2015年10月の思いつき


金利の非対称と為替相場

日銀の再緩和が見送られても、ほとんど反応しない為替市場をみて、株式市場も静かな展開となっています。

既にない金利をペースにどれ程緩和しようとも、効果などたかがしれており、一方でゼロのものを引き上げる方向は理論的には青天井であるため、為替市場の注目する日米間の金利差を決定するのは、日銀ではなくFRBということになります。

日本の物価が金融緩和で上昇するとは誰も思っておらず、為替水準に与えるインパクトも限定的であるとするならば、やはり今のタイミングでの再緩和は考えにくいところでしょう。

日米の金融政策イベントの日程もこれで一段落となり、いよいよ足下の決算を見据えての展開に移ります。

アクティブマネージャーさん、頑張ってくださいね!

寺本名保美

(2015.10.30)



カウントダウン再始動

「景気が良いので利上げをするかもしれない」と中央銀行が言って、買われる米国株式市場。

「景気は悪くないと」政府が言ったので、中央銀行の再緩和はないと思われ売られる日本株式市況。

今の世界景気を牽引すべき2大市場ではあるものの、反応は随分と異なります。

景気についての投資家の確信度の違いが表れているのかもしれず、それぞれの株式市場における投資家の成熟度の違いなのかもしれません。

新興国市場については、中国の景気に底打ち感が出てきたとの観測もあり、利上げ再燃に前回ほどの大きな反応はありません。

12月に向けてのカウントダウンが再始動を始める中、しばらくは市場の反応の出方を注意深くみておく必要がありそうです。

寺本名保美

(2015.10.29)



動いているものは面白い

イスラエルでは、磁力を使って頭上7-8メートル浮遊して走るタクシーの走行実験が始まるそうです。

明日から始まる東京モーターショウでは、各社が自走システムを搭載した次世代車の御披露目をするとのこと。

米国では、アップルやアルファベット(Google)や、マイクロソフトの業績が好調です。

産業は間違いなく動いています。

金融政策に関わる不毛な駆け引きに振り回されるのは、そろそろ止めにしませんか。

寺本名保美

(2015.10.28)



規模の拡大品質

1業種における企業数が多すぎると言われ続けている日本。

その中の代表格である地域金融機関がゆっくりと再編を始めています。

メーカーでもサービス業でも共通していますが、同業者の数が多いからこその競争原理もあります。日本の品質の高さやサービスの細やかさの背景には、同業者間での競争の厳しさが貢献してきたと言えます。

一方で、同業者が多いことがむしろ護送船団的な意識を生み、一企業としての改革を阻害したり、コストの高止まりの原因となってきたのもまた事実です。

人口動態の変化や、マーケットのグローバル化といった、経済環境の大きな変化に対応するためには、やはりある程度の規模の集約と効率化が求められるのは自明ではあるものの、それにより品質やサービスが劣化したのでは意味がありません。

規模の拡大が劣化に繋がると懸念してしまうのは、再編統合を繰り返してきている運用業界を見ているからかもしれませんが。

寺本名保美

(2015.10.27)



隣国の顔色

今回の中国の金利自由化は、おそらく中国国内の金融不安というバンドラの蓋を開けるきっかけになるでしょう。

緩和に反応した株価上昇で時間を稼ぎながら、中国政府は次の一手を考えなければいけません。

次の一手が何なのか、まだ見えてもいません。

だからこそ、株式市場は暫くの間、堅調に推移してもらわなければ困ります。

ということで、中国の顔色を窺いながらの、乱高下はまだまだ続きます。

寺本名保美

(2015.10.26)



泰然自若

今日の上げで、4資産の年度通期は、ほぼプラス圏に戻りそうです。
9月の急落は取り戻し、8月の下げの半分を取り返した感じでしょうか。
下落に明確な原因がなかったのと同様に、戻りにも明確な原因はなく、材料を後講釈で探してもしかたありません。

まだまだ予断を許さない環境は続きそうですが、右往左往しないで現状維持を継続です。

寺本名保美

(2015.10.23)



カボチャと鳥居

会社の近くのお稲荷さんの鳥居の脇にある、大きな木の幹にハロウィンのカボチャが飾られていました。

ハロウィンにはもう宗教的色彩は殆どないとは言われているものの、お稲荷さんとカボチャが並ぶ光景は、やはり少し異様です。

こうして文化・宗教の区別なく、海外から様々なものを取り入れ、独自に消化してしまう節操のなさが、海外文化や宗教に対する本質的な尊敬の欠如に由来しているような気がしてしまうのです。

もちろん、この節操のなさこそが、日本文化の奥行きを広げ、経済を発展させてきた最大の強みではあるのですが…

寺本名保美

(2015.10.22)



TPPからみえること

TPPの関税合意のリストを眺めてみました。色々なことが判ります。

主要5品目は横に置いておくとして、その他の農作物・加工品関連の関税は平均すると5%程度です。

本当にこの5%が価格としての関税障壁になっていたのか疑問に思う一方で、こうした農産物・加工品業者の方たちの利益率が、この5%に影響されるほど低いのであれば、それはそれで問題なのかもしれません。

面白いところでは、パイナップル・バナナ・カカオにココア・トマトジュースに何故かマロングラッセ…
戦後の米軍キャンプを連想させるような品目に高めの関税が掛っています。

贅沢品としての関税だったのか、外貨流出を抑制するための実質的な輸入障壁だったのか、いずれにしても国内産業保護とは関係がなさそうです。

多少荒療治であるのかもしれませんが、日本の産業構造を薄く広く見直してみるには、TPPはよいきっかけになるのかもしれません。

寺本名保美

(2015.10.21)



社債市場の不死身神話

このところ、上場企業の社債発行が増加してきているように見えます。

東京電力が起債を検討していると報道されていることからも判るように、社債全般に対する投資意欲は活発なようです。

大手企業の不祥事が相次いでいるものの、それでも社債市場全体の信用スプレッドは広がる気配はありません。

日本銀行の買い入れの影響もありますが、基本的には、上場企業全体で150兆円とみられる手元流動性があるなかで、多少の信用リスクの増加があったとしても、財務リスクに波及する可能性が極めて小さいというのが、社債投資家の判断なのでしょう。

リーマン前の過剰流動性局面で、日本企業の不死身神話に守らていた企業の社債は、その後の金融危機局面において、大きな損失を投資家に与えました。

まだ先ではあるかもしれませんが、社債市場の質の劣化にはそろそろ気を付けていった方がよいかもしれません。

寺本名保美

(2015.10.20)



役に立つ存在になりましょう

メーカーやゼネコンでの不正や事故が起きると、必ずと言っていいほど、経営が株主至上主義に代表される短期的な金融価値を優先した結果だと、いう指摘が起きます。

全く的が外れているとは言いませんが、株主優先・企業価値の拡大という文言に「短期的な」という文言がパッケージとして使われることに、違和感があります。

株価の変動は短期的に大きく振れますが、株式投資家の多くは株式の短期的な変動ではなく長期的な企業価値を見据えた投資をしているはずです。

企業経営者と対話をしている株式アナリストの多くもまた、企業の短期的業績よりも中長期の経営の安定性にフォーカスを当てた対話をしているはずです。

にも関わらず、世間一般において、株式投資家イコール短期的収益の獲得を目指すモノ、という構図が成り立ってしまっていることに、我が国の株式投資に対する種々の心理的ハードルの高さが具現化されているようにも思います。

株式投資家が世の中の役に立つ存在であると認められる努力が、業界全体としてまだまだ足りないということなのでしょう。

寺本名保美

(2015.10.19)



こんなサービスいらない

みずほ銀行がLINEで残高照会ができるサービスを開始したそうです。

久しぶりに本当に驚きました。可及的速やかにこの銀行の口座を閉鎖させていただこうかと思うぐらい驚きました。

セキュリティについてはLINE側の指示に従ってください、と書かれています。他社の作ったセキュリティに金融機関が乗っかている…

自動車の自走に不可欠なナビゲーションソフトについて、トヨタがアンドロイドやアップルソフトではなく自社開発に拘っているという記事を見たことがあります。

安全を売る会社として、他社が作ったソフトにお客様の命を預けるわけにはいかないと。海外のメディアはトヨタがガラパゴスになると指摘していましたが、その姿勢は正しいと思うのです。

日本が頼れるのは「やっぱり」金融機関ではなく、自動車メーカーということなのかと、納得するしかない心境です。

寺本名保美

(2015.10.16)



ロボットは夢になる?

経済が活性化するためには、将来への期待値が必要です。

期待値を単純に言い換えるなら、「夢」です。

市場にバブルが起きる時、必ずそこには、「夢へのシナリオ」がありました。

インターネットバブル・バイオバブル・中国バブルetc.etc.

人々の生活により近いところの、大きな産業構造が変わる時、市場は個々人の思いを巻き込みながら、その先の夢を買いに行きます。

今足元で起きている、社会のロボット化。
大きな意味では、自動走行自動車も、その中の一つです。

なんとなく、次に来そうなロボットバブル。進展が思いのほか速そうな予感がしています。

寺本名保美

(2015.10.15)



意外に興味ある?

今まで全く株式の話など興味のなさそうだった知人から、「郵政株ってどう?」というメールがきました。

ホントかウソか、事前需要予測が発行予定額を上回ったとの報道もあります。

大手銀行が揃って窓口で取り扱いをしている影響もあるのかもしれませんが、知名度からくる安心感もあります。

これが個人の高値掴みになったなら、この国の個人資産は四半世紀先まで株式には回らないでしょう。

郵政株の売り出しは、来年の国政選挙の結果まで左右するような分水嶺となるかもしれません。

寺本名保美

(2015.10.14)



戻り一巡

欧州中銀の直近の再緩和が明確に否定され、日銀の議事録からはインフレ目標達成に対しあくまでも強気な自然体発言が見て取られ、FRBは年内利上げを明確に否定することもなくで、株式市場はやや失望から始まった連休明けです。

ヘッジファンドは11月に入ると決算の締めに入るので、このタイミングで政策当局の方針が具体的に見えてこないと、年内取引ほぼ終了という感じになりそうです。

良い材料としては、商品市場の落ち着きが継続していることで、ここからしばらくは売られ過ぎた資産を買戻し、高止まりしている資産を処分する傾向が続くかもしれません。

そうした中での日本株。先週で9月の下げを完全に取戻し、売られ過ぎというほどの水準でもありません。
特別な材料が出ない限り、ここから先の戻りは、少々頭が重くなることも想定しなければいけないと思っています。

寺本名保美

(2015.10.13)



金融政策離れの時期です

原油が上がり、資源価格も戻り、海外市場の雰囲気が好転しているようです。

FOMCの議事録が、海外経済動向を注視した内容になっていたことや、IMFが各国に経済対策を促す発言をしたことも好感されています。

日本や欧州に対する再緩和と、米国の利上げ見送りを織り込んで各国の株式市場が上昇しているかのようなコメントが多く見られますが、今市場が望んでいることはむしろ「金融政策依存からの脱却」と、「財政を含めた需要の拡大」になりつつあることを忘れてはいけません。

今回のG20で金融政策に関する言質がなかったとしても、そのショックを覆せるような具体的な経済対策の方向性さえ示すことができれば、株式も資源も今週のような緩やかな回復軌道を維持することができます。

穏やかな市場環境が今週限りとならないように、意味のあるG20にしていただきたいと願います。

寺本名保美

(2015.10.09)



環境と戦略

弊社では従来から、資産配分を数年単位で固定化することは危険である、ということと同時に、投資戦略を固定化することもまた危険であると、考えてきました。

ヘッジファンドの様な絶対収益型運用についても同様で、その時々の経済環境や水準等によって、有為な戦略と無為な戦略とが存在します。

大概において、原資産の市場環境が好調である時は、絶対収益型運用も好調であり、原資産の市場が下落傾向にある時にはその資産を活用した絶対収益型運用の結果も悪化します。

世間では、「債券価格や株式価格が高値圏にあり下落の可能性が高いのでヘッジファンド的な絶対戦略に切り替えましょう」という説明をすることがありますが、それは大きなミスリードです。

短期的には下落する可能性があったとしても年度単位ではまだ市場が上昇していく余地のある環境でなければ、絶対収益型運用は成果をあげません。

この7-9月、ヘッジファンド戦略はリーマンショック以来、最大の収益の落ち込みを記録しています。単なる4半期での損失で済むかどうか。
残す戦略・切る戦略。環境を見極めながらの取捨選択が必要になりそうです。

寺本名保美

(2015.10.08)



金融から実需へ

安倍首相が2020年までに日本で自動走行車を実用化すると、記者会見した2日後に、トヨタが高速道路での実用化を発表しました。

安倍政権と実業界の足並みの揃い方は、何か背中がむずがゆくなるほどです。

ほぼ持ち玉を打ち撃ち尽くした感のある黒田日銀とは、やや距離が開きつつある昨今ですが、経済界との距離の縮小は継続中です。

金融から実需へ。
いつまでも人頼みの情けなさは感じますが、方向性としてはあっているので、まぁ良しとしますか。

寺本名保美

(2015.10.07)



迷子専用ロボット?

今朝の六本木駅。

「お呼び出しをいたします。え~。ケイト~…**バット様。いらっしゃいましたら、六本木交差点方面改札口へお出でください」

う~ん。ケイト何とかさん、無事に改札口に行かれたのでしょうか(笑)

東京タワーの最寄駅である、弊社側の赤羽橋駅では、観光客に囲まれた駅員さんが身振り手振りで道案内をしています。

これからオリンピックまでの5年で、日本の外国語インフラがどこまで伸びるか心配でもあり楽しみでもあります。

そのうち、各駅に通訳ロボットが配置され、6ヵ国語ぐらいで案内してくれるようになるかもしれませんが…

寺本名保美

(2015.10.06)



TPP と 底値固め

TPPの大筋合意について、株式市場は総じてプラスに反応しているようです。

この話が出始めたころは、景気に対しマイナスの印象が先行していましたが、日本の産業構造が依然として輸出バイアスが掛っているという現実においては、市場開放を好感するというのが素直な反応なのかもしれません。

もちろん、こうしたプラスの反応が出ている背景には、為替が120円近辺の円安水準にいるということが、大きな要因の一つで、これがアベノミスク以前の為替水準で輸出産業の底力が欠けている環境であったなら、日本としても受け入れは難しかったかもしれません。

そういう意味において、黒田バズーカによる、金融・為替面での下地作りが終了に近づき、堅固となった土台の上で各産業が勝負をする新しいステージに入ってきたといえるのでしょう。

急上昇はしなくてもよいですから、地道に底値を固める、市場環境に戻るきっかけになるとよいと思います。

寺本名保美

(2015.10.05)



タンス預金?

日本銀行が発表したマネタリーベースによると、市中に出回る「紙幣」が前年比5.9%増加したそうです。

これは2003年3月以来の伸びということですが、2003年3月といえば日本の金融危機の最中で、個人が銀行の破綻リスクを恐れて、タンス預金を増やした時です。

では金融危機でもない今、何故紙幣が増えているのか?

マイナンバーの導入や4月からの税制改正、更には預貯金残高次第で社会保険負担が変わるかもしれない、などなど、個人が保有財産をなんとなく隠したい気分になる現象が並んできたことの結果なのではないかとなんとなく思います。

銀行からお金を引き出して、使ってくれるなら良いのですが、それが手元で滞留してしまうなら、喜ぶのは泥棒さんだけです。
家庭用金庫が売れている、などというもっともらしい噂も出てくる昨今。

金融機関に貸し出しをしてもに日銀当座に滞留し、紙幣を刷ってもタンス預金に滞留し…

日銀の緩和効果が実態経済に影響を与えるのは、何時のことになるのでしょう。

寺本名保美

(2015.10.02)



催促相場

今朝の日銀短観ですが、それほど悪い内容ではなかったように思います。確かに先行きのDIは落ちていますが、報道各社の事前予想からはむしろ上振れしているぐらいです。

にも関わらず、各社の論調に、「製造業の先行き悪化」とか、「先行きの景気に不透明感」と、いった、否定的な見出しが並んでいることにやや違和感を感じます。

と思っていたところで、お昼前に流れた「日銀は10月中に再緩和すべきだ」との自民党首脳発言を、為替市場も株式市場も大歓迎。

何か、先ほどのマスコミ各社の反応も含めて、いわゆる日銀に対する「催促相場」が始まっているように見えます。

米国では任期満了を前に機能を停止しているオバマ政権下、イエレン議長が孤軍奮闘しています。

どこもここも、市場も政治も少し金融当局に頼り過ぎではないかとやや同情しつつも、期待せざるを得ないのが現状でしょうか。

寺本名保美

(2015.10.01)


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