2010年02月の思いつき


メディアの視点の狭さ

日本のニュースで、ギリシヤとユーロの問題はほとんど取り上げられませんが、今の金融市場にとってこれは大事件です。

このところの株式市場は、アジア市場が無難に終わっても欧州が崩れ米国でやや持ち直し、再びアジアへ、という循環を繰り返しています。

お決まりの米国の経済指標や日本の企業業績を見ていても、今の市場環境は理解できません。

問題が悪化して、為替が大きく円高になるような場面になってから、ようやくニュースに載ってくるのでしょう。

メディアを構成する人達の視点が、どうもグローバルになりきれていないことが、とても気になります。

(2010.02.26)



ジャッジにあわせる

例えば、オリンピックの開催国がカナダであるというこが8年も前から判っているのなら、有力選手の指導者にカナダ人をあてる、というのは極めて理論的な発想です。

裁判員制度でもわかるように、ジャッジというものは決して100%客観的なものではなく、多分に主観が入り込むものである以上、それに対する事前準備から勝負は始まっているというべきでしょう。

トヨタの公聴会で、リコールの判断を名古屋の本社で一括管理していたことが問題視されています。

ユーザーの感覚の地域格差というものを意識するのであれば、やはりリコール判断は現地に近いところで行うべきだったのかもしれません。

他人の評価を誘導する、という技術を、我々はもう少し小賢しく学ばなければいけないのではないかと感じています。

(2010.02.25)



ぼやぼやとした頭の中

思いつきにもみたない、単なる感覚なのですが、今私の頭の中は
「工学系から化学系」とか
「素材そのものが仕事をする」とか
「固体から流動体」
とかいうイメージがグルグル回っています。

産業の方向性というか技術開発の方向性に大きな転換点が起きているような気がしています。

要するに、外部動力を中心とした技術革新ではないところに、今後の成長があるような気がしているのです。

ごめんなさい。自分でも何を書いてるのか判らなくなってきました。
出直してきます…

(2010.02.24)



自らが戦略を考える

経団連が「民間が政府の成長戦略に頼ることなく、自らが戦略を考える時代に来ている」と言っています。

どこの国であれ政府は対外的に自国産業の保護と育成を使命としています。民間と政府との関係が悪化することは良いことではありませんし、民間の成長を国が支援するのは当然のことです。

ただそれは、国が書いたシナリオや国の創出した需要に民間が乗る、ということではなく、民間が書いたシナリオに国が支援をする、という構図であるべきです。

官僚のシナリオ作りを否定し、政治家にシナリオを作る能力がない、とするならば、自分達でシナリオを作るしかないのは自明のことです。

今の日本の問題は官僚にあるのでも政治にあるのでもなく、企業経営者の能力そのものにあるのではないか、という疑問をこれを機会に払拭して欲しいと、心から願います。 ご参考

(2010.02.23)



線香花火が始まった

本日の東京株式市場。爆騰!但し、上がっているのはゴムとか不動産とかその他金融とかのショートカバー銘柄ばかりですが…

気になるのはショートカバーの理由で、「米国の消費者物価が悪かったので本格的引き締めは当面先延ばしとなった」という最もらしい説明は私の中では優先順位が低いです。

「政権交代後初めての民主党候補の敗北」。現政権は海外投資家にはかなり不評であることから考えると、これにより日本の政策の方向性が市場よりに修正されるという期待が膨らんだ可能性もなくはない。

米国が利上げに舵を切り始めたことにより、ドル円での円安が定着するとの為替主導での巻き戻し。キャリートレードの中心がドルから円に戻る可能性は否定できません。

それにしても、最近の株式市場の乱高下は、一つの相場の終りに見られる線香花火を彷彿させます。火傷に注意です。

(2010.02.22)



やっぱりきた

今週初に凍った頭に鳴った警報が、頭が溶けない内に米国の利上げとなって実現してしまいました。

「流動性の正常化の一環であって、金融引き締めではない」という表現が意味するのは、今回の公定歩合の引き上げという措置がそのまま市場金利の上昇、つまり貸し出し金利水準の上昇に繋がるものではない、ということで、実体経済に影響を与えるような金融政策の変更ではないと強調されています。

とはいうものの、株式や不動産などの投資市場からみれば、流動性の引き上げの方が、金利水準の引き上げよりもむしろインパクトが大きく出る可能性があります。少なくても過剰流動性相場になっている市場には大きな転換点になるでしょう。

過剰流動性相場の終りとファンダメンタルズ相場への転換、という時期が我々の当初予定より早まっているのは確かなようです。

(2010.02.19)



国のことはよくわからない

ギリシア政府が将来の収入(宝くじの売上とか???)を、先に計上するデリバティブ取引をしていたことが、大きな問題となっています。

ギリシア政府の言う、「現在は違法だが当時は適法な取引だった」という説明も謎です。

一般企業でいえば決算操作になるのかもしれませんが、そもそもバランスシートという概念がない国庫というものにおいて、こういう操作が違法とか適法とかいうこと自体、あまり意味がありません。

ユーロ圏に所属するギリシアとしては、財政赤字を誤魔化す相手は市場参加者ではなく、欧州中銀を始めとする他のEU諸国です。
今回ギリシア支援をせざるを得なくなったドイツやフランスが本当にこの実体を知らなかったとすると、まぁ怒るのも無理はないのかもしれません。

お隣にいる国が判らないようなことが、一般の市場参加者に判るわけもなく、ソブリンリスクというものは本当に扱いにくいものだという典型的な事例といえるでしょう。
ご参考

(2010.02.18)



複雑怪奇

国内REIT投信の中で、「グローバルリート(ブラジルレアル建)」というものの残高が増えている、という記事を見つけました(ロイター)。

間違いなく、名目配当は高そうに見えます(笑)

このファンドのリスク、もう少し平たく言えばファンドの評価額の変動は、どういう市場環境の影響を受けるのか、と考え初めてしまうと全く手の出ない商品です。売り手の窓口ではどのように説明しているのかちょっと興味があります。

「個人向けの投機モノは仕組を複雑に難しくすればするほどよく売れる」と陰で囁かれていることを、個人投資家はもう少し理解する必要があるのではないかと思ったりします。

投資は単純明快が一番です。

(2010.02.17)



大人がしっかりしないと

冬季オリンピックが始まっています。
スポーツのお祭りが大好きな私ですが、どうも今回は盛り上がりません。
時差の関係で、日中放映が多いのも会社員としては難しいところではあります。冬季オリンピックは団体競技が少ないので、熱くなりにくい、というのも一因かもしれません。

それにしても、服装だのピアスだの周りの大人がガツンと言えばすむことで、大臣クラスまでがコメントするような内容だかどうか?

社会に対する色々な不満や鬱屈した思いが、こういう小さいスケープゴートを探し出しているのだとすれば、困ったものです。

(2010.02.16)



マヒした思考から…

札幌にいます。マイナス10℃です。
凍り付いた頭のどこかで、各国の金融、財政の出口が想定より早まっているのではないか、という警告音がなっています。

どうも日本の3月末決算というのは、毎年面白くありません…

もう少し温まった頭でちゃんと思考を繋げてみます。

(2010.02.15)



外交下手と株式市場

国内株式のファンドマネージャーに、今政府に何を望みますか?と聞いたところ、
「米国と仲良くしてください」
というお返事をいただき、笑ってしまいました。ごもっともです。

現在の米国の潜在失業者数が1980年代初頭の日本バッシングの時代に相当する、という話を以前書きました。
米国世論の風向きは、どうしても海外メーカーに厳しくなる環境であるのは事実です。最近の米国の対中国に対する強行姿勢もこうした風向きを受けた結果もあるのかもしれません。

生産拠点も販売シェアも既に50%以上が海外、という日本企業が増えてきているなか、外交下手が株価の足を引張るというのも笑い事では済まされなくなっています。

今の株式市場が政治家に望むことは、「何も期待しないから足を引張るのだけは止めてくれ」ということなのかもしれません。

(2010.02.12)



財政と株価

判るようで判らないのが、国家財政と株価の関係です。

ギリシアの財政破綻が材料視され、ギリシア株式は年初来で15%近い下落となっています。

国家財政が問題になり、通貨安も加わると、その国の株式市場から資金が逃避する、という関係は、2002年の日本で見られたトリプル安現象と同じです。

国の信用力が落ちることは、すなわち通貨の信用力が落ちることで、それは海外投資家からみた資産価値の下落に繋がる、というのがとりあえずの説明です。

金融機関の国際信用力の低下にも繋がるので、金融システムリスクが高まる、というのも一因ですし、財政破綻する国は自ずと増税になるので、企業の利益の圧迫要因になる、というのがもう一つの説明です。

なんだかよくわからないけど気持ち悪い、というのがもっとも説得力があるのかもしれません。

とりあえず、ドイツ主導での救済が決まれば何よりですが、ドイツはポルトガルもスペインもまとめて面倒をみてくれるのでしょうか?

(2010.02.10)



創業家

日本企業、自滅している気がしているのは私だけでしょうか。

そもそも、「創業家」などという言葉が出てくること自体がおかしい。創業者は大切です。企業カルチャーを創出した張本人であり、企業のDNAの源です。
でも、創業家、はいらない。

そもそも、昨年トヨタが創業家社長となり、だから今年度決算は絶対に大幅上方修正になる、などと株式のアナリストが言い始めたあたりから、話はおかしくなっているのです。

創業家の人達が悪いというのではなく、江戸時代の家老の如く、上様の顔色を窺うような企業文化を醸成しやすい、という意味で、創業家という言葉は無用だと思っています。

本当に、今回の破談はショックです。

(2010.02.09)



足並み揃えて

今回のG7における最大の課題は、米英国の主導する金融機関規制や増税に各国の足並みが揃うかどうかにありました。

最近ファンド関係の間では、スイスへの移転は当たり前、というような話も耳にします。
グローバル金融における抜け道のある中途半端な規制は、異常な資金フローを招き、局地的なバブルの素になります。
規制をするならターゲットを明確にした穴のない規制をしないとかえってリスクが高まります。

そういう意味で貸付金融機関と投資銀行、ローカルな金融機関とグローバルな金融機関というライセンスや規制を明確に分離するような動きも出てくるかもしれません。

ところで日本のメガバンクはグローバルですか?ローカルですか?


緊急追伸…サントリーとキリンの合併破談!日本株捨てたくなります…

(2010.02.08)



未知のリスク

小沢さんも朝青龍も辞めなかったら日本人辞めようか、と思っていたので、朝青龍ありがとう…

運用会社と話していて、欧州の財政問題への認識がとても甘いことが気になります。

アメリカの財政赤字などというものは、この30年延々と議論され続けてきたことで、深刻ではありますが驚くようなことではありません。

日本の借金や格下げ問題も2003年に一度経験しています。

一方のユーロは何もかにもが初めてなのです。通貨に市場の信認が得られなくなった時、例えば90年台初頭のポンド危機のような状況が発生した場合、寄合所帯の通貨当局がどれだけ役に立つものなのか、各国政府は何ができるのか、全てが未知数です。

市場は今その不安を織り込みつつあります。

未知のリスクには慎重になるべきだと私は思っています。

(2010.02.05)



味方か敵か

ある基金様が、運用機関との関係において指摘なさったことですが…

「一般的に言えば、お金をもらってサービスを提供する人は、お金を払った人の味方になるものだが、運用機関は基金の味方ではなく基金の反対側にいるように感じる。」

委託者と受託者の利害は本来一致していなければならないはずが、確かに四半期報告などの見ていると、何故か敵対しているように感じることがあります。

運用者自身が自分の投資行動を正当化したい、というのはまだ理解できますが、自分の会社を守るという意識が強すぎる人がやはり多すぎるのかもしれません。

誰を向いて仕事をするのか。言い古された言葉ですが、改めて再認識する必要があるのではないかと感じています。

(2010.02.04)



釈然としない

ここに来て降って沸いたような、日本車のリコール問題。

前から思うのですが、リコールって伝染するのですか?

突然特定の業種や企業にリコールが集中することに、とても違和感があります。

何か隠していたものが一気に噴出するタイミングなのか。
たまたまのサイクルなのか。
外的要因が関わっているのか。

とにもかくにも、これで米国における日本車の一人勝という構図は、当面なくなったということです…

(2010.02.03)



この親にしてこの業界?

米国の前財務長官ポールソン氏が『オン・ザ・ブリンク(瀬尾際)』という暴露本、ではなくて回顧録、を出版したそうです。

ブルーンバーグなどの報道によれば内容は財務長官時代のものが含まれるようで、ロシアがどうした中国がどうした、と常識的には国家機密に関わるような内容も含まれている、との話もあります。

自己顕示欲なのか、拝金主義なのか、権力への未練なのか、よくわかりませんが、こういう人が仕切ってきた米国金融業界というものには、やはり一度蓋をして悪臭、ではなく悪習を封じ込めた方が良いのではないかと思ってしまいます。

回顧録というものが、引退宣言であり、隠とんしてくれるなら、それでもいいですが。

(2010.02.02)



本当にありえない?

オバマ大統領の打ち出した金融規制法案について、運用機関やヘッジファンドなどからコメントが出てきています。
総じていえることは、オバマ大統領の人気取りであり、実現性は薄く、米国政府首脳の中にも異論が強く、欧州・英国が追随するとも思えない、という論調でしょうか。まぁ一言でいえば、「ありえな~い」ということです。

一方31日から開催されたダボス会議の発言などをみても、法案に否定的と目されていたサマーズ氏(国家経済会議委員長)は、金融機関に投機は無用と講演しているようですし、欧州を始め各国政府からは規制強化に賛同する意見が表明されています。

株式市場でよく言われる言葉に「国策に売りなし」というものがあります。所詮国と喧嘩をしても勝つ見込みは小さいということです。

金融機関もファンド各社も、ありえないと言いたい気持ちはわかりますが、ここは冷静に客観的に状況を見極めて欲しいと強く思います。

(2010.02.01)


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