2005年07月の思いつき


自信と傲慢

久々に、四半期報告の場で切れました。添付された資料を読んでいるうちに、頭がプチッと。
幸か不幸かその場には営業担当者しかいなかったので、怒りをぶつける相手もなく、大変に不機嫌な1時間を過ごすことになりました。

真摯さが感じられないのです。
運用に対しても、顧客に対しても。

運用に自信を持つということと、傲慢であるということは、紙一重です。でもそれは、"月とスッポン・鯨と鰯・提灯に釣鐘" ほどに違う、と私は思います。
傲慢な運用者は、顧客の信頼を失うだけでなく、いつか必ず市場から手痛いしっぺ返しを受けます。

自戒を込めて業界全体に言います。真摯であれ。

(2005.07.29)


技術とマンパワーのミスマッチ

先日の米国でのカード情報の流出に続き、今度は日本のインターネット商店で10万件規模の顧客情報流出が懸念されています。

最近、ヒューマンエラーという言葉をよく耳にするようになりました。技術の進化にはリスク管理技術の進化で対応できる、とするこれまでの流れに疑問を持つ人が増えてきています。

万全のセキュリティシステムを導入したところで、それを運営する人間に問題があれば、なにも機能しないということを、最近の各種事件は教えてくれています。

一般経済もそして我々金融市場でも、技術とそれを使いこなすマンパワーとのミスマッチが拡大しています。

(2005.07.28)


過去の振り返りはつまらない。

運用報告で、成功した投資事例ばかりを説明されるのも無意味だと思うのですが、失敗例ばかりを列挙されるのも委託側からすると腹の立つものらしいです。
パフォーマンスの報告というのは、成功例であろうと失敗例であろうと、所詮過去の実績にすぎないわけで、そこから何か将来が示唆されなければ意味がありません。
成功でも失敗でもいいのですが、それを説明することで、委託者に何を伝えたいのかがはっきりしないと、単に言い訳を並べられているように聞こえるのです。

過去の振り返りでなく、将来を語れる四半期報告をしませんか。

(2005.07.27)


参入障壁

資産運用業界への参入障壁は高いか、と聞かれると、私は高くないと答えます。
確かに投資一任を取るためのコスト負担は低くないかもしれませんが、その他の人的・質的な参入障壁は、ないも同然のような気がしています。
逆の言い方をすれば、資金力さえあればだれでも入ってこられるということで、これは本質的には投資家保護とは無関係な要素でしょう。

形式用件を整えるのには苦労するものの、一旦形式をクリアしてしまえばあとは自由奔放というのは、日本の大学入試と同じだと自嘲してみてもはじまらないのですが、最近の資産運用業界の野放図状態にはそろそろ真剣に取り組まなければならない時期が来ていると強く感じているのです。

(2005.07.26)


シミュレーション

土曜日の東京地方での地震は、シミュレーションという意味では、非常に貴重な経験となりました。

携帯電話は繋がらなくてもメールなら繋がるとか、JRより私鉄の方が復旧が早いとか、エレベーターが自動停止すると復旧にこんなに時間がかかるとか、落ちやすい食器はどれかとか、ガスメーターの解除手続きはどうするのかとか、とか、とか…
あまり被害がなかったのでこんなに冷静なことを言っていられるのですが、話では聞いていたものの初めて実感することが沢山ありました。

そういえば、千葉県にバックアップセンターを作ったマストラ会社とかありましたね。(過去の思いつき)なんてことを思いだしたりもしています。

(2005.07.25)


経済より金利

以前より、米国内で元の切り上げを望む声と同じぐらい強かったのは、切り上げによって「元売りドル買い」の介入が減ることによる米国債券市場へ懸念でした。

現実的には、米国の貿易収支改善期待より、米国債券の急落の影響を強く受けたため、米国は株式を含めてトリプル安になりました。

世界各国があれほど強く望んでいた元の切り上げが、日経平均を100円も下げるほどの株安を招くことになったのは、皮肉なことです。

経済環境ではなく米国の債券金利動向の影響をより受け易い、現状の金融市場の脆弱性が露呈されているといえるのでしょう。

(2005.07.22)


日本のクレジット市場

昨日、友人の執筆した『クレジットデリバティブのすべて(財経詳報社)』という本の出版記念パーティに参加していました。クレジット関係者を中心に50人以上が集まるにぎやかな会合でした。
著者自身も言っていましたが、10年前には専門家が片手で数えられるほどもいなかった日本のクレジット市場も、これだけの人が集まるほどの厚みができたということに、感慨を覚えます。
クレジット市場には、通常の事業法人の信用リスクだけではなく、地方公共団体の信用リスクを専門に調査している人とか、特殊法人や郵政公社の財政を分析している人とか、色々な専門家がいます。

この数年、公的・私的を問わず、事業債重視型ファンドを通しての、年金資産でのクレジット投資が増えてきています。
こうした専門家の知恵を借りながら、単に事業債比率が多いから儲かった、損をした、というレベルではなく、本当に個別銘柄の精査をした結果がパフォーマンスに寄与する時代が早く来ることを願っています。

(2005.07.21)


今日は海の日、のはずだった

祝日が、日付ではなく、曜日指定になって、しばらく経ちますが、なかなか慣れないものです。
連休は連休として、「何々の日」という言葉だけは、日付として残しては貰えないものだろうか?

やっぱり10月10日は体育の日で、11月3日は文化の日がいいなぁ。
祝日ではないので、まぬがれてますが、お雛様が3月3日でなかったら、間延びしません???

ただでさえ、温暖化でカレンダーと季節感がずれてきているのに、さらに祝日と休日の区別がなくなるようなことをしていると、四季の文化が崩壊しそうな気がするのです。

誰がなんと言おうと、今日は海の日だ、もん。

(2005.07.20)


どうちらでも対応できます?

対ベンチマークでのトラッキングエラー管理をしていない株式運用や、変動債を組入れた国内債券運用など、従来型運用の枠を拡大したタイプの商品提供が増えてきています。
運用の発想を柔軟にすることで、より運用者のスキルを発揮しやすい商品となっていることは大変に評価するのですが、顧客への説明方法には、首を傾げたくなることも多々あります。

こういった商品の目標収益率は何かという点での議論になると、顧客のニーズに合わせて、言い方を変える会社が多く見られます。
アクティブリスクの大きいベンチマーク運用なのか、市場変動リスクを限定した絶対収益なのか、について「基金様の御ニーズにあわせてどちらでも対応できます」という表現には少し不信感を覚えます。

このような商品では、ファンドマネージャーの社内評価の基準を、そのまま説明してもらうのが一番正確でわかりやすいというのが、私の見解です。

(2005.07.19)


資金という津波

投資をしたくても、投資資金がなければ何もできません。
逆に、あまるほどの投資資金を抱えると、投資したくないものにまで投資したくなります。

国内外の不動産ファンドや、未公開株ファンドなど、昨年パフォーマンスの良かったファンドへの資金流入には加速度が付いています。
一方で、この半年で大きな損失を出した金利や転換社債型のファンドからの資金流出は、ファンドの存続が懸念されるほどの規模になっているものもあります。

一般的に、「入り」のスピードが速い資金は「出」のスピードも速いものです。津波の被害は、潮がひく時に起こります。
自分で起こした津波に自分で飲み込まれてしまうことほど、馬鹿馬鹿しいことはないと思います。

(2005.07.15)


資格試験

以前、大学の先生から、今の大学ではファイナンシャルプランナーとか、アクチュアリーとか、簿記1級などの資格をとるための授業というのが大変充実しているとの話を聞いて驚きました。就職率を上げることは大学のステイタスにつながり受験者の増加に寄与するからだそうです。
実際のところ、企業サイドから見てこうした資格を持っている学生に特別魅力を感じるかと聞かれると、かなり否定的なのではないかと思います。
株式ではないですが、あまりに多い希望者を絞り込むためのスクリーニング材料に使っている大企業は少なからずありそうですが、大学名でスクリーニングをし、試験で取れる資格でスクリーングをしていたら、ひどくつまらないユニバースが出来上がりそうな気がします。

少なくとも私の周りにいるこの道何十年の金融のプロ達は、資格に頼って仕事をするようになったら自分のキャリアは終わりに近い、と豪語しています…

(2005.07.14)


個人の外貨投資

先日行き着けの美容師さんに、「資産運用をしたくてカナダドルの外貨預金を始めたの」と言われました。
初めて運用をする人が何故カナダドル?という疑問より前に、「何故株ではなくて外貨預金だったの?」と聞いたところ、「株はよくわからなくて怖いから」との答えが返ってきました。

外貨預金の価格変動の方が、株式の価格変動より大きい場合があるということ。外貨預金の手数料が大変高いこと。為替というのは株式のように資産価値の上昇を前提にした資産ではないこと。
だから、外貨預金はその国に旅行をしようと思っている人がお土産代として積み立てる程度がちょうど良い、という話をしたらキョトンとされました。

年金のような分散投資の一環としてではない、個人の単純な外貨投資には、株式以上のリスクが潜んでいます。

(2005.07.13)


金融技術の社会的意義

どんな仕事であっても、社会的意義は存在するのだと私は思います。同じ仕事をするにしても、それを自覚するかしないかで、仕事のやり方や結論が変わってくると信じています。

金融技術が発展し、一般企業と金融との接点が増えていくなかで、金融というものが、本当に社会全体にとって有意義な存在たりえているのか、自問します。

技術の発展が社会貢献とならない例は昨今話題のアシンシュタインと原爆に限らず歴史上枚挙に遑はありません。
現代の金融技術の発展は、後世に振り返ってどのような評価を受けるのでしょう。
今、金融業界で生きている者達の中で社会的意義を自覚している比率が急速に低下しているような気がしています。悲しいことです。

(2005.07.12)


リスク管理セミナー

先週の木曜日、恒例の年金セミナーを開催いたしました。お忙しい中多数のご参加をいただき、ありがとうございました。

今回は、リスク管理に重点をおいた内容とさせていただきました。全体収益型運用、特にファンドオブファンズのような商品へ投資をすると、何を管理すればよいのかよくわからない、という声をお聞きすることがあります。今回のセミナーでは、絶対収益型運用で用いられるリスク管理の基本的な概念の整理と、単純なエクセル操作だけで出来るリスクモニタリングの例をお見せすることで、年金スポンサーの方にリスク管理に少しでも興味を持っていただくことを趣旨にしてお話いたしました。

FoFsを提供している運用機関からは、年金スポンサーがリスク管理にあまり興味を持っていないので、リスクについて積極的に説明する必要はないのではないか、といったとんでもないコメントが耳に入ることもあります。運用機関にこんな発言をさせないためにも、リスク管理への意識を少しずつ高めていっていただければと思っています。

(2005.07.11)


行き場のないお金

昨晩、ロンドンでの同時多発テロの一報を聞いて金融市場がどのように動くのか考えた時、何も結論がでませんでした。
いわゆる、リパトリエーション(母国回帰)やフライトゥクオリティ(質への逃避)ということをイメージした場合、今の金融市場を支えている資金の母国がどこなのか、さらには安全な国とはどこなのか、安全な資産とは何なのか、がよくわからなかったからです。

テロが起きる可能性のある国を特定できるわけではなく、むしろ既に起きてしまった国より次の標的になる国の方がリスクは高いかもしれません。こういった状況においては、例え母国であったとしても一国に資産を集中させることのリスクを考えざるを得なくなります。
国債に資金を回避させるにしても、既に異常水域に入っている先進国国債をこれ以上買い進めるのかという問題もあります。

結局のところ、投資残高を抑えつつ現状維持で様子を見るしかないのではないかというのが大勢のような気がしてます。
但し、リスクレベルが上がっている以上、流動性制約の高い資金からは徐々に資金が引いていく可能性は無視できないでしょう。

(2005.07.08)


プレゼン勝負

2012年オリンピックがロンドンに決まりました。
今更ですが、立候補地のロンドン・パリ・ニューヨーク・モスクワ・マドリッド、という地名に少々驚いています。今までのような地方都市中心の開発型開催は、お金がかかりすぎるとの理由でオリンピック委員会が否定的になっているからだそうです。確かにホテルを含めたオリンピック施設の後始末は財政的にもかなり厳しいものがあったので、大都市開催というのは合理的な選択なのかもしれません。

それはともかく、イギリスで行われるサミット前にわざわざシンガポールまで行ったフランス大統領の願いもむなしく落選してしまったパリと、ベッカムの笑顔で勝ち取ったイギリスとの差が、「プレゼン能力」と表現されているのは、大変面白いことです。
「パリのプレゼンは抽象的でわかりにくかった」とのコメントには芸術大国を自負するフランス人はさぞ憤慨していることでしょう。

どんなに良いものでも相手に伝わらなければ意味がない、のはどの世界でも同じということです。

(2005.07.07)


アジア市場としての日本

株式ロングショートなどの一般的なヘッジファンド戦略だけでなく、プライベートエクイティも含めて、アジア市場へのファンド投入金額が増えているとの話をよく聞きます。
こういった文章を見ると私などはすぐに、中国やインドをイメージするのですが、実際のところその多くは日本をターゲットにしているようです。

そういえば、伝統的な株式運用会社が数年前に、日本株の投資プロセスをグローバル基準からアジア基準に変えたら、パフォーマンスが良くなったという話を聞いたのを思い出しました。その時は、日本の株式市場の後進性に所以しているのだと理解していましたが、それだけではなかったのかもしれません。

「アジア市場の中の日本」が海外投資家からどのように評価されているのか、興味があるところです。

(2005.07.06)


平均余命で考える

読売新聞によれば、ニューヨーク州立大学等の研究で35年後の日本の55歳は現代の45歳の平均余命に相当し、こうした平均寿命の延長にともなう労働年齢の長期化を考慮にいれると、日・米・独ともに勤労者に対する退職者比率は50年後には安定化する、そうです。
65歳を退職年齢として固定化するとこの数値は今世紀末まで右肩上がりになるとのことです。

この数値が楽観的過ぎるとか、根拠が希薄だとかいう反論は、ともかくとして、実年齢を基礎として考えるのではなく、平均余命を基礎として将来の試算をすべきである、との視点は年金制度を考える上ではリスク管理上も重要になってくるのではないかと思います。

健康寿命を上げるためにも、働ける人間が働き続けられる体制作りを国も企業も行っていかなければならないのでしょう。

(2005.07.05)


若手募集中!

再び、人材公募をしています。
今度は、25歳から35歳までの若手限定!
シルバー産業になるのを避けるべく、10年後の当社を担う人材を募集します。
10年後、海外の金融知識を輸入するのではなく、当社からの投資理論やノウハウを海外へ輸出できるような会社になっていたい。海外の運用会社を国内に紹介するのではなく、国内の運用会社を海外へ紹介できるようになっていたい。
そんな将来を一緒に築きあげていける若い力を求めています。

とりあえず、マニュアルがないと仕事の出来ない人。言われた事以外しない人。体力に自信のない人。暗い人。はご遠慮ください。

(2005.07.04)


休載

筆者は電波が届かないか、または電源が入っていません……

(2005.07.01)

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