2016年03月の思いつき


兆し

「大荒れ」だったように感じる平成27年度がようやく終わります。

荒れた原因を作ったのは米国の金融政策だったはずなのですが、締めてみれば、米国の株式市場も債券市場も1年前とほとんど変わらない水準で終わりました。

意外なところでは、日本のJASDAQもほぼ前年比変わらずです。

米国株式とJASDAQが先行している株式市場というものは、過去の事例から見ると、悪い兆しではありません。

環境が好転しているにも関わらず、市場の方向性に確信が持てない環境においては、信頼度の高い米国株式や、逆に市場の方向性の影響を受けにくい小型株から投資家が戻ってくるという傾向が見られます。何か少しのきっかけさえあれば、日本の主要株式にも資金は戻ってくるはずです。

この「何か」が「何」なのかわからないところが、最大の問題ではあるのですが。

寺本名保美


(2016.03.31)



ブラックボックス化する短資

一部の信託銀行が、金銭信託にマイナス金利を導入することを検討しているとロイターが報じています。

ある信託では0.1%を手数料として徴収することを検討しているとの記述もあります。

短資の世界というのは、金融機関同士の資金融通市場であるため、一般には本当に判りにくいのですが、日銀当座のマイナス適用以降、更に判りにくくなりました。

信託銀行は、当初コール金利がマイナスになった段階で、自行の銀行勘定に貸し出すことでマイナス金利を回避しようとしていました。

もちろん銀行勘定に資金が集中すれば、銀行としてマイナス金利が適用される資金量が増えることは理解できますが、銀行勘定全体としてはプラスの貸し出しもあり、付利の付く当座もあり、全てがマイナスになるわけではありません。
そもそも短期貸し出し金利の基本である短期プライムレートは、2009年から全く下がってもいません。

年金や投資信託等の投資滞留資金の付利が幾らであれば適正であるのか外部からの検証が全くできない中、単純に0.1%というようなコストを提示されると、便乗値上げをされているような気分にもなります。

たかが零点%の世界ではありますが、ブラックボックス化されるのは好きではありません。

寺本名保美

(2016.03.30)



道具を使いこなす自力

昨日の話の続きでもあるのですが、先日のセミナーで金融至上主義の終わり、というお話をさせていただきました。

1990年代半ばから昨年位まで続いてきた、金融機関が中央銀行と共に描いたシナリオに沿って動いてきた経済が終り、ルールメーカーが金融から実業に戻るかもしれません。という趣旨の話です。

次のルールメーカーのキーとなるのは、間違いなくIT産業であるわけなのですが、セミナーで一ついい忘れたことがあります。

金融至上主義の最大の問題は、金融が裏方ではなくなってしまったことです。金融が必要以上に力を持ち、実業が金融に振り回された結果が金融危機です。

だからこそ、今度はITは裏方であり続けて欲しいのです。逆にいうなら実業がITを使いこなすだけの自力を持つことが重要です。

餌を与えすぎてコントロール出来なくなった金融鯨に、世界経済が翻弄されたと同じことを、ITとの関係において繰り返してほしくはありません。

最近の、ITに妙に迎合するような雰囲気が、どうも気になってしかたがないのです。

寺本名保美

(2016.03.29)



勝手に成長されても…

最近、スマートフォンやその中のアプリケーション等で、自動的に何かを行う機能が、突然作動する、という経験が増えています。

アプリケーション提供側の理屈では、サービスの向上なのでしょうが、そのほとんどが、私には要らないものです。

で、もっとも苛立つのは、その作動を停止する方法が、難解なこと。

ダメ元で、話しかけると問題解決をしてくれるアプリケーションに、「このサービスを停止して。」と話しかけると、「それは私にはてきません。」と律儀に答えてくれます。

賢いけど融通の効かないロボットに振り回される生活がヒタヒタと迫ってきているようで、少々憂鬱です。

寺本名保美

(2016.03.28)



スポンサーの哲学

ロックフェラーファミリーが、ファミリー財団等で保有する全ての石化燃料関連投資を売却すると発表しました。

ファミリーの財団だからできることなのかもしれませんが、究極のESG投資ということになります。

公的年金は別として、企業や財団などのプライベートセクターにおけるファンドの投資哲学というものは、このぐらい大胆であってもよいのではないかと思います。

もちろん投資哲学について事前に受益者との間で共有し、リスクについての合意をとっておく必要はあります。

とはいえ、従来の年金や団体において、投資哲学などというものは考えたことはほとんどありません。

ESGやSRIの定義が定まらないのも、そもそもスポンサー側に、自分達の保有する投資資金の社会的使命。というものへの意識が欠如している、またはそうさせられてきた、からかもしれません。

世界のロックフェラーが示した方向性が、今後の投資市場にどのような影響を与えるのか、とても興味があります。

寺本名保美

(2016.03.25)



社会への違和感

このコラムを見ていていただくと判りますが、基本的に私は「日本愛」の強い人間です。
母国愛であるかどうかは、別の国の人間になったことがないので判りませんが、「日本」が好きです。

ただそんな私でも、時としてこの国の人々の声や行動が、どうしようもなく嫌になることがあります。

前回こうした気分になったのは、小泉政権後半のこと。
白か黒かという単純二元論の小泉劇場が作りだした社会から出てくる声は、私にはひどく空虚で且つ攻撃的に聞こえました。

そして今再び、あの頃と同じような違和感を感じ始めています。

株価は上がり、経済も深刻な危機からは脱出したものの、生活レベルでの満足感に繋がっていない、という点において当時と今はどこか似ているのかもしれません。

当時より、圧倒的にSNSでの情報共有が発達している現代。
一旦感情の波が起きてしまうと、収めるのは非常に困難になります。

このあたりで、踏みとどまってくれるとよいのですが。

寺本名保美

(2016.03.24)



ロボットとおもてなし

春休みになり、交通機関は、海外からのお客さまで一杯です。

日本という国のユニークさは、伝統と先端技術との共存にあると、海外の方は言います。

この両極端な世界観は、今後ロボットやAIが中心となっていく世界において、ある種シンボル的な意味を持ってきます。

世の中が無機質で効率的になっていく一方で、人は必ず対極のものを求めます。

様々な利便性は高めなければいけないのですが、両極を下手に融合させてしまおうとせず、互いに尖らせ共存させていく知恵を、日本なら示していけるのではないかとも思うのです。

無味乾燥な殺伐としたロボット社会にならないためのキーは、日本が握っているのかもしれません。

寺本名保美

(2016.03.23)



マイナス金利狂想曲

1月29日から始まった「マイナス金利狂想曲」は、峠を越えたのでしょうか?

一般紙やテレビや週刊誌が「マイナス金利」を取り上げ、解説し、漠然とした不安を煽り、それに国会が乗じて無駄な議論をしていることが不思議でしかたありません。

金融政策として特異な現象であることは事実ですし、その有効性や将来にわたっての副作用についての専門家の議論は必要ですが、その議論が社会一般で共有されなければいけないものだとは思えないのです。

金融政策という難解なお題を、消化不良な状態でお茶の間に拡散させることは、それこそマイナス要素以外の何も生みません。
現に我が家では、老父母から銀行に預けておくとお金は減るのか?と聞かれる始末。

もうそろそろマイナス金利という活字が、世の中からフェードアウトしてくれるとよいのですが。

寺本名保美

(2016.03.22)



別に日本でなくても…

リスクオンとかリスクオフとかという言葉を使うのであれば、日本だけが一人でリスクオフ。

為替は真夜中の乱高下となり、10年金利はマイナス幅を深め、株式市場はアジア市場で独歩安。

ついこの間まで、市場下落の主因として、皆が説明してきた「原油」と「中国」が反発してきたのに戻らないことに対し、その理由を誰も説明しようとしません。

海外投資家からみて、今の日本市場はどのように見えているのでしょう?

会計問題に揺れる大手電機が、ここに来て米国のSECの調査対象になったと報道されています。

別の大手電機の売却交渉は、まだ決着をみていません。

もうすぐ3月末を迎えます。

選挙モードで頭が一杯の政治の世界は、とうとう「既成事実」であったはずの消費税について検討を始めてしまいました。

海外投資家でなくても、私ですら、日本以外に投資したい、と思います。

厄介なことです。

寺本名保美

(2016.03.18)



日本株がスルーされている?

昨晩のFOMCまで消化して、金融市場に波乱がなかったことに安堵しています。

イベントを超え、米国株式市場は昨年末水準まで戻り、1月からの怒涛の下げが消えました。

原油価格も、ほぼ年初の水準まで買い戻され、小康状態です。

為替がドル円で7円、ユーロ円で4円、円高に振れたところで止まってしまったために、運用の収益率としては、実体よりも厳しい印象が残ってしまいましたが、市場全体からみればあれだけの大怪我からよく回復した、という印象です。

日本株が取り残されてしまったことを、為替のせいにだけにするのは間違っていて、消費税のせいにするもの間違っています。

戻りの局面で、世界の投資家が「日本の企業の株」ではなく「米国の企業の株」を選好しただけのことです。

この理由を考えることは、来年度の資産配分戦略だけでなく、株式の投資戦略を決定するにも重要な意味を持ちます。

投資家も政治家も企業家も、もう一度ちゃんと考えてみましょうよ。

寺本名保美

(2016.03.17)



完成品から次へ

韓国の失業率が6年ぶりの高水準となりました。

米国・日本・ドイツの失業率が2010年辺りをピークに下がり続けているのに対し、韓国の失業率はその水準を超えてしまったということです。

失業率統計の取り方は各国によってバラツキがありますので、一概に横比較はできませんが、完成品輸出に依存する経済の怖さを感じます。

逆にいうなら、今足元で白物家電や液晶テレビの製造部門が、アジア諸国に売却されてしまうことに対し心理的な抵抗感が見え隠れしますが、むしろこの分野から如何に早く脱出できるかが、日本の製造業全体の今後を左右するような気がしています。

早晩、完成品の製作工程の多くが、ロボット化されていくことは目に見えています。
生産拠点を自国に持ってくるにしても、付加価値の高い分野での生産に特化していかなければ、人も設備もそのうち余ってしまいます。

完成品の輸出に拘らない製造業の構築というものが、今後の日本のキーになるように思っています。

寺本名保美

(2016.03.16)



寡黙

第二ラウンド、日本銀行。政策変更なし。当然。

欧州中銀から日本銀行への忠告は「余計なことは言わないこと」だそうです。

FRBへの引き継ぎとしては、この忠告はやや難しそうですが、これまでよくも悪くも言葉が多すぎた感のあるドラギさんや黒田さんは、少し寡黙になるというもの一手かもしれません。

所詮、ECBや日銀だけで、コントロールできる金融市場ではなくなっているのであれば、淡々と行動し、結果は市場に任せる、という段階に入ってきているように思います。

「沈黙」とまではいきませんが「寡黙は金」の時期かもしれません。

寺本名保美

(2016.03.15)



暖炉の前から離れられないの…

黄金の10日間。

まずは先週のECBは市場から好評価の合格点のようです。

市場が落ち着くのはよいことで、波瀾を起こさなかったECBには感謝です。

ただ気になることもあり、前回の日銀のマイナス金利導入からECBの大規模緩和、そしてFRBの利上げ見送りという一連の流れの中で、市場参加者が再び過剰流動性と中央銀行への依存を高めることは、あまり良いことだとは思えないのです。

中央銀行ができることの限界は見えています。中央銀行に対し限界を超えた何かを期待することは馬鹿げています。昨年の12月の米国の利上げまで、中央銀行は各国政府にも企業にも新興国にも市場にも、準備するには十分すぎる時間を与えてきたはずです。

今ここで、再度中銀が緩和後の世界に戻るための時間を稼いでくれているのであれば、その時間をその他の主体は有難く有効に使わなければなりません。
日本の国会もしかりです。

寒の戻りに怯え、誰かが薪をくべてくれるのを待つだけの生活からは、そろそろ脱却しませんか。

寺本名保美

(2016.03.14)



あらためて、

震災での被害の大きさを目の当たりにした5年前、一生懸命働こうと思いました。

それから5年、自分自身が日本の社会に貢献できるような働き方ができていたかどうかは、定かではありません。

株価は倍になりましたが、それが皆が一生懸命働いてきた結果だったかどうかも定かではありませ

忘れることによって前に進めることもあります。
忘れないからこそ前に進めることもあります。

あの時、国というものを初めて意識し、働こう、と思った感覚は忘れずにいたいとあらためて思います。

全ての震災被害者の方々に合掌。

寺本名保美

(2016.03.11)



AIさん教えてください

今後増えてきそうな、人口知能タイプの資産運用商品についての素朴な疑問です。

運用商品というものには、一般的に説明義務というものがあって、たとえそれがどれほど複雑で難しいものであっても、投資判断プロセスの根幹となるロジックについては、投資家に説明しなければなりません。

いわゆるモデル運用・クオンツ運用、と言われるものがブラックボックスであると思われているかもしれませんが、モデル判断の基幹となるロジックには明確なプロセスが存在するので、人間の思考判断(ジャッジメンタル)よりも、むしろプロセスの透明性が高い傾向にあります。

では、AI。
人工知能が自分でトライ&エラーを繰り返し、状況に応じて投資判断を修正していくという意味において、従来のクオンツ運用とは大きく異なるといわれています。

そこで質問。
AIの行う運用プロセスというのは、投資家に説明されるのでしょうか?
それとも、この商品はAIが運用しているのでお任せください!という一言で終わるのでしょうか?
もしそうなった場合、AIとAI擬きとは、誰が検証することができるのでしょうか?
AIのプロセスをAIが解析して、人間に説明してくれるのでしょうか?

本当に素朴な疑問です。

寺本名保美

(2016.03.09)



頼りなくてイライラ

それにしても最近の日本市場は本当に打たれ弱い。

相場をする人は居ても、投資をする人が居ない、という感じです。

少し方向性が出てくると、一気に流れが出る。

株式なので将来への株価上昇期待に買い手が左右されるのは仕方がないものの、株価を買う、から、日本企業や日本経済を買う、というステージに切り替わる工程が途切れたままです。

政府そのものが、まだ株価を動かせば何とかなると勘違いをしているようにも見えるのが、投資家を呼び込めない主因なのかもしれません。

「素質はいいモノ持っているんだけど、どうも頼りなくてね」と言われるのは若者だけではありません。

寺本名保美

(2016.03.08)



ショートショートのような捻れ

大学入試の新共通試験で、新たに導入される記述式問題の採点にAI(人工知能)を使うことが検討されているそうです。

どこか、4コマ漫画か、星新一の未来型ショートショートのオチのように感じます。

AIによって判断可能なパターン化された答えを求めるのであれば、選択式問題を工夫すれば、求めている論理的思考力を評価することはできそうに思えます。

別の話として、金融機関に中小企業等に対する融資について、銀行としての目利き力を上げるようにとの方向性の話が出ている一方で、FinTecという名の元、与信評価に人的判断を加えない流れも加速しています。

新技術と社会の目指す方向性との折り合いの付け方は、本当に難しいと思う事例です。

寺本名保美

(2016.03.07)



3月のゴールデンウィーク

3月10日からの1週間に集中する、欧日米の金融政策決定の会合を前に、市場は段々動き辛くなってきました。

買い過ぎている人はあまり居そうもないので、とりあえず売り過ぎた人達が、少しずつ買い戻している感じです。

3月のこの1週間が来る前には市場が一旦戻るだろう、ということについてはほぼ織り込み済みとして、その後の展開については今一つイメージが湧きません。

市場センチメントもよくなっているようには見えるのですが、目に見えない何かにまだ怯える日々は解消されたとは言えません。

このところお天気は良くなっているのですが、花粉やPM2.5やらの空中浮遊物の増加で、目に見えない何かに怯える日が始まってしまったこととは、あまり関係ありません。

事前に準備しても効果がなさそうなので、対処療法で乗り切ることになりそうです。

寺本名保美

(2016.03.04)



セミナーお礼

昨日は弊社セミナーを無事開催することができました。遠方からも含め、お忙しい中御参集いただきました皆様に心から御礼申し上げます。

懐かしいお顔を拝見させていただいたりで気分が高揚したのか、柄にもなく緊張してしまい、いつも以上に早口になってしまった気もしますが、慶應の深尾先生から大変示唆にとんだ且つ解りやすいお話をいただき、全体としては有意義な時間をお過ごし頂けたのではないかと自賛しております。

日本もアメリカもドイツも、一つ一つの経済指標や企業業績を丁寧にみていけば、足下は上出来。中銀も政府も市場も何をおたおたしてるのか?!
というのが昨日の結論。
あっ、もちろん深尾先生のお言葉はもっとお上品でしたが…

元気が出るセミナー、次回は9月の頭頃を予定しています。

寺本名保美

(2016.03.03)



今日はセミナーです

今日の午後は、2年ぶりのセミナーです。

2年前、バブルが来るかもね、、、という話をした時の日経平均が15000円近辺、ドル円が102円近辺。

それから株価は21000円、ドル円は125円超までいきました。

とはいっても、あの時説明したバブルの条件に、この2年が当てはまっていたとは全く思っておらず、あったとしても極局所的なピンポイントバブルだったように思っています。

基本的にはバブルというのは、実需の先行きが悪く、資金需要がないにも関わらず、お金が大量にばら撒かれる時に起きるもので、実需に潜在的な資金所需要がある時はバブルにはなりません。

で、今は?

というのが本日のテーマ。

では、いってきます!

寺本名保美

(2016.03.02)



周回遅れ?

明日のセミナー資料を作りながら考えると、アベノミクスにおける黒田緩和の比重が大きすぎたような気がします。

黒田緩和のパフォーマンスが強烈で且つ金融市場に対する効果が歴然としていたため、その他の政策対応が1-2年後回しにされてしまった印象があるのです。

金融政策で時間を稼いでいる内に、企業そのものは実際に立ち上がってきているのですが、将来に向けての政策対応のスピード感が明らかに遅くなってしまった。

金融政策は行くところまで行き、過去最高の自社株買いが設定され、足りないのは設備投資を誘発する政策対応だけ。

足元で日本株がどうも割負けている理由は、このあたりにもあるのかもしれません。

寺本名保美

(2016.03.01)


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