2019年02月の思いつき


未来への可能性はあるかと…

本日は、弊社の29回目の定例資産運用セミナーです。

テーマは「日本投資再考-日本の産業構造の変化と未来への可能性」

最大の問題は文末の「未来への可能性」の部分なのですが、、、

経済産業省グローバル産業室の日暮正毅様から基調講演をいただきます。

このセミナーの最大の役得は、自分の聞きたいテーマの講師の方を招聘させていただけること。基調講演、私自身が一番楽しみにしています。

では詳細はまた明日。

寺本名保美

(2019.02.27)



貿易協定が死語になる?

今、「内需」という言葉に興味があります。

短期的にいえば来年の5G本格稼働を前にした、各国内でのインフラ投資ですし、少し長期的にいえば労働コストがグローバルに均一化するなかで進行する産業の内製化への対応投資です。

昨年から市場を揺るがせている問題の多くはモノと人の移動に関わる協議に由来します。

でも、今後経済活動がもっと仮想空間化していくとするならば、今揉めているようなことは、急激に無意味になっていくのかもしれないとも思っています。

そんなことをあれこれと考えているうちに、明日は弊社の法人向けセミナーの当日となってしまいました。

ご参加予定のみなさま、どうぞお気を付けておいでくださいませ。

寺本名保美

(2019.02.26)



笑顔のしわ寄せ

突然に物分かりの良い好々爺になってしまったトランプ大統領。

中国にも北朝鮮にも微笑み外交全開です。

一方の日米貿易協議の開始はは4~5月へ延期される見通しとなったようですが、対中交渉での妥協のしわ寄せが日本に来るのではないかという噂も聞こえてきます。

朝鮮半島で平和条約が締結された場合、米国にとっての極東地域の位置づけがどう変わるのかも、全く見えません。

ノーベル賞が一歩近づいてご機嫌なトランプ大統領の笑顔が招く災いを日本だけが被ることになりはしないかと心配は募るばかりです。

寺本名保美

(2019.02.25)



乱立が始まった

今年は日本の小売り産業における電子決済元年となります。

政府が消費税に絡めてこの方針を出した時に想定された通り、世の中には新規のQR決済業者が乱立を始め、既存の電子マネーと、メガバンク主導のデジタル通貨の新設も絡んで、あっという間に訳が分からなくなりました。

その内、詐欺のようなことが出てきて、規制が強化されて、撤退する業者が出てきて、淘汰が始まって、本当のインフラとして定着するのにはあと2年位かかるでしょうか。

今書いたような混乱と淘汰は必ず起きるので、起きるとわかっているのにどうして事前にもう少し整理されないものなのか不思議でしかたがありません。

個人消費の根底になるインフラなので、あまり実害が出ない内に整理整頓が進めばよいのですが。

寺本名保美

(2019.02.22)



貿易が変わる

米中の「貿易交渉」における主要項目が

「技術移転、知的財産権、サービス、為替、農業、非関税障壁」

であることの意味をよく考えてみたいと思っています。

そこにあるのは、30年前に日本と繰り広げられたような、自動車といった完成品の輸入数量や値段に属するものではありません。

貿易、という言葉を使っていますが、そこで動いているものの多くは、目で見ることが出来ないものです。

旧来型の貿易という概念の延長線上にある「貿易のルール」というものを議論している部分も否定はしませんが、私にはむしろ「貿易」という概念が根底から変わっていることを意味しているように思えます。

完成品や半製品の輸出に依存度の高い日本の将来にとって、やや深刻な問題が隠れているように感じます。

寺本名保美

(2019.02.21)



流動性リスク

WSJは、ロシアが米国のPEファンド経営者を投資先のロシア企業からの横領の罪で拘束したと報じています。

真偽のほどはわかりませんが、こうした地政学リスクの高まりが金融取引に影響を与えるケースが最近増えてきているのが気になります。

韓国での本邦企業資産の差押えの件もこうした流れの一つとみることができます。

一方で、ロシアとのガスパイプランプロジェクトに、大手商社と政府系金融機関が巨額な資金拠出をするという話も出ています。

貿易でのフローが内向きになる中で、投資というストックまで萎縮してしまうことは避けなければならないとは思いつつ、フローの減少をよりリスク高いストックで補うような国際取引には、やはり懸念が残ります。

先行きが見えないときは過度は流動性リスクを取らないこと。これは資産運用でも実需でも共通の鉄則です。

寺本名保美

(2019.02.20)



20歳代30歳代の頃、市場の方向性に迷うと書店に行って、爆買いをするという習慣がありました。

書店をぐるぐる回って、思いつくままに本を買い、買った本を家に並べて眺めているうちに、自分の頭の中が整理されてくるような気がしたからです。

いつの日か、段々と書店に行っても手ぶらで出てきてしまうことが多くなり、最近では電子書籍の存在もあり、ほとんど書店に行くことがなくなりました。

私の頭の吸収力が落ちてきたからなのか、書店に並ぶ本から発するエネルギーが落ちてきているのか、どちらかでしょう。

で、最近、20代後半に熱中して読んだドラッカー氏の『断絶の時代』をネット書籍で見つけて読み始め、その現代性に驚愕しています。

もしよろしければ皆様もぜひ。

寺本名保美

(2019.02.19)



借金で投資をしてはいけません

今回のレオパレス問題のような、投資用不動産に絡むトラブルが発生する度に思うのですが、数多くある資金運用や投資というカテゴリーにおいて「借金をすることを前提とした」スキームがまかり通っているのは、不動産投資ぐらいです。

例えば、投資信託を買うのに、投資金額の8割9割を借入れで行うということをイメージすれば、それがどれほどリスクの高いことなのかイメージが湧くと思います。

不動産は株式や投資信託に比べ、収益の安定性が確保されているというかもしれませんが、90年のバブル崩壊以降の25年間であっても2005年や2008年など不動産市況が株式並に急落する局面は何度もありました。

不動産業者が賃料保証をしているといったところで、スキームに無理があれば結局保証した業者が破綻するため、最後の損失は借金をした投資家自身が被ることになります。

物件の質や、業者のモラルも重要ではありますが、そもそも不動産というリスク資産を一般の給与生活者に借金を背負わせて買わせるということが「普通」になっている業界の体質そのものに、多大な問題があるのです。

あまりに口うるさい金融庁に辟易とする証券業界ではありますが、不動産投資に対しあまりに無作為にみえる国土交通省に比べれば有難いと思わなければいけないのかもしれません。

寺本名保美

(2019.02.18)



鬼は内、福は外?

トランプ大統領が議会と全面対決に出たことで、せっかく好転していた投資家心理が暗転してしまいました。

予算という議会の専管事項に対し、非常事態を宣言して大統領がフリーハンドを得る、というのはいくらなんでも乱暴な気がします。

裁判所が違憲判決を出せば、今度はトランプ大統領の挙げたこぶしをどう下すのか、という問題が発生するわけで、話は混沌としていきます。

不幸中の幸いは国内争議で忙しいトランプ大統領が対中制裁の期限を3ヶ月先送りにしたことでしょうか。

内側に敵だらけだと思えば外に味方を求めにいくのは当然の成り行きなので、今回の騒動は国際政治には意外な恩恵をもたらすことになるかもしれないと思っています。

寺本名保美

(2019.02.15)



寛容

久しぶりに良いフレーズと出会ったような気がします。

「豊かで公正で寛容な社会」

最高裁判事に就任した草野耕一氏の就任の弁です。

健全な批判精神の醸成には、寛容さという受け皿が必要です。

救いようのない批判も、盲目的な同調も、どちらも不健全です。

ちなみにですが、私の座右の銘は「凛としておおらかに」です。

えっ寛容だったけ?という声がどこからか聞こえて来そうな気もしますが…

寺本名保美

(2019.02.14)



高齢国会のメリット?

安倍首相が大きなノートバットを掲げて商店で電子決済をするニュース映像を見た時もしやと思ったのですが、やはり首相はスマホをお待ちではなかったらしいです。

執務室で私的メールのやりとりをしたことが問題になるような米国と比べると隔世の感がありますが、国家の情報漏洩という観点からみれば、最強です。

サイバー担当大臣はパソコンが出来ず、首相はスマホができない。日本の電子決済が主要国中ビリなのも当然の結果でしょう。

さて、これからですが、政府が目指すスマート社会を実現するためには、正にこうしたスマホ難民の方々がストレス無く適合できるインフラ整備が必要になります。

高齢化が目につく日本の国会ではありますが、自ら実証していただけるとするなら意外と役にたつかもしれません。

寺本名保美

(2019.02.13)



統計問題の様変わり

今回の統計不正問題の展開が私の頭の中でスッキリしないのは、2016年にこんなことを書いていたからです。
GDPの上方修正

2016年当時に経済統計の正確性が問題になったことがありました。この時は内閣府の出しているGDP成長率が実体よりも低く出過ぎている、つまり、政府統計はアベノミクスを過小評価しているということだったのです。

ところが今回の「統計国会」によれば、統計数値がアベノミクスを過大評価している、という話になっています。

統計数値が実体経済を表していないという点においては同じなのですが、結果は随分異なります。

社会構造が大きく変化する中において、統計内容も統計手法も改革が必要な時期が来ていることは間違いありません。

統計の継続性も重要ではなりますが、現代に適応した政府統計のあり方を考える良い機会だともいえるのではないでしょうか。

寺本名保美

(2019.02.12)



財政政策のあと

平成の経済を振り返ってみると、財政支出で好転して、引き締めで暗転することの繰り返しだったように思います。

つまり、自力はゼロ。

アベノミクスが従来の財政出動型経済であるのなら、次に来るのは緊縮と景気後退。

アベノミクスが日本経済の自力をつけたのなら、次に来るのは景気循環。

日本株の戻りが悪いのは、アベノミクスが従来型の景気刺激に過ぎないと市場が見切ってしまっているからなのでしょうか。

寺本名保美

(2019.02.08)



低金利が犯人だ!

WSJに掲載されていた、長期の低金利は成長率を押し下げる、という説が面白かったです。

低金利の当初は、景気に対しプラスに働くものの、その後は低利で資金調達が可能な大企業が中小企業を淘汰するようになり、競争原理が失われて、経済成長を阻害する、とのこと。

米国金利が過去数十年に渡り緩やかな低下傾向にあることが、今の米国の低成長の一因になっているという研究結果がある、という記事を読んでいると我が国の現状が酷く悲惨なものに思えても来ます。

米国の低成長については、東西冷戦後の、軍事費削減が主因だという論文も読んだ記憶もありますが、日本から見れば羨ましいほどの安定成長の米国のこうした議論は、教科書的な説明ばかりが目立つ日本での解説とは違って興味深いものがあります。

寺本名保美

(2019.02.07)



サプライズはなし?

トランプ大統領の演説が始まっています。

合表された事前草稿を見る限りは、目新しいことはなさそうです。

この2年の、目覚ましい功績と言っているエネルギー生産も経済の拡大も他国への過度な軍事介入の停止も、前政権からの引き継ぎ事項です。

これからの優先課題といっている、通商問題と移民問題は、就任当初から言っていることで、新規性はなく、よくも悪くも、トランプ大統領の神通力がやや薄れた印象を受けます。

今の市場にとっては、サプライズがないことは、よいことなのかもしれませんが。

寺本名保美

(2019.02.06)



スポットライトを浴びて

今晩、トランプ大統領による一般教書演説が行われます。来年は退任の年となるので、第一期のトランプ政権にとっては(来年再任される可能性も否定はしないので)、実質的には最後の一般教書演説です。

少なくてもブッシュJRの政権からオバマ政権までを遡ってみると、一般教書演説からはその政権を越えた米国という国の目指す長期ビジョンを読み取ることができました。

それがトランプ政権になってから、ビジョンというにはやや短期的で感情的な内容が多くなり、長期の政治経済見通しがたて難くなっている一因でもあります。

一方で内容が短期的になっている分、むしろ目先の金融市場に与える影響は大きくなるリスクがあるので、今晩の一般教書演説は普段に増して注目されているようです。

こういう演説の巧みさには定評があるトランプ大統領が、市場にポジティブなお土産をもたらしてくれることを期待しましょうか。

寺本名保美

(2019.02.05)



すっかり出遅れしまいました

1月の株式市場は米国株式中心に大きく反発して終わりました。

昨年の10月の急落後の11月の市場が期待していたような反発にならなかったことが投資家の不安心理をさらに悪化させ12月の急落を招いたとするならば、1月の反騰は心理的にもよい効果が期待できるかもしれません。

一方の日本株ですが、相変わらず下がる時は人並みに、上がる時はその半分。結果として主要指標の年度通期での収益率が国内外株式で10%近い開きが出てしまう結果となりました。

この後投資家のリスク選好が戻ってくれば、出遅れ市場に注目されて、脈絡もない急反発をする、というのが国内株市場の通常のパターンになりますが、国内株の運用者と話していても、どうもまだ自信が無さそうに見えるのが気がかりです。

いずれにしても政治的な暗雲が頭を押さえている状況は暫く続くので、焦らずに見ていきたいと思っています。

寺本名保美

(2019.02.04)



祝EPA

日欧EPA経済連携協定がスタートとなります。

この協定が持つ意味は、単に関税の撤廃や自由貿易の旗印という旧来型の経済効果だけではなさそうです

ワインを始めとする食材のブランディングであったり、情報社会におけるデータや知財価値の管理など、欧州はこれからの日本にとって重要な意味を持つ分野の先駆的存在だといえます。

また米国と中国との対立が今後も長期的に続いていく国際情勢において、日本と欧州の連携はこれまで以上に重要になっていくことでしょう。

陸も海もテリトリーが重ならず、地理的に遠いからこそ築くことができる良好な対外関係というものもあります。

日欧EPAが、やや行き詰りを感じている日本と欧州の各国にとっての新たな第一歩となることを期待します。

寺本名保美

(2019.02.01)


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