人事から始まる規制強化

トランプ大統領が就任して暫く経った頃、トランプ大統領に懐疑的だったウォールストリートの人々の多くは、トランプ大統領がボルカールールを緩和してくれるかもしれないという期待感から、いつのまにかトランプ支持者となっていました。

今回、バイデン民主党政権を表面的には歓迎しているウォールストリートですが、これから決まってくる人事次第では、バイデン氏に期待したことを後悔する事になるかもしれません。

バイデン次期大統領は、次期SEC委員長にゲーリー・ゲンスラー氏を指名することを検討していると、ロイターが報じています。

ゲンスラー氏は金融危機後のオバマ政権下において、ウォールストリート規制の強化を推進した人物で、もしゲンスラー氏がSEC委員長に就任した場合、間違いなく足下にあるバブルの芽を摘んで歩くだろうと見られている人物です。

ロイターによれば、まず最初に摘まれるのは、SPACと呼ばれる上場を目的とした特定目的会社の乱立と、SPACで儲けているヘッジファンドやPEファンドの報酬体系になる可能性が高い、そうです。

どれほど便利な仕組みであっても、一旦当局から睨まれたら、その金融スキームは急速に萎みます。

大手機関投資家やファンドが高値で売り抜け、個人が内容を吟味することなく買い漁っていると言われているSPAC。

規制強化が本格化する気配を感じ取れば、恐らく足の速い資金は一斉に逃げるでしょう。

最後にババを引くのは、米国内の個人と、欧州の富裕層と、周回遅れの日本の機関投資家、というのが、これまでの構図ではありますが、果たして今回は?

寺本名保美

(2021.01.14)



人間は変わらない

多分に先入観に支配されていることを認めつつ、

今の米国をみると、米国の建国の歴史を感じますし、イギリスのブレグジット騒動では英国連邦と欧州大陸との歴史を感じます。

どれだけテクノロジーが進歩しても、幾多の戦禍を経験しても、社会が都市化しても、所詮米国は米国で、英国は英国だと思ってしまいます。

さて、我が事になると、よくわからないのは、人の常。

外から見た不思議の国ニッポンは、所詮サムライの国か、はたまた卑弥呼の国か。

技術は進歩しても、人間の変化は遅々として進まない。

これは悪いことか、良いことか。

寺本名保美

(2021.01.13)



ピークアウトの兆し

2016年のトランプ政権誕生をきっかけに始まったトランプラリーは2018年3月の米国による対中経済制裁をきっかけにして終わったと言われています。

しかし実際のところは、2017年12月にビットコインが高値から急落を始め、2018年2月には日本株が下落に転じるなど、過熱市場からの資金流出は実際に材料が出てくる前に始まっていました。

結局米国株式が下落に転じたのはそれから半年後の9月になってからです。

足元で仮想通貨市場の乱高下が目立つようになりました。業績とは関係のない「様々な話題」から、大手ネット関連企業の株の値動きも荒くなっています。

米国長期金利の1%超えも、あまり抵抗感なく通りすぎていて、金利上昇トリガーも気になり始めました。

願わくば、3月まで、この水準を維持して欲しいと、切に思うものの、今年の期末もまた、冷や冷やしながら迎えることになりそうです。

寺本名保美

(2021.01.12)



高波注意

株式市場が嫌うはずだったブルーウェーブも、米国長期金利の1%超えも、とりあえずは財政拡大期待での強気派に押し切られた形です。

財政拡張と金利上昇を前提とした、株買い債券売りのリフレトレードは、大概の場合長期金利の上昇に歯止めが掛からなくなることで、終焉となります。

特に今回は、既に大量の国債増発が行われており、これ以上の財政拡張の為には、なんらかの増税が必須であることは明らかです。

万が一増税ではなく更なる国債増発で対応しようとすれば、それこそ長期金利の制御が困難となり、株式市場だけでなく実体経済にも悪影響が出てくるかもしれません。

普段は凪いでいる金利市場、油断していると突然の高波にさらわれます。

寺本名保美

(2021.01.07)



最大リスクから目を逸らさない

弊社が行っているポートフォリオの統合リスク管理サービスでは、年間の最大損失の計測をします。

この最大損失可能性金額を年間の損失可能予算として管理するという話をすると、損をすることを前提にした運用など加入者や経営者に説明できるはずがない、という反応がほとんどでしたが、今は多くの年金スポンサーの方々が、損失を管理するという概念を受け入れてくださるようになりました。

今のコロナ感染対策における、感染症の専門家の先生方と、政治や行政とのすれ違いを垣間見るにつれ、最大リスクという概念を理解してもらうことの難しさを、改めて思い出しています。

リスク管理において絶対にしてはいけないことは、自分の都合の良い様に過少に見積もったリスクを前提に、管理しているつもりになることです。

最大リスクから目を逸らしたオペレーションは、失敗の元です。

寺本名保美

(2021.01.06)



当面の鍵

新年が稼働し当面の市場の鍵をなりそうなのが、1月20日の米国新大統領による就任演説です。

本来であれば、大企業向けや富裕層向けの増税や中国企業や巨大プラットフォーマーへの規制強化がメインテーマとなるはずですが、現下のコロナ禍において、こうした本筋の話にどこまで踏み込むのか読めないとこではあります。

株式市場的にいえば、コロナ禍で傷んだ経済への積極的な財政政策やコロナ禍の鎮静化に向けた対応策等に終始してくれれば上々。

一方で、ポピュリスト的な色彩を出過ぎれば、将来的な増税や規制強化を連想するのでマイナスとなるでしょう。

いずれにしてもバイデン政権にとって増税も規制強化も避けることはできない道ではあるわけで、株式市場が高値圏にあるうちに悪い話は出してしまった方が良いような気もしますが、就任演説で株価急落、というシナリオはやはり避けたいところでしょう。

コロナ禍という異常事態において、人心をどう読み、どう捕まえるのか。

20日の就任演説は、史上最も難しい演説となるのかもしれません。

寺本名保美

(2021.01.05)



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