資本のリスク

テンセントからの出資を受けた楽天に対し、日本と米国が共同で監視を強めていると報道されています。

日本においては巨大3社に続く第三の通信キャリアを目指している最中であり、米国ではe-コマース企業としては初めての銀行免許取得を目指している最中のテンセントからの資本受け入れは、いずれもデジタル防衛戦略の観点から無視できないことであることは容易に想像がつきます。

通信キャリアになるためにも、米国で銀行免許を取得するためにも、楽天が巨額な資本増強が必要であったことは理解できます。

一方で、いずれも国家のインフラに関わる免許事業であることを考えた時、中国資本の取り入れが政治問題になることは自明のことでもあります。

それを承知の上で、何かの意図をもって敢えて行ったことなのかもしれませんが、背伸びをしたビジネスモデルの拡張を焦った結果に見えなくもありません。

今回の件に限らず、足元で活発化しているM&Aなどの資本取引においても、これから先はこうした政治リスクを意識せざるを得なくなりそうです。

寺本名保美

(2021.04.22)



情けは人の為ならず

米国が世界の8割にあたる国に対し渡航制限を発動したことが、この半年のワクチン相場の転換点になるかもしれません。

例え米国と英国において、ワクチン接種が進んだとしたところで、世界規模においてワクチンが浸透しない限り、結局のところ正常な経済活動の再開には程遠いということを、米国が明確に示したことになります。

一方で、欧州は今後のパンデミックに備え、国際的な条約や医療に関する共同研究を国の枠組みを超えて行うという主張を始めています。

自国優先主義は、国境を超えた感染症との闘いにおいては、各国の社会経済活動の停滞を長期化させる一因になることを、今回のコロナ禍で我々は学ぼうとしています。

米中だけでなく、欧露の関係も、かつてなく緊張している現下の情勢において、感染症という第三の敵に対し、共同歩調が取れるかどうか、人類の賢さが試されているような気がします。

寺本名保美

(2021.04.21)



日本という国

日本という国は主権の制限には慎重でロックダウンはできない国だから。

日本という国は過去ワクチン禍を経験していてワクチンは強制できない国だから。

日本という国は個人の行動追跡への抵抗感が極めて強く、アプリでの行動履歴の記録はできない国だから。

日本というこの国は、「日本という国は」という念仏をいつまで唱え続けていくつもりなのかと思う。

グローバルなパンデミックの最中において、政府の基本的対応に国ごとの独自性など必要なのだろうかとも思う。

日本という国、という呪縛から解き放たれるには、状況のさらなる深刻化が必要であるというならば、それはあまりに無謀で悲しい。

寺本名保美

(2021.04.19)



お土産は台湾有事という単語

日米首脳会談から、菅首相が持ち帰ってきたものは、「台湾有事」のリアリティだったように感じます。

米国にしろ中国にしろ、本音では交戦は避けたいと思っているのだから、という専門家の解説もありますが、ここ数年の米中を見ていると、実は実戦したいのではないかとも思えなくもない中での台湾情勢は、かなり不気味ではあります。

通常、有事そのものは株式市場には中立だといわれています。
ただそこから波及する二次的な影響が、経済に与える影響は無視できません。

90年の湾岸戦争の際は、戦争そのものではなく、原油価格の高騰が、金利高と株安の原因になりました。

万が一の台湾有事を考えた時、実態経済がまず考えなければいけないことは、間違いなく半導体供給になります。

逆に言えば、米中共に半導体の台湾依存度が低下するまでは、台湾問題を深刻化させることはないとも言えそうです。

それまでの数年間、日本は何をすべきなのか。

かつて無い災いの火の粉が、降りかかってきそうな、嫌な予感がします。

寺本名保美

(2021.04.18)



またまたまたの周回遅れ

当初の被害が小さいが為に、対応が後手となり、結果、危機からの立ち直りが他の先進国から周回遅れとなる、という日本のいつものパターンが、今回のコロナ禍においても踏襲されてしまいそうな状況となってきました。

回復が周回遅れになることで、世界経済の回復期の勢いを共有できず、自分が回復期に入った頃にはすでに他国はピークアウトしているために勢いをつける事ができなくなります。

金融政策も他国の緩和局面では緩和せず、他国が利上げモードに入っても、周回遅れの景気後退下にあるため同調できず、結局日本だけがいつまでも超低金利から脱出することができません。

80年代のプラザ合意から始まって、ブラックマンデー、湾岸戦争、ITバブルにリーマンショックと、延々と繰り返されてきた事です。

リーマンショック後の周回遅れを、黒田バズーカでようやくキャッチアップしたばかりだっただけに、今回はあまり引き離されないうちに対処できればいいのですが。

寺本名保美

(2021.04.15)



バブルの教科書

今の市場の話題は、バブルの教科書を読んでいるようで、とても面白いです。

ファミリーオフィスへの過度な取り組みで大損害を被ったプライムブローカーはLTCMの破綻に巻き込まれた米国商業銀行を思い出させ、テスラを買うリスクより買わないリスクの方が大きいという説明はITバブルの頃のアクティブファンドを思い出させます。

中国における不動産の総量規制や、米国で売り出す先から完売する住宅販売の話を聞くと日本の不動産バブルが懐かしく、米国の個人投資家が新株を争奪する姿はホリエモンショック前の小型株バブルを彷彿させます。

どれもこれも、過去の実例と比べると、まだまだ小粒で、弾けるには膨らみが足りないものの、これだけ広範囲にバブルの火種が確認できるというのはそれだけ今の市場の金余りが尋常ではないということでもあります。

そういえば、日本の不動産バブルが弾けた後、あの時の溢れ返っていたお金は、どこに消えてしまったのかと、真剣に悩んだことを思い出しました。

さて、今回、巨額な流動性を吸い取ってしまうブラックホールに繋がる火種は、どこになるのでしょうか。

寺本名保美

(2021.04.14)



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