セミナー御礼

昨日の資産運用セミナーでは、ちばぎん総合研究所代表取締役社長前田栄治様をお招きし、「日本経済の実情ー日本は温まっているのか?」という演題で基調講演をいただきました。
千葉県の実情も踏まえつつ、徐々にではありますが日本経済の温度が上がりつつあることが確認できると共に、国内のインフレと金利環境が失われた30年とは大きく変化していることを強く意識する内容となりました。

国内外共に、イノベーション伴う経済成長という長期トレンドはまだ始まったばかりです。イノベーションの主役も適時テーマは変化し陳腐化することなく変革を続けています。政治や地政学といった短期的なノイズはあるものの、投資環境はこの数十年経験したことのないような魅力的な時代に入っているともいえます。

成長があり、インフレがあり、金利があり、ボラティリティがある。という当たり前の投資環境への回帰を前提とした運用戦略を考えるのは、とても楽しいことである一方で、短期的なノイズに一喜一憂しないようなリスク管理体制の構築が従来以上に重要となってくることでしょう。

セミナー内容にご関心をいただけた方には、講演資料をご提供いたします。弊社宛にメールにてご連絡いただければ幸いです。

寺本名保美

(2025.03.13)



明日12日は弊社のセミナーです

荒れた環境ではありますが、明日12日は弊社の資産運用セミナーの開催日となります。

今回のメインテーマは『高温経済への処方箋』です。
ボラティリティの小さい、従前の適温相場が懐かしく思える今日この頃ではありますが、温度が上がるとブラウン運動が活発化するように、政治も経済も民意も良くも悪くも温度が上がり、活動が活発化しています。

資産運用にとって、ファンダメンタルズ環境が活発化することは、決して悪いことではありません。プラスマイナスの振れ幅が大きくなることを厳しく感じるかもしれませんが、上下動を繰り返しながらも中長期の成長ラインがしっかりと右肩上がりを形成していくことこそが、本来の経済と金融市場のあるべき姿のはずです。

今回のセミナーでは、デフレ経済からもゴルディロックスからも卒業し、新たな世界に踏み出した金融経済環境についての整理と、運用の処方箋についてお話する予定です。

寺本名保美

(2025.03.11)



炎上

米国とウクライナの首脳会談について、NHKの全文サイトを読む限り、両首脳を挑発して火をつけにいったのは質問している記者であり、そのボヤに油を注いだのは米国側の側近達であるようにしか見えません。

トランプ大統領は記者の挑発に対し、中盤までは比較的抑えた対応をしていたし、ゼレンスキー大統領にしてもトランプ大統領に対し直接的な反論はしていませんでした。

ゼレンスキー大統領に対しその言動を失礼だと非難し、会見を中止に追い込んだ側近達にどのような思惑があったのかは知りませんが、「大統領執務室」において他国からの来賓を前に、過去の「自国の大統領達」を無能者呼ばわりすること以上に、「大統領執務室」を汚す言動はないのではないかと思ったします。

炎上させることで存在意義を示したい記者はどこの国にもいるとして、米国大統領側近までが同じ感覚でいるとは考えたくはないものの、ここは米国の側近を一旦排除した上で、大人を自認する英欧首脳が立ち会いの元でのTOP会談の再設定が期待されるところでしょう。

今回の件で、船頭の多い今のトランプ政権の実態が垣間見られたような気がして、少々暗澹とします。

寺本名保美

(2025.03.03)



岩盤の保守層

今の世界のイノベーションを妨げているのは、国による規制ではなく、岩盤の保守層である自動車産業なのではないかと、思ってしまいます。

20世紀最大最強の産業であった自動車業界は、米国・欧州・日本を問わず、各国における製造業の頂点に長く君臨した成功体験から抜け出せず、どこの国においても時代の変化への対応が酷く緩慢であるように見えます。

これまで1世紀以上基本コンセプトは何一つ変わることなく、化石燃料と共に「化石化」してきた自動車産業が、漸く変革期に入ることで技術も社会もインフラも大きく変わることを期待していたのですが、変化は遅々として進んでいません。

アメリカは再び燃費を無視したアメ車志向に戻り、欧州は中国市場に振り回されて方向性が出せず、日本はせっかく到来した業界大再編の機運がわずか数か月で頓挫しそうです。

業界の技術革新が緩慢なのではなく、過去の栄光を手放せない経営感覚に問題があるようにしか見えないのです。

社会的影響力の高い産業であるからこそ、自動車産業の経営者には、自動車村の常識から一線を画した決断をしていって欲しいと切に願っています。

寺本名保美

(2025.02.06)



キーワード

米国のトランプ大統領の就任演説から2日。
とりあえず演説内容については、それほど新鮮味のある内容ではなく、市場としては想定の範囲内というところです。

テック企業の幹部を最前席に配置し、高らかに米国の成長を宣言したかの様に見えますが、演説全体に亘って漂っていたのは、内向きで且つ時計の針を巻き戻す懐古趣味的な色彩でした。

そうした中、唯一の前向きな発言が「火星に星条旗を立てる」というものであったことが、何を意味するのか。トランプ政権を占う上で意外と重要なキーワードになるかもしれないと思っています。

2013年オバマ大統領が予算教書演説の中で「人間の脳をマッピングする」事業に言及して10年後の2023年、人工脳技術であるAIが社会を席巻しました。

米国大統領の公式演説には、後から振り返って初めて気づくキーワードが潜んでいることがあります。

火星という言葉に無邪気にはしゃぐイーロンマスク氏の映像を見ながら、先端技術の向く先が既に地球上を飛び出してしまっていることを実感する就任演説でした。

寺本名保美

(2025.01.22)



繋げるということ

阪神淡路大震災から30年が経過しました。

あの震災前後で、日本の大規模災害に対する取り組みはとても大きく変わりました。その後の大震災や大規模水害など、毎年のように起きる日本各地での大規模災害において、阪神淡路大震災での経験と教訓と反省は確実に生かされていると感じています。

最も大きな変化は、行政も法人も個人も、大地震や洪水といった大規模災害の可能性から目を逸らすことなく直視することができるようなったことかもしれません。

活断層という言葉を聞いたのはあの時が初めてでした。ハザードマップという存在も知りませんでした。融資の担保価値に直結する危険性の高い地域や地盤の公表などもっての外と思われていた時代でした。

まだまだ震災対応には問題点も多く指摘されています。あれから30年も経って、まだこんなことも改善されないのか、という声も聞こえます。それでもこの30年、少しずつかもしれませんが世の中は変わっているし、変わることこそが被害を受けた全ての方々の痛みや無念に応えることなんだと思います。

当時の災害対応に係るレビューは、内閣府や関係省庁そして防衛庁などから幾つも発表されています。こうした社会や行政における経験の継承と反省こそが「震災を風化させない」ということです。

個人の心の記憶は「忘れること」ができます。忘れることで前に進むこともできます。心の記憶は風化させてもいい。後世に繋ぐべき経験は個人に頼ることなく社会システムとして残していくべきです。

辛い経験だったからこそ、心の記憶ではなく、客観的な視点をもって今の時代に繋げていくことが重要なのではないかと私は思います。

寺本名保美

(2025.01.17)



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