2015年11月の思いつき


思ったほど悪くないので

日銀の再緩和があるかどうかの議論がまだなくなっているわけではないのですが、個人的には緩和余地はある、というレベル感から当面変化はないのではないかと思っています。

ある意味想定外だったのは、8-9月の中国発の株式市場の急落を超えた10月の経済指標が比較的好調さを維持していたことでしょう。

これは先日書いたドイツでも同じようなことが言えるのですが、株式市場が懸念するほど、実体経済は中国や株式市場の変動に依存していないということです。

また、今日の黒田総裁の発言から見られるように、中国経済のハードランディングについて、当面回避されたという見解が10月以降増えつつあることも、足元の日銀の再緩和を阻害する要因でもありそうです。

米国の利上げは米国経済好調の証し。
日本の再緩和見送りは日本経済好調の証し。

と考えれば、過度な期待など持つ必要はないと思うのですが。

寺本名保美

(2015.11.30)



一工夫しないと…

もし、安倍政権が株式市場との対話を本当に重視し、経団連が株主価値を本当に重視しているのなら、今日株式市場が下落したことは、真摯に受けとめるべきだと思います。

国民総活躍社会というスローガンも、新三本の矢も、よく解らないバーター付きの設備投資計画も、市場に対するアピール力が全く感じられません。

今はまだ、欧州の緩和期待や、米国の景気に助けられていますが、このままでは日本の景気失速を早晩市場は織り込みにいきます。

内容の問題なのか、説明不足なのかよくわからないのですが、何れにしてもアベノミクスの賞味期限切れと烙印を押される前の対策が必要なようです。

寺本名保美

(2015.11.27)



ストレステストなるもの

12月から始まる、企業でのストレスチェックの義務化。

弊社の場合は少人数なので、義務化対象ではないのですが、一応厚労省で用意されたセルフチェックシートを見てみました。

感想を一言。
過保護…

今の時代、そんなことを言っていてはいけないのはよくわかっているのですが…

そもそも、人間生きていれば、ストレスはあるわけで…

こんなことも、経営者としては言ってはいけないのはよくわかっているのですが…

自分の意識していないストレスを認識する作業が、病の防止になる人もいるのでしょうが、むしろ病の素を作ることになりはしないかとか…

とりあえず、自分で試してみた結果、「全く問題ありません」とのこと。
ですよね…

寺本名保美

(2015.11.26)



ドイツの底力

社会全体に漂う心理的な重苦しさとは別に、原油価格の反発にむしろ一息ついたこともあり、金融市場は概ね冷静な反応を続けています

個別に指標をみるならば、11月のドイツの業況指数が1年半ぶりの高水準となりました。

11月の数値であるというところに驚きがあり、フォルクスワーゲン問題だけでなくパリのテロでさえもドイツの景況感には影響がなかったと、発表元であるIFOはコメントしています。

好調の主因は米国と英国からの需要と説明されており、新興国への輸出減速の影響を加味しても、ドイツの成長は続いているそうです。

ロシアが問題化した時は、対ロシアへの直接投資比率の高さがドイツ経済に与える影響が懸念され、中国経済が減速した際は対中輸出比率の高さが懸念されたドイツですが、通り過ぎてみればそれら全てを消化してしまっているように見えます。

この国の底力の源がどこにあるのか興味があると共に、今はこの国の底力とメルケルさんの調整力に期待したいと思っています。

寺本名保美

(2015.11.25)



卒業後のシナリオ

そろそろ来年~来年度の市場環境のことを考え始めています。

「読み辛い」と言ってしまえば身も蓋もないのですが、「事前シナリオの効かないごく普通の市場環境」というイメージです。

金融危機後の金融市場は、日本の震災と原発事故を除けば、欧州危機を含めて考えても、かつてないほど単純で判り易い環境が継続してきました。

それは、世界的な金融・経済危機を体験した市場経済が、この7年間政府中銀により強制的に敷かれたレールの上を走ってきただけだったからです。

一方で、昨年来議論になってきた米国のテーパリングや利上げは、金融経済が政府によって描かれたシナリオから卒業する、という意味も含まれています。

この7年間、単純に政府の思惑や中銀の次の一手を読んでいれば大きく外すことはなかった運用環境も、ここから先はファンダメンタルズやバリエーションへの依存度が格段に高まっていくことになります。

軸を振らすことなく、環境変化に機敏に対応する運用能力が問われる一年になりそうです。

寺本名保美

(2015.11.24)



遺伝子操作と食糧危機

米国FDAで遺伝子組み換えにより通常の2倍のスピードで成長する鮭が食用認可されたそうです。

もちろん米国内でも批判はあり、すぐに食卓に乗るわけではないとコメントされていますが、これが世界の漁業資源不足解消の切札になるだろう、というような発言も見られます。

最近あまり話題にならなくなりましたが、「人口爆発と食糧危機」というキーワードが、2004年ごろから商品取引市場で盛んに取り上げられた時期があります。穀物価格が高騰し、その値上がりを享受すべく大手年金基金などが投資家として参加し、商品市場価格を釣り上げた時代です。

遺伝子操作をしてまで、成長を倍速化しなければいけないほど、もっといえば遺伝子操作をして恐竜のような家畜や魚を生まれさせなければいけないほど、将来の食料事情は本当に厳しいのでしょうか。

「人口爆発と食糧危機」というフレーズ、単に商品価格を釣り上げるための方便なのか、人類の本質的な課題なのか、技術開発が先行する前に、もう一度立ち止まってよく考えてみないといけないような気がしています。

寺本名保美

(2015.11.20)



参加者の気持ちがよくわからない

今日の前場、日経平均が300円も上げている理由がよくわからず、元気だなぁと感心し。

お昼近くに下げ始め、日銀の政策決定会合での現状維持が発表されると、後場に入って一段下げたのをみて、まさか日銀に期待していたのかと驚き。

その話を同僚にしたところ、「一応日本市場ぐらいは日銀に敬意を払うでしょう」と言われ納得。

資源価格は軒並み6年ぶりとかの安値をつけにいき、監査法人問題もあり、外部材料だけに反応するならば、あまりよいニュースフローではない本日。

上げ下げに理由をつけるのが虚しい毎日が続いています。

寺本名保美

(2015.11.19)



過剰流動性相場継続中

利上げと通貨高が想定される米国。
利下げと通貨安が想定される欧州。

景況感が強く、株価がほぼ過去最高値にある米国。
色々あって、今年度の株価が中国並みに悪いドイツ。

市場が今でもまだ過剰流動性に支配されているとするならば、投資資金は素直に欧州に戻ります。

今週になってから、株式市場の資金フローが、久しぶりに欧州に傾き始めたようにみえます。

過剰流動性の影響は、まだ継続中のようです。

寺本名保美

(2015.11.18)



損をしらない金融市場

7-9月の急落後の四半期報告会を終えて、改めて認識したことは、年金基金を始め多くの投資家が、過去5年間に亘り資産の減少を殆んど経験したことがなかった、という事実でした。

これは恐らく国内の投資家に限ったことではなく、金融危機後の2009年来、金利低下を伴った株価上昇という、極めて異例な好環境下に置かれてきた投資家全てに当てはまることです。

8月の株式の急落が、異常な程のボラティリティを伴ったこともまた、損失というものに慣れていない投資家達がこの市場の中心にいたことの結果だったのかもしれません。

特に原油価格の上昇の恩恵もあり、自身のキャッシュフローも投資先も膨れ上がっていたソブリンウェルスファンドにとっては、保有資産価値だけでなく収入源も同時に急減するという、悪夢が発生しています。

今後投資家が市場の上下動に慣れてくれば、外部材料に対しもう少し落ち着いた反応ができるようになるのかもしれません。

寺本名保美

(2015.11.17)



現実として

心地良いか悪いかは別とした現実として、テロや戦争だけでは金融市場は大きく動きません。

9.11の時は、テロが起きたことではなく、ウォール街という世界最大の金融セーターが破壊されたことに、金融市場は反応しました。

例えば、中東紛争の続いた1970年代のように、これからの金融市場はいつ何時何が起きるか解らない政治的緊張とともに進んでいくことになるのでしょう。

ある意味では過度な楽観に支配されたバブルの芽は、育つ前に潰されていくのかもしれません。

いまの日本の経済にも株式市場にも過度な楽観があるようにはみえないならば、冷静に対処すればよいということになりそうです。

寺本名保美

(2015.11.16)



やはり下落してはいますが…

米国の利上げによって、商品市場が下落しているのは、ある意味想定通りではあるものの、利上げという現象が商品市場の下落を誘発するという事象そのものは、本来的にはおかしな現象でもあります。

実際、2004年から2006年においては、米国利上げ期間中商品市場は上昇を続け、米国景気の先行き不安から米国利上げが終了した後、商品市場は下落を始めています。

経済的にみれば2004年の価格動向の方が理論的で、今の商品市場の反応の方が異常なのです。

もう一つの観点として、利上げによる過剰流動性の回収が商品価格の下落の原因であるとするのであれば、それは商品市場がある種のバブルであったことを意味します。

銅にしろ原油にしろ、高値からみれば大きく修正したとはいえ、2004年から始まったコモディティバブル以前の水準に戻ったわけではありません。

商品市場動向が新興国経済に直結する以上無視することはできないのですが、今の価格動向を一概に利上げ観測のせいにだけしていると見誤るのではないかとも思っています。

寺本名保美

(2015.11.13)



自動車から飛行機へ

昨日大きな話題となった国産飛行機の離陸は日本の産業構造全体にとってよいことなのだと思います。

この飛行機の具体的な受注活動が始まった数年前、日本の自動車産業の一部は早晩、航空産業に転換していくのだろうという話を、知人としていました。

ちょうど、電気自動車の開発も進行していたタイミングであったので、自動車は家電メーカーの製品となり、より複雑な部品構造を持つ飛行機が従来の自動車製造技術を引き継ぐというようなイメージを持ったのです。

それから数年で、自動車を巡る環境は当時とはまた一段階変化し、ゴーカートのように家電メーカーが作れる商品にはどうもなりそうにありませんが、日本伝統の自動車産業で培った、繊細な部品加工や素材の技術が、航空機という新しい分野で拡大していくという道筋は間違っていなかったようです。

予定よりも遅れ遅れのようではありますが、焦らず確実に大きく羽ばたいてくれることを祈ります。

寺本名保美

(2015.11.12)



業界団体としての対応

杭打ち問題の混乱を見ていて、業界団体って本当に役に立たないものだなぁと思っています。

自らの業界が社会問題化した時も、同じことを思いましたが、問題を一企業のこととして収めてしまおうと画策している内に、火種が広がり大炎上!という感じでしょうか。

業界全体が渦中になってようやく業界団体が重い腰を上げたころには、もはや消火不能、というのはよくあることです。

今回の杭打ちの問題が業界全体で共有すべき問題であるならば、一刻も早く問題点の整理と必要な発信を行わなければなりません。

杭打ちデータの偽装、イコール、杭打ちの偽装なのか?
全ての杭が基準通りに打たれていないこと、イコール、安全ではないのか?
消費者側からすれば知りたいことは沢山あります。

まさか、今回も個社の問題でうやむやにできると思っているわけではないとは思うのですが。

寺本名保美

(2015.11.11)



欧州の苦難

スペインで地方独立問題が現実化しそうになったり、ポルトガルで左派政権が躍進し株式市場が急落したりと、欧州地域が相変わらず落ち着きません。

経済は好調であるドイツも、フォルクスワーゲン問題もあり、株式市場は先進国の中で取り残されている状態が続いています。

米国の利上げと同じぐらいの確率で、EUの12月利下げが想定されていますが、欧州市場の不安定さは金融政策で解決できるものではありません。

だからと言って、金融政策が無策であってはいけないということが、バブル崩壊後の日本から各国が学んだことでもあるので、EUとしては単なる時間稼ぎにすぎなくても、今後も積極的な緩和策を続けざるを得ないのでしょう。

米国が多少利上げしたとしても、世の中の過剰流動性はそう簡単にはなくなりそうもありません。

寺本名保美

(2015.11.10)



準備は万全?

雇用統計を受け、12月の利上げの確信度が増し、ドルが買われ、日本株も買われました。驚くほどの雇用統計だった割には、市場の反応は穏やかで、利上げに対する耐性が随分とついてきたように見えます。

一方で、商品市場が売られ、ロシア等資源関連市場が売られています。
こちらについては、まだ耐性がついてきたとは言えません。

元々は中国株式市場の急落から始まった商品市場の下落ですが、足元では中国株式市場との相関が薄れ、米国の利上げ観測やドル高との相関が強くなりつつあります。

12月利上げの本当の確信度をどの程度あげられるかは、この数日のロシアやインドネシアの金融市場を見てからの判断になりそうです。

寺本名保美

(2015.11.09)



米国の車社会

米国の自動車販売台数が、年間で過去最高を記録するみこみとなりました。

原油安によるガソリン価格の下落が、明らかに追い風になっています。

原油が100$を越えたとき、一瞬盛り上がったアメリカ大陸鉄道網構想は、原油安のおかげですっかり霧散してしまいました。

鉄道を敷く財源があるぐらいなら、崩れかけた橋やハイウェイを補修するほうが優先される感じです。

そうこうしているうちに、自動車の電気化がどんどん進み、車社会そのものもガソリン離れができるかもしれません。

米国の脱車社会は、やはり幻となりそうです。

寺本名保美

(2015.11.06)



市場を窺う

イエレン議長が、12月利上げに向けて「市場との対話」を繰り返しています。

上げる可能性を徐々に強めた発言を繰り返しながら、新興国等を含めた市場の反応を窺います。

とりあえず、中国を含めアジア市場は落ち着いた反応となっていますが、そもそも受給が崩れている原油価格を始めとしたコモディティ市場の不安定さが気に掛ります。

これで今週末の雇用統計に強い数字がでれば、その後の市場の反応で利上げが可能かどうかが判断できそうです。

9月のFOMCは明らかな失策と烙印されたイエレン議長。もう失敗はできません。

寺本名保美

(2015.11.05)



終りの始まり

郵政3社の上場は、想像以上に上首尾となり、国内株式市場全体が、どこか華やいだ気分になっています。

今回のアベノミクスが始まった当初から、株式市場テコ入れの目的の一つが郵政株式の上場にあると主張してきた立場から言えば、一端の達成感はあります。

そうはいっても、前回のNTT上場の際、一次売り出しはバブルの始まりに過ぎず、バブルの天井が3次売り出しの後にきたことを思うと、郵政がらみのお祭りはこれからが本番なのかもしれません。

9割が個人に割り当てられたこの株が、各種インデックスに組み込まれる12月に向けて、妙な狂想曲が奏でられそうな雰囲気もあります。

国内株式市場の最終楽章の始まりです。

寺本名保美

(2015.11.04)



底深い問題

建築士の方たちのブログ等を読んでいると、杭打ち問題がどうも横に広がりつつあるようなコメントが目につきます。

業界の悪癖だから仕方ない、という雰囲気の発言もあります。

業界内で長く続いてきた常識が、業界の外では通用しない、ということは、どの業界でもあるものの、今回の問題はそう簡単に検証も解決もできないことだけに、「世の中どこもそんなもの」では収まらないような気がしています。

所得税や相続税の改正もあり、都心の中古マンション価格は過去のバブル期を更新したとの話も出てきていたタイミングでの杭打ち問題。

ようやく動き始めた不動産がこれで頭を打ってしまうようであれば、黒田日銀の目指すインフレ目標達成が、また一歩遠のいてしまいそうです。

寺本名保美

(2015.11.02)


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