財政基盤を抱える日本が、お札を大量に刷ることのリスクを、金融市場が忘れたわけではありません。

ここにきて、消費税引上げ論にブレが出てきているように報道されていることと、この数日の円買・株売とは無関係とは言い切れません。

大手格付け機関が、消費税引上げに慎重な見方を示した、との報道もありますが、よく内容を見てみると、格付けに責任を持つアナリストのコメントではく、テレビでよく見かけるエコノミストの個人的見解です。参議院選後に出された格付け機関のコメントには、社会保障費と消費税の方向性に注目していると明記されています。

実体経済への悪影響がないとは言いませんが、物価がブラスに転じ、失業率が下がり、株価が上がり、生産指数が好転している今のタイミングで消費税の引き上げが決断できなければ、この国の消費税は未来永劫上がりません。

野田さんの痛みを伴った英断を、安倍さんが反故にするようなことだけは、しないで欲しいと強く思います。
寺本名保美

(2013.07.30)



良い調整?

ほとんど意味もなく、円買い、株売り。
海外夏休み前のポジション調整。

参院選も終わり、日本関連は当面の材料出尽くし。

それにしても、今年の金融市場は、本当にわかりやすい。

少しでも過熱感が出れば直ぐに修正され、ポジションが偏れば解消されます。

逆に6月にパニック的に売られた、エマージングやクレジットは、7月には大きく買い戻されて、一安心です。

但し、偏りや、行き過ぎの修正は繰り返している分だけ、大きなトレンドに変化が起きにくいのも今年の金融市場の特徴でもあります。

この夏休みシーズンは、買い損ねた人、売り損ねた人にとっても、良い調整局面なのかもしれないと感じています。
寺本名保美

(2013.07.29)



ヘッジファンドだけの問題ではなく。

かつて米国ヘッジファンド業界の雄であったSACが、6年越しの捜査の結果、追訴を受けました。

米国の金融犯罪にしては、捜査期間が異常に長期に渡っていることからもわかるように、この事件にはとても多くの論点が含まれています。

個別のFMが行っていた情報収集の違法性の適用の是非。黒と白との線引き基準は過去10年一貫していたのか。

個人の責任と会社の責任。会社ぐるみでインサイダー取引を行ったというよりも、個々のFMが不正を働くことへの防止策が希薄であったことへの管理者責任、というよりは「未必の故意」は存在したのか。

会社の責任とオーナーの責任
個々の運用者が一線を踏み越え、組織としての「未必の故意」を増長した元凶がこの会社の「企業カルチャー」にあるならば、カルチャーそのものであるコーエン氏に「犯罪教唆」が適用されるのか。

本当は、この最後の部分に米国司法は踏み込みたくて、6年間も時間をかけてきているのでしょうが、今のところコーエン氏本人までは手がついていません。

ヘッジファンドだけでなく、国内外全ての運用機関にとっても、色々と考えなければならない課題が投げかれられています。
寺本名保美

(2013.07.26)



ようこそ日本へ

米国の駐日大使に、ケネディさんが決まるようです。

米国の人達にとってのケネディ家というものがどのような意味を持つのか、我々にはよくわからないところがあります。

例えば、麻生大臣に対し、昭和日本のカリスマであった吉田茂への郷愁を感じる人は日本にはいるように思えず、万が一坂本竜馬の子孫が今政治の表舞台に立っていたとしても、ケネディー家への思いとはやはり異なるものなのでしょう…

製造業の復活が視野に入り始めた米国と、円安で自動車産業が息を吹き返し始めた日本との間には、TPPだけでなく古くて新しい貿易摩擦という重い課題もあるなか、政治的に未知数であるだけでなく。米国においてはむしろマイノリティに分類されるケネディ家出身の駐日大使が、保守的な産業摩擦をどのように仕切っていくのか、やや不安ではあります。

とはいえ、ここは是非日本ファンになってもらい、米国での「クールJAPAN」推進に一役かっていただくには最適な人材であるのは間違いなさそうです。

ようこそ日本へ。どうぞよろしくお願いします。
寺本名保美

(2013.07.25)



出口を出るまで、油断大敵です

G20で米国の量的緩和の停止に対し、新興国から強い懸念が表明されたことで、QE3の出口に怯えていた金利も通貨もやや反発傾向となっています。

基本的に金融政策というものは、自国経済や自国の金融システムの安定化のための手段であって、他国を助けるためにに行うものではありません。

今回の米国のQE3にしても、欧州を助けるために行ったわけではなく、欧州危機をきっかけにした世界景気の低迷が米国国内経済に悪影響を与える危険があったからスタートしたものです。

ところが往々にして、この手の大規模緩和の出口は、他国の事情に邪魔をされ、タイミングを逸してしまうというのが、過去の歴史の繰り返しです。

身近なところでは、1980年台後半の日本の金融緩和が、円高不況に対する国内経済対策でスタートしたはずが、いつの間にか「世界のアンカー」と煽てられ、90年の真正バブルを作ってしまったのが良い例でしょう。

日本の二の舞にはならないと言い続けてきたバーナンキ議長。
「金融危機後の長期デフレを避けた」という意味では大成功だったかもしれませんが、まだまだ出口戦略の舵取りという大きな課題がまっているようです。

(2013.07.24)



決められる ということ

自民党勝利のキーワードの一つが「決められる政治」だと聞いて一つ思ったこと。

「決められるコンサルタント」

もちろん、最終決定はお客様であることは間違いありません。

但し、
お客様が「決める」ための情報を提供するには、我々自身もまた「決める」ぐらいの心づもりで、お客様に接っする必要があるということです。

運用機関を評価するにしても、資産配分案を作成するにしても、そこにはコンサルタントとしての決断が常に存在しなければなりません。

我々の決断をたたき台として、スポンサーご自身が議論をし、決定する、というプロセスをとれることが、コンサルティング会社としての理想型です。

決めるという作業にはもちろんリスクを伴います。
個人としても会社としても、です。

それでも弊社は決められるコンサルタントの集団でありたいと思っています。
寺本名保美

(2013.07.23)



運用も政治もバランスが大事です

先週末は弊社セミナーに多数の皆様にお集まりいただき、ありがとうございました。
厚生年金基金様は制度問題を抱え、企業年金様は決算時ということで、欠席が多いかと覚悟していたのですが、なんと記録的な高出席率で、皆様の運用に対する真剣さを改めて確認させていただくことができました。

私のコーナーは、昨今流行のリスクターゲット型運用を少し解説したのですが、弾丸ジェット・早口大会、のような状況となり、いつものことながら申し訳ありません。

ようするに、ブレーキの説明の裏に隠れた、エンジン部分の説明をよく聞いてから投資判断しましょう、と言いたかっただけで、エンジンがポンコツだと幾らブレーキが優秀でも、すぐエンストしてしまうということです。

ところで参議院選。
普通の結果。自民党比例区候補29人中当選18人。マスコミが言っているほど雪崩は起きずで、有権者は冷静だったかと。
これで経済政策優先の安定した政権になってくれれば言うことないのですが…
寺本名保美

(2013.07.22)



ボラで遊ぼう

本日は弊社の年金スポンサー向け定例セミナーの日です。

今回のテーマは、「ボラで遊ぼう♪」

鯔ではなく、ホラでもなく、ボラです。

Volatility は資産運用にとって、厄介なものであるのと同時に、収益の源泉でもあります。

色々なボラティリティを、色々な角度から眺めていると、色々と発見があるものです。

厄介だからと言って、見ないふりをしていると、大切なことも見えなくなります。

今日はボラとの正しい付き合い方を考察してみます。
寺本名保美

(2013.07.19)



米国のゲームチェンジ?

経営コンサルティング会社マッキンゼーが、
「Game changers: Five opportunities for US growth and renewal」
というレポートを出しました。

好き嫌いは別として、政治力を持っている団体なので、それなりの影響力はあります。

シェールガスを中心にしたエネルギー産業
車や医薬品を中心にした輸出産業
BIG data
インフラ投資
優秀な人材

が米国を「新たな成長ステージに誘う」かもしれない、という内容のようです(すみません要約の要約しかまだ見ていません…)。

過去、ニューエコノミーとかニューノーマルとかいったステージ変化を示唆する表現は、空振りに終わることが多かったのですが、今回はどうでしょう。

最後の優秀な人材、という項目については、まぁ確かに人口は多いですが、とか思ってしまうのですが(苦笑)
寺本名保美

(2013.07.18)



ありゃ…

ぎりぎりにならないとスイッチが入らない、という性格は一生治らないものなのでしょうか。

例えばこのコラム、13時締切と自分で決めているのですが、残り5分で書いたもののほうが、よく書けていたりするわけです。

それにしても今日の午後の状況。
明後日がセミナー当日ということを忘れたくなるほどの、切羽詰まりようであることに、今気が付きました。

では!

寺本名保美

(2013.07.17)



どちらに転ぶか?

今年後半以降の市場環境にとって最大のリスクは、アベノミクスがとん挫することではなくて、安倍政権が憲法議論に傾斜することで国会が空転し、アベノミクスの工程に支障をきたすこと、かもしれません。

今回の参議院選については、東京都の候補看板はテレビで見たことのあるひとばかりが目について、投票意欲を失いつつというのが率直な感想ですが、それはそれとして自民大勝が相場に吉と出るか凶とでるかは、判断が難しいところでもあります。

野党不在の国会運営というものに、国民的には潜在的な心地悪さを感じるものの、株式市場を動かしているのが、海外投資家であるということを前提に考えるのであれば「安定した継続的な政権」に価値を見出すため、自民党の安定多数は望まれる結果ということになるのでしょうか。

今年当初は7月の参議院選挙選までと言われていた、国内株式の強気相場。
夏休み前のポジション調整も意識しなければならない時期でもあり、今週は少し慎重に見極めていく必要がありそうです。
寺本名保美

(2013.07.16)



6月の波乱

6月の市場の混乱の結果が、収益率としてみえてきました。

前月末からの市場の変化率だけをみれば、あまり大きな変化のなかった1ヵ月でしたが、幾つかのファンドでは2008年の金融危機以降で最大のマイナスを記録したものもあります。

特に債券系戦略のマイナス幅の大きさが目立つのが特徴的です。
債券の地域、銘柄、戦略といった区分に関係なく、全体的にマイナスとなり、債券という資産クラス内での分散というものが、全く機能しない状況だったようです。

債券ファンドからの資金流出拡大も囁かれているなか、6月のパフォーマンスの出方を分析することは、今後数年の資産運用環境を判断するには重要な意味を持つのではないかとも思っています。
寺本名保美

(2013.07.12)



3がダメなら4があるさ?

注目されていた米国のバーナンキ議長の議会証言を受けて通貨や金利が大きく反応しています。

このところの市場は、QE3の停止があるかどうかということより、一旦停止したとしても、米国景気や金融市場に不確定要素が高まった場合においては、何時でも「QEを再開する」という柔軟性をFRBが持っているかどうかを見極めようとしているように見えます。

そういう意味においては、昨晩の議会証言での発言は、市場の期待通りの内容になっており、バーナンキさんと市場の対話は昨日に関して言えば成功、ということでしょう。

中国経済の悪化で景気が低迷しているにも関わらず、通貨安からくるインフレ抑制のため今年3回目の利上げをしたブラジル。
一方でリセッションの懸念に対応するため、低金利政策を継続しているにも関わらず、投資資金の引き上げで銀行の調達金利が上昇しているといわれている豪州。
バーナンキさんが対話しなければいけない先は米国国外にも沢山あります。

過去何度も完全停止のタイミングを逃し続けてきた米国のQE。
QE3が停止された後のセーフティネットとしてQE4を期待してしまうようなセンチメントから脱出する道筋は、まだはっきりとは見えていません。
寺本名保美

(2013.07.11)



格付け色々

イタリアが、S&Pから格下げされてBBBとなりました。

その件とは関係なく最近のプレゼンテーションでよく目にするものに、ソブリン格付けとコーポレート格付けとを比較し、同順位格付け間においてどちらが割安だ割高だ、と説明しているものがあります。

私はこの比較はおかしいと思います。

格付け機関サイドも、コーポレート格付けと、ソブリン格付けと、証券化格付けとは、基準も概念も異なる事を明示しています。

単純に同じ符号が付いているからといって、横比較をするのはミスリードです。

だったら、ソブリン格付けなどという紛らわしい符号はなくしてしまえ、という乱暴なはなしも、この数年出たり入ったりしてます。

基本的には使い方の問題ではあるのですが。
寺本名保美

(2013.07.10)



リスクのセンサー

私の市場リスク感知のセンサーが、他人よりももし幾分かでも精度が高いとするならば、それはリスク管理の必要な家族と何十年も過ごしてきたからかもしれません。

日々の顔色、声の張、といったことだけでなく、階下の足音、ドアの開閉音、といったものに、無意識のうちに耳を澄ます癖が、センサーの向上につながっているとするならば、まぁこういった生活の積み重ねも、それなりの役に立っていると思えてなによりです。

市場の音を聞くことの大切さを、弊社の若者たちにも伝えていきたいのですが、口で説明できることでもなく、さてどうしようかと試行錯誤の毎日です。

先入観を持たずに、目と耳を澄まして、市場と向き合う。
単純なことではありますが、まずここからスタートです。
寺本名保美

(2013.07.09)



先週の金曜日

先週金曜日の夜の金融市場は、緊張感のある展開となりました。

欧州市場があいて間もなく、エジプト政府がスエズ地域に非常事態宣言を発動したと伝えられ、原油市場が急騰し、株式市場は下落。

その後、米国の雇用統計が想定より良い数字が出たことを受け、米国の10年金利が急騰。結局2.7%を超える水準まで売られ、その間ドル円は急落。

結果として、米国株式市場が純粋に景気の好転に反応したため、何事もなかったような朝を迎えていますが、今後の展開を見るにつけ、かなり大きな節目になる一日だったように思います。

米国と日本株だけが買われ、ブラジルをはじめとする新興国やリセッションの噂の絶えない欧州は売られたままで終わり。

先進国と新興国。株式市場と債券市場。勝ち負けのコントラストが大きくなりすぎていることは、市場の不安定要素に繋がります。

市場規模が小さい資産からは、早めに撤退をしておくべきだと、改めて思います。
寺本名保美

(2013.07.08)



小さな綻び

アベノミクスの経済成長目標が何時の間にか「名目3%」になっていました。

元々、アベノミクスは、「インフレターゲット2%」というところからスタートしています。

過去の日本実質成長率はサブプライム・リーマンショックの2年を除くと、コンスタントに2%程度あります。

ですから、インフレターゲット2%という話を聞いた時、名目GDPの目標はおのずと4%だと、思っていたのですが、6月に入って安倍さんが3%と言い始めたため、足し算が合わなくなってしまいました。

結局「実質2%・インフレ1%」というのが政府の説明のようですが、だったらインフレターゲットの議論はどこにいったの?ということになります。先日安倍さんがこの質問に対し矛盾はない、と答えていますが、理由はよくわかりません。

想像するに、名目成長4%の世界において日本の長期金利は4%以上になる可能性が高く、黒田総裁が上限と言っている3%を超えてしまいます。これは日本の財政政策上・金融システム上どうしても避けたいところです。インフレターゲット2%と言ってみたものの、長期金利の3%越えは許容できない、という中での数字合わせが行われたのかもしれません。

話術先行で来た政策の綻びは、小さいうちに修繕しておかないと、ぽっかりと大きな穴があいてしまいますよ。
寺本名保美

(2013.07.05)



天災は忘れた頃に…

昨晩のポルトガルの混乱は、不意を付かれたこともありヒヤリとしました。

一夜明けて、為替も株式市場も比較的落ち着いていて、一安心です。

6%台半ばだった長期金利が、瞬き二つで危険ゾーンの7を飛び越え、8%というのは、やはり異常です。

このところ、中国リスクにばかり目を奪われていた金融市場ですが、天災は忘れた頃に…という感じでしょうか。
寺本名保美

(2013.07.04)



政治は変わっても経済は変わらない?

エジプトの混乱で死者が出始めています。

ブラジルやトルコも相変わらずです。

新興国の中で比較的安定していると思われている地域での波乱を、アナリストやエコノミスト達は「知的中間層」の暴動という、従来とは異なった切り口で分析しているようです。

2010年の年末にチュニジアから始まったアラブの春は、民衆の力が政治体制を変えることができるという自信を、彼らに与えました。

一方で、当初から懸念されたように、政治体制を変えることができたとしても、民衆の生活満足度を好転させることはできなかったことが、今の混乱に結びついています。

一時期の高揚の後にくる、現実の厳しさと、彼らは今戦っている、ということなのかもしれません。

これが、アナリストたちの言うような、先進国となるために越えなけれならない前向きな闘争であるのか、さらなる混乱への後戻りのきっかけとなるのか、今の段階ではよくわかりません。

足の速い投資家による資金の引き上げが、状況をさらに悪化させる可能性もあります。

しばらくは要注意です。
寺本名保美

(2013.07.03)



資産運用におけるメガというもの

メガの兄弟統合。それ自体にはあまり興味はありません。

今後、信託やAMを含めた、ワンストップな金融グループを目指す、という趣旨には、少し引っ掛かります。

何年も十何年も思い続けていますが、日本の金融グループって、信託銀行って、結局どうなりたいのでしょう?

資産運用ビジネスに特化して話をするなら、グローバルカストディーを目指すわけでもなく、グローバルなアセットマネージャーを目指すわけでもなく、資本にモノを言わせてブランド力のある運用会社を傘下に入れるわけでもなく。

自社の商品を自社のブランドが通じる世界で、そこそこ残高が積めれば生きていける。
グローバルで残高が伸びた戦略を、とりあえずシミュレートしていれば生きていける。

ワンストップな金融グループにおける資産運用ビジネスというものが、国内外問わずほとんど成功していないのは、どうしてなのか、経営陣はよく考えたほうがよいです。

過去10年、何度この趣旨のコメントを書いたことか、と思うと少し悲しくなります。
寺本名保美

(2013.07.02)



一任会社の責務

あまり触れたくない話題ではあるのですが、あえて書きます。

年金資産が、投資一任形式をとっている以上、一任契約先のリスクを度外視して考えることはできません。

問題が発生した一任会社を通して投資している先の運用が、どれほど優秀でも、その資産クラスや戦略がどれほど魅力的でも、一任会社が一任会社としての責務を果たせないことが想定されるのであれば、「絶対に」投資してはいけません。

現在の年金基金という業態が置かれている社会的・社内的立場というものを考え合わせた時、この一任会社のリスクというのは、取り返しのつかないほど大きなものになります。

現実に損失が起きるか起きないか、という経済合理性からみたリスクとは、全く異なったリスクです。

誤解して欲しくないのは、大手だから安心、中小だから危険、といっているわけでは決してありません。小さくてもモラルを持ってコツコツと展開している会社もあれば、大きくても「?」な会社もあります。

一任会社の責務というものに、委託者側はもう少し厳しくあるべきであると、私は考えます。
寺本名保美

(2013.07.01)


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