2017年03月の思いつき


思い出すことも大事

金融市場で取り上げられるテーマの中には、白黒つかない内に忘れられてしまうものが多くあります。

ギリシャの経済危機は多分進行中ですし、中国における不良債権問題は闇深く深行中で、ドイツの銀行問題は燻り続け、ロシアの財政危機は小康状態。
ちなみに日本の財政問題は、蜃気楼のようにいたりいなかったりです。

もちろん怖いのは時間の経過と共に地雷化することで、存在を忘れているリスク程厄介なものはありません。

良い材料も悪い材料も、あっという間に過去のものにしてしまう金融市場ですが、時には数年前に記憶を戻して、リスクを検証してみることも大切なのではないかと思います。

寺本名保美

(2017.03.31)



よーいどん

英国が正式にEU離脱を宣言しました。もう後戻りはできません。

英国がこれまで担ってきた、グローバルな金融商業ハブ機能の誘致合戦がこれから一層激化するでしょう。

次のハブがどこの国になるにしても、その機能は今の英国のものとは大きく異なるものになるかもしれません。

英語圏である英国の利便性ほ捨てがたく、一部機能を残して分散することもあるでしょうし、足元で急激に進捗しているオンライン型のプラットホームが躍進するかもしれません。

ビットコインではないですが、そもそも「リアル」な取引所や決済センターを必要としないシステムにとって変わられる部分もあるでしょう。

Brexitが第4次産業革命を大きく動かす起爆剤になる可能性もあります。

大きな変化を捉えるアンテナを高く上げておく必要を感じています。

寺本名保美

(2017.03.30)



職人さんと高等教育の無償化

私は「職人さん」が好きです。
特別な技術者という意味ではありません。
小さいころ、スーパーのレジでテキパキと袋詰めをするお姉さんに憧れたように、どんな職業にもプロフェッショナリズムというものはあると思っています。

逆に、どんな役職にいようと、どれほど専門的な職についていようと、自分のスキルと真剣に向かい合っていない人は好きではありません。

ところで、高等教育の完全無償化の議論がでています。
一概に否定はしませんが、どうも腑に落ちないのです。

義務教育ではないので行かないことを否定するわけではないといわれそうですが、社会全体が高等教育ありきになってしまうことは避けられなくなると思うのです。

学校さえ出ていれば評価されるような単一的な価値観が加速するだけにはならないのでしょうか。
大学に行くよりも現場に居るほうが100倍役に立つような職制を完全に否定することにはならないのでしょうか。

子供達の選択肢を広げているようで、かえって生き難い世の中になってはしまわないかと少し心配です。

寺本名保美

(2017.03.29)



空虚

日本におけるESG投資というものがどうも腑に落ちないのは何故でしょう。

EやSをさておきGしか念頭にないことへの違和感もありますし、このGのプロセスが運用機関に対し無料の経営コンサルをさせているようにしかみえないことへの違和感もあります。

先日北欧の運用機関のプレゼンで、極当たり前にネガティブスクリーニングが組み込まれているのを見て、日本のESG議論が益々空虚にみえてきました。

国も業界も何を目指しているのでしょう?

寺本名保美

(2017.03.28)



来たぞオリンピック世代

このところの各社の人事で、50歳代前半の社長が誕生しています。

私が思い続けている最大の「偏向した信念」は、東京オリンピック世代が日本の社会を動かすようになれば日本は変われる、というものなので、ようやくその時代が来つつあることに期待しています。

我々オリンピック世代は、高度成長やオイルショックもバブルやその崩壊も経験しているものの、ピンポイントの影響からは少しずつずれていて、時代の目撃者ではあるけど当事者ではありません。

良いことがあれば悪いこともある、ということは体感されているので、極端に悲観的にも楽観的にもなりません。

家では戦中の親に育てられ、社会ではネットの発展に育てられ、世の中の価値観の多様性には慣れています。

よくいえばバランス感覚があり、悪くいえばどっちつかずてとらえどころがないと言われてきた世代です。

繰り返しますが、これは私の「偏向した信念」です。

完全に独りよがりの思い込みですが、我々世代が動かす日本。こうご期待です。

寺本名保美

(2017.03.27)



軍需と民需

オバマ政権の中盤頃から、技術開発における軍需と民需との垣根が一段下がった印象を受けていました。

ドローンや自動走行やAI技術の急激な発展には米国を中心とした、防衛装備戦略の基本的なイノベーションと無関係ではないでしょう。

今回、トランプ政権の出した大統領権限内での予算案において、国防省関連予算が突出していると議論になっていますが、足元での国防対策というものが、この10年で様変わりしている状況において、一口で国防関連予算といっても、ミサイルや戦闘機ばかりの話ではなさそうです。

軍需の民需転用や民間技術の軍需転用、更に軍民の共同研究など、今起きている技術革新において軍・産の線引きをすることすら困難になりつつあります。予算の読み方一つをとっても、新たな視点での分析が必要なのかもしれません。

寺本名保美

(2017.03.24)



優先順位

この間の東京都議会といい、今日の国会といい、見なければよかったと心から思う政治の話は横に置いておいて。

東芝の部門売却先について、海外メーカーを排除するというぐらいなら、初めからJALのように実質国有化してしまえばいいのではないかと思うのです。

東電問題についても同様。

国有化することで既存の株主が毀損することになったとしても、それは仕方のないことで、国家として事業を継続する必然性が高いのであれば、国家主導で再生すべきです。

中途半端に政府が口を出すと、結局日本も保護主義か、と思われるだけで良いことは全くありません。

守りたいのは技術なのか雇用なのか株価なのかブランドなのか。
政府が関与するならば、優先順位が国民にはっきりわかるような説明が求められます。

寺本名保美

(2017.03.23)



ダメージ

足元のリスク資産の調整は、米国の予算への様々な思惑と、G20でのギクシャク感、そして安倍安定政権への懸念、でしょうか。

グローバルな投資家が日本の政権の安定性にどの程度期待しているのか定かではありませんが、おそらく我々日本人が思っているよりはインパクトが大きいと思われます。

これは安倍首相の評価が高いからということではなくて、社会が政治をどれたけ重視しているかどうかの違いです。

政権になにかあったときの日本株へのダメージを甘く見ないほうが良いと思っています。

寺本名保美

(2017.03.22)



この違いはどこからくるのか

まだ、内容をよく見ていないのですが、国連が発表した「2017年世界幸福度報告書(2017 World Happiness Report)」によると、日本の幸福度は先進国中で最低の51位。過去2年間での変化率に至っては、対象126か国中悪い方から数えて21番目。

この2年、ギリシャ問題や移民問題やテロへの恐怖で揺れたはずのドイツは、絶対値で16位であるだけでなく、この2年の変化率も上から数えて25番目。

この違いはどこからくるのか…

安倍首相、メルケルさんに会って、何か秘訣を聞いてこられたでしょうか?

寺本名保美

(2017.03.21)



次のババ

リーマンショックにも欧州危機にも負げず、素人だのリスク管理能力がないだのと批判にも挫けず、淡々と運用を継続してきた年金基金の多くは、この7年間の好環境の恩恵により、足元では一旦運用をお休みしても良いぐらいの財政になっています。

一方で債券中心の運用で、リスク管理を重視した金融機関と称するところの多くは、これから運用に本腰を入れると言っています。

ここから先の市場環境が良いか悪いかは行ってみないとわかりませんが、少なくても世界の株式市場も債券市場も史上最高値圏に突入している段階になってから、一生懸命運用に注力しなければいけない業界は難儀なことです。

次に始まる市場のうねりでババを掴むのはさて誰になることでしょう。

寺本名保美

(2017.03.17)



回周遅れの政治現象

昨晩のFOMCはイエレン議長の穏当なコメントも含め市場にとっては100点満点の結果となり、オランダの下院選挙では極右・自由党(PVV)の獲得議席は19議席に留まり与党の勝利となり、目先のリスク回避的センチメントの要因は、無事に収束をしています。

明日から始まるG20にとっては上々の環境といえそうです。

そのような中、唯一雲行きが怪しい我が日本。

政治問題が社会現象になっている、という括りでは、日本も欧米並みになってきた、とも言えるのかもしれませんが、国も問題も東京都の問題も大阪府の問題も、次元が低すぎて他国と同列に扱うのは申し訳ない。

別に政治まで世界に回周遅れでついていかなくてもよいのではないかと思うのですが。

寺本名保美

(2017.03.16)



ドルシフトへの警戒

米国と欧州との対立が表面化することが懸念されているG20を前に
注目されるFOMCが始まっています。

政策変更は3か月毎とは限らない、という不気味なメッセージがイエレンさんから出ている中、新興国市場や商品市場は想定外の利上げスピードに備えています。

3月利上げはないとみられていた1か月前と比べると、足元FRB関係者から発信されるメッセージは、様変わりです。

弊社のモデルはこの数カ月、リスクを取るなら株より外貨、と言い続けています。急激なインフレセンチメントの変化をFRBが肯定するようなことになれば、資金のドルシフトと株安が同時に起きるリスクが一時的に高まります。

日本は期末。
今回ばかりはモデルが外れてもよいので、穏やかな金融市場が維持されるような結果を望んでいます。

寺本名保美

(2017.03.15)



間接金融の世界でのガバナンス

日本において大企業の信用問題が浮上する際、それぞれのステークホルダーの利益代表となる主体の姿が見えてこないもどかしさを感じます。

従業員代表の姿も、株主代表の姿も、取引先代表の姿も、見えることはなく、債権者である金融機関と経営者と監査法人と上場審査機関がそれぞれの立場を主張するだけに見えるのです。

本来のガバナンス議論であるはずのあらゆるステークホルダーの利害を公平に扱うという視点はここにはなく、責任を取るべき人々が如何に自らに掛かる火の粉をを最小化するかに終始しているような光景は、この10年20年なにも変わっていません。

時間とコストを掛けて、形ばかりのガバナンス強化をしたところで、一旦事が起きれば、あっという間に化けの皮が剥がれます。

まだまだ間接金融のカルチャーが優位な日本においては、金融機関が変わらなければガバナンスも変わらない、ということなのかもしれません。

寺本名保美

(2017.03.14)



ありときりぎりす

1000人の随行員とご一緒に国王が来日しているサウジアラビアが、脱石油を実現できるのかについて私はかなり懐疑的に見ています。

先日ここで触れたノルウェイとサウジとの根本的な相違は、ノルウェイにとって原油輸出が総輸出の3割程度であるのに対し、サウジはその9割が原油です。

ノルウェイは基礎産業がある中で原油での利益を「将来の国民」の財産として積み立てているのに対し、サウジは原油の利益を「現在の人々」の利益と生活に充ててしまっています。

同じような産油国でありながら、この2つの国家をみていると、まさにアリとキリギリスの寓話を彷彿させられるのです。

サウジというキリギリスがアリの生態系について学ぶことなく、キリギリスの生態系のまま、原油の次の泡銭を求めて彷徨うのなら、この国に将来はありません。

何年か後、この国の当主が、せめて数十名の随行員と共に、地に足をつけた外訪をするようになっていることを期待します。

寺本名保美

(2017.03.13)



セミナーお礼 素直が一番

昨日の25回目のセミナーには多数の方のご出席をいただき無事開催するとこができました。ご出席いただきました皆様、ありがとうございました。

米国の輸出品が防衛関連と飼料とプラスチックでは、貿易赤字の責任を日本やドイツだと言われても困りますよね…というお話しをしたら、夜中に「日本やドイツがトウモロコシや化学製品や潜水艦とかをアメリカから沢山買えばいい」という米国高官発言が話題になっていました。

セミナー盗聴されていたかもしれない…(笑)

冗談はさておき、昨日のセミナーで私がお伝えしたかったことですが。

トランプ政権になって確かに変わったこともありますが、今言われている政策の多くがオバマ政権の目指してきた政策の延長線上にあります。トランプ大統領の奇抜な言動にばかり注目せず、数字や政策を丹念におっていくと見えてくることがあります。

金融危機後のマイナスからのスタートだったオバマ政権に対し、トランプ政権はオバマ氏が障害を取り除いたレール上での恵まれたスタートです。今のところスタートダッシュに成功しているとはいえませんが、スピードに乗ってくればこの政権意外と走るかもしれません。

もしかすると来てしまうアメリカ主体のバブル的な市場環境においては、振り落とされないようにしっかり手綱を握りながら、いつでも飛び降りれる程度のスピード感で、自然体で市場に身を委ねる、という心掛けが重要でしょう。

人間素直が一番です。環境が不透明な時ほど、思考はシンプルに。
考えすぎは怪我の元。

では、また半年後のセミナーにご期待くださいませ。

寺本名保美

(2017.03.10)



3.9 セミナーの日

本日は3月9日。「ありがとう(サンキュー)の日」であり、弊社の25回目の資産運用セミナーの開催日です。

平成15年から、ほぼ年2回ペースで開催してきた資産運用セミナーが25回を重ねることができたのも、ご参加いただいてきたお客様あればこそと、本当にありがたく思っています。

今年弊社は設立から20年目を迎えています。年月の中で変化している部分も当然ありますが、変わらず続けていくことの大切さを実感しています。

ということで、本日のセミナーのテーマは「”アメリカンバブル“ 米国一人勝ち経済の可能性と投資戦略」。

前半では時事総研の石井正様より「トランプ政権誕生により激変する国際政治構造」についてお話しをいただき、後半は寺本から「アメリカンバブルの可能性と投資戦略」についてお話しをさせていただきます。

25回の感謝を込めて今日こそは「ゆっくりと丁寧にお話をさせていただきたい…」と思っています。
結果と詳細はまた明日。

寺本名保美

(2017.03.09)



米独

ドイツの財政収支が黒字なのは、ドイツ経済が強いからであって、米国に文句を言われる筋合いない。

という主張は正しい。

ドイツの経済が強いのは、ドイツ経済にとっては不当に安いユーロの恩恵もあるのですが、これもドイツは好きでユーロ安にしているわけではない、という反論が聞こえてきそうです。

今後自動車業界で大きなイノベーションが発生し、自動車産業の動向が世界の製造業全体を左右するような状況が発生した場合、製造業でナンバーワンになるというトランプ氏にの野望に立ち塞がるのは中国ではなくドイツになるかもしれません。

今まであまり気に留めてこなかった「米独」関係についても、注意を向けておいたほうがよさそうです。

寺本名保美

(2017.03.08)



労働の健全化と物価

宅配便の労働条件を健全化したら、宅配便の料金が上がり、宅配便の料金が上がるとネット通販の送料が上がり、我が家の洗濯洗剤の購入単価が上がります。

労働コストの正常化が物価上昇に繋がる正常なスパイラルがここにあります。

国内だけではなく、労働単価が安い新興国での生産と、消費国である先進国の物価との関係も同様です。

コストの低い国で生産するというフレーズを我々は当たり前のように使っていますが、グローバルな労働環境の健全化に注目が集まりつつある中、このフレーズの有効性が低下してきていることに意識を向ける必要がありそうです。

デフレお化けにとりつかれていると、冷や水を浴びることになるかもしれません。

寺本名保美

(2017.03.07)



情報の質

今朝のNHKニュースでの違和感です。

『アメリカのトランプ大統領は、去年の選挙におけるトランプ陣営とロシアの関係を追及されているのに対抗して、ツイッターで「オバマ前大統領が選挙中に私の電話を盗聴していた」と、具体的な証拠を示さずに非難しました。』

ニュースの解説、ではなくてヘッドラインとして流す文章であるのなら、最後の「具体的な証拠を示さずに」の件は不要です。

通常ニュースのネタ元を視聴者が直接確認することはありませんが、トランプ氏関連の報道はネタ元をSNSで見ることができるので、こうした記者の余分な修辞の有無がよくわかります。

嘘と真が入り混じるSNSに、事実と思惑が入り混じる既存メディア。
情報の量ばかりが増える中、情報の質は確実に低下していることを日々実感しています。

寺本名保美

(2017.03.06)



景気で買って金利で売る

今週になってから、唐突に米国の3月利上げムードが復活してきました。

先週ドル円で111円台を付けた時と今と何が違うのか説明するのは困難です。

トランプ政権での大きなイベントは、今月中旬(13日?)までに出るはず、の予算教書でしょうが、市場の注目は当面は金融政策にシフトしているようです。

素直に上がっている金利とドル。やや調整気味の株式市場や商品市況。

足元を見る限りにおいては、市場の反応は捻じれることなく素直です。

株式市場が景気期待で買われ、金利懸念で売られ、を繰り返しながら、過熱感なく居所を探すステージとなるのなら、それはそれで心地よいのですが。

寺本名保美

(2017.03.03)



五感を鍛える

投資判断というものは「知識」と「五感」と「意思」で行うものだと思っています。

知識と五感があっても決断する意思がなければ投資チャンスを逸しますし、知識と意思だけでは教科書的な後追い型の投資にしかならず儲かりません。
だからと言って五感と意思だけでは、行き当たりばったりの投機になってしまい継続性はないでしょう。

今後AIが投資判断において、人間の判断よりも優位に立つことができるかどうかについては、この「五感」の部分をカバーできない限り難しいのではないかと考えています。

逆にいうなら、人間の投資判断に五感を使わず、「机上の知識」を踏襲するだけなのであれば「意思」に迷いのないAIに人間が勝つことはできません。

システマティックな運用への依存度を高め、自らの五感を鍛えることを止めてしまっている昨今の運用業界を見ていると、AIに職を奪われるというよりは単に自滅しているだけにも見えるのです。

寺本名保美

(2017.03.02)



早送りの1年が始まった

議会演説をリアルタイムで視聴することは、自分の国の首相に対してですらほとんどしたことがないのですが、何故かトランプ大統領の議会演説はリアルタイムで聞いてしましました。

良くも悪くも、国内的には政治家がより身近になり、対外的には米国の存在感がより高まっていることは間違いなさそうです。

内容に新鮮味がない、という評価がある一方で、大統領選当時から議会演説に至るまで主張が全く振れずに一貫していると、評価する人もいます。

金融市場の参加者が一番嫌がるのは「不確実性」なので、主張が振れないということがとりあえずはプラス面に寄与しているのかもしれません。

何を始めるか判らないという怖さが徐々に薄れてくる一方で、市場の興味はその実効性とスピード感の精査に移りつつあります。

トランプ大統領と同じぐらい気の短い市場参加者を、繋ぎ止めておくには、テンポの速い政策実現が必要です。

人気も政治も経済も、ここからしばらくは早送りの世界となりそうです。

寺本名保美

(2017.03.01)


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