2015年07月の思いつき


キープ

株式市場と景況感には何時も時間差が生じます。

3カ月前は、「株価だけが上がって景気は良くなっていない」といった意見が大勢だった企業経営者の方たちとの会合も、今回は少し様子が違います。

株式市場の環境としては、大きな上昇相場はおそらく一旦終わり、一時期ほどの勢いがなくなってきているのとは、対象的な印象を受けます。

景気の強さが、ようやく大企業から、中小企業にまで広がり、次は個人の可処分所得への波及が期待されるステージを待つことになります。

一つのステージごとに半年のラグがあるとするなら、個人まで到達するにはあと半年。

それまで、株式市場が息切れせずに、保ってくれることを願います。

寺本名保美

(2015.07.31)



全国的改善

財務省の景気判断が18年ぶりに全地域で改善判断となったそうです。

1997年来の景気回復というのは、実感が伴うかどうかは別としても、やはり感慨深いものがあります。

海外観光客の効果というものの有形無形の影響が、じわじわと地方の底上げに繋がってきているのかもしれません。

日本に来てもらい、日本の何かを好きになってもらい、自国に戻ってからの日本物消費に貢献してもらう、という、サービス業と製造業との良い循環ができてくれば、日本の未来は明るい、はずです。

寺本名保美

(2015.07.30)



悲しいダイナミズム

『ホーキング博士ら「ロボット戦争」を警告 人工知能兵器に懸念(WSJ)』

今日のウォールストリートジャーナルの記事です。多分、色々な意味において、私が一番追いかけているテーマです。

人工知能による自立型兵器は、火薬・原子力に続く三番目の革命になると学者達は指摘し、懸念しています。

原子力研究が核兵器に転用することを防ぐことができなかったという現代科学史上最大の汚点を繰り返すことがないように、人工知能の研究者達が行動を起こしています。

でも、たぶん、時はもう進んでしまったいるようにも思え。

価値観を横に置き、今の金融経済のダイナミズムを理解するには、避けて通ることはもう不可能な問題であると感じています。

もちろん、日本の産業界が無関係であるわけでもなく…

寺本名保美

(2015.07.29)



価格形成機能

上海株式指数の乱高下。

年初から半年かけて6割上がり、6月からの1か月で3割下がり、その後の10日で2割上がり、その後の2日で1割下がる。

弊社の物知りアナリスト氏曰く「価格発見機能を失った市場は単なるカジノ」だそうで、今の中国の株式市場が危機であるとするなら、それは値幅の問題ではなく、本質的な市場機能についての信頼を失いかけていることにあるのかもしれません。

前回の下落での政府の市場介入があまりにも露骨であったことに対する強烈な副作用が出てしまったと、誰しもが思っています。

だからこそ、昨日からの下落において、中国政府は前回ほどの立ち回りはできないと、常識的には思います。

今回の下落を一旦フリーフォールさせる位の荒療治が、今の中国市場には必要なのではないかとも思っています。

寺本名保美

(2015.07.28)



はまらないピース

今、世界の産業構造全体として起きている流れは、自動走行車を含めたロボット化等を含め、方向性は見えてきていると思っているのですが、その中において日本での水素燃料の議論だけが、パズルのピースに収まらず、居心地が悪いです。

遠藤五輪担当相が、オリンピックを日本の環境エネルギー技術の御披露目の場にできないか、という趣旨の発言をテレビでしていて、その時具体的に上がったのも、水素でした。

何か、政府と一部の企業が勝手に盛り上がり、知らぬ間に何かの将来図面が既に描かれてしまっているのかもしれない、とも思います。

日本経済にとって、まだ織り込まれていないポジティブな材料かもしれず、はたまた日本のエネルギーガラパゴスへの第一歩なのかもしれず、この先がさっぱり読めません。

色々な意味において、世界が大きく動いています。下手にレースの主導権をとりにいって、クラッシュするようなことにならないよう祈るばかりです。

寺本名保美

(2015.07.27)



メディアのノブレスオブリージュ

昨晩、日経新聞社による、ファイナンシャルタイムズの買収、というヘッドラインを見たとき、一瞬目を疑いました。

弟子が憧れの師匠を買ってしまったみたいな感じです。

海外の他のメディアの評価は散々で、日本の高値つかみの典型のような言われ方をしています。まぁこれはやっかみ半分として、それよりも気になるのは、これでFTの質が堕ちるのではないか、というコメントです。

老舗企業が買収されて、ブランドが棄損するケースは資産運用業界では、よく見られることです。

FTの質の低下は即ち日経のブランド力の低下であり、延いては日本経済全体のクオリティーのメジャーとされることを、よく肝に命じて、日経さんには是非ともノブレスオブリージュ(持てるものの義務)を遂行していただきたいと思います。

寺本名保美

(2015.07.24)



擬似餌?

先週、「ウナギ風味のなまず」ができたとニュースで取り上げられていましたが、今後は米国のCNNが「ベーコン風味の海藻」を発見したと報じています。

貴重であろうが、健康に悪かろうが、食べたいものは食べたい、ということで、食品開発技術というものは、こうした抑えきれない欲求によって進化していくものなのでしょう。

とはいうものの、周りでは、ノンアルコールビールを水替りに飲んでいたら塩分の取り過ぎで血圧が上がったとか、砂糖ゼロの飴をなめていたのに脳が糖と勘違いして血糖値が上がったとか、機能性食品に関する様々な体験談を耳にします。

まぁ、基本は人間の飽くなき欲求を、個々がどうコントロールしていくか、が全てなのだということでしょうか。

寺本名保美

(2015.07.23)



米国から学ぶ失敗例

今回の東芝の問題を見ていて想起するのは、よく言われているオリンパスやライブドア事件ではなく、米国株式市場を大きく揺るがせた2002年から2003年までの会計不正事件です。

エンロン破たんをきっかっけに、約20社近い大手企業が、過去の会計手法が適正ではなないと判断され、この間S&P500指数は25%を超す下落となりました。

この時の議論で印象的なことは、この事件は特定の経営者や当該企業・監査法人だけの問題ではなく、経営コンサル会社・格付け機関・調達に関わった銀行証券・株式のアナリスト、そしてそうした情報を利用していた投資家自身にも非があったと整理されたことです。

当時多くの論文が、米国的資本主義の危機であることを指摘し、ステークホルダー全体として何が間違っていたのか、という議論が活発に行われました。

だから規制を強化すればいい、とか、ガバナンスに手間とお金を掛ければいい、といういう結論を安易に求めるのではなく、関係者各々が自らのこととして、この問題にどれだけ真摯に向き合えるかが、日本の株式市場にとっては重要なことのように思うのです。

ガバナンス先進国である米国から学ぶのは、成功体験だけとは限らないのではないでしょうか。

寺本名保美

(2015.07.22)



中国発 資源経由 新興国

7月に入ってからの中国株式の急落で最も被害を被ったのは、商品市況かもしれません。

昨年の暴落後、今年に入ってからの中国株の復活を梃子に、戻り基調にあった原油価格ですが、中国の景気後退懸念が顕在化する中において、先物価格が再び50ドルを割る水準まで下落しています。

原油価格については、急落後80ドルを目途にした堅調な市場に戻るとの意見と、35ドルを意識した長期トレンドに戻るとの意見とが拮抗していました。

今回再び下落トレンドに戻ってしまったことで、35ドル説が足元やや優勢になりつつあるというところでしょうか。

原油につられて資源価格全般が弱含む中、ロシアを含めた新興国全体のボラティリティが心配です。

寺本名保美

(2015.07.21)



COOL JAPAN でしょ?

大騒動の末、再考が決まりそうな、新国立競技場問題に対して、麻生財務大臣のコメントに、「できるだけ安くて立派なものにしなければいけない」という言葉がありました。

たぶん、その感覚がそもそも間違いの元、なのです。

オリンピックのメイン会場である以上、世界に対し、アピール力のあるものでなければなりません。

問題は何をアピールしたいかです。

今の日本に巨大な建造物を建設する技術力があることは、今更言わなくても、世界中が知っています。

今の日本が湯水のようにオリンピックにお金を注ぎ込むほど、金持ちの国だと主張するのは、東京湾で原油でも掘り当てない限り無理です。

世界が今の日本に期待しているのは、それこそ麻生大臣がかねてから主張している、COOL(かっこよさ)です。

日本が目指すCOOLを象徴するものこそが新国立競技場であるべきだと、私は思います。

立派とか豪華とかは前回の東京オリンピックで卒業しているはずです。

スマートでクールな議論が活発になることを期待しています。

寺本名保美

(2015.07.17)



つまらぬこと

信念とプライドとは似て非なると思う。
信念は芯に存在し、プライドは表層に存在する。

信念と情念は似て非なると思う。
信念は理性に裏打ちされ、情念は感情に裏打ちされる。

一般論として、つまらぬプライドは男性の特権、つまらぬ情念は女性の特権、とされるのだろうが、いずれにしてもつまらぬことには変わりはない。

今の国会をみていて、全く芯での話ができていないと感じるのは、プライドや情念といった何の役にもたたないものに皆の頭が支配されているからなのだろうか。

つまらなく、なさけなく、くだらない。

寺本名保美



寺本名保美

(2015.07.16)



苦労して達成した7%

注目されていた中国の第二四半期GDPは7%と、予想の6.9%を上回りました。

とのことです。

7%死守について中国統計局は「苦労して達成した成果」とコメントしたとロイターが報じていますが、この表現そのものがこの国の経済の不可思議を端的に表しているようにも感じます。

ところで、今回の中国株式の下落で、せっかく60ドル近辺で安定していた原油価格が再び50ドルを目指す展開に変わってしまいました。

株式の急落前に苦労して達成した7%が、今後維持できないことがはっきりし始めると、原油を始めとする資源価格全体の需給は更に悪化していきます。

中国の減速はすでに周知として、問題は今後の波及効果が何時どこの市場にでてくるのか、心配な市場はあちらこちらにありそうな気がしています。

寺本名保美

(2015.07.15)



社長の個性と外部統治

足元の会社の業績はともあれ、早世し世界中から惜しまれた社長もいれば、足元の会社の業績に目を奪われ、世界中の投資家から非難されている社長(達)もいます。

お家騒動が止まらない家具屋さんもあれば、某新聞の私の履歴書に眉を顰められながらも銀座進出を果たした社長もいます。

以前の日本の大企業では、経営者の個性というものが、よくも悪くもあまり表面化して語られることが少なかったのですが、最近は企業評価において経営者の資質が重視されるようになってきました。

高度成長時代の遺産が完全に枯渇し、追い風がなくなって久しくなった昨今、企業における経営手腕への依存度が高くなっているということなのかもしれません。

経営者の個性が強くなっていくことと、昨今の社外統治の強化の方向性ということは、ある意味「表裏」なのではないかと感じています。

寺本名保美

(2015.07.14)



GPIFの出口戦略

GPIFの3月末の状況がようやく公表されました。

サプライズはなく、目標に向かって淡々とリスク資産を積み増しています。

それでも今年の1-3月を振り返ると、随分需給に影響を与えていた印象があります。

リスク資産の積み増しもほぼ一段落と思われるので、しばらくはもう市場の注目を集めることもならそうです。

問題は、何年か先の出口。
事前に言っていた、リスクが高まる局面ではリスク資産を落とすこともある、という言葉を実現させるとすれば、市場へのインパクトは甚大なものになります。

行きはヨイヨイ帰りはこわい…というところです。

寺本名保美

(2015.07.13)



配慮

今週の市場の乱高下が、米国の利上げタイミングに影響を与えるとの議論が出てきています。

6月中旬に行われたFOMCにおいて、すでにギリシャや中国の問題は議論されていたようですが、足元で起きていることがその議論の想定内の話だったのか想定外だったのかは定かではありません。

今日のところは欧州も中国株式市場も落ち着いていますが、市場全体の体力が大きく毀損したことは間違いなさそうです。

米国は1995年からの利上げ局面において、メキシコから始まった新興国危機にはほとんど配慮しなかったという「前科」があります。

米国が新たな金融危機の引き金になることは避けたいのでしょうが、市場が期待する配慮をイエレン議長がどの程度応えるのか、難しい舵取りになりそうです。

寺本名保美

(2015.07.10)



悪いことは重なるもので

昨日の欧州市場が一旦落ち着きを取り戻し一安心と思っていたところで起きた、米国NYSEのシステム障害。
その直前に起きたエアラインのシステム障害と合わせて、市場心理を急激に冷やしました。
勘ぐろうと思えばいくらでも勘ぐれますが、それはそれとして…

一方の日本ですが、東芝が銀行にコミットメントラインを申請したとの報道が冷や水となっています。緊急流動性支援「枠」ですから、今すぐに東芝の資金繰りに問題が発生しているわけではないのでしょうが、嫌なニュースではあります。

中国株とパッケージで取引されることの多い商品市場が急落したことで、ロシア経済の命綱である原油価格の先行きに再び暗雲が立ち込め始めました。折しも中露首脳会談の最中の出来事に、両首脳は何を思ったのか?

いずれにしても、問題の中国。大株主は持ち株の1年間の売却禁止、とか、ファンドマネージャーに自分の運用するファンドの買い付けを強制するとか、わけのわからない政策が次々と出てくる中国。値段の問題ではなく、大丈夫か?と心配にはなります。

少し時間はかかるかもしれませんが、今のところ静観です。

寺本名保美

(2015.07.09)



言えば言うほど

ギリシャ単体ではビクともしなかったドル円が、中国の金融市場の混乱でリスクオフ気味に反応しています。

IMFが米国に他国の金融市場に配慮した利上げを改めて求めたことも、円高・国内株安の要因になっています。

中国株式が落ちる時は「真っ逆様」というのは過去にも経験済のことで、且つ年初からの棒上げ部分つまり上海総合で3200ptより上は、どう見てもおまけにしか見えないので、起きている現象そのものは大したことではありません。

むしろ、6月末以降、中国政府が株式市場に異常な程のテコ入れや介入をしていることへの違和感の方が、市場の疑心暗鬼を誘っています。

中国人民銀行がシステミックリスクを阻止する、などと言うから、単なる株投機の話が金融システムの話へと、どんどん大きくなる。

なんだか厄介です。
ご参考6月8日おもいつき⇒ 亀裂の果て

寺本名保美

(2015.07.08)



その他の軋み

ギリシャの話題が中心の金融市場ですが、その他の市場でも気になることが幾つかあります。

マレーシアの政府が絡んでいる複数の投資案件に幾つかの不正疑惑が出ていると報道され、マレーシアリンギの下落が続いています。
農園・不動産に対する小規模な疑惑から、7月に入り大手政府系ファンドから首相に対する不明瞭な資金の流れが問題化しました。

総選挙によって政権基盤が揺らいでいるトルコでは、大規模な反中国デモが起き、死者が出てしまいました。

いずれの国も、途上国が身近な目標と掲げる優等生だったものの、米国の利上げ懸念で、資本流出が始まったあたりから、潜在的な歪みが徐々に表面化してきた、とみることもできます。

大きく市場が揺れる時、目に見えないマグマにも、気を配りながらの毎日が続きます。

寺本名保美

(2015.07.07)



財政支援から人道支援へ

ギリシャの国民投票の結果を受けて、ユーロ急落、とか、株式急落、とかの単語が、表示されていますが、実際の東京市場はかなり落ち着いた展開となっています。

海外メディアを見ても、ギリシャのことよりも、中国の異例な株式買い支え政策の方の興味が高いようにも見えます。

チプラスさんの、これで欧州との交渉ができる、という発言が本心であるのかどうかよく理解できないのですが、欧州やIMFはとりあえずギリシャに対する「人道支援」の準備を始めると言っています。

「金融支援」や「財政支援」が「人道支援」という単語に置き換わっていることに、物事の本質が浮かび上がっているようにも思えます。

ギリシャ問題が経済問題から地政学的問題に変質しないかどうかが、今後の大きな注目点になるのかもしれないと思っています。

寺本名保美

(2015.07.06)



インバウンドから本当の内需へ

中国株が急落しています。今日の上海株式指数は今のところ6%を超す下落となっています。

7月に入り、中国株式バブルの崩壊について英国のファイナンシャルタイムズが特集を始めたりと、投資家センチメントが悪化しています。

とはいえ、2015年年初は3500PTあたりにいた上海総合が、数か月で500
0PTを超えてきた方が異常なのであって、この下げに対し特に危機感を持つ必要は感じません。

但し、この株式上昇が日本の爆買いの資金源であったこともまた事実。

昨日の思いつきも含め、やや先行きが怪しくなっているインバウンド消費。消費のバトンが国内に渡せるかどうかの踊り場です。

寺本名保美

(2015.07.03)



火山とインバウンド消費

今四半期のリスクシナリオレポートの中に、「火山活動の活発化によるインバウンド消費の減速」という一文を入れました。

今回の円安の恩恵や、東京オリンピック招致効果、国を挙げてのクールジャパンキャンペーンなども功を奏し、ようやく観光立国としての第一歩を踏み出したばかりの日本にとって、火山騒ぎは少々タイミングが悪いです。

特に箱根や軽井沢という、有名な観光地を巻き込む風評が、これからの夏休みシーズンにおいて、観光業全体に与える影響が気になります。

「観光業」という業態が、日本のサービス産業全体における強力なエンジンとなっている現在において、一地方の問題ではなく国全体の問題として政府の自覚を求めたいと思います。

寺本名保美

(2015.07.02)



怒らせてしまったので

「新たな支援プログラムで合意する前に、ギリシャが態度を改める必要がある。(ユーログループ議長)」

なんというか、親が子供を叱りつけるかのように怒っています…

「堪忍袋の緒が切れた」という諺は、こういう時に使うもののようです。

怒ってしまったユーログループと、ふて腐れたギリシャを、米国や日本や中国等の隣のオジサン達が心配そうに見守ります。

米国政府や日本の麻生財務相が、楽観的になりすぎず注視するというメッセージを発信していることは、市場にセーフティネットの存在をアピールするという意味においては重要なことです。

2010年当時から支援すると言い続け、口約束に終わっている中国政府の存在も、ある種のセイフティネットです。

隣のオジサン達からも見放される前に、とりあえず一旦頭を下げてみるだけの度量がチプラスさんにあるのなら、見かけどうりカッコイイのですが。

寺本名保美

(2015.07.01)


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