2019年01月の思いつき


中立は難しい

10月の株式市場の急落の引鉄となったのが9月のFOMCでの「緩和的」という文言の削除でした。

つまり足元の金融政策は景気に対しほぼ中立であるということを意味します。

ここから先の利上げや、量的緩和の回収については、景気をに対して中立から引き締めの段階に以降することになります。

中立水準がここなのか、もう少し上なのか、という議論は残っていますが、緩和ではない、ということについてはFRBも市場も一致しています。

今回のFOMCから読み取れることは、現状の景気には金融政策で冷やさなくてはいけない程の過熱感がない、という認識だけで、それ以上でもそれ以下でもありません。逆に言うならここから先の金融政策は景気次第でどっちにでもいく可能性があるということです。

引き締めでも緩和でも、金融政策に一定の方向性はないというのは、意外とリスクが取りにくいものです。

利上げ停止を決め打ちせずに、暫く慎重に対応していきたいと思います。

寺本名保美

(2019.01.31)



着地

本日のアップルの決算についての市場の評価には次のWSJの記事が参考になるかもしれません。
『年内に5G対応のiPhone(アイフォーン)が発売されることは期待しない方がいい。アップルは新規格、特に無線通信会社がコントロールしているものについては、様子見することで知られている。WSJ』

今年の景気を占うのは、従来型の売上高ではなく、企業による設備投資計画であり、各国政府による財政刺激策になるでしょう。

地味ではあるものの、地に足が付いた一年になると思います。

フワフワ感が無くなる分だけ、投資環境としてはむしろ安定するかもしれません。

寺本名保美

(2019.01.30)



ゴ~~~ルとはいかない

英国議会において、EUに対し離脱延期を申し入れる可能性が高まってきているとの幾つかのメディアが報道しています。

延期といっても今年の年末までの話しなので、9ヶ月の話しに過ぎません。

この9ヶ月の延長期間においてアイルランドの国境問題が解決するか、もしくは英国で再度国民投票が行われブレグジットが撤回されるかしない限り、先行きの見えないデッドエンドが先延ばしされるだけです。

金融市場に限定して考えるなら、リスクオンに転じたとしても一時的なもので終わるでしょうし、実体経済に対しては不確実な環境が長引くことで英国だけでなく欧州地域全般での設備投資の萎縮が進行する懸念が高まります。

とはいえ、今のところ他に選択肢があるようにも見えず、昨晩のサッカーのようなスカッとしたゴ~~ルには程遠い環境が続きそうです。

寺本名保美

(2019.01.29)



エンディング

スキャンダルで政治が混乱すると、改憲論議が遠のいて、安倍政権の支持率が結果的に上昇したりします。

安倍政権が晩節を汚さないためにには、外交や憲法に深入りすることなく、経済回復内閣で終わらせるのも一つでしょう。

安倍政権が綺麗に終わるとすれば、逆にバトンを引き継いだ政権にとっては、経済は天井で、外交は混濁で、霞が関はボロボロ、という悲惨なスタートを切ることになります。

政治家の自己顕示欲というものは、綺麗な晩節よりも、打ち上げ花火を志向するものなので、安倍政権もまた踏まなくてもよい地雷を敢えて踏みに行っての自爆になりそうな気もしています。

安倍政権を誰がどのように引き継いていくのか。そろそろ次の構図が見えてこないと日本の将来にはリスクばかりが目に付きます。

寺本名保美

(2019.01.28)



所詮過去の数値なので

米国では政府機関閉鎖の影響を受け、一部の経済統計の公表が止まっています。

日本では、主要統計値の過半を占める項目で、過去の公表値が不適切であったことが判明しました。

米国も日本も、統計作業が正常化された段階で、過去分を含めた修正や公表が行われるとのことです。

こういうとひどく大変なことが起きているようにも聞えますが、そもそも経済統計数値というものは国内外問わず、モノによっては殆ど毎月、過去に遡ってかなり大幅に修正されています。今までは特に理由を書かずに修正をしていたものを、今回の勤労統計問題を機に改めて修正していたことを公表していただけとも言えそうです。

経済統計を投資判断に使っている我々からすれば厄介な現状ではありますが、所詮過去の数字に過ぎない経済統計にそれほど目くじらを立てるのも大人げないかとも思っています。

寺本名保美

(2019.01.25)



内需への視点

年末にも書きましたが、今年の景気の中心は各国共に内需です。

資産配分も個別銘柄選択も、外需の鈍化にばかり拘っていると、見誤ります。

外需の下げ止まりを待つ以外に出来ること、沢山ありそうな気がしているのですが。

寺本名保美

(2019.01.24)



ブランドとプライド

ネット小売のプラットホームであるZOZOTOWNと掲載企業の軋轢が話題になっています。

ゾゾの有料会員向けに割引販売をすることをゾゾが発表したところ、けいさいを中止する企業が出てきているそうです。この割引分はゾゾ側が負担するので、掲載企業側には損は無いように思うのですが、基本的に割引販売をしない方針のブランド側が価格統制が効かなくなるとブランド価値が下がると抵抗しているとのこと。

ブランド価値があって高いものだからこそ安く買えると嬉しいし、海外のアウトレットでは一流ブランドの5割引など当たり前にみるので、たかが1割引程度で毀損するブランド価値って何だろう、とおもったりします。

本当の意味でブランド価値のあるものを定価で買いたいなら、そもそもネット経由では買わず、デパートか直営店に行きます。

ブランドを守ることは必要ですが、つまらないプライドは商売の妨げにしかなりません。

寺本名保美

(2019.01.23)



顔で怒って心で

この数年国内年金運用でのパッシブ化やスマートβ化が進み、本来のアクティブファンドへの資金流入が細くなり、数少ないアクティブファンドも残高管理が厳しくなって、全体として国内株式市場全体に占めるアクティブ比率が低下していました。

そんな中ほぼ一年続いた、最大のアクティブ投資家である海外勢の売却を受け止めるだけの国内市資金が残念ながら国内には存在していませんでした。

結果としてアクティブ運用は散々な結果となり、だからパッシブで十分だという声があちらこちらから聞こえてきそうな気配がします。

結果としてはそうかもしれませんが、こうなった原因の一つは国内投資家層が貧弱だったからです。

今こそ、国内株式市場でのアクティブ戦略の存在意義を示す時です。

これから始まる運用報告会は眉間にシワを寄せているかもしれませんが、心の中ではアクティブ頑張れ!とエールを送っています。

寺本名保美

(2019.01.22)



下駄を脱いでタオルを乗せる

今の中国政府にとって中国経済が減速していることを示す経済統計が出てくることは、むしろプラスであるのかもしれません。

米国からの経済制裁の影響で、中国経済が痛んでいることを国内外に主張することができるからです。

対米的には、中国の景気が減速し消費が鈍化すればトランプ大統領の望む輸入増は見込めないという言い訳になり、米国以外の国に対しては米国の為に中国の製造業が苦境に立たされ、それが国際経済全体の需要を低下させているとアピールすることができるでしょう。

この数年の中国社会の大規模な展開を見聞きするに、この数年GDPが伸びていないことに、むしろ違和感を感じます。

2015年の中国ショックのころまでは、下駄を履いていると言われたGDPですが、今度はむしろ頭にタオルでも重ねてみてみた方がよいような気もしています。

寺本名保美

(2019.01.21)



まずは月

今年の私の頭の中の主要テーマは「宇宙」です。
というなかで早々にアンテナにかかったのがこのニュース

『香港(CNN): 中国政府は15日、探査機に乗せて月に持ち込んだ綿花の種が発芽したと発表した。月面で植物の栽培に成功したのは初めてだとしている。』
余りの寒さに一日で枯れたそうですが、それでもこの事実は各国の専門家を驚愕させたと他のニュースソースも追信しています。

米国がこの数年「月面着陸」を軽視してきた隙に、気がついてみたら月に中国の野菜工場ができていました、ということにならなければよいのですが。

宇宙開発というものが米国とソ連ですら共同事業をしていたように、「国家」ではなく「人類」枠での事業だったというのは、既に古き良き時代の昔話になってしまったのでしょう。

昨年トランプ大統領が持ち出した「スターウォーズ計画」という名称を見るまでもなく、宇宙空間が国家の陣取り合戦の主戦場となる日はそう遠くなさそうです。

寺本名保美

(2019.01.18)



優男

国際政治が喧嘩政治になりそうな気配は、トランプ大統領が就任した当初から漂っていて、日本にとっては厄介な展開になるだろう、との懸念が、足元で現実化してきています。

「ルールに則った粘り強い交渉」という日本の得意とする外交も、相手が同じ土俵に乗ってくれないと、いわゆる「独り相撲」になってしまいます。

ここ最近の対外関係報道を見ていると、日本があちらこちらで滑稽な程の独り相撲をとっているようにも見えます。

一時代前であれば、そうはいっても様々な拠出金で一定のステータスを維持することができた日本も、今ではお金のチカラも他国には敵わなくなっています。

「優男、金持ちからもなかりけり」を地でいってしますのは少々危険です。

寺本名保美

(2019.01.17)



なんでもいいから決めてくれ!?

英国のEU離脱合意。当事者達の誰も望んでいない合意が議会で否決されることは既に織り込み済み。

ここまできたら贅沢は言いません。どんな結論でもいいので、方向性だけは早く決めてくれ!という声が、準備と対応に焦る彼方此方の現場から聞こえて来そうです。

寺本名保美

(2019.01.16)



過去に囚われない予想

新年度に向けての経済見通しを見聞きする際、従来の景気循環や設備投資サイクルを前提としたシナリオはあまり重視しない方が良いかもしれません。

日本の勤労統計問題とは次元が異なるものの、景気を判断するためのマクロ経済統計の精度が大なり小なり落ちてきていると思うからです。

物価にしても、消費動向にしても、経済統計が今のネット経済をどこまで反映しているのか不透明です。
設備投資は耐久年数ではなく技術革新による設備更新となり、従前のサイクルから乖離します。

統計は過去の結果に過ぎません。世の中の前提が大きく変わる時統計があまり役に立たないことは、運用の世界ではよく知られたことでもあります。

未来の夢ばかりを追うような見通しはそれはそれで眉唾ではありますが、過去のトレンドから将来を予想することは、むしろリスクになる時代になりつつあることは自覚すべきです。

難しい時代ではありますがら変化を楽しむぐらいの余裕を持ちながら、2019年度に臨めればよいと思っています。

寺本名保美

(2019.01.15)



パワハラという逃げ言葉

社会人になって間もなく、英語がさっぱりできない私が海外支店の担当にされ、あろうことか海外からの研修生に債券市場を英語で教えるというミッション?を当てられ、且つ手元の原稿を見ながら話していたら上司に読むな!と怒鳴られた、というような話は、経験談として話すだけでも今の時代はパワハラと言われるのかもしれません。

時代が違うと言われるのは承知の上でかきますがら今の若者たち、本当にこういう経験を頭から拒否しているのでしょうか?

全部が全部とはいいませんが、上司達が嫌われたくなかったり、責任を取りたくなかったりで、勝手に「今時の若者」という言葉で逃げているだけなのかもしれないとおもったりもします。

若いうちにしか出来ない経験をむしろ年寄りが取り上げているだけならば、それは日本の将来にとっても不幸なことです。

寺本名保美

(2019.01.11)



理由なき反抗?

厚生労働省の勤労統計不正。報道されている内容を見る限り、ミスではなくて不正という表現の方が正しいように思える醜態です。

普通不正をするのなら、するに見合うだけの理由がありそうなものなのですが、今回の件についてはその理由すらわかりません。

中小企業の賃金水準を実際以上に低く見せることに、役所として何か有為なことがあったのでしょうか?

別に自分達が足で歩いて調査しているわけでもなさそうなので、面倒だったということでも無い?

そういえば私も一年ぐらい前に勤労統計を基にした分析資料を作成した記憶が蘇ってきました。

このところ続く霞ヶ関の不祥事。頑張っている方達が沢山いる分、余計に情けなくなってきます。

寺本名保美

(2019.01.10)



まさかのシナリオ

年初に作成したこの四半期の想定リスクの中に、

「英国議会でEU合意案が否決されメイ首相が退陣。英国が政治的な空白の中でブレグジット期限を迎えること」

という項目を書きました。

これを書きながら自分自身、さすがに無いだろう、と思いつつ、意外に現実的なシナリオの様にも思えていました。

さて来週、とうとう英国議会での合意案についての決議が行われます。前回は否決の可能性が高いとの判断からメイ首相が決議を延長しという経緯がありましたが、その時から状況が改善しているようには見えません。

合意ができないにしても、まさかのリスクシナリオに突入することだけはないことを期待はしますが、全く予想はつきません。

今週の株価の戻りで楽観的になりすぎるのは危険です。

寺本名保美

(2019.01.09)



投資対象の輝き

資金フローの無い市場にはアルファは無い。

これは、ヘッジファンドのような絶対収益を目指す運用であろうと、ベンチマークアクティブのファンドであろうと、債券であろうと株式であろうと、絶対的な原則です。

2018年に国内株式市場が一貫して海外投資家に売り超された結果として、アルファがマイナスであり続けたことは、ある意味において正しい結果といえます。

国内株式の運用者に罪があるとするならば、それは2018年のアルファがマイナスであったことではなく、海外投資家の日本株式市場への投資意欲を高める努力を2018年までの間で怠ってきたことにあるのかもしれません。

国内株式市場に関わる全ての人々が、自らの投資対象ユニバースそのものに輝きを取り戻すための努力に真摯に向き合っていく必要を強く感じています。

寺本名保美

(2019.01.08)



セイフティネット

FRBのパウエル議長が、金融政策の柔軟性を強調したことは、金融市場全体に好影響を与えたようです。

このことが、今の段階で政策金利の引き上げの停止を示唆したものではないにせよ、金融政策が自動操縦ではない、ということを示すことで、FRBが市場のセイフティネットであることを印象付けることに成功しました。

足元の市場が揺らいでいたのは、景気が減速することへの懸念というよりも、景気減速への防波堤となるべき米国政府や米国の中央銀行が、市場との対話を拒否して自己主張に徹しているように感じていたからでもあります。

壁が邪魔して機能を停止している政府に対しては諦めムードが漂うなか、中銀が存在感をしめしてくれたことは、投資家心理にとっては大きな支援材料となったでしょう。

景気そのものが悪化しているわけではないので、こうした口先介入で市場心理が安定してくれば、FRBの金融政策も再び既存路線に戻ることになります。まさに金融政策における「口先介入」のお手本のようなパウエル議長発言でした。

寺本名保美

(2019.01.07)



空中戦での幕あけです

新年あけましておめでとうございます。

ドル円が知らない内に104円台にいたらしい、ということよりも、年初最大の話題は、「日本の10年国債マイナス圏再突入!」でしょうか。

昨年評判の悪かった日銀の金融政策変更の効果が、ここにきて発揮されています。

10年金利のマイナス幅を拡大させ、債券市場にボラティリティを復活させることの重要性を説いた黒田総裁の発言は、極めて正しかったことになります。

さて、新年の新聞テーマは「ロボット」⇒「AI」⇒「宇宙」と変化してきているように見えます。

株式市場と為替は空中戦。債券はマイナス圏。市場テーマは大気圏外と、なかなか地に足がつかない2019年ではありますが、こういう時こそ足元を地道に検証していくことが重要になると考えています。

波乱の幕あけではありますが、悪い話ばかりでもありません。

今年もコツコツと情報を集め、皆様のお役に立っていきたいと思っています。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

寺本名保美

(2019.01.04)


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