2018年09月の思いつき


テスラに懲りて

テスラのCEOが株式の未公開化を巡る自らのツイッター投稿でSECから提訴されました。

過去のバブル期にも、経営者の質が問題になったことはありましたが、多くの場合は本来の実力以上に経営が暴走して破綻するのであって、今回の様な企業価値と市場の評価のスピードに経営者が全くついていかれないというパターンは珍しいかもしれません。

とはいえ、ここから先、技術革新のスピードが加速する中、大企業としてはこうした新興企業をどう取り込んでいくかが、成長戦略の根底となっていきます。

日本企業がテスラに懲りて膾を吹くことにならなければよいのですが。

寺本名保美

(2018.09.28)



正常化できた国、できない国

FOMCから「緩和的」という文言が削除されました。

リーマンショックから10年。米国の金融政策が名実ともに正常化した証ともいえます。

日本の金融危機から20年。日本の金融政策は名実ともに正常化には程遠い状況にあることと比較すると、米国と日本との立ち直りのスピードの違いがどこにあるのかと考えてしまいます。

これまで日本のデフレの遠因は中央銀行の慎重な金融政策に一旦があるという評価が大半でした。

しかしながら黒田総裁以降、日本の金融政策に大胆さが加わっても、日本と米国との経済活力の差は広がるばかりです。

米国発の金融危機からの10年が、日米格差を広げるだけで終わってしまったことに、出口の見えないむなしさをおぼえます。

寺本名保美

(2018.09.27)



一抜け

結局今の市場は、政治イベントが無難に通過した市場から順番に買い戻されているようにみえます。

日本の株式市場が買い戻されていることに違和感を感じるコメントも多くみられるようですが、政治リスクからの一抜けと思えば、納得できます。

原油価格の上昇で、リスクマネーが増加し、年度末に向けてトレンドが追いやすくなっています。

上昇していることの理由を探すより、上昇しているということそのものに意味があるという展開になりつつあるのでしょう。

賞味期限はイベントが終わりファンドの決算の締めがくる11月あたりでしょうか。

寺本名保美

(2018.09.26)



連休

すみません。
今日から火曜日までお休みをいただきます。

次回は水曜日更新いたします。

寺本名保美

(2018.09.21)



たかが3年、されど3年

安倍自民党総裁の再任が決まったことで、現政権がどんなに長くても後3年で終わる、ということが確定しました。

もしここで、総裁が交代していれば、今後6年、9年というタイムスパーンでの政策議論が可能だったかもしれないのですが、今回の総裁選の結果によって三年後の退任が確定した政権がスタートすることになります。

三年という期間はレームダッグにもなり得る期間であるのと同時に、何かまとまった案件を実現しようと思えばまとめることができるギリギリの長さのように思えます。

諦めてレームダックになるほど短くはなく、かといって新しいことを試みるには短すぎる。
この中途半端な時間軸が政策の暴走や雑な議会運営を招くであろうことは想像に難くありません。

経済だけでなく外交的にもとても重要なここから3年。

国会に無駄な時間を過ごす余裕はないはずです。

寺本名保美

(2018.09.20)



出がらし?

未上場企業が上場することは、成長の証であることは変わらないのですが、最近上場市場が成熟市場を通り越して出がらし市場に思えてきたのはどうしたものかと思っています。

プライベート市場での投資を否定はしないものの、それでも我々の主戦場は上場市場です。

ここの活力が失われることは、資本主義経済の根幹に関わる重大な問題です。

私のこの出がらし感の根源がどこにあるのか、少し考えでみたいと思っています。

寺本名保美

(2018.09.19)



重しなのか薪なのか

例えば11月の米国中間選挙において上下院の何れかにおいて共和党が過半数を失った場合、株式市場は上がるのでしょうか、それとも下がるのでしょうか。

言い換えるなら、今のトランプ政権は、実体経済や株式市場の動きに対する阻害要因なのでしょうか、支援要因なのでしょうか。

企業業績を重視する多くのファンドマネージャーにとって、トランプ政権の存在はどちらかというと阻害要因です。本来の企業のイノベーションや成長に対し政治は単に邪魔をしている存在です。

一方で、市場の短期的なトレンドを重視する運用手法にとって、トランプ政権の出すメッセージの強い政策は収益機会に繋がります。今後2年政権がレームダックに入ると、マクロトレンドに掛ける運用手法にとっては難しい局面となるでしょう。

ここからの本格的な選挙シーズンに入り、選挙結果の予想もさることながら、市場が勝敗をどのように織り込んでいくのかを見ていくことも重要なポイントになりそうな気がしています。

寺本名保美

(2018.09.18)



必要とされ愛される業界に。

リーマン・ブラザーズの破綻から10年が経ちます。

私にとってのリーマンの破綻は、古巣の終焉であるのと同時に、本来黒子であるはずの金融業界が、舞台の中心で厚顔無恥に主役を張っていることへの堪え難い違和感の終焉でもありました。

ITバブル崩壊以降方向性を失った先進国経済は、実需の伴わない金融産業への依存度を高めていきました。
実需のニーズによって金融取引が発生するのではなく、金融取引の結果として実需が動くという歪んだ経済が拡大し、次第に金融産業が描いた通りに実需が踊らされる構図が出来上がってきていました。

金融産業の中で生きていた私にとつて、この構図は堪え難いもので、そこで踊っている株式や債券の市場変動から少しでも身を守ることができるのではないかとヘッジファンドに期待してみたものの、リーマンショックという巨大なシステミックリスクの前ではなすすべもなく、後悔だけが残ります。

あれから10年。金融市場が何も反省していないという声もありますが、少なくても今の金融市場に当時のような傲慢さは感じません。

ここから10年。金融産業は本当に大きな転機を迎えることになるでしょう。どのように変質していくのかはまだ定かではありませんが、実需を支える賢く健全な産業であり続けて欲しいと思います。

人と社会に愛される金融業界を目指していきたいと私は思っています。

寺本名保美

(2018.09.14)



電気がないだけ、という状況

北海道の地震からようやく1週間が経ちました。

震度7クラスの地震に見舞われることについては日本列島どこにいても覚悟しておかなければいけないとしても、今回の北海道のような地域電力が全て失われるような「広域ブラックアウト」については今まで経験したことがなったことです。

いわゆるブラックアウトの特殊なところは、「電気が無い」以外においての経済活動がある程度正常であるという点にあります。

首都直下地震のような都市機能が停止するような極限状況における電力停止はもちろん怖いですが、都市機能が生きている中において電力だけがなくなった状態というものを、今の東京に当てはめて考えると想像を絶する混乱が予想されます。

電気に全てを依存している現代の都市生活。
企業のBCPを始め、もう一度潜在リスクを洗い出していく必要がありそうです。

寺本名保美

(2018.09.13)



想像力勝負

リスクで一番怖いのは、過去の経験値が低い、前例のないイベントでのリスク。

例えば、足元でいうなら、米中貿易摩擦より、ブレグジットの方が怖い。

世の中のIT化が進み、産業や社会構造が今後加速度的に変化していく中で、経験値のないイベントに遭遇する可能性は確実に増加していきます。

経験の不足は想像力で補うしかありません。

ここから先、イノベーションもリスク管理も、想像力勝負です。

寺本名保美

(2018.09.12)



アピールの場にもならない

自民党総裁選が始まっているようです。

所詮自民党内での選挙なので、一般国民にはあまり実感のない選挙です。

もし可能であるならば、この選挙での両者の主張が今後3年の日本の政策の方向性を海外投資家にアピールできるような機会になればよいと思うのですが、いまのところそういった展開にはなっていません。

諸国のように、移民問題やEU問題といった深刻なテーマを抱えていないのはとても恵まれていることだと思うものの、潜在リスクが表面化していないからといって政治が弛緩している現状には危うさを感じます。

今回の総裁選にもう少し緊張感があれば、日本株に興味を失いつつある海外投資家に対し、日本の将来ビジョンを見せる絶好のチャンスではあるのですが。

寺本名保美

(2018.09.11)



次の芽

4-6月の実質GDPが年率3%を大幅な上方修正となりました。この水準は2014年1-3月以来の高水準となります。

設備投資が上方修正されたのは想定の範囲内として、個人消費の自動車が伸びていたことにはやや意外感があったでしょうか。

足元で伸びているのは、いわゆる「自動制御付きのコンパクトカー」と呼ばれる分野で、見栄えより安全や機能を重視する現代のニーズに製品開発側が上手く適応した好事例だと言えるのかもしれません。

今自動車業界は不安の塊です。
技術の変化と消費者のニーズ、世界のニーズと国内のニーズには、時差もあるし乖離もあります。

製造側の視点の置き場所を間違えると、どんな大企業でも破綻のリスクに晒されるでしょう。

霧がかかっているように感じる日本経済の次の芽が、今回のGDPに潜んでいるのではないかと、密かに期待しています。

寺本名保美

(2018.09.10)



セミナーお礼

昨日は日本各地での天災が続く中にも関わらず、多数の皆様のご参席の元、セミナーを無事開催させていただくことができました。

ご出席いただきました皆様、ありがとうございました。

今回は一橋大学大学院教授の根本洋一先生より、アセアン経済についての現状と将来リスクについて詳細なデータを基にご説明いただきました。実際に足元で資金流出が見られているものの、経済そのものは健全であること、但し米国の政治的な思惑による経済制裁という過去に見られない状況については警戒をしておく必要があるとのお話しをうかがいました。

私のパートについては、ファンドの資金フローから足元の市場にある歪みを確認してみました。トランプ政権以降、株式と債券とが同時に流入超となっている傾向を確認し、この資金フローの逆流に備える必要性についてお話しさせていただきました。

市場の転換点に際し、ファンドマネージャ―を始めとする市場参加者に迷いが出てきています。
この迷い、私にも伝染してしまい、昨日はやや結論を保留したような内容となってしまい、お客様には申し訳なく思っています。

これに懲りず、今後共どうぞよろしくお願い申し上げます。

寺本名保美

(2018.09.07)



お見舞い申し上げます

西日本方面での台風被害に続き、本日未明の北海道地方での地震と、大規模災害が続いています。

被害地域の皆様、ご家族の皆様、事業所の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

金融市場としては、関西国際空港や新千歳空港といった基幹空港の閉鎖、電源の問題と、実体経済に与える影響も、気にしていかなければならないと思っています。

本日の午後は弊社セミナーとなります。

ご参加予定の皆様、ご無理のない範囲でのご出席をお願い致します。

寺本名保美

(2018.09.06)



理由がわかれば方法も変わる

明日のセミナーに向けて、過去の金融市場の流れを改めて見直していました。

当たり前ではありますが、今起きていることは過去起きてきたことの結果でしかない、ということに気が付きます。

過ぎ去った過去から何かを学ぶという視点ではなく、今を理解するために過去を紐解くという視点での振り返りが大切なのです。

そうしてみてみると、政治も経済も金融市場も、今起きていることの理由を理解することができます。

理由がわかれば対処方法も見えてきます。

明日はその対処方法のお話しです。

寺本名保美

(2018.09.05)



自然災害への心構え

数十年ぶりの勢力を保った台風の接近で、関西以西から被害が出始めているようです。

東京については今のところ少し風が強まっている程度ですが、今日は無理をせず早仕舞にさせていただきたいと考えています。

台風の予報だけでJRの駅が閉鎖されたり、企業がこのように早期終業を宣言できたりするようになったのは、この数年での大きな変化だと思います。

土地の財産価値への波及よりも、ハザードマップの公表を優先できるようになったのも、阪神や東日本の大震災を始めとする大きな人的被害を経験したからこそです。

予知については地震も噴火もまだまだ難しい部分が残っていそうですが、それでも自然災害との向き合い方については、この四半世紀で本当に大きく前進したと感じています。

皆様くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。

寺本名保美

(2018.09.04)



安倍政権の大きな置き土産

あまりメディアで取り上げられることはありませんが、日本はゆっくりと確実に海外労働者の受入れを進めてきています。

法務省入国管理局を「入国管理庁」にするという検討も始まっていると報じられたことで、これまでのいわば「ステルス的」な拡大から、一歩大きく足を踏みだしたかのように見えます。

ここから先の議論は、これまで日本が封印してきた「移民」についての国民的議論になっていくでしょう。

ある意味これは、現政権悲願の憲法改正論議より、大きく且つ実生活に密接に関わる問題です。

日本経済の閉そく感の打破には、海外労働者の受入れ問題を避けて通ることはできない、という主張を海外投資家からはよく聞こえてきます。

ポスト安倍が何時どうなるにしても、日本にとって海外労働者の問題が大きな政治的焦点となる日は遠くはないかもしれません。

寺本名保美

(2018.09.03)


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