2014年03月の思いつき


半歩先

冷や冷やしながらの3月も、どうにか「±0」程度で着地できそうな気配、です。

2004年ぐらいから始まった「金融主導の政治経済」が、その後の崩壊の過程を含めて2013年のQE3の縮小決定まで続いていたとするならば、2013年を境に今度は「政治主導の金融経済」へと、舵が切りかえされたように感じています。

金融が主導であった時代は、刹那的ではあるものの、お金のための「自制心」と、金融というルールがある世界での「統制感」があったような気がします。

政治が主導となる時代。
人間臭くなる一方で、より先の読めない不確実性の高い世界になるでしょう。
金融が主導権を握ることができなくなり、お金という抑止力が低下することが、次の世界にどのような秩序を作っていくのか楽しみでもあり不安でもあります。

一歩先では行き過ぎます。同歩では立ち遅れます。
時代の変り目。何時も半歩先を歩くことを意識することが大切だと思っています。

寺本名保美

(2014.03.31)



今日はお休み

3月の後半は物凄く暇だ!! と思っていたのは大きな勘違いだったと気づいたものの…

単発春休み♪第一段。

桜にはまだ早いですけど…

寺本名保美

(2014.03.28)



住宅(価格)支援機構?

新年度予算分から、住宅支援機構のフラット35では、頭金なし全額融資が可能となっています。
且つ、セカンドハウスにも対応し、且つ、70歳まで契約が出来、且つ、最終返済年齢は80歳で、且つ、35年固定金利で1.9%台から2.2%台程度で借りられるそうです。

メガバンク等では、自行の変動金利商品等との競合がありますから、フラット35について、踏み込んだ表示はしていませんが、ネット専業銀行などのWEBを見てみると、目を疑うような表示もあります。

セカンドハウスといっても、賃貸目的は禁止されていますし、頭金なしといっても、総収入に対する借入金返済額には上限も決まっているのですが、とりあえず申し込んでみましょう!ぐらいの勢いでの広告も目につきます。

そもそも、国債の20年金利が1.50%、30年金利が1.70%の環境で、どうしたら35年で2%固定というビジネスが成り立つのか不思議でしかたありません。

ちなみに、このフラット35の貸出債権。
我々の国内債券ベンチマークの1%強を占めています。

住宅価格を持ち上げたい気持ちは判りますが、将来に確実に見えている機構のサブプライム化。
避ける努力ぐらいは、してほしいものです。

寺本名保美

(2014.03.27)



脱スマート!?

大手自動車会社をモデルにしたテレビドラマ。意外におもしろかったと、評判です。

昨年の半沢直樹と制作責任者が同じだからか、やや懐古趣味的な汗臭さが(笑)が、共通しています。

少し時代が落ち着いてきたのか、従来型のスマート志向とはやや異なった現象が共感を集めるようになっています。

若干眉唾な気もしますが、総理府調査では、国民の生活満足度が上昇しているとのこと。

長続きすると、よいなぁとおもいます。

寺本名保美

(2014.03.26)



今のシェアが先のシェアか

投資家に対し、運用サービスを提供する「資産運用会社」というビジネスにおいて、提供する運用商品の開発というものは、最も本質的で且つ最も困難な業務です。

運用戦略に対する投資家ニーズというものは、運用環境等によって大きく変化します。

機関投資家向けの運用商品というものは、開発を始めてから実際にサービスが提供できるようになるのに、最低でも1年、理想をいえば3年程度の期間が必要です。

投資家ニーズが確認できた時点で商品開発を始めても、サービスが提供可能になったころには、ニーズのピークは峠を越えています。

だからといって、戦略の絞り込みをせずに、やみくもに手を広げていては経営が成り立ちません。

例えば、リーマンショック後の5年間、金利系の戦略主体であった投資家ニーズが、この数か月で株式主体に大きく舵を切られたことに対応できない運用機関がゴロゴロいます。

足元の受託残高を重視するあまり、半歩先の変化に対応できないのは、先を読むことを生業としている運用会社の経営としてはあまりにも情けないことです。

寺本名保美

(2014.03.25)



仮需の失策、実需の低迷

SNSへのアクセスを制限するなど国内情勢が不安定となっているトルコで今度は領空侵犯をした、シリアの戦闘機を撃墜した、とのニュースが流れています。

台湾では中国との貿易協定に反対する学生が国会と内閣府を占拠しているとのこと。

このような動きの中、昨晩の海外市場では、新興国と南欧の経済基盤が脆弱な国の株価が売られ、同じ欧州でも先進国の株価は安定しています。

新興国への金融投資が当面の間厳しい環境となるということは想定の範囲内ではあるものの、地政学的リスクの高まりが「実需」の投資に影響を与えるのは、できれば避けたいシナリオです。

経済の失策が、ストレートに政情不安に直結してしまうのが、新興国の最大のリスクであるということを、改めて認識している昨今です。
寺本名保美

(2014.03.24)



お墨付き詐欺の下ごしらえ

[東京都は、都内の建物の屋根一つ一つについて、太陽光パネルの設置に適しているかどうかがわかるデータベース「ソーラー屋根台帳」を構築し、今月中にインターネット上で無料公開を始める。(読売新聞)]

何故行政が、詐欺まがいの業者の活躍場所を、わざわざ設えてあげるようなことをするのか、不思議で仕方がありません。

東京都が5000万円もかけて、屋根を空撮し、写真をクリックするとこの屋根は**ワットの発電余力があります…と教えてくれるサイトらしい。

大きなお世話です。

きっと、この写真とデータを持った営業マンが高齢者のお宅に行って、「お宅の屋根は発電に向いていると東京都が言っています!」等という「お墨付き営業」を始めるのでしょう。

まったく何を考えているのか?
あぁ考えていないのか…

寺本名保美

(2014.03.20)



大人の対応を見せたものの

昨日のプーチン大統領の演説。

クリミアはこっち。
ウクライナはあっち。

クリミア以外のウクライナには関知しないと表明することで、対欧州へのガス供給の継続を担保し、クリミア併合を宣言することで、ロシア国内への面子を保つ。

しばらくは表面的にザワつくでしょうが、とりあえずは大人の対応。

とはいうものの、今回の騒動を契機に米国が石油天然ガス輸出の全面解禁を決断する可能性は高く、ロシアは自らに向いている銃口のトリガーを自分でひいてしまった可能性もあります。

市場の注目は、すでにクリミアからFOMCに移っています。
ロシア発の新興市場の混乱に配慮して、米国の金融政策が手加減をする、など、とてもありえないことだと思いますが…

寺本名保美

(2014.03.19)



国家とは?!

先週末、ウクライナを巡る「軍事衝突の可能性」を織り込みに行きかかった金融市場ですが、週末を超えて少し落ち着きを取り戻したようです。

「ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ南部のクリミア自治共和国を主権国家として承認する法令に署名した(ロイター)」

大学時代の教科書が必要になりそうですが、主権国家の宣言をした「国」を「国家」として認めるかどうかは、各国個別の対応となります。
とりあえず、クリミアについてはロシアが国家として認める宣言を行った、というところまでで、このロシアの行為にどの国が追随し、どの国が追随しないかは、かなり興味深いところです。

このまま一気にロシアが併合してしまえば、話はむしろ簡単かもしれませんが、ロシア併合の結論が長引けば長引くほど、水面下での各国の駆け引きが泥沼化しそうです。

いずれにしても、少しキナ臭さが遠のいてくれているのは、何よりなことです。

寺本名保美

(2014.03.18)



資産運用のノウハウ

運用が素人だの下手だのといわれている年金業界ですが、最近年金以外の業界の方々とお話をする度に、時間が20年以上遡ってしまう錯覚を受けます。

「保守的な運用」だから「年間5%ぐらいの収益しか」上がらない。
とか
銀行出身者がいるから資産運用は大丈夫。
とか
投資顧問と証券会社の区別を知らない。
とか

思わず聞き直してしまいそうなお言葉を、実業の世界ではそれなりの地位を築かれている方たちからうかがいます。

年金基金は、運用においては「素人の集まり」だったからこそ、形式だけは「先進的」な外部委託方式を採用し、プロの力を低コストで利用することができました。
15年前、証券業界からこの業界に移ってきたとき、証券会社との直接取引ができない、外部委託方式というものの安全性や先進性を心から素晴らしいと思ったものです。

年金運用で培ってきたノウハウや経験を、年金業界だけで埋没させてしまわないように、我々が何ができるのか、少し真剣に考えてみたいと思っています。

寺本名保美

(2014.03.17)



玉突き衝突

予想通り、ロシアに巻き込まれたBRICsからは資金流出が続いています。

いっそうBRICs からBICsに呼称を変更してはどうかというコラムもありましたが、BICsになった途端に今度は「C」が悪さを始めそうです。

BRICsという呼称もそうですが、「ハイイールドオープン」みたいな呼称も、同じようなリスクを抱えています。

「ハイイールド」というと厳密には、主に先進国の低格付け社債かバンクローンを指す言葉なのですが、最近のハイイールド投信には「利回りが高い」という括りで、BRICs等の新興国債券や、高金利の資源国債券が含まれていることがあります。

BRICsとは無関係なはずの、米国社債や豪ドル債などが、ロシア危機の余波を受ける可能性は否定できません。

当分の間は、こうしたブラウン運動のような連鎖が、あちらこちらでおきることを覚悟したほうがよさそうです。

寺本名保美

(2014.03.14)



花粉プラスアルファ

今年は東京のインフルエンザの終息時期が後ずれしていると、かかりつけのお医者様が言っています。

そういえば、2月後半になって、弊社の周りでもバタバタと感染者が増えていました。

それとは別に、最近外に出ると花粉とは違う異物感を感じて、せき込みます。

それもこれもPM2.5が悪さをしているのかと思いネットを調べてみると、結構な数の観測サイトが立ち上がっているのに驚きました。

まだ一般の気象情報などではあまり提供されていないような気がするのは、私が気づいていなかっただけでしょうか?

ちなみに、本日の弊社近辺はかなり濃度が高いらしい、と見た途端、口の中がザラザラしてきました(苦笑)

皆様お気をつけてお過ごしくださいませ。

寺本名保美

(2014.03.13)



風が吹いたら桶屋が損した、話。

昨日の商品市況の解説に、以下のような表現がありました。

「中国の理財商品の破たんを受けて、資金調達の担保にしていた銅の需要が減少し、銅先物価格が急落しました」

この、風が吹いたら桶屋が損する… みたいなロジックが、すんなり理解できた方、素晴らしい…

社内で諸説議論をしましたが?、有力なのは社長案。
⇒景気がいい時に買ってしまって含み損を抱える「銅」があった。
⇒一発逆転を狙って「銅」を担保に「お金」を借りて理財商品を買った。
⇒理財商品がデフォルトしたので、借りていたお金を返せず、担保にしていた「銅」が流れた。
⇒「銅」の換金売りが市場に殺到した。

別の案。
中国の人民元は実は銅本位制だった…

などという、判ったような判らないような話をしている最中にでた次のテロップ。
「中国の理財商品の破たんを受けて、安全資産としての金の需要が高まり、金価格は上昇しました」

やっぱり人民元は銅本位制だった、という話の方が正しい?

本当にわからない、この国。

寺本名保美

(2014.03.12)



開示された情報をどう生かすのか

震災からの3年であきらかに変わったと感じることの一つに、「国民に対するリスク情報の開示」があります。

例えば、東京であれば地番レベルまで網羅した、洪水や延焼リスクマップが公開されるようになりました。

震災以前であれば、土地の資産価格に影響が出るとの「配慮」から、決して公表されることのなかった情報です。

東京という都市が、震災や津波に対しどれだけのリスクがあるかということは、一部のグローバルな再保険会社は把握しているものの、その内容は国内ではほとんど公開されてきませんでした。

人々がパニックになるから、とか、個々の財産価値を侵害するから、とかいう理由で災害情報を秘匿する、という慣習は、別に原発に限った話ではなかったということです。

震災から3年。少なくても災害に関しては、やや過剰なほどの情報を我々は手に入れることができるようになりました。

知らないよりは知っていたほうがよいのは当たり前です。
但しあまりにも情報量が多すぎて、「知った」という事実だけで安心してしまっている怖さも感じます。

甚大すぎる犠牲の上での教訓を、次の世代にどう生かしていくか、知恵と勇気と行動力が問われているのでしょう。

寺本名保美

(2014.03.11)



キナ臭い発展

紛争の火種となる地域のことを「火薬庫」と称します。

現代の国際紛争の原因が殆どの場合において「エネルギー燃料」であることを考え合わせた場合、「火薬庫」は文字通りの「火薬庫」です。

例えば、今回のウクライナ問題で問われているのは、ロシアの唯一絶対であった「天然ガス」カードの効力の有効性です。振り上げた拳の降ろし方を間違えれば、ロシアはこのカードの無効化を世界に認めることになります。

逆に米国を見てみると既に天然ガスの生産量はロシアを抜いており、あとは誰にどのように供給していくか、だけの問題です。

自らが資源国になるということは、自らが火薬庫になるということも意味します。これまでのように中東・北アフリカという、自国本土とは物理的に距離のある地域での代理戦争では済まなくなります。

ここからの10年の経済と技術の発展には、いくら消臭剤を掛けても消すことのできない「火薬のキナ臭さ」がつきまといそうな気がしています。

寺本名保美

(2014.03.10)



GPIFの一挙一動

昨日の大阪セミナーご参加しただきました皆様、ありがとうございました。

東京だと、どうしても80人規模になってしまいますが、昨日のように30人程度のご参加人数の方が、お一人お一人に対してお話している気分になれて、心地よいというのが講師一同の感想でした。

今後は東京でももう少しコミュニケーションをとりやすい形態でのセミナーも企画していこうと思っておりますので、皆様宜しくお願いいたします。

市場は、為替と株式先物のパッケージ戦略がぶり返してしまっているようです。

まだ何もしていないのに、世界で最も有名な投資家になってしまっているGPIF。
一挙一動に注目が集まってしまっているのはかわいそうな気もしますが、まだまだ多くの総合型基金がGPIFの運用利回りに追随しなければいけない状況にあります。
約束されている情報公開だけは遅滞なくお願いしたいものです。

寺本名保美

(2014.03.07)



中国初のデフォルト!?

中国の企業が発行している債券の利払いが、停止しそうだというニュースで、中国初のデフォルト、という表現が付いていました。

今までデフォルトした企業がなかった、ということに驚きます。

当たり前ですが、デフォルトしそうなほど財務体質が悪くなった企業が中国にはなかった、という意味では全くありません。

デフォルトしなかったのではなく、させなかっただけです。

つまり、今回こういった記事が出てくるというとが、中国政府の方向性の転換を意味するかもしれない、という点において、大きな話なのかもしれません。

理財商品の淘汰整理が本格的に始まるのであれば、悪い話ではないのですが。

寺本名保美

(2014.03.06)



11年ぶりの大阪

明日は、大阪でセミナーを開催させていただきます。

前回の大阪開催は2003年7月。なんと11年ぶりとなります。

11年前の大阪セミナーのご参加者名簿をみてみると、セミナーをきっかけにできたご縁がいまだに続いていることがわかり、懐かしく有難く思います。

さて、明日ですが、やや不安定な環境ながらも、なぜか市場高値を更新している米国株式市場等を念頭に、ファンダメンタルズやリスク管理の話などをさせていただきます。

東京よりはずっと少人数になるので、皆様とディスカッションもできれば楽しいのですが。

願わくば、晴れますように。

寺本名保美

(2014.03.05)



決壊リスク

というわけで、ロシア市場はトリプル安になっています。

通貨防衛のための金利引き上げと、大量介入を行っていますが、通貨の実質切下げも容認するような発言も出てきています。

G7を敵に回すということはそういうことです。

問題は、これがロシアだけの影響で留まるかどうかです。

ただでさえ、1月末のアルゼンチンショック以降、新興国ファンドからの資金流出は再び加速していると言われています。

BRICsと一まとめにされている国々にとっては、流れ弾に被弾するようなものです。

新興国市場の不安定化は、欧米諸国にとっても避けたい現象のはずです。新興国市場のダムが決壊するまえに何とか早めの収束を期待しています。

寺本名保美

(2014.03.04)



パラリンピックの前なのに

G7にロシアが加わりG8になったのは1998年のことです。

今回、ソチで行われる予定の「G8準備会合」に「G7」が共同で不参加を表明した、との記事をみて、随分と時代が遡ったものだと、暗澹とします。

ちなみにG7は「先進国首脳会議」と言い、G8は「主要国首脳会議」と言います。

従来の先進国グループに分け入り、一定の地位を築いてきたロシアにとって、ここでG8がG7に戻ってしまうことは、決して望む方向ではないはずです。

唯でさえ、米国が資源国化するなかで、経済面においても自国のプレゼンスを維持するのが難しくなっているおり、大切な資源の輸出先である日本を含めたG7を敵に回すことも考えられません。

一歩間違えばロシアの経済的破綻に繋がるリスクすらあります。

もうすぐソチでパラリンピックが始まります。オリンピック-パラリンピックの開催国としての責任を、最後まで全うしてくれることを望みます。

寺本名保美

(2014.03.03)


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