2016年09月の思いつき


スイスフランと金が上がったということ

OPECの減産合意・米国GDPの上方改定・インドのパキスタン侵攻・ドイツ銀行の経営問題・そして昨日書いた9.11法案の可決。

昨晩の海外市場は酷く混沌として、市場もセンチメントも強弱感が入り乱れて終わりました。

メディアのコメントはドイツ銀行問題でのリスクオフが主要テーマになっていますが、個人的にはやはり9.11法案の方が潜在リスクとしては気になります。

欧州銀行の問題はいつか通らなければいけない課題で、想定するとするなら2007年からの金融危機ではなくて、90年代後半から2003年までの日本の金融リストラだと思っています。

米国の利上げが12月にあるかどうかは、足元の外部要因が複雑なので、もうその時になってみないとわからない。

インドとパキスタンの話は、注目度が低かったもののこれまで延々と続いてきた問題で、足元に大きな変化があったのかどうかはまだ消化不良。

で、9.11法案は、地政学リスクが金融市場の需給に直接打撃を与える可能性が拡大したという意味において、やはりとても怖い。

昨晩、ドルがスイスフランと金に対してだけは安くなった、という事実が示唆していることを、よく考えた方が良いような気もしています。

寺本名保美

(2016.09.30)



米国議会までも

増産停止合意すら儘ならなかったOPECが、減産に「向けての」合意まで踏み込んだことで、サウジが国際社会における協調路線に戻ったと喜んでいた最中、米国議会が大統領拒否権を覆し「テロ支援者制裁法(JASTA)」いわゆる「9.11法案」が議決してしまいました。

米国多発テロの遺族がテロに関与したとみられる国家に対し賠償請求をすることができる、という法案です。
ターゲットとされているサウジは、この法案が通れば保有している米国資産を全売却すると言っていたもので、オバマ大統領は過去11回拒否権を発動し、CIAも経済界も揃って反対を表明してきました。

上院は97対1、下院は348対77の圧倒的な賛成多数。

議決した議員からの「外交上の不利益があろうとも遺族の心情を優先したい」という趣旨のコメントをみるにつれ、今年世界が振り回され続けてきたポピュリズムの集大成のようにも思えます。

政治における「まさか」は未だ継続中です。

寺本名保美

(2016.09.29)



予測不能な気配

昨日の米国大統領選のテレビ討論会。

日本で報じられている内容やダイジェストだけを見ると圧倒的にヒラリーさんが優勢な討論会だったように見えるのですが、当の米国国内での評価は意外と分かれているようです。

全体を見ていないからなのか、受け止め方の違いなのか、当事者ではないからか、よくわかりません。

ソツなくこなしたヒラリーさんに却ってイラつく、とか言う感想までいくと、外部の人間には判断不能です。

11月の選挙結果が真剣に心配になってきました。

寺本名保美

(2016.09.28)



またドイツの…

先週末から欧州市場は、再びドイツの銀行問題で揺れています。

問題の銀行の株価は今年2月の急落水準を超え、最安値を更新しました。

先月まで問題視されていたイタリアの商業銀行と比べ、景気が堅調なドイツを基盤とし資産規模も大きなこの銀行が、こう度々資本不足が噂されるのには、リーマン危機後に導入されたグローバル金融機関に課せられた厳しい資本規制や、それに伴い発行された新型のハイブリッド債券の構造問題が絡んでいます。

もっと根本的なことをいうならば、欧州の金融機関の抱える不良債権処理の道筋が、未だはっきりと見えてこないことへの漠然とした不安も背景にはありそうです。

金融危機からもう8年が経過しました。いくら日本並に遅いと言われてきた欧州の不良債権処理も、そろそろ動きだしてもよいころです。欧州の金融機関を巡る波乱はこれからが本番なのかもしれません。

寺本名保美

(2016.09.27)



G7交通大臣会合

先週末「G7交通大臣会合」というものが軽井沢で開催されました。

G7関連の個別会合として「交通大臣会合」が開催されるのは2015年のフランクフルトに続いて2回目です。

今回の会合では自動走行に関わる国際共通ルールについての話し合いが行われています。

2015年のドイツ主催時から、この交通関連所管のサミットが開催されるようになったことに、ドイツのこのプロジェクトに対する意気込みが伝わってきます。

日本での盛り上がりには今一つ欠ける分野ではありますが、世界は否が応でも前に進んでいます。

インフラの根本にかかわるこの問題。
どうついていくのか。いかないのか。
そろそろ日本も国としての方針を固めなければいけない時期がきているように感じます。

寺本名保美

(2016.09.26)



いつまでもどこまでも

日銀の検証と新しい枠組み。

これまでの方法論は間違っていません。
経済効果は出ていますが、約束した物価目標は達成していません。
約束した物価目標を達成するには時間が掛かります。
想定以上に長い年月が掛かるかもしれないことを前提として、それに耐えられるような枠組みを作ります。
我々は決して諦めません。約束した物価水準になるまで、異次元緩和とマイナス金利政策を継続することを約束します。

という感じ。

今回の日銀の意思表示の中で最も重要な意味を持つのは「時間軸の排除」でしょう。

資産運用側からいえば、10年債利回りががマイナス0.3%とゼロ%とでさほど大勢に影響があるとも思えず、ようするに今のように金利がない状態に今後数年単位で付き合わなければいけないということです。

金利はなく、債券価格の変動も日銀が自らコントロールすることを宣言されてしまった債券市場。自動走行化が加速してドライバーのスキル低下が深刻化していきそうです。

寺本名保美

(2016.09.23)



でない!

1時まで待ちましたがまだ何も出てきません。

どうした?日銀?

どういう結果にしろ、もめている印象を残すのはあまりよろしくないです。

待ちきれない為替はジリジリと円安に。

うーん。

寺本名保美

(2016.09.21)



マイナス利回りからマイナス金利へ?

日本銀行の「総括的検証」の結果が明日発表されます。

マイナス金利導入以降、私が持ち続けてきた疑問は、日銀のマイナス金利は「マイナス利回り」を作っただけで「マイナス金利」を作っていない、という点にあります。

言い換えるなら、運用の利回りはマイナスにしたものの、調達の金利はマイナスになっていないということです。

運用利回りのマイナスが調達コストの低下に寄与できたのは、資本市場で直接調達ができる極大口企業と需要が逼迫しているドルを保有する非居住者だけです。

銀行経営が悪化しているといわれるのも単に調達金利がマイナスにならないなかで、投資する国債利回りがマイナスになっているからです。

日銀の国債買い入れ年限を調整してイールドカーブをスティープニングしたところで、所詮それは「利回り」の世界での小手先の調整です。

日銀が本気で「金利で経済を動かす」つもりがあるのなら、中途半端なマイナス利回り政策ではなくマイナス金利の世界を導入すべきです。

明日何がでてくるか、少し楽しみになってきました。

寺本名保美

(2016.09.20)



根っこの話

9月8日に書いたGDP問題。そろりそろりとGDP数値の下方乖離の修正が進行しているようです。( 過去の思いつき

本日の日経新聞によれば、次回発表のGDPから基準日を2005年から2011年に変更するのに伴い構成要素を見直すことで、スタート時点のGDPが約20兆円上振れすることになったそうです。

これと8月の頭に記事になった2014年に30兆円の誤差がある話とは同じではないのですが、これまで内閣府が出してきたGDP数値が現実よりも下振れしていた、ということを主張するという点においては同じ脈絡にのってきます。

先日書いたインフレ認識もそうですが、金融財政政策の根底となる概念や数値の根っこがひっくり返るような議論が、あちらこちらで進んでいるような予感がしてしかたがないのですが。

寺本名保美

(2016.09.16)



中途半端に終わらせないために

日銀が連休明けに発表する異次元緩和の総括を前に、マイナス金利幅の拡大策が盛り込まれるのではないかという報道が目につくようになりました。

この総括の話が出た時は、マイナス金利政策の中止を視野にいれた議論であると思われていたことに比べると、180度異なった方向へ議論が展開しているようです。

今日あたりからは、そのパッケージとして、銀行の大口預金を実質マイナスにする案(手数料を取る案)などが取りざたされてきています。

今年1月末に導入されたマイナス金利は、長期金利利回りは押し下げたものの、銀行預金等については年金や投資信託など極限られた投資家分のみしかマイナスになっておらず、資金調達コストも公募社債を発行できるような大口法人中心の下げにとどまり、投資家の間で不公平感のある中途半端な政策になってしまっています。

個人的には一度始めてしまったマイナス金利。中途半端なところで止めるぐらいなら、政策趣旨が貫徹するぐらい思い切った掘り下げをした方がいいような気もしています。

寺本名保美

(2016.09.15)



周回遅れからの展望

これまで発表されてきた政府の経済成長戦略に一部見直しがかけられていると伝えられています。

ようやく、AIや自動走行の分野で、今の日本が世界の周回遅れにいることを認識したようです。

だから、諦める、というのではなく、頑張って追い付こう、というだけでもなく、その中で尚、日本が国際競争力を持てる分野に政府として集中的に支援していく、という方向性がでるのなら、ようやく日本の産業展望が開けてくるのかもしれません。

なにごとも、選択と集中、です。

寺本名保美

(2016.09.14)



長すぎる選挙戦

あまりにも政党政治が機能しないので、日本の首相にも米国のような直接投票を取り入れたほうがよいのではないかと思ったこともあったのですが、今回の米国の大統領選を見ていると、その気はすっかり失せていきます。

日本の都知事選のようにムードと知名度での選挙にならないためには、やはりある程度長めの選挙期間というのは必要なのでしょうが、2年間というのは幾ら何でも長すぎます。

今回のヒラリーさんではありませんが、選挙が終わるころには、体力も資力も底をついてしまっては元も子もありません。

いわゆる富裕層一族というものが少ない日本で2年間の選挙戦を戦えるだけの資力があり、かつ連日の選挙戦で全国行脚をし続けることができる体力があり、かつ直接選挙に耐えうる人力のある人、と考えると、残念ながら候補者すら見当たらない。

それにしても、あと2か月。ヒラリーさんに日本伝来のニンニクエキスでもお送りしましょうか。

寺本名保美

(2016.09.13)



インフレというトリガー

9月利上げの可能性に市場は少々動揺しています。

ただ、本当に気にしなくてはいけないのは、「9月にあるか12月にあるか」ではなくて、金利引き上げのスピード感であり、その根底となる理屈から「インフレ」という言葉が徐々にフェードアウトしていく可能性だと思っています。

伝統的な金融市場は未だ「インフレなき経済成長」という言葉を信用していません。インフレがないのであれば金融は引き締める必要はなく、金融を引き締める必要がない経済は本当の好景気ではない、というロジックを引きずっています。

金融政策と経済の関係は、金融や経済の構造変化に伴い徐々に変化しているはずです。中央銀行の次の一手が従来の伝統的な金融常識の延長線上でなない可能性も少し視野に入れていかなければならない時期が来ているようにも感じています。

日銀の異次元緩和の総括における論点も米国の利上げ判断を巡る論点も、金融政策の方向性は異なるものの、「インフレ」というトリガーについては同様の問題定義がなされる可能性があります。

何が常体で何が異常であるのか、という定義そのものが変わってしまうリスクについても頭の体操をし始めたほうがよいのかもしれないと思っています。

寺本名保美

(2016.09.12)



ひどかった…

ある程度の想定はしていたものの、日本株アクティブの7-8月は惨憺たる状況となりました。

一部のファクターは9月に入り急激に戻していますので、7-9月〆てみれば被害は小さくなっているかもしれませんが、それにしても極端です。

振って沸いたヘリコプターマネー騒ぎや、日銀の偏った株式購入の思惑など、理由は幾つがありそうですが、基本的には参加している投資家の幅の狭さが、日本株のアルファーの変動を大きくしているように見えます。

為替との連動はなくなったものの、その分参加者も減り、機関投資家からの資金フロー減っています。

日本株市場の魅力を高める努力がまだまだ足りないということなのでしょう。

寺本名保美

(2016.09.09)



GDPの上方修正

数週間前に、内閣府の発表するGDPと日銀が税収をベースに試算したGDPとの間に年率で2%程度のかい離があるとの報道がありました。
日銀の税収ベースの試算の方が上振れているとの内容です。

かい離の原因がどこにあるのかも含め、現在内閣府で出しているGDPが適正であるかどうか、見直しを含め検討が始まっていると報じられています。

年間2%の誤差というものは、経済金融政策の根幹を揺るがすほどの差異です。これがある日突然統計方法の変更で修正されてしまったら、金融市場は大混乱となるでしょう。

今日発表された4-6月のGDPが年率で0.5%とやや大きめの上方修正されたのを見て、2%の誤差をバレない程度に修正し始めたのか、と思ってしまったのは穿ちすぎでしょうか。

寺本名保美

(2016.09.08)



バブルではないものの

銀行の不動産融資残高がバブル期を超えたそうです。

東京を見ている限りにおいて、言われているような収益物件(アパートなどの賃貸住宅)というよりは、もう少し大規模な開発案件に融資が注込まれているように見えます。

不動産の証券化案件をみても、以前のバブル期の2004-2005年ほどのレバレッジは掛かっていないように見えるので、薄利ではあるもののリスクが小さく量がはける大手デベロッパーの兆円案件に、融資が集中していくのは想像に難くありません。

そういう意味においては、単純に「不動産融資残高」の総額を見ているだけでは、今の不動産市場がバブル前夜なのかという判断はしずらい環境にあります。

そこかしこの基幹駅前を大手デベロッパーが陣取り合戦のごとく再開発を進めている東京の現状を見るにつれ、日本にとってもう少し有効な資金の使い道はないものか、と思うのもまた事実ではありますが。

寺本名保美

(2016.09.07)



あまのじゃく

ヘッジファンドの世界で、「混んでいる池からは出ましょう」というような表現をよくします。

一方で、空いている池を探して入りましょう、という表現はあまりしません。

理由はあるのですが、それは置いておいて、個別銘柄の歪みを探すアルファ型の戦略から資金が引いているということをよく聞きます。

そろそろアルファに戻る時期かもと、あまのじゃくな私は思っていますが。


寺本名保美

(2016.09.06)



あら、マイナス金利消滅

日本の10年国債金利が、水面上に浮上しようとしています。

前回の政策決定会合での「金融政策の検証」発言以降、金融緩和縮小への思惑が強くなっていたところに、米国の利上げスケジュールの前倒し観測がでたことで、マイナス0.3%近辺から0%近辺への上昇となっているようです。

10年金利が0.3%動くということは、収益率にすると3%動くということを意味します。

今四半期の国内債券の収益率はこのままいくと、少々頭の痛い状況となりそうです。

それにしても、今債券を売っている人達は、きっと0.3%近い債券を買った人達です。

何を考えマイナス0.3%を買い、何が変わったからマイナス0.05%を売っているのか。
さっぱり理解できないという感想を持つのは私だけでなく、日銀総裁も同様なのではないかと想像しますが…

寺本名保美

(2016.09.05)



セミナーお礼

昨日は弊社資産運用セミナーを無事開催させていただくことができました。
お忙しい中ご参加いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
思いの外多くのお客様にご参加いただき、少々窮屈な会場手配となってしまったことを申し訳なく思っております。

今回のセミナーテーマである「債券代替」という言葉の持つ意味は一つではありません。
債券の何を代替させたいのかによって、取るべき戦略は異なります
代替させることによって得られるものの裏腹に、失うものがあります。リターンを上乗せすることの裏腹に、リスクの上乗せがあります。債券という資産特性の何を強化し何を諦めるのかをよく考えた上で債券代替という商品に取り組む必要がありそうです。

という趣旨をお伝えしたかったのですが、債券をテーマに講演をする度に、消化不良感と反省が残るのは今回も改善なく、申し訳ないことです。

次回のセミナーは3月を予定しています。
米国の新大統領下でのマクロ環境がどのように変化しているのか楽しみでもあります。またご案内をさせていただきますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

寺本名保美

(2016.09.02)



今日はセミナーです

本日は24回目の弊社定例セミナーの開催日です。

今回の私のテーマは皆さまが最も聞きたくない「債券」のお話。

「債券」という投資対象の基本的な仕組みを通して「マイナス利回り」という現実の持つ本当の怖さを考え、

「債券」という投資対象の基本的な役割を通して「債券代替」という戦略の正しい使い方について考察します。

できるだけ皆さまが途中で挫折しないよう、丁寧にゆっくりとお話しする、つもりです。

冷房温度も少々下げ気味で…

では、会場でお目にかかれるのを楽しみにしております。

寺本名保美

(2016.09.01)


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