2015年12月の思いつき


本年も大変お世話になりました

弊社の本年の営業は本日までとさせていただきます。

今日の弊社から見える東京タワーは雲一つありません。

この景色のように、とても穏やかな気持ちで年末を迎えることができたことに、心から感謝しています。

来年、運用環境は色々ありそうですが、「泰然自若」の精神で、市場と真摯に向かい合っていきたいと思っています。

本年も、大変お世話になりました。

お健やかな年末年始となりますよう、お祈り申し上げます。

寺本名保美


(2015.12.28)



ショボショボの2015年

2015年の金融市場も残すところあと僅かとなりました。

市場環境やボラティリティにはそこそこ動きがあったのですが、資産運用の現場においては今一つ活気が感じられない一年でした。

理由は幾つかあるのですが、まずはどの資産クラスも戦略も総じてパッとしなかったこと。例年であれば、株はダメでも債券が。金融市場がダメなら商品が。先進国がダメなら新興国が。それでもダメならトレンドを追うCTAが。と勝ち組負け組がいたのですが、今年は皆でショボショボ。

金融市場全体をみると、ウォールストリートでの規制強化が延々と続き、狩猟系のインベスメントバンカーも牙を抜かれ。

これまであらゆる資産を爆買いしてくれていた政府系投資家は資源の下落で冬眠。

国内は公的資金のアロケーション変更と、厚生年金基金の解散と、企業年金のコントリビューションホリデーで、運用機関も投資家も運用どころではない気分。

戦争だのテロだのと言われると、何となく考えたって仕方ない、みたいな厭世感も漂い。

そして、皆で思考停止を始めた一年。

恐らく来年はもっと世の中動きます。世の中動くからといってドタバタ運用する必要はなく。

頭の回転は速く。売買の回転率は低く、という感じでしょうか。

ちゃんと仕事しないと!と思っています。

寺本名保美

(2015.12.25)



クリスマスプレゼント?

休み前にニュースで流れた「グーグルとフォードの提携交渉」のニュースが、クリスマス休暇中の米国株式市場にとってサプライズなプレゼントとなりました。

個人的にはフォルクスワーゲン問題が深刻化した時、グーグルがワーゲンを買収したりして…などど思ったのですが、順当な国内提携からスタートするようです。

一部メディアによれば正式発表は1月4日との噂もあります。

来年の株式市場を左右する一つのキーワードが見えてきたかもしれません。

寺本名保美

(2015.12.24)



鼻先だけでも前へ

ノーベル賞対象であるかないかに関わらず、様々な産業において、日本にオリジナリティがある技術は星の数ほどありそうで、実は日本の何かにヒントを得たというものも水面下には山ほどありそうで。

そういった話題に接する度に、とても素晴らしく心地よいと思う一方で、こと金融界においては、特に運用業界において、そういった話題の片鱗すら感じることができない寂しさを痛感しています。

過去はともあれ、ここからの将来を考えてみても、未だに欧米業界の後を追うことしか考えていないこの業界で、日本由来の何かが世界の資産運用業界の何物かになる時代はくるのかと暗鬱とします。

資産運用の世界では「後追いは儲からない」のが鉄則です。
そのことを充分認識しているにも関わらず、業界全体は常に常に何かの後を追っています。

奇をてらうつもりはありませんが、来年もまた、ほんの少しだけ、鼻先を前に出した言動を取っていきたいと思う年の瀬です。

寺本名保美

(2015.12.22)



正しくても伝わらなければ意味がない

中央銀行の金融政策というものに「アナウンスメント効果」があると信じるのであれば、金曜日の日本銀行の決定は極めて判り易いものであったといえます。

国債買い取りによる量的緩和を維持すると宣言したところで、買い取る国債そのものが枯渇するではないか。
担保を入れれば貸し出すといったところで、日銀に入れる担保が枯渇するではないか。
という現実的な問題に対し、テクニカルな解を出すことで、「量的緩和の継続性」を担保したこと。

日銀当座にばかり資金が滞留し実体経済に回っていないではないか、という批判に対し、設備と人材投資を行う企業にお金を回したい、という意思を「新設ETF」で明確に示したこと。

いずれも、日銀の金融政策のガイダンスとして捉えれば、メッセージ性のかなり強いものであったという評価がされてしかるべきです。

但し、日銀が不運であったとするならば、18日が8月の市場混乱で曰くつきとなった「レバレッジETF」の再設定開始日であり、案の定レバレッジETFの18日一日の売買金額が5000億円超と、8月25日に次ぐ規模になってしまったこと。

個人が闊歩する株式市場において、日銀さんが対話しなければいけないのは、金融機関や機関投資家だけではない難しさが露呈された一日だったのかもしれません。

寺本名保美

(2015.12.21)



SWの日?

今日は世界的なSWの日だそうです。

SW-スターウォーズの新作が10年ぶりに公開されます。

初演が1977年と40年前。

当時の若者がミドルシニアとなり、子供世代を巻き込んでのお祭り騒ぎとなっているらしい。

40年前は宇宙戦争がファンタジーの領域だったのが、笑えない現実感が漂う現代。

これ迄あまり興味がなかったスターウォーズですが、現実社会におけるIT技術の急激な発展を受けて、40年前、10年前と、何がどう変化しているのか。

今回はちょっと見てみようかと思っています。

寺本名保美

(2015.12.18)



市場との調和

月初のECB会合後は大荒れになった欧米債券市場ですが、昨日のFOMC後については、非常に穏やかな展開となっています。

そういった意味においては、ドラギさんが失敗したと言われた市場との対話が、イエレンさんにおいてはとりあえず成功したようです。

結果的からみれば、昨日の政策決定前に米国のイールドカーブは0.25%の利上げを完全に織り込んでいたため、政策決定後の金利はほとんど変化がなかったということになります。

原油価格の下落は止まっておらず、外部環境には不透明要素が少なくない中、とりあえず金融政策においてだけでも当局と市場との不協和音が解消されたことは、クリスマス休暇前の金融市場にとって、よいプレゼントとなったことでしょう。

寺本名保美

(2015.12.17)



本質的な分配の話

FOMCを控えて目先の話をしても意味がないので、誇大妄想な話として。

今、国内で最低賃金の議論をしていますが、これを地球規模で考えてみるとどうなるのでしょう。

例えば、時給5ドルとまではいかないかもしれませんが、最低時給2ドルを全ての国の努力目標とする。
グローバル企業には義務化する。

お題目だけのESGではなくて、何か目に見えるレベル感で、途上国における企業活動を監視するような合意があってもよいような気がするのです。

原油価格が下がり、企業コストが低下し、デフレになって困るなら、それを現場環境の改善に繋げればいい。

そんな議論、どこからか出てこないものでしょうか。

寺本名保美

(2015.12.16)



若い市場の過剰反応

低格付け社債の下落を懸念するコメントが増えています。

米国利上げに伴う現象としては想定の範囲内のことなので、慌てている人は報道ほど多くは無いように思っています。

株式市場も同様ですが、2008年を基準に今のスプレッドが何分の1たという議論は無意味です。

2007-8年のショック時にクレジットを扱っていたファンドやファンドマネージャーの多くはあの時霧散してしまい、痛い思いをした投資家の多くは2010年までの反発局面で逃げてしまっています。

そういう意味では、今のクレジット市場の参加者の多くが、本当の意味での2008年を知りません。

環境としては、ハイイールドにとって厳しいことは事実です。

若い市場が、必要以上に過剰反応しなければよいのですが。

寺本名保美

(2015.12.15)



資源開発の淘汰

ほぼ利上げが決定しているFOMCを前にして、ポジションを減らす人、一勝負賭ける人、静観する人、様々で市場が上がったの下がったの言ってもあまり意味はなさそうです。

それより問題なのは原油の方で、サウジの産出量が増えているとか、米国のシェールの掘削量は減っていないとか、それに加えて米国議会が原油の本格輸出に向けての法案整備を始めた等々、よい話は全くありません。

結局こうなると、原油産業も資本力が勝負を分けることになりそうで、2000年代になってから開発された新興国油田や、シェールバブル以降の米国開発田などが淘汰され、気が付いたら旧来のメジャーの世界に戻りそうな気配がしてきました。

その先にあるのは米国が本格的にエネルギーの輸出国となり、双子の赤字が双子の黒字になる世界。
世界経済は安定するかもしれませんが、政治的な不安定さは加速していきそうです。

それはそれで怖い話ではあるのですが。

寺本名保美

(2015.12.14)



やっぱり凄い

この度中国政府は無戸籍者1300万人に戸籍を与えると発表したとロイターが報じています。ちなみに1300万人というのは東京都の人口に匹敵します。

中国で一人っ子政策が廃止された時、これで水面下の人口が表面に出てくるのだろうと想像はしていましたが、すさまじい人数です。

この11月の中国での自動車販売台数は前年比20%増の250万台となり、特にフォルクスワーゲンは50%の伸びとなったとロイターが報じています。ちなみに250万台というのは日本の半年分の国内新車登録数に匹敵します。

フォルクスワーゲンが中国や韓国で売り上げを落としていないということは報じられていましたが、5割増しとは想像以上の数字です。

個々の事象についてのコメントは避けますが、ここまで豪快な数字を示されると、首を傾げるを通り越し、凄い!と頷いてしまいそうです。

とはいえ、本当に凄いのは、ここでしたたかに稼いでいるドイツ企業なのかもしれませんが。

寺本名保美

(2015.12.11)



祝 メルケルさん

雑誌タイムズが選んだ今年の顔はドイツのメルケル首相でした。

これは素直に同意します。

色々ありすぎて遠い記憶となってしまいましたが、ギリシャが突然の国民投票を発表し、世界が愕然としたのはつい半年前のことです。

ドイツに向かう移民がハイウェイを埋め尽くす写真に、世界が茫然としたのも3カ月前。

その間ロシアへの経済制裁があり、フォルクスワーゲン問題あり、パリのテロありと、災難だらけの欧州を、今のところ脱線させることなく、舵が切れていることに対するメルケルさんの貢献度は決して小さくはないのだと思います。

日本で言えば「肝っ玉かあさん」を彷彿させる容貌も、なんとはなしに安心感を醸し出します。

来年は、強すぎるドイツが火種になるかもしれない年。

引き続き、上手く立ち回ってくださることを願います。

寺本名保美

(2015.12.10)



資源価格とSWF

原油や資源価格の下落で何が怖いかというと、資源国の経済問題もさることながら、資源売却を原資として創設されたいわゆるソブリンウェルスファンドからの資産売却に繋がるリスクが怖いのです。

例えば、SWFIというソブリンウェルスファンド分析専門のWEBによれば、足元推定で72000億ドル(約860兆円)のSWF残高の内4000億ドル(約480兆円)が、原油ガス由来の資金であるとされています。

その他にも例えばチリでは2兆円規模で「銅」由来のファンドが設定されており、こうしたものも含め資源系由来では2003年以降に設定されたSWFが多く見受けられます。

こうしたファンドが全てリスク資産を購入しているわけではなく、自国国債への投資比率が高いとしても、それでも株式や不動産市場への資金インパクトが小さいとは思えません。

資源価格の下落が長期的には米・欧・日にとってプラスであることは間違いないものの、短期的な金融市場への需給については警戒が必要そうです。

寺本名保美

(2015.12.09)



健康被害と財政負担

北京市の大気汚染でレッドカードが出たそうです。

この2週間、風邪とは異なる咳が続き、嫌な予感がしていたのですが、PM2.5の観測データを確認してみると、5月並の高数値となっていました。

もちろん東京のPM2.5の原因と北京のスモッグとは関係がないかもしれませんが、いずれにしても、東京程度の大気汚染ですら喘息気味になる人がいる中、北京に暮す方たちの健康被害は本当に心配です。

一人っ子政策によって人口ピラミッドの高齢化が見えている今後の中国財政を考えると、年金だけでなく医療負担を含めた社会保障費は深刻な問題です。

今の問題ではなく、20年後30年後を考えた時、そろそろこの大気汚染を真剣に退治しないと、医療負担が最大の財政悪化要因になりかねないような気がしています。

寺本名保美

(2015.12.08)



OPECの期待外れ

足元の金融市場にとって一番読み辛く深刻なのは、金融政策ではなく、OPECの生産量かもしれません。

サウジが軟化し、今回こそは何等かの減産合意がでると期待していたのは、非OPEC生産国だけでなく、金融市場全体も同じです。

このまま生産枠が決まらない状態が続くようであれば、原油価格は20ドル台まで下落するとの見通しすら出ています。

単価×生産量=収入
売り出し単価<生産単価=減産

という二つの式が成り立つ落としどころを見つけないと、産油国の短期的な財政圧迫だけでなく、生産設備減による中長期的な供給量の減少と財政圧迫が見えてきます。

米国の利上げの問題より、原油価格統制が効かないことの方が、新興国経済への総括的なダメージは大きいようにも見えます。

まぁどちらも原因を作ったのは米国である、という点において、考えるところはありますが。

寺本名保美

(2015.12.07)



わがまま市場がグレた!

昨晩の海外の債券市場をみて、債券市場というのはいつからこんな情けない市場になってしまったのかと、悲しくなりました。

今回の金融政策に対するドラギ総裁の発言は明らかに正しく、ドイツ組の反対を押し切って追加利下げを勝ち取っただけで十分だったと思います。

ドラギ総裁は
「常に市場の期待を上回るプレゼントをくれる人」
「だから、市場が過度に期待すればしただけ、それ以上のプレゼントをくれるはず」

にも関わらず、
「普通のプレゼントしかくれなかったからグレテやる!」

みたいな債券市場の反応は、サンタにおねだりをする子供よりたちが悪い。

さすがに1日で0.2%以上金利が暴騰し債券価格が急落すると、株式市場は反応せざるを得ません。

何を期待してポジションをとっていたのかよくわかりませんが、債券市場参加者の自業自得な損失に、金融市場全体が巻き込まれるのはものすごく迷惑なことです。

寺本名保美

(2015.12.04)



お茶を濁すのは今回まで

12月。中央銀行イベント月間が本日のECB理事会からスタートします。

地政学リスクに晒され、デフレが続き、主要取引国であるロシアや中国の雲行きは怪しく、ギリシャはさておき、多少下がりつつあるとはいえスペインの失業率は20%を超え、フランスの失業率は気が付いたら10%を超えています。

と並べると、利下げを含めた再緩和は当然のように見えます。

一方で、失業率は4%台と1980年来の低水準。フォルクスワーゲン問題を忘れてしまいそうな好調ぶりを見せているドイツに対し、これ以上の利下げとユーロ安の恩恵を享受させることへの強烈な違和感が存在するのも事実です。

今のECBに必要なのは、金利を下げることでも、ドイツ国債を買い取ることでもなく、遅々として減らない銀行の不良債権を直接買い取ることであり、南欧諸国の国債のファンディングを何等かの形で肩代わりすること、であるのは皆わかっているものの、ドイツの強固な反対にあって、今回もそこには踏み込めそうもありません。

利下げと国債買い取りでお茶を濁せるのも今回が最後と思っていた方がよさそうな気がしています。

寺本名保美

(2015.12.03)



女性に選らんでもらえる業界に

昨日、数百人規模の会合に参加して、殆ど女性の姿が目に入らない光景に、少し考えてしまいました。

資産運用業界で、営業の現場には、かなり女性が増えたとは思いますが、運用サイドや特にスポンサー側の女性の数は外資系を除くとなかなか増えていないように感じます。

きっぱり申し上げますが、女性の方が優秀だというつもりは毛頭ありません。

ただ、女性は恐らく男性に比較して、職業選択において興味とか面白さとかの優先順位が高い傾向があると思うのです。

その女性陣に、今の日本の資産運用業界が、面白いと思ってもらえていない。
つまり、資産運用業界に女性が増えないのは、業界が女性を拒否しているのではなく、女性にとってこの業界が魅力的に見えないから、なのであれば、これはこの業界の衰退の兆候です。

どうしたら、女性に選らんで貰える業界になれるかを考えることが、もしかすると業界の本質的な改革に繋がるかもしれません。

寺本名保美

(2015.12.02)



黒田日銀に学べ?

GPIFが四半期の運用結果に関する記者会見をYouTubeで配信しました。

見てみましたが、中途半端でつまらない。

日銀の黒田総裁並みに、記者に議論を吹っ掛ける位の迫力がある記者会見、とまでは期待しませんが、配信をするならするなりの工夫をした記者会見にしなければ、全く意味がありません。

GPIFがリスク資産比率を上げると決めた時から、四半期で10兆円近い損失が発生することは当然想定していたことで、その時に昨日・今日のような「巨大損失」報道に晒されることは覚悟の上のことです。

であるならば、その時に誰がどのように何を伝えるのか、ということについて、準備する時間は十分にあったはずです。

その結果がこのYouTubeであったのかもしれませんが、それにしては少々お粗末な印象です。

年金事務局の仕事は公的年金であろうと私的年金であろうと、「運用資産」を増加させ「受益者からの信頼」を高めて「制度の安定的な維持」を図ることです。長期的にお金が増えていればよいというものではありません。

今後の記者会見に大いに期待します。

寺本名保美

(2015.12.01)


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